EP.18 狙撃されました
茶店を出ると武は、さっさと次元転移魔法で、他の世界に行ってしまった。次元転移とか、もうぶっ飛んでるよな。そんなものを覚えやがって。
隙魔法の中位の空間魔法までしか覚えていなかった。次元を越えて転移出来るので、時空魔法の範疇でがはないかと思うのだが……。これも?魔法とやらにカテゴライズされているのだろう。
さて、俺はナターシャに伝心するか。そう思い伝心魔道具を取り出す。
「もしもし」
『もしもしって何さぁ? またくだらない事かい?』
「もうそのネタは良いから。終わったぞ」
『こっちも宿を取ったし、今迎えに行くさぁ』
「必要無い」
『なんでだい?』
「忘れたか? お前ら三人に草を付けているんだぞ」
『あ~』
何か合った時の為にキアラとラキアにも取り付けている。まあ奴隷落ちしないように面倒見るって言ったしな。
この草は、職業忍によって習得した忍術と言うスキルによるものだ。【草】を取り付けた相手の動向が分かると言うもの。
尤も取り付けた草に同調しないといけないが。なので、そっちに集中し過ぎると本体の俺が無防備になってしまう。まあ厳しい相手との戦闘中じゃない限り片手間に同調し、相手の状況を見れるんだけど。
また最初は、もろ【草】だったのだが、忍術レベルが上がり、【葉】、【花】と、取り付ける物を変化させられるようになった。【草】だと、ゴミが付いてると周りに見られてしまうが、【花】ならアクセサリーと見られるので、今は俺が取り付けてる連中……ナターシャ達三人以外にエーコ、沙耶、セイラも当然【花】にした。
あぁ。あとライオスがいたな。アレは男なので、花は似合わないと思い【葉】にした。
で、草と気配察知に合わせ技で、草を取りつ行けた相手の居場所が分かる。草には、自分の気配がするからだ。
ナターシャ達と合流すると、武との話をする。当然、過去の武だったって話は、懐疑的だったが、手元にない筈の闇夜ノ灯と光陽ノ影を見せたら、あっさり信じた。
チョロイ!
次の日の朝、東に向けて出発。チャーチ大教会に行くまでに経由する最後の小さな村に寄る為だ。
馬車を走らせのんびりと村に向かう。が、村を目と鼻の先にして事は起こった。
俺の危険察知が警報を鳴らす。何かが迫っているのを察する。しかし、気配察知には、何も引っ掛からない。
「警戒しろ!」
全員に呼び掛けつつ光陽ノ影を抜き、バリアを張る。
ボスっ!!
何かが衝突した音が響いた。何だ? 銃弾か? 狙撃されたのか。東の方から飛んで来たぞ。武から光陽ノ影を借りてて助かったぜ。
「狙撃した奴をしばいて来る。幻魔法で姿を消しとけ」
「分かりました」
「分かったのだ」
俺は空を飛び東に向かった。村を越えて更に東へ全力飛行だ。
「人が空を飛ぶ……だと!?」
東には砦があり、其処で狙撃した女が目を剥いていた。って言うかね、スナイパーライフルまで作っていやがったのかよ。ほんとこの国はおかしいだろ!?
「こんにちわ、お嬢さん」
なんちって。そう言って砦に降り立つ。
狙撃した女は、スナイパーライフルを捨てパッと距離を取り、腰からリボルバーを抜く。小型化までしていやがるのかよ。
女は、やはり最強修道服を着ていやがる。にしてもロリ巨乳だな。歳は十五行ってるようには見えない。なのに巨乳だ。マ・ジ・で、デ・カ・い! Iカップはあるんじゃないか?
