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EP.28 子の道場の師範が登場しました

 やって参りました。子の道場です。時刻は次の日の昼過ぎ。昼前くらいに子の道場の連中が、骨根とビオサーラらしき者を朝連れ去ったと言う情報を得たからだ。

 やはり、子の道場かよと歯噛みをしながら、超特急で向かう。何故なら朝出発したらしく馬車だと、到着は昼になるだろうと予測出来るからだ。昼前では遅過ぎた。

 なので、俺だけが先行して追い掛ける。背に風魔法を当て龍気を足に集中させ猛ダッシュするのが一番速い……ただね、龍気はまだ扱い慣れていないので疲れるわー。

 ちなみに救出後に転移魔法(テレポート)で、さっさとガラハット町に戻れるように、ナターシャが遅れて追い掛けている。

 キアラとラキアは、見当違いで子の道場の連中じゃなかったら困るので、一応情報収集を続けて貰っている。

 あの二人は、幻魔法で骨根やビオサーラの姿を出せるので、情報収集に持って来いなんだよね。


 スキル隠密とFFOコートの隠蔽機能で、姿を消し子の道場に侵入する。まあ強者には簡単に看破されてるんだけど。隠蔽機能なんて所詮は隠蔽。幻魔法の迷彩魔法(インビジブル)の効果が高い。

 が、幸いと言うべきか強者の気配は一人しかしない。他には雑魚六人の気配。いや、ビオサーラも混ざってるので、はっきり雑魚と言うのは可哀想なんだけど。で、その一人の強者は恐らく骨根だ。

 それを感じ取り、俺は首を傾げてしまう。何故ならビオサーラ以外に感じた五人相手に骨根が遅れを取るのか? と。

 それとも子は忍者の道場なので、隠密スキルも習得出来て、強者は気配を抑えているのかもしれない。

 ともかく気配が集まる部屋に向かった。


「まだ意識あるのかよ。頑張るなぁ、スカル」

「昨日から、ずっと起きてて平気なのか?」

「……お嬢に、また手を出されるかもしれないからな」

「そうやっててめぇは、お嬢お嬢って、ビオサーラに取り入るしか能がないもんな」


 ふむ。後ろ手に縛られた骨根を嬲るニタニタ笑う五人の雑魚に、見てる事しか出来なくて涙目になっている猿ぐつわをされたビオサーラ。うーむ。ビオサーラが人質にされたってだけで、此処まで一方的に殴られるかな?

 隙を見て縄を引き千切り、ビオサーラを助けボコせるだろ。それだけの実力差があると思うんだけどな。


「そうだ。お前に良い物を見せてやる。<空手裏剣>」

「くっ!」


 空手裏剣が、骨根の頬を掠め血が噴き出る。

 使いやがったよ。空手裏剣を。もう忍〇じゃねぇか。

 まあ実は俺も使えるのだけど。風魔手裏剣と同時に習得したし。が、使う気になれない。何故ならコンプライアンス的に……と言うのは勿論関係無い。

 別に俺は忍〇じゃないし、たぶん問題無い筈。問題は忍〇の空手裏剣のが圧倒的に強力だと言う事。アレは風の力で切断力が増している手裏剣。しかし、この世界の忍系が覚える空手裏剣は、ちょっと鋭利にした空気の塊……ぶっちゃけ使えない。それなら適当なナイフとかを投擲した方が良い。

 そして、同時に覚えた風魔手裏剣は、魔力を多く籠めれば風の力で、回転力、大きさ、速さ、鋭さが自由に変えられる優れもの。なので、俺は空手裏剣を一度も使った事がない。


「どうだ? 辰の道場で教わった龍気を籠めた空手裏剣の味は?」


 下卑た笑いがウザいな、コイツ。


「何も言い返せないってか? マジでお前は無能だな」


 いや、無能はお前だろ?

 俺の予想では、コイツの龍気レベルは2とか3。骨根に劣る。鑑定は俺の龍気より、高いだけあり弾かれるが、骨根から感じる圧より小さい。

 その龍気をショボい手裏剣に籠めた程度でイキるとか頭に(うじ)が沸いてるのか?

