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EP.20 チャーチ大教会の神殿に突入しました

 次の日、作戦通りキアラには、背中にしがみ付かせて幻魔法で姿を消して貰い、ナターシャを前で抱えて走った。

 最初は、風魔法を背中に当てて全力疾走しようかと思った。そしたら2、3時間で到着出来るのだから。が、背中にいるキアラが潰れるので止める事にした。もし背中に風魔法を当てれば、ぶっちゃけナターシャの連続短距離転移魔法(ワープ)より速いんだよな。

 それなら、キアラを前に抱えてって手もあるけど、ナターシャの転移魔法(テレポート)が行ける場所を増やすって目的が叶わなくて本末転倒だしな。転移魔法(テレポート)は、一度行った事があるとこに転移する魔法。つまりル〇ラやヒュ〇ルだな。

 なので、予定通り俺が走るのと短距離転移魔法(ワープ)を交互に行い、5時間掛けてチャーチ大教会に到着した。

 にしてもその間、ずっと姿を隠していられるなんて、やっぱ妖精族はパネェな。羽根を常に隠しており、その気になれば丸二日隠していられるとか。勿論効果範囲が広がればMP消費量は増える。今回三人の姿を隠してMP消費は半分だったとか。それって俺の最大MPの2.5倍なんですがね。


「やるな、キアラ」

「貧魔アークと一緒にしないでください」


 貧魔ってなんやねん。こんにゃろ! いつものように羽根を触ってやる。


「あぁあん!」

「じゃあお前は、淫魔妖精か? そんな声出して誘ってるのか?」

「くぅぅぅ!!」


 顔を真っ赤にし睨んで来た。はいテンプレですね。


「馬鹿な事やってないで、戻るさぁ。<転移魔法(テレポート)>」


 ナターシャは、さっさと転移魔法(テレポート)を使いセイラの店の俺達の部屋に戻って来た。ラキアが待機中だしな。


「……と思ったらいない」

「あの愚妹は、何処へ行ったのでしょうか?」


 暫くするとラキアが帰って来た。ファーレも一緒にいる。ラキアの頭に乗っていた。前は嫌がっていたのに最近は、キアラの方が嫌がる。


「只今なのだ。主様達も早かったな」

「何処へ行ってたんだ?」

「新しい下着を買って来たのだ。これで主様を悩殺……」

「まず見る事がないから、それは有り得ない」

「見て欲しいのだっ!!」

「有り得ませんわっ!」

「二度も言われた!? しかもエアルリアの口癖ではないか!!」


 どうやら、コイツは買い物に勤しんでいたようだ。まあ良いけど。ファーレと二人じゃ暇だっただろうし。


「じゃあ今日はMPを回復する為に、ゆっくり休んで明日突入だ」

「分かったさぁ」

「分かりました」

「分かったのだ」

「御心のままに」


 御心のままにって言ってる奴がいるが、今回出番ないんだけどな。今回と言うかほとんどないな。成長してくれるまで神獣と言えども貧弱なステータスだし。

 そして次の日、ナターシャの転移魔法(テレポート)で、全員でチャーチ大教会に転移し、俺とラキア、ナターシャとキアラと二手に別れて行動開始。勿論姿を消している。その為に妖精姉妹を二手に別れさせたのだから。

 俺とラキアは、他の国では王城と言える神殿に突入。テレビで見た古代ローマ神殿のようだ。まあ大きさは、遥かに此方のが大きいだろうが。入口がいくつもの柱が等間隔に並ぶところがそっくりなのだ。

