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アサシンズ・トランジション ~引き篭りが異世界を渡り歩く事になりました~  作者: ユウキ
第十三章 レオン獣王国の武術大会
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EP.25 水の四天王と戦いました

 試合が開始された。さて、どう攻めるか。まずは様子見のが良いか。

 デメックの攻撃手段は三つ。一つは双剣術。これはまあ普通に対処できるだろう。俺も二刀流だしな。

 次に魔法剣らしきもの。これも俺の予想通り魔法剣なら対処可能。まあ予想通りならの話だけど。少し俺の知る魔法剣と違っていたので予想と違うかもしれない。

 最後に水化。これが一番問題だ。対処法が全く分からん。闘気を籠めて殴ればなんとなるのか?


「貴方は面白い戦い方をしましたね」


 対策を考えていたら話し掛けられた。


「そうか?」

「えぇ。第一回戦で態と派手に武舞台を壊し、その後を不戦勝にして体力温存と言ったところでしょうか?」

「別に隠す事じゃないしな。その通りだ」

「観客の皆さんは気付いていないようですが、貴方の強さは、あれだけでも十分恐ろしいと分かります」

「それは分からなくて良いかな。油断してくれると助かるんだけど」

「そうは行きません。いきなり全力で行かせて貰います。<雪月水華>」


 デメックの双剣が水の皮膜に覆われる。


「行きます」


 俺は小太刀二刀流で応戦する。


「はっ! はっ!」


 やはいスピードは大した事ない。避けるのは簡単だが、準決勝の事を考えると全力を出し辛いな。

 出し渋ってるとやられそうだし考えものだな。そう思いながら小太刀で双剣を受ける。


 ピキピキ……。


「っ!?」


 小太刀が凍って行く。確り闘気を籠めて対処したのにだ。ただの魔法剣ではないと言う事か。


「まだまだ行きますよ」


 ピキピキ……。


 ヤバい。手や腕まで凍って来た。俺は咄嗟に後ろに飛ぶ。


「ふ~。はっ!」


 気合と共に炎の魔法を使う。この世界は、ただ炎を出すだけ、風を出すだけ、氷を出すだけ。水を出すだけ等々、ただ出すだけなら魔法名はいらない。

 なので、今回は炎を出し小太刀に纏わせる。その熱で手や腕の氷も溶ける。


「貴方もスカルさんと同じ事が出来ますか」

「いや、あっちのが優秀だろ? 俺の知らない力を持っていやがる」

「そうですね。貴方のは闘気(・・)止まり(・・・)ですから」


 そう言って斬り掛かって来た。闘気止まり? なるほど少し分かった。闘気の上があるのだな。

 闘気解放レベル〇〇とかかな? まあ何でも良いや。今の俺には使えない。ないものねだりなんてしても仕方ないし。

 水双剣と炎双小太刀の斬り合いが始まる。ぶつかり合う度に水蒸気が上がり噎せ返るような暑さが支配する。スカルは良く平気だったな。熱苦しいわ。


「埒が開きませんね」


 そう言って今度はデメックが後ろに下がる。


「<我がブルーブラットの血脈……>」

「させるか」


 距離を詰める。水になられたら厳しい。


「っ!?」


 デメックは咄嗟に避ける。俺は距離を取られないように追い掛けまくる。


「そう来ますか」


『これは汚い! ブルーブラットの血脈を解放させないとは、そこまでして勝ちたいのかー!!』


 うっさいわ!! あの猫獣人、私情入りまくりだろ。


「ならば! <奔流よ、此処に! 暴食波魔法(グラトニー・ウェーブ)>」


 双剣で応戦しながら、デメックが何かの魔法を唱えた。何だ?

 デメックの足元から水が溢れる。それは大きく広がり俺に喰らい付こうとうねる。

 危険察知の警報が俺の中で鳴り響く。慌てて俺は空に逃げた。


「激流魔法を躱しますか。まあ時間を稼げましたので、良しとしましょう」


 激流魔法だって? 水系の上位じゃねぇか。それを短縮詠唱で放った? 水に関しては何もかもでたらめなんだな。そう言えばスカルも『でたらめだ』とか言っていたな。


「<我がブルーブラットの血脈に眠りし力よ、目覚めるなさい!>」


 俺が空に逃げている間に水になる詠唱のようなものを言い終えてしまった。

 さて、どうする? とりあえず闘気を籠めて斬るか。スカルのように多少弾けるかも?


