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EP.13 最強シスター服でした

 蜂の巣になった俺の姿が消える。まあ分身魔法(アフタリミッジ)で作った幻なんだけどね。本体の俺は風魔法で空に舞い上がった。


「後ろの背信者にも神の裁きをっ!!」

了解(ヤー)


 マシンガンを連発し、砂煙も多少上がってるせいか俺が消えていなくなった事に気付いていないようだ。恐らく撃たれて倒れたと勘違いしたのだろう。なので続けて、ナターシャ達にマシンガンをぶっ放す。


光防御魔法(ライト・シールド)

闇防御魔法(ダーク・シールド)


 左にいるキアラが左手を突き出し、右にいるラキアが右手を突き出し、それぞれ防御魔法(シールド)を唱える。光防御魔法は白く透明な板状のもので、闇防御魔法は黒く透明な板状のものだ。それを前面に展開した。

 ナターシャは、二人の後ろで攻撃を凌いでおり、ファーレはナターシャの頭の上にいる。

 って言うかね、シールドを展開してゆっくりゆっくり歩いて敵側に向かって行ってるんだけど、魔導学園の劣等生に登場するゴツい先輩の密集方陣みたいだ。


「ならばこれならどうだ?」


 パーーンっっ!!


 おいおいショットガンまであるのかよ。10㎜くらいの大きな銃口。ポンプアクション式ってやつだったか? 弾を放った瞬間スッポンっ!! と、良い音を立てて薬莢が排出される。

 そのショットガンを女指揮官がぶっ放し、防御魔法に炸裂した。マシンガンは軽々弾いていたのに散弾銃となると威力が違うのか、たった一発でピキっとヒビが入る。

 女指揮官は、素早く次弾を装填して次を撃つ。銃の性能差だけじゃないな。銃の扱いにも一日の長がある動きだ。


 やがてパッリーンっ!! と砕ける。が、その瞬間キアラ達三人は消える。実は幻魔法で作った幻影だった。

 ただ俺の分身魔法(アフタリミッジ)は、カカシのような感じだが、幻魔法なら実際の強度を幻影で見せる事が出来る。つまり、あのショットガンは、マジで防御魔法を破壊出来る力があるって事だ。尤も魔力を強く籠めれば強度も変わるのだけど。

 さて、そろそろ反撃開始するか。いつまでも様子見していると幻魔法で景色に溶け込んだキアラ達の本当の居場所がバレてしまうしな。そんな訳で地上に降り立つ。


「いつの間に!?」


 まずは目を丸くしている目の前のから掌打。敵さんの人数は四十人くらいいるので手早くやりたいね。


「うっ!」

「は?」


 俺、今闘気を籠めて腹にモロ入れたぞ。手応えもあった。なのに苦悶の声を漏らし、くの字になりながら腹を抑えているだけで倒れない。主力はいないって言ってたし、一般の兵士だよな? それが耐えられるのか?


「やぁぁぁっ!!」


 左手でマシンガンを持ったまま右手でナイフを抜き、右から襲い掛かって来る者がいた。ジパーング聖王国と違い確り訓練されているようだな。接近された時の対処が出来ている。

 だが甘い。そんな温い攻撃じゃ後の線で対処出来る。俺は、左手で抜いた小太刀でナイフを弾き、右手で抜いた小太刀で袈裟斬りにしてやる。


「くっ!」

「えっ!?」


 俺は目を丸くしてしまう。斬れていない。馬鹿な! 加減はしたけど全く斬れないとかあるのか? 一般の兵士だよな? それともアルーク教国の一般兵は能力が高い? いや、感じる覇気は一般兵のソレだ。どうなってやがる?


「「はぁぁぁぁっ!!」」


 考え込んでいたら後ろから二人がかり斬り掛かって来る。


噴射魔法(バーニア)

「「っぅ!!」」


 噴射魔法(バーニア)で体を前に加速させる。それだけじゃない。後ろの二人に熱風を当てて怯ませる。そして振り返り……、


下位稲妻魔法(サンダー)

「「たぁぁぁっ!!」」

「えっ!?」


 いや、スタンガン並みに威力を抑えたけどさ、何事も無かったように突っ込んで来たよ。さっきからどうなってやがる。

 俺は両小太刀をクルリと返しながら二人と擦れ違い首筋に峰打ちした。


「「がはっ!」」


 今度は倒れたぞ。さっきまでと何が違う…………………………あ! 今、生身にモロ当てたからだ。となると、あのシスター服……もとい修道服にカラクリがあるのか? なら、鑑定っ!









 ……

 …………

 ………………


 最強スカプラリオ。


 ……

 …………

 ………………










 は?










 直訳すると最強シスター服? 何そのダサい名前。

 昔プレイした『生きる・ア・生きる』ってゲームを思い出したぜ。あれの最終武器に最強バンテージってのがあった。最強も何も包帯は包帯だろ。何て酷いネーミングだよ!? と、当時思った。

 それと同じで、シスター服はシスター服だろ。と、言いたいのだが、性能がヤバい。ヤバ過ぎる。何なのこのシスター服……もとい修道服は?


 最強スカプラリオ (防御力1200、俊敏-500) 防弾、防刃、防打、防魔


 重たいせいなのか俊敏が下がる欠点があるが、防御四点セットかよ。これはめんどくせ~~。四十人全員仕留めないといけないしな。まあ半分もやれば撤退してくれるだろうけど、俺達の情報をまだアルーク教国に知られたくないので、全員捕縛したい。殺るにしても四十人は時間がかかるだろうな。

 頭にも被り物をしているので、生身を晒しているとこを狙って小太刀を振るわないとな。

 ちなみに頭の装備の名は最強ウィンプル……マジで名前どうにかしろ。

 ただジパーング聖王国は、銃なんかをパクって製造するより、まずこの防具をパクるべきだったと思うがな。こんな高性能な防具があれば国を守り易い筈だ。


 ズダダダダダダダダダダ……っっ!!


