EP.11 全てを終わらせました
俺は金さえ貰えれば誰でも殺す暗殺者になった。
そうして食い繋ぎ、情報を集めウエストックスで襲撃して来た奴等を片っ端から殺した。
かくれんぼの鬼から始まり、殺人鬼になり、そして復讐鬼なっていた。
当然ララークを売った商人も探したが見つからない。
五年後、やっと商人を見つけて殺した。魔導士の村の連中を殺そうとしたのはラフラカの命令だったと言う。
俺は、それをきっかけに正式に反帝国組織に所属した。
七年後、ラフラカが精霊王を吸収し、その力が暴走し、ユピテル大陸が破壊された。それにより、自然は死滅、町もほとんどが壊滅した。
それと同時に再び魔導士の村が狙われる。それをきっかけにラゴスとエーコが反帝国組織に所属。
エドがストラトスと知り合い、彼の友人が作った飛行船ファルコンに乗り大陸中を駆け回る事になる。
八年後、遂ラフラカを倒す。俺の復讐は終わった。ラフラカの城はラフラカの魔力で維持されており崩れて行く。
ストラトスが用意した飛行船ファルコンからラフラカの城に乗り込んだのは、エド、アル、ルティナ、ムサシ、ガッシュ、ユキ、ロクーム、エリス、ラゴス、エーコ、そして俺の十一人だ。
「私の精霊の力はもう直ぐ消える。でもギリギリまで、私の魔力でこの城を保たせるから、皆逃げて」
ルティナが叫ぶと半精霊化して皆を先導した。
……崩れ行く城。
……崩れ行く心。
……朽ちるのをただ待つ身体。
この身を崩れ行く城に委ねる。
俺の足が止まる。
「ワンワン」
俺の身を案じるハンターが吠えた。
賢い犬だ。
「行けっ! ハンターっ!!」
俺が叫ぶ。
お前まで死ぬ事はないんだ。
エーコを頼む。
「くぅぅ~」
ハンターは本当に賢い。
十年近くこの俺に仕え片時も離れなかった。故に俺の気持ちがわかるのだろう。
俺は自分を終わらせたい。だから、ハンターは死なせないと目で訴える。
つぶらな瞳で澄んだ眼差し、それが俺に取ってより一層痛い。
崩れ行く城。
崩れる心。
他の仲間達は崩れ落ちる瓦礫に押し潰されまいと逃げる。
だが、俺は足を止まる。
もう俺のやる事は終わった。
「ワンワン」
ハンターがもう一度吠える。
着いて来いと……そう言いたげだな。
そして振り返る。俺はもう良い。
ハンターは、俺の視界から消えた。
後は一人朽ちる果てるだけ。
もう俺には何も残っていない。
相棒を見殺しにし、妻を看取らず、娘を捨てた。
罪悪に生きてきた俺が唯一歩めたのは暗殺という修羅の道があったからこそ。
それも、もう終わった
この城こそが俺の死に場所だ――――。