「はっ!」

《無駄です!》


 全く斬れない。普通に水に飲まれた。ならば後ろに下がりつつ、再び炎の魔法で小太刀を炎で覆わせる。


「はっ!」


 一瞬で炎が消えた。スカルの時と大違いだ。しかも俺の腕に絡み付いた。このまま直ぐに離脱しないと呑み込まれるな。


「<分身魔法(アフタリミッジ)>」


 分身を囮に離脱。無駄だと思うが……、


「<風魔手裏剣>」


 風魔手裏剣を投げる。当然闘気を籠めてだ。しかし、水に呑まれてそのまま消えた。


《無駄ですよ》


 水になったデメックが分身を無視して追い掛けて来る。まあ獣人は鼻が良いしな。分かってたよ。

 俺は武舞台の端から端へ、更には空へと逃げ続けた。何処に逃げても追い掛けて来やがる。トロいのがせめての救いだが、どうにかしないとな。


『流石は不戦神話(笑)のアーク選手。逃げるしかできない。やはりまともに戦えないようだーー!!』


 おいコラ! 私情入り過ぎだぞ猫獣人の司会者。

 水って電気を通すんだよな。なら体が痺れてくれないかな。


下位稲妻魔法(サンダー)


 咄嗟なので、こっちの世界の魔法ではなく星々の(スターライト)世界の魔法を使ってしまう。


《知らない魔法ですね。雷系ですか? 無駄です》


 無駄どころか余計に凶悪になっていない?


「くぅぁああ!」


 魔法を唱えた隙に近付かれ、俺の足元に掠り、その瞬間全身が痺れた。あれただの水じゃなく電気を纏った水になりやがった。


「はぁぁぁああああっ!!」


 全身に闘気を張り巡らせ痺れた体を無理矢理動かす。

 電気を纏っていると言う事は、弱点を晒してるって事だ。俺は小太刀二振りをしまい小刀 光陽ノ影(こうようのえい)を取り出す。


《獲物を短くして、諦めたと言う訳ではなさそうですね。先程の獲物より不思議な力を感じます》


 正解。魔道具武装アーティファクト・ウエポンだしな。


「<下位火炎魔法(ファイヤー)>」


 下位火炎魔法(ファイヤー)をぶっ放すと同時に光陽ノ影に全力で闘気を流しバリアを張る。


 ドカドカドカドカドッカァァァァァアアンッッ!!


 大爆発が起きた。水が電気分解され、水素となってそれが爆発したのだ。


「がはっ!」


 デメックが爆発で元の狼族の姿に戻り丸焦げ状態で吹き飛ぶ。身代り護符(タリスマン)は損壊しており、オーバーダメージが入ったようだ。

 せっかく勝ったし、勝者の特権として鑑定させて貰うか。勝った後に鑑定しても遅いと思うけどね。



 名前:デメック=ブルーブラット

 年齢:三十四歳

 レベル:85

 種族:蒼狼族

 職業:大河剣士

 HP:11200

 MP:1500

 力:2400

 魔力:800

 体力:2000

 俊敏:1500

 スキル:剣術LvMAX、短剣術LvMAX、闘気Lv4、大河魔法、氷結魔法Lv7、強化魔法Lv4、獣化

 称号:ゴブリンスレイヤー、オーガスレイヤー、ビーストスレイヤー、ドラゴンキラー、デーモンキラー、水血脈、英雄



 大河魔法だと? サフィーネが言っていたのだな。稀に上位魔法を越え更に上に行ける者がいると。大河魔法は、確か水系の激流魔法の上の筈だ。通りで激流魔法を短縮詠唱で放つ訳だ。

 四天王だけあり、粛清とかで同族狩りでもしてのかね? ビーストスレイヤーがあるし。

 水血脈ってのが肉体を水に変化させてたのか? 何にしても強かった。こんなのがあと三人もいるのかよ。

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