断章 孤独なる断罪女王 その①
エイプリルフール企画
いずれ本編に絡めようと思っているものの下書きのような感じです
って言いながら、本編でそのままアップするかもしれませんね(笑)
シスリーヴァ=リュボー=アブィーヌイ
それがわたくしの名です。アヴィーヌイ魔導大国の王女しております。
最近、力が抜けた気がしますが、気のせいでしょうか?
ステータスが軒並み下がっておりますが、アレが原因なのでしょうか?
倦怠感を感じつつも執務を行ってると室内にノックが響きました。
「入りなさい」
「失礼致します」
執事のセバスチャンが入って参りました。
「王女殿下の言われてましたオルヴォワール村ですが、一部の村人が人攫いをしておりました」
「燃やしなさい」
なんて皮肉の効いた名前の村なのかしら? 丸で燃やしてくれと言わんばかりに。
「は?」
「二度言わせるんじゃないかしら?」
「し、しかし、人攫いをしていたのは一部の村人でして……」
セバスチャンが、タジタジになり冷汗を流す。
「それが?」
冷酷なようですが必要な犠牲です。何故ならわたくしが決定した事なのですから。
「……いえ」
「もう良いです。わたくし自ら断罪に向かいます」
「えっ!? 王女殿下……御自らでしょうか?」
「そう言っております。貴方ちょっと理解力が足らないのじゃありませんか?」
冷めた目で睨みます。
「も、申し訳ご……」
「<転移魔法>」
セバスチャンの言葉を最後まで聞かず、転移魔法で、問題のオルヴォワール村に飛びました。
「村長を呼びなさい」
「は、はい~」
村に入り、一番最初に目が合った人に声を掛けると、慌てて村長の家と思われるとこに向かっております。わたくしは暫く待ちました。
「はぁはぁ……わ、私が村長のオワッテルです」
走ってやって来たので、息を切らしながら名乗りました。わたくしが綺麗なドレスに身を包んでいるので、貴族だと思ったのでしょう。
「有り金全部出しなさい」
「は? え?」
「二度言わせるんじゃないかしら?」
「あの……いくら、お貴族様でもあんまりではないでしょうか?」
「貴族?」
「違うのですか?」
「王族よ?」
「は?」
村長が固まる。
「だから、二度言わせるんじゃないかしら?」
「王族がこんなとこ来る訳ないだろ!? ふざけんな!」
今度は顔を真っ赤にして怒鳴って来ましたわ。やれやれ面倒です事。
「それで? いつ有り金を出してくれるのかしら?」
「小娘が!! 殺れ!」
村長が村人の殿方に指示を出します。その殿方はクワで戦うつもりです。おバカな人ですね。
わたくしはドレスのスカートを捲り上げ太ももに携えている鞭を取り出します。
殿方は、わたくしの太ももに見惚れ頬を染め惚けています。尚、おバカな人。まぁわたくしも十四になりますから、それなりの色気が出て来たと自負しておりますが。
「グェ!」
殿方に接近される前に射程外から、あっさり鞭が首に巻き付かせます。鞭は射程が広いので、使い勝手が良いですね。それにこんなうっとおしい人に近寄らずに始末出来るのが素晴らしいです。返り血も浴びませんしね。
鞭に力を入れそのまま首を落とします。
「これで三度目です。有り金を全部出しなさい」
冷めた目で見て嘲笑の笑みを作ります。
「わ、分かりました~~」
村長は顔を青くして自分の家に戻ります。そうして暫くすると大きな袋を両手で抱え戻って来ます。
「も、持って参りました」
「……ねぇ? 誰が貴方の有り金と言いました? 村の金を出しなさいと言っていますの」
「は? え? それでは我々が暮らしていけません」
「<炎嵐魔法>」
適当な方向へ向かって炎嵐魔法を放ちます。民家が四軒程燃えました。
「次はどこに放ちましょうか?」
「わ、分かりました! で、ですから、どうかご勘弁を」
そう言って村長は村人達に指示を出しお金を集めさせます
「こ、これで全てです」
「<次元収納魔法>」