 ただ色が全体的に薄い青色で、正直美しいと感じてしまった。他の国の王城は、立派とか堅牢とか、そんな程度の感想だが、此処はかなり美しい。


 幻魔法で姿を消しているので、衛兵とかも素通りで、突入出来た。幻魔法は、便利だね。もし俺が習得したら、隠密と合わせて姿と気配が消せんだけどな。

 ちなみに、お互いの姿も見えないので、仕方なくラキアと手を繋ぐ。


「よし、行くぞ」

「はぁ~……主様と手を繋げるとは~」


 お互い声を潜ませて話す。ただね、恍惚したような声音だ。キモいわ! だから、繋ぎたくなったのにな。

 ナターシャがいる時に言えば、弓で撃たれると学習したのか、ナターシャ達と別れ、神殿に突入してから言い出しやがったよ。


「今日は二時間掛けて手を洗わないとな」

「酷い言いぐさではないか!?」

「煩い! 見つかるだろ? 羽根をもぐぞ」

「すまぬのだ。いつも素っ気ないから、我は嬉しかったのだ」

「知るか」


 手を離し羽根を掴み、軽く引っ張ってやる。


「痛いのだ! 主様、許して欲しいのだ」

「ったく」


 再び手を握って歩き出す。


「主様よ、何処へ向かうのだ?」

「まずは執務室だ。そこに法王がいなければ謁見の間だろうな」

「場所は分かるのか?」

「大体だが、頭に入ってる」

「流石は、主様なのだ」

俺の(・・)手柄じゃないけどな」


 話しながら執務室を目指す。が、そう簡単にはいかなかった。まあ想定通りだけど。


「誰だ? そこにいるのは。気配が駄々洩れだぞ」


 やはりな。強者となれば気配で分かってしまうのだろう。俺は隠密が有るが、ラキアは無いので、どうしても気配と言うか、覇気が駄々洩れになってしまう。

 相手は、四十代くらいのおっさんだな。精悍な顔付きで数々の修羅場をくぐり抜けて来た事を感じさせる。そのおっさんがオートマチックの銃を向けて来ていた。

 当然例の修道服を着ている。が、ちょっと豪奢だ。金をあしらってる。

 とりあえずスルーして進むか。


 パンっ!


 やはり、そう簡単にはいかないか。発砲されたので、咄嗟にラキアを突き飛ばす。駄々洩れのラキアが狙われたからだ。そして、俺は姿を現す。


「ん? 感じた気配は貴様のものではなかったのだが、もう一人いるのか?」

「それより、教王と話がしたいのだけど、通してくれないかな?」

「賊に会わせる訳ないだろ」

「だよね」

「これよりウォリアーモンク、ローマジンが賊を討滅せん」


 名前酷っ! また名前が酷い奴だよ。ローマ()かよ。此処はローマ正教か?

 ちなみにウォリアーモンクとは、他の国で言う騎士団長の事だ。

 とりま鑑定っとっ!


 バチンっ!!


 弾かれた? 遮断持ちか。面倒だな。感じる覇気は少ない。だが、強者だと思わせる雰囲気がある。これは闘気ではなく強化魔法で、能力を底上げするタイプか。


 パンっ!


 また撃たれる。


「うぉりぁ~」


 気の抜けるような掛け声で、小刀を抜き弾を弾く。


「なかなかやるな」


 パンっ! パンっ! パンっ! パンっ! パンっ! パンっ!


 連続六発ぶっ放して来た。


「うぉりぁ~、うぉりぁ~、うぉりぁ~」


 全部弾くか避ける。


「何だ、その間抜けな掛け声は?」


 そう言いながら、手早くマガジンを交換していた。


文句(・・)ある?」

「馬鹿にしているのか?」

「主様よ、つまらぬぞ」


 未だに姿を隠しているラキアがなんか言ってるがスルー。


「今度はこっちから行くぞ」

「早いっ!?」


 風魔法を背中に当て一気に距離を詰める<縮地>を駆使して斬り掛かる。


 カーンっ!


 お前も早いだろ!? 一瞬で短剣を左手で抜き、俺の小刀を受けやがった。


 パンっ!


 そして、至近距離から発砲。俺は顔面に当たる寸前、首を右に倒しなんとか躱す。あぶね~~。


「ふんっ!」


 蹴りを入れ吹き飛ばす。


 パンっ! パンっ!


 それをもろともせず二連発発砲。コイツやりやがる。

 それを躱しつつ再び小刀で斬り掛かる。今度は二刀流だ。だが、全て左手に持った短剣で防がれる。銃に警戒して全力ではなかったとは言え、俺のスピードに着いて来れるとか、マジで強いな。

 それに何より一番の問題は、小刀闇夜ノ灯(やみよのあかり)光陽ノ影(こうようのえい)が手に馴染まない。レオン獣王国に預けて来た方の闇夜ノ灯と光陽ノ影なら、あっさり勝てたような気がするな。


 パンっ! パンっ!


 また至近距離で撃たれる。寸前のとこで小刀二振りで防ぐ。


「ぬぅぅ! 弾丸を防ぐとか、どんな反射神経をしているのだ?」

「その言葉そのまま返すよ」


 俺の小刀二刀流を短剣一振りで、防ぐとかどんな反射神経をしているのだ。

 そうして、小刀二刀流と短剣の攻防が始まる。クソ! 攻めきれない。銃を警戒しないといけないし面倒だな。


 パンっ!


 こうやって隙を見つけては撃って来るし。俺がジパーング聖王に偉そうに語った事をそのまま実行してる奴がいるとはな。流石は、銃を最初に作った国だけはあるって事か。


 パンっ! パンっ!


 仕切り直しだな。俺は下がった。


「賊よ、やるではないか」


 そう言ってマガジンを交換。


「あんたもな」


 俺は右腕で、汗を拭う。マジで強いわ。さて、どう攻めるか……。

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