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アサシンズ・トランジション ~引き篭りが異世界を渡り歩く事になりました~  作者: ユウキ
第十三章 レオン獣王国の武術大会
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EP.40 乱入者が現れてました

 いきなり龍気を習得してもな、使い方が分からないんだけど。闘気ですらアルの真似は出来なかったし。とりあえず闘気と同じ要領で使うか。

 それにしても龍気を習得してから、痛みが嘘みたいに抑えられた。秘殺苦十之王来音拳ひゃくじゅうのおうらいおんけんを受けた腹に開いた穴は勿論の事、鉄球が掠った頬に最初の格闘で殴られたとこなんて完全に痛みが消えた。

 それでも不利には変わらないけど。まあ勝つつもりはないから良いけど。俺の目的は獣王と友好関係になる事だ。その為には、この戦いでそれなりの存在感を示せれば良い。

 って訳で100%だ。100%の動きで翻弄して殴ってみよう。龍気がどう作用するか分からないので素手だ。


「はっ!」

「ふん!」


 俺より、動きは断然遅いが、それでもきっちり対応してきやがる。どんなに動き回っても目だけは追い掛けて来ていた。お陰で殴る時に腕で防御されたり、平然と避けられたりしやがる。


「ん? 先程まで使えなかった龍気を扱えるようになったのか?」


 即座に気が付かれた?


「分かるのか?」

「防ぐ腕の痺れでな」

「たった今、習得した」

「何!? ガハハハハハ……其の方は面白いのぉ。やはり潜在能力が高いようだ」


 獣王が目を丸くしたと思ったら豪快に笑い飛ばす。そうしながらも俺の攻撃を平然と避けたり防いだりしてるのだから、こっちからすれば溜まったもんじゃない。


「ふん!」

「くっ!」


 獣王の拳が俺を捕らえる。動き回っているのに追えるってだけでも厄介なのに、その一撃は重い。両腕をクロスにして防ぐが、かなり響いた。

 そのまま吹き飛ばされ、バク転を行いなんとか体勢を整える。痺れる腕に鞭を入れ小太刀を抜く。


「<クロス・ファングっ!>」


 龍気を習得して初めての闘気剣を放つ。


 ズッビューンっっ!!!

 

 今まで以上に速い斬撃が飛ぶ。それに今までは、白っぽい銀色の斬撃だったのに薄紫色だ。

 これは強い。今まで以上の威力があると確信出来る会心の一撃だ。が……、


「うぉぉおおっ!!」


 バーンっ!! と、弾ける音が響き俺の会心の一撃が搔き消される。今何をした?

 闘気解放に近かった。アルが使う闘気解放は、周りが弾け地面が抉れる。そして、一定時間脅威的に身体能力が上がると言ったものだった。しかし、攻撃を掻き消すような事は出来ない。

 獣王の足元も抉れ、まるで闘気解放をした感じなのだが、効果はそれ以上。

 そう言えば骨根(スカル)がデメックにもしていたな。あの時は、デメックの水が弾けた。俺の闘気剣ではビクともしなかった水が。

 あの水も攻撃と言えば攻撃だ。それを弾く事で水から脱出していた。龍気と言うのは、そう言う真似が出来るのだろう。


「良い一撃であったが、龍気を習得したばかりでは使いこなせないと見る。ぅうん?」


 左目を瞑り問い掛けて来る。その通りだな。まだ龍気とやらが、なんなのか理解出来ていないし、所詮はレベル1だしな。

 さて、100%の力で動き回ってもダメ。闘気剣もダメ。じゃあどうしたものか。そう思考を巡らしていると……、


「ぬっ!? 何だこれは!?」


 突然獣王の周りにバリアのようなものが張られた。獣王の反応から獣王が使ったものではない?


「くっ! 抜け出せぬ」


 獣王は、そのバリアから出ようとするが、出れない。殴ってもビクともしなかった。


「獣王を抑えたぞ! 残りはやれ」


 別の所から声が聞こえた。そして、その言葉に呼応するかのように観客席の一番後ろに座っていた連中が一斉に立ち上がる。

 そして細長い布袋を開ける。異様な集団だ。みんな同じ細長い布袋を持っている。しかも一糸乱れぬ動きだ。そして細長い布袋から取り出した物を見て、俺は目を見開いてしまった。


 パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンっ!!


