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アサシンズ・トランジション ~引き篭りが異世界を渡り歩く事になりました~  作者: ユウキ
第十五章 スイースレン公国の腐敗
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EP.26 野外実習が始まりました

ノアの年齢にミスががありました(汗)

まぁアークの見立てが間違ってたって扱いにして誤魔化しています(笑)

その為に、余計な一文がありますが

 -172――――月陸歴1520年12月3日



 その日、野外実習が行われた。とは言えかなり緩い。

 四年前までなら未開の地での魔獣狩り。それも暖かくなって来て魔獣が増えて来る五月にだ。更に言えば三年生から始まる授業なのだ。

 未開の地で二泊三日過ごす危険な授業。それ故に教師も同行するのだが、四年前にその教師とはぐれる事件が起きた。危険な状況だったが、たまたま通り掛かった冒険者のお陰で犠牲者が出なく済んだとか。

 それって俺の事だよね? ノアと出会った時だ。アレがそんな大事になっていたのかよ。

 全学園交流試合でノアを見掛けた時に五年生というのは分かったので、俺と出会った当時は十一歳くらいだった。まあ一、二歳のズレなんて大差ないけど。


 そんな事件があったのでカリキュラムが見直され野外実習は四年生からとなり、未開の地での魔獣狩りは六年生だけとなった。それも日帰り。

 まあここまでは良いだろう。だが、それだけじゃない。安全性が幾重にも施される。

 まず四年生からになったのもそうだ。他に全学園の混合パーティーを組む事になった。それが何班にも分かれる。魔法が得意な者、武技が得意な者、両方それなりに扱える者を混合にする事でパーティーの隙をなくそうとしたのだ。


 そして一番緩いと感じたのは、野外実習を十二月にした事だ。まず寒い時期なので魔獣が少ない。スイースレンは赤道が近い為にそんな大きな差はないが魔獣は敏感なのだとか。

 それと年末年始は、仕事休んで遊んでいたい冒険者が多いとか。それ故に十二月の上旬辺りに魔獣討伐の依頼を受ける人が多い。まあ分かるけどさ。

 それに紛れ込む形で、野外実習を入れ危険を減らす事になった。だからって緩過ぎだろ。

 ちなみにやる事は商品の運搬。行商人の真似事だな。魔獣狩りではない。これも緩くしている要因だ。


挿絵(By みてみん)


 今年はエーコ達に取って二度目の野外実習。去年は二人一緒の班だったけど今年は残念ながら分かれた。

 エーコはローゼインとクーデリアと組んでいる。

 沙耶は、ライオスと一緒だ。それは良いんだけどね。それとなく見守ってくれって言って無理矢理編入させたんだから。

 ただ沙耶は、それとなくじゃない時があるからな~。ましてやあの紫頭までいるので、もう不安しかないわ。


「ほら、下民。運ぶ物資を持つ仕事を与えてやる。有難く思え」

「分かりました」


 そう言って紫頭……ハンネルが馬鹿でかいリュックをライオスに渡す。ライオスは文句一つ言わず背負う。というかライオスを貶める為にそんなデカいリュックを用意するとか馬鹿なの?


「あの……私もお持ちしましょうか?」

「え!? いえ、大丈夫ですよ」


 オドオドした感じでライオスが昔に助けたリリーナが申し出る。それに目を丸くするがやんわりと断る。珍しいな。この女はライオスと関わらないようにしてたのに。


「アンタも何で、あっさり引き受けてるのよ」

「サヤ様もお気になさらず。私は平気ですから」


 沙耶が呆れたように言うが苦笑しながら流されてしまう。ライオスは、他の人の目がある時はエーコや沙耶に敬語を使うんだよな。


「ふん! 役目を与えてやってるんだ。交流試合で去年まぐれで優勝した雑魚にな」

「毎年、代表にすらなれない人が何言ってるのよ」

「何だと!?」


 まーた揉めてやがる。ほんと沙耶はハンネルに突っかかるよな。去年も揉めていたし。



               ▽▲▽▲▽▲▽▲▽



「本日は魔力制御の授業を行います」


 ハーフエルフの担任のルリシアが教鞭を取る。


「今更そんな授業ですか? もう皆、何かしらの属性の魔法は使えますよ。あ~……一人何も使えない無能がいましたね」


 見下すようにライオスに視線を向けるハンネル。その嘲りにクラス内でクスクスと笑い声が響く。


「はいはい。静かに。良いですか? 属性を使えるようになったらからと言って、それで終わりではありません。それを何度も使い魔力制御を確り出来るようにするのが大事なのです。そうすれば例えば……<炎槍魔法(ファイアー・ランス)>」


