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アサシンズ・トランジション ~引き篭りが異世界を渡り歩く事になりました~  作者: ユウキ
第十五章 スイースレン公国の腐敗
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断章 孤独なる断罪女王 その②

「「「「「魔神様! 魔神様! 魔神様! …………」」」」」


 奇妙な踊りをしながら、円を描くように周ってる人達がいますわね。そんな怪しい集団がいるとこに単身で踏み込みました。

 嘆かわしいですね。バカとかカスとかゴミしかいないのですかね?


「お父様、お母様。何をしていらっしゃるのですか?」

「なっ!? シスリーヴァ!?」

「どうして貴女が此処に?」

「両親が余計な事をしているのに黙って見てるとお思いですか?」

「くっ! 煩い! 全て貴様が悪いのだ」

「そうよ! 貴女さえ生まれてこなければッッ!!」

「そうですか」


 二人は、憎悪の籠った眼差しを向けて来ましたが、わたくしは冷めた視線で返礼します。

 そして鞭をお父様の首に巻き引き寄せます。


「ぐぅぉおお……」


 続けてお母様を。


「うぅぅぅ……」

「<転移魔法(テレポート)>」


 二人を連れて城の謁見の間に転移魔法(テレポート)で飛びます。飛んだ後、わたくしは玉座に座りました。


「それでお二人は、何をしていらっしゃるのですか?」

「き、貴様が悪いのだ!?」

「そうよ! 貴女さえ生まれて来なければ……」

「二度言わせるんじゃないかしら?」


 冷めた視線を二人に向けます。


「煩い! 貴様が政治に手を出してから、この国は変わった」

「何故、簡単に人を断罪するの?」

「わたくしは、必要な事をしてるだけですわ」

「必要な事……だと? 民から恐れられる政治がか?」

「貴女は、悪魔に取りつかれているのだわ」


 悪魔に、ね。可笑しな事を言う。『魔神様、魔神様、魔神様』って言ってたのは誰かしら?


