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EP.17 武から依頼を受けました

「あ、そう言えば銀竜に気に入られる事から、始めるとか言っていたが、それが我竜人拳なのか?」


 ふと思い出し、俺は武に聞いてみた。前に会った時に我竜人拳がどうとか言っていたので。


「そんな事まで、未来の俺は語っていたのか。まぁそうだな。我竜人拳は、銀竜の力を借りる武術だ」

「99代目継承者とか痛々しい二つ名があるって語っていたぞ」

「だよな。何で100代目ピッタシじゃないんだよ。痛いったらありゃしない」

「そこじゃねぇ!」

「さて、他に聞きたい事は?」

「いや、もう良いや。魂強度とかでお腹一杯」

「じゃあこの結界魔法(ベルリア)を解除するな」


 そう言うと指をパチンと慣らし結界が消える。


「ところで、お前何でこの世界に来たんだ? そろそろ情報交換でもしようぜ」


 武にそう言われお互いの情報交換をし始めた。そうすると驚いた事に目的は一緒だったのだ。この世界の異変を見付けどうにかする事。


「治、この国はどう思う?」


 情報交換を終えると唐突そんな事を言い始める。


「メシは不味い・高い・量が少ない。三拍子揃ってるな」

「それは分かる。ついでにこっちに来て二週間、この国を調べて理由も分かった」

「理由?」

「それは後で話す。それよりメシが不味いとか、そんな話ではなく不自然なとこがあると思わないか?」


 もしかして武も感じていたのか?


「銃か?」

「それだ。この国だけが発達してるのは不自然過ぎる」

「俺もそれは思った」

「これじゃあバランスが悪い」


 出たバランス。武はバランスが悪いのを……と言うか偏りがあるのを何故か嫌うんだよな。まあ俺も銃が、この国で異常発達してるのは、気に入らないと思ってるけど。


「バランスとかは知らんが、何者かが暗躍してる気がしてならないんだよな。感だけど。放置しておけば大変な事になりそうな予感がする」

「それが世界崩壊か?」

「そこまで分からん」


 そう言って俺は肩を竦める。


「俺もまだまだこの世界の事は分からん。もう十ヶ月は、この世界にいるお前のが何かに気付くかもしれん」

「どうかな」

「銃の製造工場は、全て破壊した方が良いと俺は思ってるが、治はどうだ?」

「同意見」

「ならば、お前に任せて良いか?」

「は?」


 俺は間の抜けた声を上げてしまう。何で俺だけ? お前も銃の発達がおかしいと思っているんだろ?


