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アサシンズ・トランジション ~引き篭りが異世界を渡り歩く事になりました~  作者: ユウキ
第十三章 レオン獣王国の武術大会
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EP.34 風の四天王と戦いました

「<風魔手裏剣>」


 とりあえず風魔手裏剣を十発程投げて見るか。が、ライコウの風に当たった瞬間消滅した。


《おわ! これはなかなか。2000発投げられたら負けるな》


 そんな投げられるかっ!


《では、次は俺が》


 バッフ~~~ンっ!


 風が通り過ぎた。遅れて足と首に痛みが走る。血がスーっと流れていた。


《良いコート着てるな。こりゃダメージを与えるのは骨だ》


 後ろから声が聞こえた。確かにFFOコートのお陰で助かったかも。属性妨害と言う性能がある。剥き出しになっている足、手、首より上は、魔法属性によるダメージが入るがふくらはぎの半ばより上は、コートで守られている。

 とは言え速過ぎる。顔を狙われたら一巻の終わりだ。そんな事を思ってると頭の中でやかましい警報が鳴る。危険察知だ。咄嗟に右に飛ぶ。


「<下位回復魔法(リカバリー)>」


 続けて下位回復魔法(リカバリー)で、足と首を回復させる。咄嗟なので、あっちの世界の魔法を使ってしまう。


《Aブロック決勝でも思ったけど、知らない魔法を使うのだな》


 そう言いながら、また風が飛んで来た。頭の中の警報が煩い。分かってるよ。って訳で躱す。


「他の世界の魔法だからな」


 律儀に答えてやる。


《それは興味深い》

「ちぃぃ!」


 風が通り過ぎる。紙一重で躱せたが、デメックの水やフォックスの炎の比じゃない。速過ぎる。


「こんなのもあるぞ。<中位風魔法(ギガ・ウィンド)>」


 中位風魔法(ギガ・ウィンド)を飛ばす。一瞬だけライコウを止めたけどそれだけだ。


《風になった俺に、ただの風をぶつけても意味がないぞ》

「試しただけだよ」


 そう言いながら次の風の突撃を躱す。


《せめて弱点の土系にしないと》

「土系は残念ながら使えないし、使えてもルール違反だ」


 とりあえず風勝負をしようと言った手前使えない。


《勝てないと思えば他の手段で、とも言っていたが?》


 まあ確かにその通りなんだけど。

 とりあえず風魔法で空を飛んで風を躱す。


「まあそうなんだけど、まだ試していない事もあるからな」

《そうか。ちなみに空に逃げたとこで無駄だ》


 風が追い掛けて来る。俺は小太刀を抜き風魔法を纏わせ、風を躱しつつ斬撃を繰り出す。


《くっ! これは……百回斬られたら負けそうだな》


 その前に俺の魔力、闘気、体力のいずれかが切れる。そうライコウの風を斬るのではなく……って、つまらんわ。

 自分で突っ込んでしまった。


「結局これに頼る事になるか。<ライト・ウィンド・ファング>」

《くっ! これは効く。準決勝でもやっていた技だな》


 いや、準決勝でやっていたのは、スラッシュ・ファングの構えだ、と言う訳で小太刀を逆手に持ちつつ風を躱す。


「<ウィンド・ファング>」


 次の瞬間、ウィンド・ファングを放つ。


《さっきより威力が上がった。これは厳しいな》


 そう言った瞬間、ライコウの風のスピードが更に上がった。まだ速くなるのかよ。クソっが!!

 だが、地上と違い360度逃げられる。立体的に動き躱す。こう言う時に空間把握のスキルが役に立つ。例え『小』でも十分だ。


「<ウィンド・ファング>」


 逃げ回りながらウィンド・ファングを放つ。空中で動き回ってるせいで、ぶっちゃけ上下感覚が曖昧だ。どっちは上なのか、下なのか分からない。

 下手すれば地面に激突だ。しかし、それを何とか空間把握(小)のスキルで凌いでいる。これがなかったら、もう終わっていたな。


「<ウィンド・ファング>」


 チャンスがあればウィンド・ファングを放つ。正直MPがヤバいかもな。空を飛びつつ小太刀に風を纏わせているのだから。二重に魔法を使っている状態だ。

 ここで使い切る訳には行かないんだよな。これを凌いでも紫電一閃が待っている。


「くっ!」


 無理な体勢でライコウの風を避けたので、体が痛い。やっぱこいつは強い。

 だが、こいつを倒さないと獣王と戦えない。だから凌げ! 凌げ! 凌げ!

 気付くと俺は小太刀に風魔法を纏わせるのを止めていた。避けるのに精一杯になっていたのだ。クソ! このまま防戦一方ではまずい。と、そう思っていたが……、


《ここまでだ》

「はぁはぁ……」


 ライコウは、そう言って地上に下りると元の姿に戻っていた。俺も息切れをしながら地上に下り立つ。


「何で止めたんだ?」

「血脈術はMP消費が激しくて、あのまま続けていたらMP枯渇で俺が負けていた」

「正直だな」

「何故だか貴方相手だと口が軽くなる。風勝負と言うのも乗っかりたくなったし。初めて会ったって気がしないんだ。不思議な事に」

「ああ。実は俺もだ。昔っからの知り合いって気になっていた」

「そうか。ふふふ……」

「ははは……」


 お互い笑みが零れる。


『男通し通じ合った笑みを交わしている。堪らない。こりゃまた堪らん。ぐふふふふ……また鼻血が……ぐびぐびび~』


「あれどうにかならない?」

「ならないな。Aブロック決勝のような明らかに相手を侮辱してる訳じゃないし」


 確かに俺を侮辱しまくってたな。そのせいで女猫獣人司会者に血祭り上げられていたし。


「でも、何であんなのが人気あるんだ?」

「笑い方が面白いとか。貴腐人方と通じ合うものがあったり。あ、貴腐人と言うのは……」

「あ、うん。ニュアンス的に分かる。分かりたくないけど」

「このまま貴方と駄弁ってるのも楽しいけど、決着付けないとな。紫電一閃を使って行くけど問題は?」

「有りまくりだけど、ルール違反じゃないし仕方無い。ここからが本番って感じだなぁ」


 俺はげんなりしてしまう。対するライコウは、音も立てずに静かに刀を抜き正眼――刃先を相手の首に向けて――で構える。

 血脈術とやらを試させて貰ったけど、絶対紫電一閃のがヤバい。紫電一閃を凌いだら風系を使い始め厳しいと思ったけど逆だった。

 本当の戦いはここからって感じだな。俺は気合を入れ直す。


「では、失礼して。<紫電一閃っ!>」


挿絵(By みてみん)

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