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アサシンズ・トランジション ~引き篭りが異世界を渡り歩く事になりました~  作者: ユウキ
第十三章 レオン獣王国の武術大会
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EP.31 スカルと話しました

 地面が狂ったように暴れる。地震、地割れ、果ては杭のように盛り上がり、その全てがライコウを襲う。

 それに隕石はまだ続いている。天と地の両方から同時攻撃を受けているのだ。


「<紫電一閃・飛閃ッッ!!>」


 雷を纏ったライコウが今度は空に飛び上がる。その際に障害になる隕石は当然斬り捨てて。


「<紫電一閃・連閃ッッ!!>」


 再び連続使用と思われる紫電一閃を行う。ただし今度は空中でだ。止まれば別の角度に走る……と言うか飛ぶ。ライコウが初めて風魔法を使った。俺がやるように風魔法で空を飛んでいるのだ。それと並行して雷も纏い隕石を躱し、そして斬る。

 それが繰り返されて漸く隕石が止む。しかし地上ではまだ狂ったように地面が暴れていた。それでもライコウは、メテストに目をやる。


「まだだ。<暴岩魔法(レイジ・ロック)っ!!>」


 メテストの両手からフォックスに向けて大量の岩が発射される。しかし、その全てを斬り咲きやがてその刃はメテストに届く。

 と思いきや、大量の岩を斬ったせいかギリギリのとこで紫電一閃が終わってしまう。

 それをチャンスと見たメテストは、高く飛びライコウから離れる。またメテオストライクか?


「<我がイエロブラットの血脈に眠りし力よ、目覚めやがれ!>」


 いや、土になるのか。と、思いきや岩だった。岩になった瞬間、ライコウ目掛けて落下。ちなみに土壌魔法とやらは、血脈術を使った瞬間ピタっと止んでしまう。


「おっと」


 地面に降り立ったライコウはバックステップでそれを躱す。何気に試合開始してから、紫電一閃系以外の言葉を発したな。


「<紫電一閃>」


 再び紫電一閃。岩を真っ二つにしてしまう。


「ぐはっ!」


 メテストは、岩から元の茶猫獣人に戻るが、体は真っ二つになっておらず五体満足だが、その胸に付けていた身代り護符(タリスマン)が損壊。ただそれなりのオーバーダメージはあったのだろう。吐血していた。

 やっぱりライコウはヤバいな。と言うか、紫電一閃だけで勝つと言うのも異常だな。


『決まりましたーーっっ!! ライコウ様の勝利! 速い! 格好良い! 最高の肉体美っ!! 抱いてーっ! ぐへへへへぎゃぶぶぶ……』


 格好良いまでは良いが、それ以降がアウトだろ。なんだよこの司会者は。しかも絶対顔見れない笑い方してるだろ。

 

「やはり厳しかったか。流石だなライコウ」

「先輩相手はそれなりにきつかったですよ」

「良く言うぜ」


 二人はお互いの健闘を称える。

 さてせっかくだから鑑定してみよう。

 ほうほう。これはまた……。では、その内容をドンっ!!



 名前:メテ〇ト=イエロ〇〇ット

 年齢:四〇五歳

 レベル:12〇

 種族:茶〇族

 職業:土〇〇士

 HP:18〇〇〇

 MP:〇〇〇〇

 力:4000

 魔力:〇3〇〇

 体力:3〇〇〇

 俊敏:〇〇〇0

 スキル:槌術Lv〇、闘〇〇v7、土壌〇法、〇空〇法Lv3、獣化

 称号:〇〇〇〇〇〇〇〇、オ〇〇〇レ〇〇〇、ビー〇〇〇レイヤー、〇〇〇レイヤー、ド〇〇〇〇〇〇、〇〇〇〇〇〇〇、〇血〇、〇〇



 これが、穴あきチーズのようにしか見れないって感覚なのか。確かに読み取れない場所が多い。

 それでも闘気のレベルが高いのが分かる。これが鑑定を弾いているのだろう。

 次にHPがとんでもない。メンサボの町の冒険者ギルドのマスター、ガリラウスを越えていやがる。

 これで、去年デメックが勝ったってのが不思議だな。相性の問題か? それとも戦うまでの間に消耗してしまったのか……。

 まあ何にしろこんな化物を破ったライコウと俺は明日戦わないといけないのか。自信ないな~。


「さて、明日に備えて今日は宿屋で、ゆっくりするか」

「そうだねぇ。明日は獣王様とやらと戦うからねぇ」

「その前にアーク程度が、あのケモノ風情に勝てますかね」

「主様なら瞬殺だろ」

「主上、本日はお疲れ様でした」


 キアラよ、いくら何でも『アーク程度』は酷いだろ。まあ実際このメテストに勝てる自信はないその程度だけどさ。最初は、なんとかなりそうだと思っていたが鑑定の内容から厳しそうと意見を変えざるを得ないと思っています。