それを次元収納魔法でしまします。大したお金ではありませんわね。まぁこんな小さな村なのですから当然ですけど。
「ご苦労様です。<炎嵐魔法>、<炎嵐魔法>、<炎嵐魔法>、<炎嵐魔法>、<炎嵐魔法>」
「そ、そんなどうして……」
村全体に燃え広がります。
「あ~貴方はもう用済みです、さようなら。<炎刃魔法>、<|転移魔法>」
最後に村長とその周りにいる人を断罪し転移魔法で、帰って来ました。
それにしても疲れました。ステータスが下がっており、最大MPが減ったせいですわね。ですが、これも必要な事。
こんなカスみたいな村は、わたくしの国には要りませんわ。
「お帰りなさいませ」
生真面目にセバスチャンが、執務室で待っており、わたくしの帰還に合わせ頭を下げました。
優秀は優秀ですが、断罪はなかなか動いてくれないので、正直使い勝手が悪いですね。
「<次元収納魔法>。セバスチャン、これを孤児院に寄付しなさい。あ~ニースの町は、ダメよ」
先程の奪った金を出します。
「はい? ニースは、何がいけないでしょうか?」
「二度言わせるんじゃないかしら?」
「失礼致しました。では、そのように手配致します」
それかた数日後、セバスチャンがわたくしの執務室に入って来ます。
「ニースの代官であるゼンニーン様がお怒りです」
「どうしてかしら?」
「先日の寄付をニースの町には、しなかったからです。王女殿下」
「そう……」
わたくしは暫く黙考します。ついでにニヤけてしまいます。
こうも上手く行くなんて。予定通りですね。本当にこの世はバカばかりですね。
「なら、連れて来なさい。わたくしが直接お話をお伺い致します」
「かしこまりました」
数日後、ニースの代官であるゼンニーンが、この王都トゥールーズに到着しました。早速わたくしと謁見するそうです。わたくしは、謁見の間の玉座に腰を掛けて待ちます。
「シスリーヴァ王女殿下、本日はお目に掛かれて……」
「何、勝手に口を開いてるのですか? ゴミが!」
許しもなく面を上げるなんて何事でしょうか?
「ご、ゴミだと……」
「二度言わせるんじゃないかしら?」
ゼンニーンが、わたくしは睨んで来ます。まぁなんとも感じませんので、逆に冷めた視線を送ります。
「し、失礼しました」
ゼンニーンが頭を垂れます。
「まぁ良いわ。面を上げなさい」
「はっ!」
「それで何の御用かしら?」
分かっているが、あえて尋ねます。
「先日の孤児院の寄付の件についてでございます」
「それが?」
「何故我がニースの町には、頂けないのでしょうか?」
「何? わたくしの決定が気に入らないのかしら?」
「い、いいえ。とんでもないございません。理由を教えて頂きたいだけでございます」
「顔に気に入らないと書いてありますわ。犯意有りと見ました」
わたくしは立ち上がります。
「お、お待ちを! わ、私はそんな……グゥ!」
鞭を首に巻き付けます。
「王女殿下、何事ですか?」
周りにいた騎士達がわたくしを止めに入ろうとします。愚かな事ですわ。ここにいる誰もわたくしを止める力なんてないのに。
「今すぐ、ここで断罪しても宜しくてよ?」
「グゥゥ……な、ぜぇ……?」
「まぁ良いわ」
「ぜぇぜぇ……」
わたくしが鞭を緩めるとゼンニーンが喉を抑えます。
「ただちにこの者を牢屋に入れておきなさい」
「し、しかし……」
「二度言わせるんじゃないかしら?」
「は、はい」
「それから彼の屋敷に兵を向かわせない。罪状はわたくしに犯意を向けた事。屋敷をくまなく調べなさい」
「何を? それはあまりにも……」
「二度言わせるんじゃないかしら?」
冷めた視線を向けると、騎士は顔を青くする。
「……かしこまりました。直ぐに向かいます」
どこが善人なのでしょうか? 不正金の証拠がゴロゴロ出て来るでしょうね。
さてと次にやる事は、わたくしが女王として即位する事ですね。
エイプリルフール企画と言いながら続きます