「わたくしが邪魔なら政治的手段で排除すれば宜しいではないですか?」

「出来ると思っているのか?」

「無理でしょうね。誰も彼も脆弱過ぎますもの。世の中塵芥(ちりあくた)しかおりませんわ。」

「だから、魔神様に貴女を排除して貰うのよ」

「そうやって魔神様とやらに、この国を滅ぼして貰うのですか?」

「それも致し方無し。恐怖で縛るより、安らかに死んだ方がマシだ」


 本気で言ってるのかしら? その魔神様とやらが、安らかに殺してくれるのかしら? 苦しめて殺すとか考えないのかしら? それならまだマシね。飼殺す可能性もありますし。


「もう結構。この場で首を落とします」

「王女殿下! 流石にそれは……」


 騎士の一人が何か言っていますが、それより先に鞭でお父様の首を落としました。


「貴方ぁぁぁぁ……ッッ!!」

「煩いですわ。カスが!」


 続けてお母様の首を落とします。


「邪魔者は消えました。これよりわたくし……いいえ、妾は女王に即位します」


 高らかに宣言しました。

 その後、戴冠式が行われ、そこで更に宣言します。


「隣国のウラジオ連邦国を攻め落とします! ただちに兵を集めなさい」

「王女殿下……いえ、女王陛下! 宣戦布告は、宜しいのでしょうか?」

「そんなもの攻めるのと同時で良いですわ」

「し、しかし……」

「二度言わせるんじゃないかしら?」


 冷めた眼差しを向けます。


「は、はい! ただちに兵を集めます」

「500人程で良いわ。その程度なら、直ぐに集められるでしょう?」

「はい」


 兵が集まったと聞き裏庭に出ます。そこでは500人の兵が整列していた。


「では、ウラジオ連邦国の中心となっている国を落とします。<転移魔法(テレポート)>」


 全員まとめて転移魔法(テレポート)して、ウラジオ連邦国の中心となっている国であるサンクト国の外壁門に飛びます。


「い、一体何ですか!? そのような兵を連れて! 戦争でもするのですか?」


 外壁門にいた衛兵に止められる。


「そうですわ。これより、この国へ宣戦布告をします」

「ご冗談を」

「二度言わせるんじゃないかしら?」


 そう言って鞭で、その者の首を落とす。

 次の瞬間、衛兵の何人かが城に向かって走り出した。


「<隕石爆雷(メテオライト)>」


 隕石群がサンクト国に落ちまくります。これでほぼ半壊ですね。当然の結果です。


「では、皆さん! 進撃開始です」

「「「「「はっ!」」」」」


 突然の宣戦布告だったので、態勢を整えられずサンクト国は、一瞬で陥ちました。ざまーないですね。

 その後、ウラジオ連邦国との全面戦争になったのは、言うまでもないですね。何せわたくしが今回陥したのは、中心になっているサンクト国ですから。

 ウラジオ連邦国は、小国が集まった連合ですから、他の国は怒り心頭で、我が国を攻めて来ます。

 しかし、我が国は魔導大国と呼ばれており、魔道具(アーティファクト)の宝庫と言っても良いでしょう。最初こそわたくしが、お膳立てして差し上げましたが、後は勝手に叩き潰してくれるでしょう。


 この頃になるともうわたくしは、貴族の間で色々揶揄されるようになります。

 『冷徹女王』だの、『視線だけで相手を凍らせる』だの『人の心がない』だの『粛清王』だの『人の皮を被った悪魔』だの。

 一番皮肉が効いていたのは『断罪女王(バジリスク)』だったわね。それが、一番ピッタリだったのか、一気に広まりました。民衆も皆、わたくしを影で【断罪女王(バジリスク)】と呼びます。素晴らしい二つ名ですわ。



               ▽▲▽▲▽▲▽▲▽



 ある時、わたくしの執務室にノックが響きます。


「入りなさい」

「はっ!」


 入って来たのは、宰相のようです。


「何かしら?」

「女王陛下、王配殿下をお選びください」


 必要無いかしら。


「世継ぎの問題がございます」


 わたくしの表情を読んだのでしょう。続けて言って来ました。


「次代は、公爵家の者にしなさい」

「なりません」

「二度言わせるんじゃないかしら?」

「……くっ! こればかりは言わせて頂きます。王家の威信があるのです」

「は~。分かりました。どうせ貴方の事だから、候補を用意してるのでしょう?」

「はい、こちらに」


 宰相が書類をわたくしの執務机に置きます。


「家柄も侯爵なので、問題ないかと思います」

「まずは顔合わせね。いつ来られるの? どうせ日程も決めてるのでしょう?」

「流石は女王陛下。慧眼です」

「世事は良いわ」

「失礼致しました。三日後でございます」

「分かりました」


 三日後、謁見の間の玉座で王配候補とやらを待ちます。やがて侯爵家の十四歳になる次男がやって来ます。彼は玉座に数m手前で止まり跪きます。


「面を上げて良いわ」

「お初にお目にかかります。カックメー侯爵家次男のシッマスーでございます。本日は女王陛下にお目通しが叶い恐悦至極に存じます」


 またふざけた名ね。


「シッマスー様、初めまして」

「噂通りお美しい方ですね」

「お世辞は良いわ。【断罪女王(バジリスク)】のシスリーヴァよ」

「え?」


 シッマスーが固まります。ちょっとした牽制じゃないのよ。冗談が通じないようね。


「シッマスー様は、普段何をなされているのですか?」

「はい。私は、元々侯爵家の跡取りのスペアとして教育を受けております。毎日勉強ばかりですね。しかし、王配になれた暁には、多少なりともお役に立てるでしょう」


 もうなんかこの茶番も面倒だわ。


「ところで、シッマスー様の明日のご予定は?」

「はい。久々に王都に来れましたので、古い友人に会う予定でございます」

「そうなの? 残念だわ。せっかくなので、何処かにご一緒に出掛けたかったのですが……」

「申し訳ございません」

「そうだわ! わたくしもご一緒させてください。古い友人なら是非とも紹介して欲しいですわ」


 名案だわ、と言わんばかりに言ってのけます。


「あ、いえ……その、男通しで会うものですから……女王陛下にはお耳汚しの言葉が出てしまうといけませんので……」


 取って付けたような言い訳ね。


「そうですわね。殿方は基本的にえっちですものね」

「ははは……耳が痛いです」


 シッマスー様は、苦笑いを浮かべました。

 耳が痛いじゃありませんよ! 先程から貴方の視線が胸に感じるのは気のせいですかね? 確かに85cmくらいあって、少しは豊満かな? って思わなくもないですよ。

 しかも胸元が開いた谷間を強調したドレスですけど。胸を見ながら『噂通りお美しい』とか言われてもね……。アホらしいったらありゃしませんわ。

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