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EP.12 背信者にされました

「こりゃ酷いな」

「だけど見慣れてる光景さぁ」

「まあ確かにそうなんだけど」


 現在アルーク教国との国境近くまで来ていた。其処では遠目でも分かる程に荒れている。国境を中心に度重なる戦闘が行われたのだろう。荒野と化していた。

 まあナターシャの言う通り見慣れた光景と言えば確かにそうなんだけど、懐かしいと言うのもあるな。十ヶ月ぶりになるか。星々の(スターライト)世界のような荒野だ。

 それに国境線が酷い。無残にも国境線沿いに続いてる万里の長城っぽいアレが、無残にも破壊されていた。


「主様よ、こんな荒れた場所が見慣れているのか?」

「あ~俺達がいた世界で、ちょっと前に大きな大戦があってな。大陸全土で終戦後草木一本生えてなかったんだよ」

「どれだけ大規模な戦だったのですか!?」


 ラキアの問いに答えるとキアラが目を剥いた。


「大陸全土を余裕で破壊出来る化物と戦ったんだよ」

「どんだけ~~~!! なのだ!?」


 ラキアまで目を剥く。お前こそどんだけなんよ!? 何でそのネタ知ってる? 前も地球ネタらしきものが飛び出てたし。


「ぅうんあっ!! って、何でいきなり羽根を触るのですか?」

「いや、どんだけ良い声を出すのかなって試したくなっただけ」

「意味が分かりません! 錯乱アーク」

「触るのなら我のを……」

「さて、あの砦だな。あそこが国境での戦の作戦司令室になってる」


 いつもの通りキアラを揶揄いラキアをスルー。


「酷いではないか!? 無視する……」

「早く行くさぁ」


 ナターシャもラキアをスルー。

 ってな訳で、国境から少し離れたとこにある砦に向かって行く。


「止まれ! 今、国境で戦が行われている。此処に何用だ?」

「潰しに来た」

「何!?」


 砦の門の見張りをしていた兵が三人、火縄銃を向けて来る。


「言葉が足らないさぁ」


 パッシーンっ!! とナターシャに頭をはたかれた。


「あいたー」

「さっさとあれ、見せる!!」

「あ、はい。……これ、聖王の書状。指揮官に会わせて」

「………………拝見する」


 警戒心バリバリで一人の兵が銃を下ろし書状を受け取る。他の二人は依然銃を向けたままだ。まあ端折り過ぎたからな。


「確かに。銃を下ろして良いぞ」


 書状の印を確認した兵が、そう指示し他の二人が銃を下ろした。


「では、案内します」


 そうして砦の中に入り司令官とご対面。髭面のおっさんだ。そのおっさんは、書状の封を切り中を読み始める。


「ふむ。聖都からの援軍で間違いないか? アーク殿」

「聖都からではないが、援軍だな」

「儂は、ここの指揮を任されているガトリングだ」

「ぶっ!」


 思わず吹き出してしまった。


「ん? 儂の名前に何か?」

「いえ……ぷぷぷ………………」


 やばい。腹痛い。笑いが止まらない。銃の差で劣勢の戦の指揮にガトリングが務めてるって!!?? どんな皮肉だよ!? ガトリング砲があればもしかしたら、覆せると言うのにあるのは銃ではなく人物と来ましたか。


「いや、すまない。話を続けよう」

「う、うーむ」


 ガトリング司令官が釈然としないと言った感じではあるが頷く。ナターシャ達も首を傾げている。これ説明したら、また吹き出して腹を抱えて笑ってしまうので、話を進めよう。


「状況は?」

「依然小競り合い程度だな。あちらの作戦は我等を疲弊させる事なのだろう。深追いはして来ない」

「やはり、銃の性能差で劣勢?」

「うむ」

「あちらに主力と言えるような者は?」

「前はいたが、最近は見ない」

「ふーん。じゃあ俺達四人で行くから、兵を全員下げて」

「何!?」


 ガトリング司令官が目を剥く。まあ四人だけだもんね。


「子供が二人いるではないか? いくら何でも子供を戦場には出せん!」


 あ、驚いてるのそっち?


「ウチを子供……モガモガゥンンっっ!!」

「姉上はちっと黙っておこうか」


 キアラがいつもの如く反発しそうになったのをラキアが後ろから口を塞ぐ。


「問題無い。正確には俺一人だ。他は保険だな」

「一人だと!? ふざけているのか!! 書状には意向に沿うようにしろと書かれているが、看過出来ぬぞ」


 まあ転移者だと大袈裟に騒がれて面倒なので、絶対に書くなとは言ってあったので、『意向に沿うように』としか書かれていない。


「だから、無理そうな時の保険がこの三人。その時は最悪尻尾巻いて逃げるよ。で、次の作戦を考える」

「うーむ」


 ガトリング司令官が腕を組み考え込み出す。結論を待つのも面倒なので話を進めよう。


「で、無力化するから全員捕虜にして」

「は? 一人で無力化? 始末ではなく?」

「ああ。まあ全員無力化出来るかどうかは、分からないがな。人数や実力によっては殺さざるを得ないし」


 ガトリング司令官が目を丸くするのも仕方ない。殺さずに制圧には一般的に五倍の力量差が必要だ。この国では銃は万能とか思い込んでるので、尚更不可能とでも思っているのだろう。


「……余程の自信だな」

「自信と言うか、此処で躓いていたら、今後何も出来ないってだけだよ」

「だが、捕虜とはどういう事だ? もう幾人もの犠牲を出しているのに、今更奴らを生かすのか?」


 知らんがな。


「俺達の目的は、国境を突破しアルーク教国に入り、休戦協定を結ばせる事だ。その時に捕虜にしてるか否かで、交渉が変わるのでは?」

「……確かに」

「捕虜にして聖都に連行して貰いたい。そこで生かすか殺すかの判断は聖王にさせれば良い」

「その物言い、聖王陛下に無礼ではないか!?」

「知らんわ! 残念ながら俺は協力者であってジパーング聖王国の者ではない」


 ってな訳で、戦が行われている国境までやって来ました。

 俺達が向かう事は事前に伝令で伝わっている。なので、俺達が到着した瞬間ラッパが吹き鳴らされる。戦国時代にあったラッパだな。テレビとかで聞いた事がある音だ。

 それに合わせ兵達が撤退して行く。


「何故背信者達は撤退して行く?」


 敵さんがそう言い出す。背信者と来ましたか。しかもシスター服かよ。徹底してるな。いや、男が着てるのもシスター服と言ってしまうのはアレだから、修道服とでも言っておこう。


「いや、一人残っている」

「一人ではない。その後ろに女が三人いる」

「まあ良い。四人だろうが、やる事は同じ。全ての背信者に神の裁きをっっ!!」

了解(ヤー)


 何それ!? 女司令官っぽい人が凄い事を言い出したな。それでドイツ語で返事かよ。そうして敵さん達が銃を構える。


 ズダダダダダダダダダダッッッ!!!!!!!


 げ! マシンガンかよ。また凄いのを皆して持ちやがって!! 俺は、そのままマシンガンの蜂の巣になってしまった……。

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