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アサシンズ・トランジション ~引き篭りが異世界を渡り歩く事になりました~  作者: ユウキ
第十三章 レオン獣王国の武術大会
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EP.29 炎の四天王と戦いました

「デメックが世話になようだな」


 フォックスが飄々と話し掛けて来た。別に牽制とかそんな感じではなく試合前の挨拶と言った感じだ。


「強敵だった」

「の割には、随分オーバーダメージを与えていたようだけど?」


 心底分からないって感じで首を傾げる。


「水を解除すれば良かったんだ。俺には水素爆発させる手段しか思いつかなかった」

「水素爆発? まあ良い。我等の血脈術に対抗できないのか」


 フォックスがニヤリと笑う。あ~これ完全に炎になる気だ。


『それでは試合開始っ!!』


「<噴火魔法(ボルケーノ)>」


 開幕速攻で魔法が唱えられ、俺とフォックスの間で炎の壁が上がる。これキアラが足止めに使ってた魔法だよな。

 同じ使い方をするのか。まあ炎になりたければ勝手になってろ。俺も迎撃の準備で右小太刀を逆手に抜き構える。


「<我がレッドブラットの血脈に眠りし力よ、目覚めるが良い!>」


 どうやらフォックスが炎になったようだ。もう必要ないと言わんばかりに噴火魔法(ボルケーノ)を消す。


《これに対抗する手段がないのだよな?》

「それはブロック決勝までだ。何度も同じようなのを見れば手も思い付く。尤も通じるかは試してみないと分からんがな」

《ならば試して見るが良い》

「言われなくても。<ブリザー・ファング>」


 氷魔法剣の斬撃飛ばしを行う。


 ジュ~と音を鳴らし一瞬で消えてしまう。


《その程度なら》

「誰も一発とは言ってないぞ。<ブリザー・ファング>、<ブリザー・ファング>、<ブリザー・ファング>、<ブリザー・ファング>、<ブリザー・ファング>、<ブリザー・ファング>、<ブリザー・ファング>」

《ぬぉぉぉ~これは……》


 数出せば物凄い水蒸気が上がる。

 近付けないなら、遠くから連打で魔法剣を使えば良いのだ。デメックの時は、温存を気にして接近して魔法剣を使ってしまった。それが失敗だったのだ。それにどうせ今日の試合はこれで最後だ。温存は必要無い。


 それと前に沙耶が炎纏わせたまま連続で魔法薙刀の斬撃飛ばしをしていた。沙耶特有の力を身に付けたのかと思えば何てことはない。

 この世界の魔法は出すだけなら魔法名はいらない。魔法を出して形にするのに魔法名を確り言わないとMP消費が大きかったり、形のイメージ不足で不発したりと面倒だ。

 炎を出すだけ、風を起こすだけ、そして氷を小太刀に纏わせるだけなら魔法名はいらない。

 ならばずっと魔法を放出しっぱなしにしておけば魔法剣の斬撃飛ばしを連続で行えると言う訳だ。

 前の世界だったら魔法を使い、斬撃飛ばす。再び魔法使うと繰り返さないといけなかった。


《まだまだ~》

「<ブリザー・ファング>、<ブリザー・ファング>、<ブリザー・ファング>、<ブリザー・ファング>」


 なので、俺は逃げながら氷の魔法剣、ブリザー・ファングを飛ばしまくる。炎の状態でずっと追い掛けて来るが逃げ続ける。

 水蒸気が上がり、全く見えないが気配完知と魔力察知で、何処にいるか分かるしな。


《くっ! これまでか》


 どうやら炎を解除したようだ。


『これはどう言う事だー!? 全く見えない。アーク選手が氷の斬撃を連続で飛ばした結果、水蒸気で見えなくなったー』


「やるな」

「正直しんどいけどな。連続で使用するものでもないしアレ」


 やがて水蒸気が晴れてお互いの姿が見える。


『どうやらフォックス様の血脈の解放が解除されたようだ』


「ならばこれはどうだ? <陽炎漣衝>」


 来た! 実体のある分身だ。地面からゆらゆらと陽炎が上がり、やがてそれが姿を得てフォックスとなる。って言うか十人もいるのかよ? Bブロック決勝では四人しか出さなかっただろ。