 ルリシアが魔法を唱えると炎の槍が自分の真上に展開された。それも五本。基本は一度に一つだが、魔力制御を上手く出来るようになれば複数同時展開が可能になる。俺は出来ないが。

 まあ転移者の静は魔導の称号があるので、力量次第では何百何千と展開出来るだろうけど。暫く会っていないけど、それくらいそろそろ出来るようになっていそうだ。


「おお~。流石先生……素晴らしいです。どこかの無能と大違い」


 ハンネルは、いちいちライオスを罵られと気が済まないのかな?


「無能ね? 本当にそう思うのですか? ハンネルさん」


 ルリシアがニコっと笑う。何か企んでるような笑みだ。その笑みにハンネルはムキになり眉を吊り上がらせる。


「どういう意味ですか? 実際その無能はどの属性も扱ないではないですか?」

「では、ライオスさん。アレやって見てください」

「……本当にやるのですか?」

「えぇ。これも授業の一環です」


 なんかライオスが嫌そうにしてるな。それでも授業の一環と言われ魔法を唱える。


「馬鹿なっ!?」

「嘘!?」

「どういう事?」

「属性を一つも使えなかったのでは?」

「それもあんな数……」

「……先生より、遥かに多い」


 クラス内が驚きに包まれる。まあエーコと沙耶は知っていたので澄まし顔だが。

 で、ライオスが何をしたのかと言えば自分の真上に何百もの炎の槍を展開させたのだ。


「これでライオスさんが無能ではないと分かりましたね」

「しかし、この下民は属性を一つも扱えなかった筈です」


 それは、総合学園の授業で扱う属性の話なんだけど。


「えぇ。扱えませんよ。しかし、こうやって魔法を使う事が出来る」

「どういう事ですか?」

「それを自分で学ぶのですよ。ライオスさんは独学でこれを成しました」


 まあライオスが一人で考え学んだ内容をペラペラ喋らないわな。それにそれこそ授業の一環なのだろう。個人でも学べ、と。

 普通に考えれば、授業で扱う以外の属性の魔法が使えたと分かるのだが、何せライオスが展開したのは炎の槍だからなぁ~。炎属性を扱えないのに。


「貴様、ちょっと魔法が使えたからと言って調子に乗るなよ!?」

「いえ、そんなつもりはありません」


 授業が終わるとライオスに突っかかる。というか何百も展開して見せたのに『ちょっと』とかコイツの頭は大丈夫か?


「それに交流試合での優勝もまぐれだろ?」

「そうかもしれませんね」


 まぐれで優勝とかそれこそあり得ないだろ。まあ運もあるけど。ノアもいなかったし、ローゼインは沙耶との戦いで力を使い切っていたし。だが、運も実力のうちって言葉もあるしな。


「アンタ、馬鹿なの?」

「またお前か」


 いつものように沙耶が突っかかりハンネルが顔を顰める。


「ライオスの剣の実力も分からないから、代表にも選ばれないのよ」

「ハン! 毎回運が良いだけだろ」

「運? 身体強化の魔法を使えるのに大半は使わず勝っているのに?」


 確かにな~。ライオスって剣の腕だけで勝ってるんだよな。身体強化の魔法とか闘気とか滅多に使わない。勿論、使わないと勝てない相手には使うけど。その見極めが抜群。観察眼に優れている。


「どうせ、ズルでもしてるんだろ? あんな下品な剣で勝てる訳がない」

「呆れた。まだ言ってるの?」

「煩い! あんなのは、スイースレン公国では相応しくない。勿論お前の槍みたいな武器もな」

「それ私にも勝ってから言ってくれない?」


 沙耶が嘲笑の笑みを浮かべる。



               ▽▲▽▲▽▲▽▲▽



 と、まぁこんな感じで去年も揉めてた。


「実際そうでしょうよ!? アンタじゃ一生ライオスに勝てやしないよ」

「もう行きますわよ。そんな話は野外実習が終わってからにしてくださいませ」


 クリースティアラ公女が止めに入り、公女には誰も逆らえず出発する事になった。前途多難だな。

十代の1、2年ってかなり大きいと思いますが、私のミスを誤魔化す一文なのでスルーでお願いします



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