 ついでに言うと、骨根の視線がさっきからこっちを向いている。俺に完全に気付いていやがる。だが、他の連中はどうだろうか? 全く気付いていない。

 マジで何で骨根は、やり返さないんだろ? まあ良いや。とりあえず助けに入るか。


「ほらほれもっと食らえ! <空手裏剣>」

「「「「<空手裏剣>」」」」


 五人一斉に空手裏剣を使う。


「<風魔手裏剣>」


 それを俺の風魔手裏剣で弾く。後から出した俺の手裏剣のが早い。風の力があるからな。


「いつの間に!?」

「貴様何者だ?」

「何処から入った?」

「玄関からだけど何か?」


 そう言いながら、ビオサーラの後ろ手に繋がれた縄を小刀で斬り、猿ぐつわを外す。


「アーク!」

「遅くなって悪いな」

「だから、てめぇは誰だ?」

「はぁーーー!? はぁーーー!? お前ら耳ないの? 今、ビオサーラが言っただろ? アークと」


 へいへい。ヘイトを稼ぐぜ。


「コイツ」

「舐めやがって」

「ふざけやがって」

「コイツもやっちまうか?」

「その前に何者なんだよ?」


 冷静なのが一匹いるな。他四匹は、眉間をピクピクしてるし。


「あ、俺? 骨根に雇われただけのビオサーラの護衛だ」

「何?」

「そんなものを雇っていたのか?」

「だが、五人相手に何が出来る?」


 テンプレの小悪党の台詞だな。噛ませ犬も良いとこ。


「何もしないよ?」


 俺は嘲笑うように首を傾げる。


「ほら何も出来ないだろ?」

「いや、何も出来ないと、何もしないは、意味が全く違うだろ。頭大丈夫?」


 へいへい。更にヘイトを貯めるぜ。


「ハッタリをこくな」

「ところで……」


 雑魚五人を無視して骨根に目を向けた。


「いつまで茶番を続けているの?」

「茶番?」

「何を言ってる?」

「意味の分からない事を」

「お前らに言ってねぇよ。骨根さ、簡単にそんな縄解けるだろ?」

「ちっ!」


 舌打ちして、後ろ手に縛られた縄を引き千切る。


「何!?」

「スカル如きが?」

「いや、昨日も引き千切っていただろ?」

「あれは、縄に亀裂があったって事で、話がまとまっただろ?」

「じゃあ、あれは何だ?」

「あのアークって奴が細工したに違いない」


 五人は目を丸くし何か言い合いを始める。って言うか、いつ俺が細工するんだよ? まあ出来たけど。にしても昨日も引き千切ったのか。なのにコイツら骨根との実力差が分からんとか無能だろ。


「で、何で遊んでいた?」

「……別に遊んでねぇーよ」


 そっぽ向きながら答える骨根。


「後からしゃしゃり出て来て何言ってやがる?」

「コイツはビオサーラに取り入るしか能がないクズだぞ」

「そうだそうだ」


 何を言ってるんだ? ビオサーラに取り入る? そんな事して何になるんだ?


「ねぇ君達。レオン獣王国が誇る四天王の誰かと良い勝負出来る? または勝てる?」

「は? 何を言ってやがる?」

「あいつらは化物連中だと有名だぞ」

「良い勝負なんか出来るか」

「骨根は、良い勝負したぞ」

「キャハハハハ……マジで何言ってるんだ?」

「出来る訳ねぇーだろが」


 五人が大笑いし始める。にしてもこんなに馬鹿にされて何故言い返さない? やり返さない? 骨根の性格からしてぶっ飛ばしそうだけどな。


「で、何でここまで馬鹿にされて遊んでる?」

「遊んでねーつってんだろ!?」

「じゃあ何でやり返さない?」

「お嬢のせいになるだろ? 辰の道場が罪に着せられる」


 あーなるほど。そう言う事か。つまり骨根がぶっ飛ばす→ビオサーラが命じた事にされる→辰の道場の罪になるって訳か。


「ふーん。じゃあ罪にならないなら、余裕でぶっ飛ばせるのか?」

「当たり前だ!」

「何を言ってるんだ?」

「スカルの癖にイキがるなよ」


 またまたイキり出す五人。好い加減にウザくなって来たな。さて、ビオサーラに罪が行かないようにぶっ飛ばすには、どうすれば良いか? 埋めるか?

 そもそも攫われたのをガラハット町の者が見ていた。それなのに罪に着せられるか? 何で骨根は、こんなに気にしてるんだ?


「……俺は、破門された身だから余計に信用されないだろうな」


 苦々しく語る。うーん、そうなるのか? 破門された者と、道場に通う者では説得力が違う国なのかもしれないな。さて、これはどう収めよう。そう考えていると……、


「話は聞かせて貰った」


 いつの間に!? 重々しい声が部屋に響く。部屋の入口に中年のオッサンがいた。マスクと背中に長く垂らされたマフラーに忍装束と如何にも忍者らしい恰好のオッサンだ。ゾクリと背中が震える。コイツは強いと本能を告げている。


「「「「「し、師範!?」」」」」


 このオッサンが子の道場の師範か。

 そして、その師範の後ろから三人の若者が姿を現す。こちらもマスクと背中に長く垂れたマフラーに忍装束と忍者らしい恰好の若者だ。この三人も強い。たぶん俺と互角くらいだ。


「な、何故師範が?」

「王都に行かれたのではないのですか?」


 おーおー五人組が超ビビってるな。汗がダラダラ流れているな。そして師範は……、


 スっ!


 消えた。俺より速い。一瞬で、五人のうち一人の前に立つ。


「これを付けられたのに気付かぬとは未熟」


 そう言って掴んだのは、(くき)だ。まさかあれは……、


「……(ファミリア)


 五人のうち誰が呟いたのか。誰が呟いてもおかしくない状況だ。やっぱり(ファミリア)だったか。続けて五人は顔を真っ青にする。そりゃそうだ。今までの事を全部見られていたのだから。


「酔って多少暴れるくらいなら目を瞑っただろう。じゃが、人様を攫う……それも他所の道場の者を攫う等言語道断っ!!」


 師範の威圧と共に放たれた言葉が響く。俺も一瞬ビクっとしてしまう。直接当てられた訳じゃないのに。


「……故に急ぎ帰還した」


 そして、目を瞑り静かに言った。

少し解説しますと、スカルは例の夢の影響を受け自分の言葉は、誰も信じないと思い込んでいる節があります


よいお年を

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