EP.05 意味深な男が見てました
ブクマありがとうございます
レベルを7にし、なんとか暴力商人に勝てたぜ。一章でのレベルのカンストは7のようだし、このままサクサクと進めたいところだな。
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なんとか追い駆けて掛けて露店の人を撃退したが、その間に何人もの人に囲まれていた。その人らに袋叩きにされ、そして町を追い出された。
意味が分からない。 何故こうなった? もっと上手く立ち回って逃げないといけなのかと考えた。
次の町に行くの半月かかった。
《だから、どんだけグルグル同じとこ回っているんだよ。地図を見る限り数日で着くだろ》
今度はどうやったら上手く行くか考えながら、食べて逃げる。食べて逃げる。食べて逃げる。食べて逃げる。食べて逃げるを繰り返した。
宿は捕まる可能性があるので控えた。こんなんでいつ親を掴まえられるのだろうと漠然と考えて日々を生きた。
次の町でも繰り返す。この頃になってようやく気付く。〇〇Gってお金って奴だったんだなと。でも、どうやったら手に入るか知らない。だから盗むしかない。
毎日毎日盗む。
しかし、ある店に置いてあった物を盗んだ際に追って来た人の足が速く撒けない。やがて石を掴み、投げた。
バコっ!
「ぐはっ!」
頭に当たり鈍い音を響き渡らせながら、人が倒れた。頭から凄い量の血が出る。ドバドバと凄い量だ。
そして動かなくなった。近くにいた人が、その人を見たら死んでると言った。
僕、殺したの? 初めて人を殺した。
「ぉおえ~~」
《リアル過ぎる。俺も少し気持ち悪い》
その時、盗んだ食べ物を吐き出した。気持ち悪い。
動物で見慣れていたのに、あの店の人の頭からドバドバ流れた血が脳裏に鮮明に焼き付いてる。
暫く寝る度にうなされ、目が覚めると吐いた。三日何間も食べられなかった。
それでも食わなければ生きていけない。無理に食べては吐いては繰り返す。
そして食うためには、また殺した。三人殺したあたりから、動物を殺したような感覚で何も思わなくなっていた。
町から町へ。
盗んでは食って。たまに殺して。次第に盗むのは食べる物だけではなくなった。血生臭くなって行ったので服も盗む。人を殺すナイフも。
流石に体が臭くなるのでタオルや石鹸も。必要だと思う物は何から何まで盗んだ。
そうして森から始まって三年してようやく家に帰ってこれた。懐かしの我が家。
ハーフエルと言う名の町とは知らなかったので三年も経ってしまったがよくやくだ。
船に乗った覚えはあるけど乗り方は知らないし徒歩で辿り着いた。
しかし、親は僕を覚えていない。何故だ? 頭が真っ白になる。
「あらどちら様?」
「……お母さん?」
「え? 人違いじゃない?」
「誰だ? ガキ」
「……お父さん」
「てめぇみたいな薄汚いガキなんて知らねぇよ」
「嘘だよな?」
頭が真っ白になりつつ視線を彷徨わせやがて気付く。お母さんの腕に赤ん坊が抱かれている事に……。
「その子は?」
僕はそれを指差す
「うちの子に何か?」
「う、ちの、子?」
何だそれ? 頭の中でブチブチと何かが切れる音がする。
視界が赤くなる。訳が分からない。
「だから何だガキ!?」
父親だったナニカが何かを言ってる。
「うるせぇーっ!!」
気付いたら僕は怒鳴っていた。
僕の中で何かが剥がれていくように……。
何かが壊れていくように……。
何かが何かが何かが何かがなにかがなにかがなにかがナニカがナニカがナニカがナニカが……。
「うわーんうわーん」
赤ん坊が泣き始めた。
「よしよし」
母親だったナニカが何かを言ってる。よし! 煩いしとりあえず殺しておこう。
持っていたナイフで赤ん坊を刺し殺した。
《うわ! 真っ先に赤子を狙うか。完全にイッちゃったなコイツ》
「ガキー!! 何しやがる!?」
父親だったナニカが吠えて右手を突き出して来た。僕は向かって来たナニカの右腕を機械的にナイフを持ってた手を動かした。
ナニカの腕が飛ぶ。当然返り血を浴びた。
視界が元々赤くなっていたから、全く気にならない。
「うぉぉぉ……!」
痛みに喘ぐナニカが煩い。
「きゃぁぁぁぁ! あなたーーーっ!!」
もう一人のナニカも煩い。
「だからさぁ、うるせぇーっつってんだろっ!!」
「ひぃぃぃ!」
「命だけはぁぁ」
ナニカ達が怯えている。
「あのさ、森からやっと帰って来た子供を覚えていないってどう言う事?」
