EP.19 作戦会議をしました
「で、またタダメシを食べに来たの~?」
何か言葉に険があるな。まあ最近此処のメシばかりだったしな。オーナー特権で無料なので、セイラからすれば儲け無しどころか赤字だ。
ちなみに店を丁度閉めた時間に来たので、お手伝いの孤児達はとっくに孤児院に帰ってセイラ一人だ。って言うか、まだ人を雇っていないらしい。雇ったのは、畑も管理出来る庭師だけ。
「いや、タダセイラを食べに来た」
「そんなセイラは無いよ~」
「タダ我を食べれ……」
「煩い!」
「酷いではないかぁ!? せめて最後まで言わせるのだ」
なんか妖精がブンブン煩いな。
「我はハエではないぞ」
「じゃあどんなセイラがあるんだ?」
「アークが大っっっっっ嫌いなセイラなら、あるよ~」
「おい!」
「タダメシ食らいを好む人っているかな~?」
「うっ!」
ド正論キターー!!
「ナターシャ、最近此処のばかりだし、払うか多めに」
「そうだねぇ。あっち食べても大金取られるだけだしねぇ」
アルーク教国は、メシが高いのに不味いし量が少ない。それなら同じ金額を此処に払っても良いと思っているのだろう。まあたぶんそこまで払わないと思うけど。
「毎度あり~」
急にニコやかになったな。
「よっ! その笑顔可愛いぞ」
「アークに言われても嬉しくないから~」
ほんとコイツは前から、俺には手厳しい事しか言わないよな。
「そうですね。ウチもアークは、気持ち悪いだけだと思いますね」
なんか妖精が一匹便乗しているな。
「あぁあん!」
「気持ち良くなってるじゃん」
「むぅぅ!」
顔を真っ赤にしながら、めっちゃ睨んで来た。いつもの如く羽根を触ったのだけど。
「触るなら我のを……」
「あ、セイラ。今晩は此処で寝るんだけど、一緒に寝る?」
「絶対に嫌~~。絶対の絶対に嫌~」
二度も言われたよ。
ペッシーンっ!!
はい、いつものビンタです。
「さっきからセイラを口説いてるんじゃなさぁ!!」
「ぷぷぷ~~」
セイラが態とらしく口を抑えて笑う。
「今晩、セイラの部屋に侵入するか」
「ごめんなさい」
ペコリと頭を下げて来た。
「分かれば良し」
「それで~、何を食べる~?」
「あたいは適当な煮物」
「ウチは肉野菜炒め」
「我はトンカツだ」
「妾は、魚料理を所望する」
「俺はセイラ」
「もうそのネタは良いよ~~」
シッシと手を振られる。ちなみにファーレは、今まで黙っていたが、注文だけはちゃっかりした。
「じゃあ、おまかせ定食」
「分かった~。直ぐ作るから、待っててね~」
と、まぁ久々にセイラをイジり夕食を済ませ三階の四人部屋に向かう。この部屋は俺達専用だ。まあ最初は、俺とナターシャ、エーコ、沙耶の為の部屋だったのだけど。
その部屋のテーブルを囲み、ナターシャが淹れてくれたお茶を啜り口を開く。
「さて、第65回円卓会議を始めます」
「また変な事を言ってるさぁ」
「64回までは、何処に行ったのですか?」
「此処は、未来仕掛け研究所ではないぞ」
ラキアさんや、何故そのネタを知ってるんだい?
「なんとなくなのだ」
ラキアは、たまに地球ネタをぶっ込んで来るんだよな。転生者だと疑ってしまう。でも、そんな称号はないんだよな。
「さて会議を始めます」
「言い直したさぁ」
「また錯乱してるので……ぁああん! ……むっ! またですか?」
またまた羽根を触ってやると、顔を赤くし睨み付けて来た。
「触るのなら我……」
「もぐぞ」
「それは、止めて欲しいのだ」
ラキアが涙目になる。
「良いから始めるさぁ」
「まずチャーチ大教会に侵入したら、ナターシャとキアラで行動して貰う。此処は変更無し」
「分かったさぁ」
「分かりました」
「主様よ、そんなに我と二人っきりに……」
「もぐ……」
「むぐ!」
もう二文字でコイツは黙るな。
「問題は、チャーチ大教会への行き方だ。今日の事で、俺達の顔が割れているのが分かった。もう馬車でのんびりとはいかない」
「だねぇ」
「そうなりますね」
「ならば、ナターシャの短距離転移魔法の連続使用で行けば良いのではないか?」
「MP持つか?」
「無理だねぇ」
ラキアは良い案を出してくれたがMP問題で却下だな。
「なら、アークがあたいを抱えて走れば良いさぁ。走るのと短距離転移魔法の交互にすれば問題無いさぁ」
「ふむ。となると、チャーチ大教会到着後、転移魔法で、キアラとラキアを迎えに行く感じか?」
「だねぇ」
「それが良いと思います」
「我も良いと思うぞ」
うーん。もう一塩欲しいな。
「なら、ついでにキアラをおんぶして、幻魔法で姿を消そう。出来ればチャーチ大教会に行った事すら知られたくない」
「え゛?」
「何故我ではないのだぁ!?」
キアラは、かなり嫌そうな顔してるな。ラキアは、食い入るように言って来るし。
「いや~キアラを辱めた方が面白いし。ラキアは喜ぶだけでウザい」
「また外道アークですね!!」
「酷いではないかぁ!?」
二人揃って目を剥く。
「じゃあ真面目に言うとラキアは、絶対良からぬ事をする。絶対に」
例えば後ろから手を回し俺の胸やら股間を触って来たりとか。
「それはあるかもねぇ」
「しないのだぁ!! だから我を!!」
「愚妹なら有り得ますね」
「じゃあ決まりだな」
「だから我を……」
「もぐ……」
「むぐっ!」
これもテンプレになって来たな。
「って訳で、キアラ宜しく」
「仕方ありませんね。本来なら胸を押し当てるなんて、絶対に嫌ですが」
「ま………………ったく無いじゃん!」
「どれだけ溜めるのですかっ!? それに失礼ですよ。これでも少しは有りますっ!!」
「なら見せてみろ。ほれほれ脱げ脱げ」
「うっ!」
みるみる顔を真っ赤にさせ耳まで赤くさせる。
「ならば、我が脱ぐ……」
「いらん!」
「酷いではないかぁ!? せめて……」
「もぐ……」
「むぐっ!」
「とことんクズアークですね」
「見栄っ張り妖精は黙らっしゃい」
「見栄っ張り妖精!?」
妖精二匹が煩いな。
「無い胸を有るとか見栄張ってるじゃん」
「事実です」
羞恥と怒りで再び顔を赤くするキアラ。
「せめてナターシャくらい大きくなってから言え」
「それは無謀ではないか?」
ラキアの言う通り。Eカップだもんな。早々いない。
「そうさぁ。あたいくらい大きくないと」