「何で狙撃した?」
「背信者だからだ」
「元配信者ですが?」
「………………ニュアンス違くないか?」
「いや、良い。善良な敬虔なる信徒かもしれないだろ?」
「国境での事を耳にしている」
「それはまた優秀な密偵がいたのだな」
あの時、全員捕らえたし、他に気配はなかった。優秀な密偵がいたとしか考えられない。まあ銃を作る国だけあってスコープも当然作っているだろう。それで遠くから観察されたのかもしれないけど。現に今、捨てたスナイパーライフルにもスコープが付いている。
「残念だったな」
ロリ巨乳がそう言うと、騒ぎを聞きつけた者達が集まって来た。会話してる間に十二人に囲まれたようだ。当然全員銃を手に握っている。それも小型だ。リボルバーにオートマチックにと豊富だな。
「撃て!」
一斉に撃って来た。が、足元ってバレバレなんだよな。胸や頭を狙うと反対側にいる味方――囲んでいるので――に当たるし。
だが、焦る事はない。覇気や足捌きから強者がいないのは、分かっている。慌てる事なく全てを躱す。
「何!?」
「今の動きは何だ!?」
「銃弾より速い!?」
たかが避けたくらいで、騒ぐなよ。お隣の国のトモエだって避けられるぞ……って、比べる相手が悪いか。
「ねぇ? 一度だけ言う。教王と話がしたいんだけど? 俺は争う為に、この国に来たんじゃねぇし。だから、大人しく会わせてくれない?」
「国境での戦で、全員捕らえた者が何を言っている?」
ロリ巨乳にそう返される。
「あれは処理しないと国に入れないじゃん」
「背信者の言う事など聞けるか」
「あっそ」
俺は、小刀を二振り抜き、一瞬で全員銃事斬り咲く。あ、男はいらんので、峰打ちした。いや~~強者がいないと銃を使われようが、こんなあっさり処理出来るんだから有難いね。ダークの体様様だな。
「また、つまらぬモノを斬ってしまった」
どっかの石川さんの台詞を渋めに言い、チャキンと小気味良い音を態と慣らし鞘に小刀を収める。それに合わせ男共がドサっと倒れた。
「銃が!? だが、この防刃性能があるスカプラリオは斬れぬ事は、そうそう……」
言い終わらぬうちに修道服が弾け飛ぶ。
「な、なぜ!?」
「「「いや~~!!」」」
「「「きゃぁぁぁっ!!」」」
必死に胸や股を隠している。だけどロリ巨乳ちゃんは、隠しきれてないよ? なのに冷静に聞いて来る胆力はあるのだな。他は悲鳴が煩いってのに。
「所詮防刃だろ? 加減しなければ斬れるっつーの」
斬撃無効なら斬れないだろう。まあ斬れるかどうか試したかったってのはあるけど。チャーチ大教会に行けば強者がいるだろうから、先に試せるなら試しておきたかったしね。
ただ野郎の裸は見たくもないから、峰打ちで寝かせた。はい外道です。武ならやりそうな事をやりました。
「くっ! 我等騎士修道会にこのような屈辱を与えるとは……」
流石ロリ巨乳も羞恥で顔が赤く染まって行く。他の連中は悲鳴を上げながら逃げ出した。どっちかってと逃げた連中の方を眺めていたかったと言うのは内緒だ。
ちなみに騎士修道会とは、他の国で言う騎士団の事だ。
「いや~~今日のオカズゲットだぜ」
態とらしく右手で輪っかを作り上下に振る。
「ぴっ!」
「ぴ?」
ドン引きしたのは分かるが『ぴ』って何だ?
「ぴぇぇえええええっっ!!」
あ、泣き出しちゃった。
「グスン! 覚えてるのよ~~~」
「裸を?」
「違うわよ!! もういやぁぁぁぁぁ!!!」
硬い言葉遣いが崩れちゃってるぞ。って言うかロリ巨乳も逃げ出しちゃった。
「まあガキには興味ないんだけどね」
だから、先に逃げた連中を眺めていたかったんだよな。
童貞の頃なら見境無かったけど、今はあんなお子様には、興味無いわー。
まあ童貞の頃だったら確実にビッグマグナムが覚醒していただろうけど。相手がマグナムを使っているだけに……って、つまらんわ! ついでにロリ巨乳は、リボルバーだったわ!!
「スナイパーライフル忘れているな」
捨てたスナイパーライフルをそのままだし。貰っておこう。収納魔法でしまいナターシャ達のとこに戻った。幻魔法で姿を消しているけど、気配で分かるしな。
合流後、目と鼻の先にある小さな村に入り、馬車を馬車屋に引き渡しセイラの店である『食事処 アサシンズ』に転移した。密偵がいたせいで、俺達の顔割れているしな。村にいるのは危険だし、関係無い一般人を巻き込むかもしれないからな。
ふふふ……きっと村で俺達を探し回っているだろうな。村に入ったのは、確認してるだろうし。ふふふ……ふーはっははははは!!!
「またアークが気持ち悪い笑いをしてるよ~」
セイラの声が聞こえた気がしたが気のせいだろう。
「いや~、私の店に来ておいて気のせいも何もないっしょ~」