 そんな訳で宿屋に戻るのだが、その途中で思わぬ人物と出くわす。


「試合見てたぞ。決勝進出おめでとうさん」

「どうも。スカル」


 そうスカルだ。それとモメてた赤髪三つ編みツインテール眼鏡爆乳の女の子もいる。…………意味も無く繋げて言ってみました。


「一つ聞くが、ブロック決勝で水素爆発を狙ったのか?」

「水は電気を流すから雷で仕留められると思ったんだけどね。でも、まさか雷を纏った水になるとは思わなくて、水素爆発を狙うしか手が思いつかなかったんだよ」


 肩を竦めながら自嘲気味に言う。


「やはり、水素爆発を知っていたか。その姿で転移者って言われても信用できねぇが、水素爆発を知っているなら、少しは考えても良いかもな」

「そりゃどうも」


 灰色の髪に灰色の瞳だもんね。


「で、手伝ってくれるってぇのは本当か?」

「ああ」

「じゃあ聞いて欲しい事がある」

「分かった。じゃあ俺達が取っている宿屋で良いか?」

「それで構わねぇ」


 そんな訳で、俺はスカルとその連れの女の子を宿屋に連れて来た。俺とナターシャの部屋に招いた。椅子をいくつか借りテーブルを囲む。

 俺、ナターシャ、キアラ、ラキア、スカル、連れの女の子。六人もいるな。

 とりあえずナターシャが全員分のお茶を用意してくれるのを待ち、それが俺の前に置かれると一口飲み、喉を湿らせてから口を開く。


「話を聞く前に自己紹介をしようか。俺はアーク。こっちは……」

「ナターシャさぁ」

「キアラです」

「ラキアだぞ」

「ディスファーレだ」


 それぞれ軽く頭を下げる。ファーレだけ俺の頭から降りて羽根で顔を隠すように優雅に頭を垂れた。その後、再び俺の頭の上に戻る。


「軽くナターシャ達に説明しておくとスカルは、予想通り転移者だった。なので転移者の好で困ってる事があれば手伝うって言ったんだ。まあまさか本当に来るとは思わなかったけどな」


 肩を竦め苦笑してしまう。


「アークらしいさぁ」

「そうですね。回りくどいのがアークです」

「主様よ、良くもまぁそんな無駄な事を。まぁ主様が決めた事なら我は構わぬがな。感謝しろよ」

「で、そっちは?」

「俺様は紅 骨根(スカル)だ。こっちは……」

「ビオサーラです」


 骨根って書いてスカルと読むのか。ほうほう。で、女の子はビオサーラね。


「じゃあ話を戻すけど、俺に具体的に何をして欲しいんだ?」

「お嬢の護衛」

「ちょっ! どう言う事!? 私より自分の事を考えなよ。スカルは負けちゃったんだよ?」

「だから、俺様は戻れないだろ」

「それは私が証言するから」

「何度も言うが無駄だっつーの」


 おいおい。そっちで話が纏まっていないのに来たのか?


「待て待て待て」


 俺は手を突き出し止めに入る。


「二人で話が纏まっていないようだけど、俺と最初に会った時もモメてたよな? それ決着付く話なのか?」

「たぶんつかねぇ」

「それはスカルが頑固だから」

「ちっげーよ。事実を言ってるだけっつーの!」

「だから待てって」


 はぁ~と溜息を付き頭を抱えてしまう。


「とりあえずさ、俺達と話してみないか? 転移者なら『毛利元就の三本の矢』って言葉知ってるだろ?」

「ああ」

「なんですかそれ?」


 キアラが小首を傾げた。


「要約すると毛利元就って人が矢が一本だと簡単折れるけど矢が三本だと折れ辛いぞって言ったって逸話だよ。つまり一人じゃ解決できなくても何人かで考えれば解決できるって教訓だな」

「なるほど。アークみたいな鬼畜外道ロリコンだけでなく、良い言葉を言うニンゲンもいるのですね」

「うっさいわ」

「ひゃあ!」

「お客さんがいるのに変な声を出すなよ」

「……アークが変なとこ触るからでしょう」


 顔を真っ赤にして言われてしまう。まあ例の如く羽根を触ったんだけど。


「……確かにロリコンだな」

「うん。それに外道で鬼畜みたい」


 やば! この二人には羽根が見えないから、俺が本当に変なとこ触ったと思われた。


「っつー事を言いたいとこだけど。今、てめぇ羽根触っただろ?」

「「「「えっ!?」」」」


 この骨根(スカル)の言葉には俺達は目を丸くしてしまう。


「てめぇら二人妖精族だろ? 羽根を見えなくしてるようだがな」


 キアラとラキアを見てそう言う。バレテーラ!!

 でも、闘気の上位互換っぽいのを持ってるからモロバレか。アルが使える索敵気法(さくてきほう)が使えるなら、空間を完全把握して隠している羽根もバレたのだろう。


「どう言う事? スカル」


 どうやらビオサーラは、気付いていないようだ。


「二人共、バレてるし羽根出しちゃえ」

「釈然としませんが」

「仕方ないのだ」


 キアラとラキアが羽根を出す。今度はビオサーラが目を丸くした。

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