「お前はどうするんだ?」

「実は他の世界が、緊急事態なんだ。この世界より、先にどうにかしたい。頼まれてくれないか?」


 流石は漂流者(ドリフター)。他の世界の事も考えないといけないとか大変だな。


「まあ元々俺も潰したいと思ってたし構わないけど」

「助かる。何か礼をしたいな。じゃないとバランスが悪いからな。何か要望はあるか?」


 またバランスか。こんな感じだから調停者(バランサー)なんて称号が付くのだろう。


「ん~~」


 腕を組み暫く考える。何か有用なものを貰う? こいつ良い物をかなり持っていたしな。いや、三年前の武っぽいし、まだ持ってないかもしれないけど。

 貰うなら、その服と同じようなものが良いかもな。自動装着とか、かなり良過ぎる。待てよ? 装備となると……、


「お前、既に闇夜ノ灯(やみよのあかり)光陽ノ影(こうようのえい)を持っているか?」

「ん? あるぞ」

「貸してくれ。前に貰ったんだが、闇夜ノ灯(やみよのあかり)を折ってしまってな。今、修理中なんだ。直すのに数年掛かると言われた」

「なるほどな。未来の俺は、お前の上げていたのか。じゃあ……<収納魔法(ストレージ)>」


 武の横で空間が割れ、其処のに手を入れ二振りの小刀を取り出す。鞘も鍔も柄も真っ黒な闇夜ノ灯(やみよのあかり)と、鞘も鍔も柄も真っ白な光陽ノ影(こうようのえい)だ。


「ほれ」

「サンキュー」


 俺は、まず光陽ノ影(こうようのえい)をテーブルに置き、闇夜ノ灯(やみよのあかり)を抜き、順手、逆手、順手、逆手と持ち替えながら手触りを確かめる。


「ん?」


 おかしいな。続けて闇夜ノ灯(やみよのあかり)をテーブルに置き、光陽ノ影(こうようのえい)を同じように順手、逆手、順手、逆手と持ち替えながら手触りを確かめた。


「ぅうん?」


 俺は首を傾げた。


「どうした?」

「いや、前に貰った時に、めっちゃ手に馴染んだんだよ」


 今、借りたのは例えるなら新品の装備を手に取ったような感覚だ。


「それ未来で、俺がお前にやったんだよな?」

「ああ」

「なら、話は簡単だ。()()()()()()()()()()()。で、お前はそれを使い自分の気と馴染ませる事で、ほぼお前専用になるんだろうな」


 なるほど。この二振りの小刀からすれば、未来で俺の手に渡った時に、既に俺の闘気に馴染んでおり、手に馴染んだ訳か。


「そう言えばさ、何で前にこれくれた時に、俺に貸した事があるって言わなかった? そもそも何で俺に会った事があるって言わなかったんだ? って、過去のお前に言っても仕方ないんだろうけど」

「不必要に歴史を変えない為だろうな。お前の口ぶりから過去にお前に会った事は話していないようだから、言わなかったのだろう」

「なるほどな」

「ついでに、今その小刀の貸してくれって言ったから、未来でそれを渡したんだろうな。他にもお前に合いそうな武器を持っているが、それでもそれを渡したんだと思うぜ」

「なるほど。こうして俺に取っては過去で、お前に取っては未来とか、マジでややこしいな」

「全くだ」


 お互いに苦笑いをしてしまう。だがそうなると……、


「もしかして、俺に取って更に未来、お前に取っては過去に俺に出会ってたりする?」

「それはない。断言しても良い。俺が異世界に行くようになって初めての再会が()()だ」


 断言するとまで言ってるし、それはないのだろう。


「それでこれの返却いつにする?」


 二振りの小刀は、あくまで今回借りただけだしな。


「俺が他の世界から戻って来た時だ。ただ、それが何年後になるか……」

「ん? 他の世界の緊急事態とやらは、何年も掛けて処理しないといけない案件なのか?」

「そうじゃない。この世界の時間の流れがおかしいんだ。まぁもしかしたら、他の世界に数ヵ月いたのに、この世界では一日しか経っていないなんて事をあり得るがな」

「まあそんな事も有り得るのか」

「だが、確実にお前がこの世界にいる間に再会は叶うだろう」


 つまり、俺が星々の(スターライト)世界に帰る前に再会出来るって事ね。でも……、


「何で、そんな事が分かる?」

「それ返して貰わないと未来で、お前に上げられないだろ」

「あ~~確かに」


 そうだな。俺は得心が行き何度も首を縦に振ってしまう。


「もし、返して貰わないと未来で、お前に上げられなくなって、未来のお前、お前に取っては過去か。それがないせいで苦戦を強いられ、下手すれば負け戦になるなんて事もあるかもな」

「確かにこれのお陰で命拾いしたからな」

「そうなるとお前は、この世界に来れなくなり、お前がいた世界だけでなくこの世界にも影響を与え、パラドックスが酷くなる」


 うわ! 確かにこれもタイムパラドックスって奴だな


「じゃあ確認だが、此処を任せる報酬は、その二振りの小刀の貸し出しで良いな?」

「ああ」

「じゃあ、この国について俺が調べた限りの事を伝える。参考にして処理してくれ」

「分かった」


 武が色々教えてくれて俺がまだ知らないこの国の現状を知った。通りで戦争を起こす訳だ。馬鹿馬鹿しい。こりゃちょくら神殿――他の国で言う王城だ――に侵入して、法王を説教しないといけないな。めんどくさっ!

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