 それが火を噴く。会場にいた獣人達にぶっ放される。あれは……だが、何故あんなものが存在する? 文明レベルを考え、尚且つ魔法が発展している世界だと言うのに。奴らが持っているのは銃だ。

 

「ぬっ!」

「ぐはっ!」

「きゃあああああ!!」

「いやぁぁあああ!!」


 もう地獄絵図だ。

 弾丸を食らった者は血を撒き散らし、それ以外も逃げ惑うパニック状態。


「何だ奴らは? くっ! この結界は何なのだ!?」


 民が撃たれた事で激怒したのか、バリアを砕こうとした拳の苛烈差が増す。なんとか出ようと暴れ出した。

 俺も足が竦んで動かない。嫌な汗が背中を伝う。魔法より遥かに速い弾速を誇る鉛玉に相対する事なんて出来るのか?

 銃の性能によるが、1秒間に300m……音速に近い速さだ。いや、魔法でも雷は例外でその10倍の速さがある。その雷と相対した事があるのなら、銃なんて止まって見えるだろう。

 クソ! 頭では分かってるが体が動かねぇ。何ビビってるんだ。動け! 動け!


「それは貴様専用に用意した結界だ! さぁ次々にぶっ放し獣人を捕らえるぞ」


 異様な集団のリーダーと思われる男が再び口を開く。それも獣王への嘲笑付き。


「ならば、<紫電一閃>」


 そうこうしてる内にライコウが飛び出す。紫電一閃で、リーダーを狙う。


「なにっ!?」


 ライコウが驚愕に目を剥く。なんと横からしゃしゃり出て来た奴がライコウの雷を纏った刀を素手で掴んだのだから。手には恐らくゴム手袋がハメられている。

 ゴムは電気を流さない。それは雷も同じなのだろう。しかし、だからってライコウの刀を素手で掴むとか簡単には出来ないだろ。

 ライコウの紫電一閃は速いし、『極』でもない限り刀を巧みに動かせる。だと言うのに捕まれたのだ。

 その掴んだ左手とは反対の、つまり右手にはライコウと同じく刀を持っていた。その刀を振り下ろす。


「がはっ!」

「來っ!!!」


 咄嗟だったので、前世での名前を叫んでしまう。クソ! いつまでもビビってるな動け!


「ならば儂が……」


 メテストが飛び上がる。


「な、にっ!?」


 メテストが驚愕に目を剥く。メテストの槌を右腕一本で止めたのだ。それにより槌を振り下ろせずメテオストライクが不発に終わる。更に……、


「がはっ!」


 左手でメテストの腹に掌打。何処の連中か知らないが四天王対策をして来たと言う事か。そして、一番厄介な獣王は結界とやらに封じ込めのだろう。


「「ブルー(レッド)ブラットの血脈に眠りし……」」


 今度はデメックとフォックスが血の解放を行おうとする。しかし……、


「やれっ!」


 パンパンパンパンパンパンっ!!


 あれは呪文を唱えるまで隙が出来てしまう。リーダーが号令を出すとそれを狙うように銃を発砲。

 咄嗟に二人は躱すが、その間に間近へと接近を許し、それぞれの相手と戦う事になる。

 デメックは、俺と同じ小太刀二刀流の者。フォックスと相対するのは、苦無を持つ、くノ一のような恰好の者だ。恐らく二人の力を知り、対策している者達だろう。

 つーか、敵の前で血の解放の詠唱をするなよ。隠れてすれば良かっただろ。

 って言う俺もいつまでもビビってる訳には行かぬな。背中の嫌な汗も止まった。幾分最初よりマシだ。これなら行ける。

 そう思い銃を持った奴に特攻する。


 パンっ!!


 目の前で発砲。俺は弾丸を左小太刀で斬り咲く。ははは……何を俺はビビっていたのだろう。ダークの体じゃ止まって見えるぜ。余裕で斬れるし躱せるだろう。

 続けて右小太刀で銃を斬り咲く。

 あれ? この銃って……。

 まあとりあえず目の前の奴だな。


「はっ!」


 龍気を籠めた掌打を腹にぶちかます。

 にしてもこの銃は……俺が相対したのがたまたまって訳ではなく、この連中全員同じだ。



















 それなら……………………………………………………っ!!

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