僕の口がパックリ三日月型に割れだした気がする。目は笑えていないのに口だけはやたら緩む。
頭の中でもう一人の自分が惨たらしく皆殺しにしろと囁いていると錯覚がする。
「お、お前、アークスか?」
「今更何言ってるのかな? えーっと誰だっけ? まぁ良いや腕のない奴」
「すまん」
腕のない奴が土下座をしだす。バカなのかこいつ? 意味が分からない。
「何の真似? 腕のない奴」
「あの時、金が無くてお前を捨てるしかなかったんだ……本当にすまん」
「捨てる? じゃあその赤ん坊だったナニカは?」
僕は死んだ赤子を指差す。
「お金に余裕が出来たから作ったんだ」
「……それで、最初の子は忘れたと?」
「だからすまん!」
「……三年掛けてやっと帰って来れたのに馬鹿みたいだな」
馬鹿らしい。虚無感が襲う。もうどうでも良いや。体が脱力し踵を返した。こんなとこにもういたくない。
「貴様ーーーーーーよくもうちの子をーーっ!!」
後ろから迫ってる来てるのが気配で丸分かりだよ、腕のない奴。
スッと横にずれる。いくら虚無感だらけでもこんな奴に触られるのすら我慢ならない。
腕のない奴が勢い余って僕の前に飛び出る。もう一本斬っておくか。
プシュっと腕を斬り咲く。はい両腕のない奴が完成。
両腕があった場所から血がだくだく流れている。
これほどまでに血が奇麗だと思った事はない。虚無感がそうさせるのか、僕の中で剥がれ壊れた何かがそう思わせるのか分からないけど、初めて何かを見て美しいと思えた。
「ぎゃあああああああっ!!」
「だからうるせーって何度言えば分かるんだ? 両腕のない奴」
「クソーーーーーっ!! 父親に何しやがる!?」
「父親だったの? 捨てたのに?」
「知るかっ!!」
「やっぱお前死んどけ」
ブスっ!!
首をぶっ刺した。
「あなたーーーあなたーーーーーっ!!」
後ろでもう一人のナニカが煩いな。
「お前も死んでおくか?」
「ひぃぃぃぃ」
「ああそうだ。金ないんだ。くれ」
「……はい。分かりました。だから命だけは……」
お金をいくらか渡された。
「これだけ? 全部出せよっ!!」
「分かりました」
ナニカが僕の言う事を聞き再びお金を渡される。
「次は何を貰おうかな~~?」
ナイフでナニカの頬を軽くなぞる。赤い液体がツーっと流れた。
「ひ~~~~お金を渡したので命だけは~~~」
「うん。だから命は取らないであげるよ」
プシュっとナニカの左足をぶった斬った。
「いやあああああっ!!」
「次は何を貰おうかな?」
プシュっ!
「あ、もう一つ」
プシュっ!
両腕を斬り落とした。
「はい命は取らなかったよ。あ、でも勝手に野垂れ死んでも僕が取った訳じゃないからね」
そう言って僕はその場を後にした。僕はこの時から狂い始めた。いや、たぶん森に捨てられた時からか。
いずれにしろ鬼は鬼でも殺人鬼になっていた……。
《ここまで残酷になれるものなのか……猟奇殺人だな》
名前:アークス=アローラ
年齢:八歳
レベル:7
クラス:無し
称号:殺人鬼
HP:320
MP:14
力:90
魔力:4
体力:38
俊敏:240
スキル:気配察知Lv5、隠密Lv4、ナイフ使いLv3、投擲Lv2
プレイヤー補助スキル:鑑定
装備:鋼のナイフ (攻撃力80)
血塗れの服 (防御力2)
《あ、ここで名前が入るのか。にしてもアローラ……ね。
たまたま? いや、何か意味があるのだろうな……》
「くくく……見てたぜ」
家の外に出ると十五歳くらいの男がクツクツと腹を押さえ笑っていた。玄関を開けていたので見られていたのだろう。まぁ気付いていたけど害はなかったので無視していた。
《何だ? この意味深な男は。とりあえず鑑定っと》
名前:ダームエル
年齢:十五歳
レベル:20
クラス:剣士
称号:子供の守護神
HP:2000
MP:0
力:300
魔力:0
体力:330
俊敏:120
スキル:剣使いLv5、鍵開けLv6、ワナ解除Lv6
装備:鋼の剣 (攻撃力500、防御100)
皮の鎧 (防御力200)
手甲 (防御力60)
上等な靴 (防御力50、俊敏10)
《……強い。てか、剣士ってより斥候じゃねぇの?
それに子供の守護神ってなんやねん。
まあともかくここで第一章終了で、第二章までアップデート待ちか。
つか、レベルはカンストしてるし、アップデートが来るまでやる事ないぞ? ほんとクソゲーだわ》