 本人も含め十人が一斉に槍での攻撃をして来た。俺は小太刀をもう一振り抜き受ける。クソ! 捌きれねぇ。


「<分身魔法(アフタリミッジ)>」


 俺も十人になってやる。とは言え、こっちはただの分身だけど。


『おっとー! アーク選手も分身したー!! アーク選手の引き出しが相当多いように思われます。果たしてこのままフォックス様に迫れるか!?』


 司会の人、最初の男猫獣人より、やたら実況してるな。


「<風魔手裏剣>」


 風魔手裏剣を十個出し十人のフォックスにそろぞれ投げるが簡単に槍で弾かれてしまう。

 そして、十人掛かりで突きの応酬。俺の分身なんてちょっと攻撃されたら消えるし、あまり激しい動きは出来ないので、あっさり全員消えてしまった。


「ちぃぃ!」


 受け流す、受け流す、掠る、避ける、受け流す、刺さる、受け流す。きついなー。


「主上! <回復魔法(ヒール)>」


『ここでアーク選手の神獣が動いたー!! もしやヒーラーとして参加させていたのか!? それにしては、神獣を庇って傷を負っていた気がするが?』


 意味ないと言いたいんだろ? まあ実際そうだけど。だがファーレに任せてるのは、そんな事ではない。


「まだまだ行くぞ」


 フォックスの猛攻が続く。ちなみにだが、俺もやり返してフォックスを斬っている――正確には陽炎だけど――のだが、斬った側から新しく作られて行く。キリがない。


「主上、見つけました。<炎刃魔法(ファイアー・カッター)>」


 よし! 良くやった。

 ファーレが、羽根を振るって炎刃魔法(ファイアー・カッター)を飛ばす。その相手は勿論本物だ。ファーレの魔力視認で、注意深く観察して貰い本物を探して貰っていたのだ。

 観戦してる時にどのフォックスも同じ気配に感じた。魔力察知による感触も同じだ。つまりこの技は炎と幻魔法の複合で気配や魔力も誤認させていると思われる。


「ちぃ!」


 本物は炎刃魔法(ファイアー・カッター)を槍で弾く。しかしその槍で、ほんの一瞬死角を作ってしまう。それを突いて俺は肉薄した。


「おりゃ!」

「がはっ!」


 蹴りをドテ腹に決め場外に出す。しかし10秒ルールがあるので終わらないだろう。なので……、


「<クロス・ファングっ!!>」

「ぬぉぉぉぉっ!!」


 俺の十八番の闘気剣をぶつけてやる。それにより身代り護符(タリスマン)が損壊。

 よっしゃーー!! 勝てたーーー!! かなり厳しかったな。


「ファーレ、良くやったぞ」

「ご期待に添えたようで妾も満足です」


『フォックス様の身代り護符(タリスマン)の損壊を確認。勝者アーク選手っっ!! 凄い! 凄い! 凄い! この快進撃はどこまで続くのか!? 獣王国が誇る四天王を二人撃破。あと一人誰になるかまだ分かりませんが、もう一人四天王と戦う事になります。もしかしてこのまま勝ち獣王様と戦う権利を得るのかーー!?』


 獣王と戦う事がそんな凄い事なのか? まあ獣人からすれば名誉なんだろうけど。

 さて倒した事だし、鑑定するか。



 名前:フォックス=レッドブラット

 年齢:三十八歳

 レベル:92

 種族:紅狐族

 職業:陽炎槍士

 HP:9800

 MP:3200

 力:1800

 魔力:2500

 体力:1500

 俊敏:1800

 スキル:槍術LvMAX、闘気Lv3、獄炎魔法、幻影魔法Lv1、強化魔法Lv5、獣化

 称号:ゴブリンスレイヤー、オーガスレイヤー、ビーストスレイヤー、魔族スレイヤー、ドラゴンキラー、デーモンキラー、炎血脈、英雄



 やはりデメックと同じ上位を越える魔法を持っていたか。紅蓮魔法の上、獄炎魔法を。それに幻魔法の上位である幻影魔法も使えるのか。何にしても強敵だった。

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