 おっと危ない。相手側の懐に入り暴れ回っていたら、マシンガンを足元に撃って来やがった。懐に入れば流れ弾による同士討ちにビビって撃って来ないだろうと思ったんだけどな。

 そういう訓練もしているのだろう。これなら俺が躱しても地面に当たるだけで、味方に当たらないだろう。

 にしても厄介だな。これ俺一人じゃ無理だな。時間が掛かり過ぎる。保険を使うか。


「キアラ! ラキア! 頼む」

「仕方ありませんね、役立たずアーク」

「主様にしては、珍しく苦戦しているではないか。我も参戦してやるのだ。感謝しろよ」


 一言余計なんだよ、コイツらは。


「<小黒穴魔法(ミニ・ブラックホール)>」

「<放雷魔法(サンダー・スパーク)>」


 ラキアが闇魔法の小黒穴魔法(ミニ・ブラックホール)を唱える。直径10cmの穴が敵軍の中心辺りに現れる。

 この魔法は半径1mを吸い込む力がある。闇属性の上位になるとミニじゃないブラックホールも作れるとか。そっちになると直径2mはあり、半径50mの何もかもを吸い込む――絶対にではない――恐ろしい魔法だ。

 キアラが唱えたのは下位稲妻魔法(サンダー)と似たよう魔法だな。俺も使えるが似たような魔法ならスパーク(・・・・)とか余計な事を言わない下位稲妻魔法(サンダー)の方を使う。最初の頃は気にしていたが、最近は面倒なので、こっちの世界の魔法を態々使わなくなったな。有用なのは使うけど。

 そして、キアラが唱えた放雷魔法(サンダー・スパーク)が、ラキアの唱えた小黒穴魔法(ミニ・ブラックホール)の中に入り、バチバチ言いながら放電し始める。


















               

             

             「「<合魔・電磁石(エレキ・マグネット)>」」




















 合体魔法とか格好良いじゃねぇか。


「くっ! なんだこれは?」

「銃が……」

「ナイフもだ」


 敵側の銃やナイフ等の金属類が引き寄せられる。小黒穴魔法(ミニ・ブラックホール)では、半径1m程度だが、この合魔は金属に限り相当な距離の物を吸い込む。なので、俺の小太刀も一旦収納魔法(ストレージ)で仕舞った。

 地球で学んだ磁石の知識を雑談で話した事がきっかけで二人は、この合魔を編み出す事になる。この世界にも磁鉄鉱は存在し、土属性の中位である大地魔法になれば磁鉄鉱が作れるのだが、二人とも土魔法は使えないので、残念がっていた。

 なので、それと同じ事が電気でも出来るぞと話したら、面白そうだとキアラが、あれこれ試し始めた。で、吸い込む力があるラキアの小黒穴魔法(ミニ・ブラックホール)の中で放電すれば、それらしいものが出来ると気付いたのだ。

 まあそんな訳で、敵側を無力化に成功する。後は意識を刈り取れば終了だな。刈り取らなくても縄で縛れば良いのだが、暴れるだろうし。


「ナターシャ! 下位稲妻魔法(サンダー)

「分かったさぁ。エレメント・サンダーランス」


 俺の下位稲妻魔法(サンダー)を受け止めたエレメント・アローから放たれた雷の矢が、敵軍の上空に打ち上げられる。


「拡散っ!」


 ナターシャの掛け声と共に雷の矢は拡散し地に降り注ぐ。雷の雨だな。

 実はナターシャも研鑽を積んでいた。ただ転移魔法(テレポート)で行ける場所を増やすだけではなく、合間合間に何か出来ないかと考え実践していた。

 この世界の魔法は、ただ出すだけなら魔法名はいらない。出力も抑えられたりと、かなり融通が効く。それの応用で何か出来ないかと考えた結果がこれだ。

 ちなみにだが、ナターシャ本人は、魔力制御の為に矢を撃ち出すのが精一杯で、自分で矢に属性を付与させる事は出来ない。そこで冒険者ギルドに依頼で発注して貰ったとか。で、魔導士を雇い練習したらしい。

 まあ一本の魔力の矢を数本に分散は、元々出来ると言うか弓の性能なのだが、魔法の付与で大量に分散出来るようになった訳だ。エレメント・アローの特性と、この世界の魔法の特性の合わせ技とも言える。とは言え、元は俺の下位稲妻魔法(サンダー)なのだが、ナターシャも魔法名破棄で雷魔法をそれなり出しているのだ。

 こうして、大半の者達の意識を刈り取れた。まあ意識があっても雷なので掠れば痺れて動けない。ただ修道帽を被っているので、生身の部分に当てるのにナターシャは、結構苦労した様子だ。当然当てられなかった連中もいるので、動ける奴は、収納魔法(ストレージ)で、再び小太刀を出し、サクっと峰打ちで寝かせた。


「この背信者め!」


 流石は、敵軍のショットガンを持っていた女指揮官。雷の矢を受けても動けないが意識はある。その女指揮官が恨みがましい目で、俺を睨み付けて来た。


「元配信者ですが何か?」

「……………………主様よ、何か絶望的にニュアンス違うのではないか?」

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