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アサシンズ・トランジション ~引き篭りが異世界を渡り歩く事になりました~  作者: ユウキ
第十三章 レオン獣王国の武術大会
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EP.24 ブロック決勝が始まりました

 水になったデメックが骨根(スカル)に迫る。骨根(スカル)は右拳を突き出す。


「はっ!」


 水の一部が弾け飛んだ。


《やりますね》


 普通に考えたら拳が水に入るだけだろう。それが一部とは言え弾け飛んだのだ。やはり、あの力は闘気か?

 いや、何かが違う感じがする。何がどうとか分からないが、俺の中の直感があれはヤバいと囁いている。


 水は上に飛ぶ。ちなみに最初からだが、水は宙に浮いている。それが骨根(スカル)の真上に移動。


「ちっ! 何をする気だ?」


 骨根(スカル)が舌打ちする。骨根(スカル)には宙に攻撃する手段はないようだ。


《こうします》

「がばばば……」


 水は一気に落下し骨根(スカル)を包み込む。凶悪だな。溺れさせる気が。


『これは決まったかー!? 骨根(スカル)選手、中で藻掻いているようですが、抜け出せません!!』


 司会の人は、勝負がもう決まった気で喋っているな。


「………」


 藻掻いていた骨根(スカル)が大人しくなった。諦めたのか?

 いや、違う。瞑想してるかのように目を閉じ集中している感じだ。


「ふん!」


 全身に力を入れたような挙動をする。その瞬間水が弾けた。

 今の闘気解放? アルのユニークスキルだった闘気解放のようだ。一気に闘気を爆発させると言うもの。やはり骨根(スカル)は闘気を使っている? 

 でも、そうなると闘気レベルがMAXと言う事だ。なのに先程の会話的に獣王には及ばないらしい。

 と言う事は、この世界では闘気解放レベル〇〇ってスキルがあるって事か? それともやはり似て非なるもの?


 まあ何にしても骨根(スカル)は水から抜け出せた。

 ただ悲しいかな。相手は不定形の水だ。例えばこれが縄なら、千切って抜け出したと言う事になり、千切った物は、くっ付きはしない。

 しかし不定形の水は別だ。弾かれた事で形は変わったが直ぐに集まり、元の戻ってしまう。

 さて、骨根(スカル)はここから、どう対処するのだろうか……?


「<着火魔法(イグナイト)>」


 骨根(スカル)は魔法を唱えると拳や腕が燃え盛る。もしかして魔法剣ならぬ魔法拳か? その発想はなかったな。て言うか腕を直接燃やして火傷しないか? これもあの未知の力で防いでいる? いや闘気でも可能か? 分からない。マジで骨根(スカル)の力が分からないな。


「オラ! オラ! オォォラ!!」


 骨根(スカル)の反撃が始まる。拳の連打。水に当たる度に蒸発しているのか水蒸気が上がる。


《やりますね》


 これはたまらんと水を解除して普通の蒼い狼姿に戻る。


「<雪月水華>」


 再び雪月水華とやらを使うが、今までとは違う。雪の花が散り相手を凍らせると言うものだった。

 しかし、今回は双剣に水の皮膜をされたような感じだ。恐らくこれは魔法剣のようなものだろう。先程までは、魔法剣の斬撃飛ばしをしたってとこか?

 水の双剣……って、エアルリアと被ってるな。まああっちは精霊の力を借りないと出来ないけど。

 その水双剣と炎拳がぶつかり合う。当たる度に水蒸気が上がる。


「オラ! オラララ!」

「ふっ! はっ!」


 どっちも一歩も引かない。このまま長く続くと思われていたが……、


「くっ!」


 骨根(スカル)の炎が消えて片膝を付く。MP切れか?


「降参だ」


『ここで骨根(スカル)選手、降参の宣言だーー!! 四天王とここまで良い勝負するとは素晴らしい戦いでしたね。皆さん是非惜しみない拍手を』


 司会の人がそう言うと、拍手喝采が鳴り響く。


「良い試合でした」


 デメックが骨根(スカル)に右手を差し出す。


「でたらめな力だったけどな」


 骨根(スカル)は、そっぽ向きながらも、確りデメックの手を握り立ち上がる。その瞬間更に拍手の音が強くなった。


骨根(スカル)も強かったねぇ」

「炎を拳に纏わせるとか考えもしなかったですね」

「だが、負けていてな。これでは最初の予定通り主様とぶつかるのは四天王とやらなだな」

「主上ならデメックと言う者にも負けぬだろう」


 みんながそれぞれ感想を口にしていた。


「じゃ、俺は第三回戦に行って来る。まあ結果は見えているけど」


 そう言って控室に行く。そしてややあって呼ばれたので武舞台の方へ向かった。


『それでは第三回戦・第一試合を始めましょう。アーク選手、入場してください』


 司会の声が聞こえたので武舞台の上に上がる。

 で、やっぱり相手選手はビビって来ない。不戦勝を頂きました。オッズは700倍。どんどん嫌われています、ハイ。

 観客も怒ってるような泣いてるような。ご愁傷様です。賭け事は程々にね。


 その後、当然ながらデメックも勝ち進みブロック決勝を迎える。ブロック決勝まで進むとVIP席で観戦出来るので、まずはVIP席を見に行った。

 建物の中でガラス張りから観戦するようだ。お茶とちょっとしたつまみがある。今まで外だった事を考えると随分良いな。しかも観戦料が無料と来たもんだ。

 まあ俺は直ぐに試合に行くのだが。てな訳で控室に向かうと直ぐ呼ばれたので、武舞台の方へ向かう。


『遂にブロック決勝が始まります。では、アーク選手、入場です』


「「「「「「「「「「ブーブーっ!!」」」」」」」」」」


 ブーイング凄いな。


『アーク選手は今大会で、レオン獣王国武術大会始まって以来の行動を起こしました』


 え? ブロック決勝ともなると説明が付くの?


「まず、第一回戦・第一試合で武舞台を欠片も残さず破壊しクレーターを作りました。お陰でその後、全員アーク選手を恐れ不戦勝が続き決勝へ!! そして凄いのが賭博のオッズです!! 200倍から始まり400倍、700倍。そしてブロック決勝では、10000万倍。もっと言えば一人しかアーク選手に賭けていません」


 誰だよ? そんな酔狂な賭けしてる奴は。と言うかそもそも一人だけしか賭けてないとか悲しくなって来るな。

 ちなみに仲間達は決勝は賭ける必要はないって言ったから違うだろうな。


『つまり、ブロック決勝でアーク選手が勝てば、その賭けた者に大金貨が配当される訳ですね。勝てればですけどね』


 言い方に悪意を感じる。


『このように前例がないアーク選手。続きまして、四天王が一人デメック様!!!! どうぞ入場をお願い致します!!!!!』


 テンション全然違うやん。


「デメック様~~」

「どうかそんな卑怯者を倒してください」

「我らがデメック様。獣人の素晴らしさを是非その痴れ者に」


 アウェイ感が半端無いです、ハイ。

 で、そのデメックは観客席の方へ手を振る。


「「「「「「「「「「キャ~~~~」」」」」」」」」」


 めっちゃ黄色い声援があるな。べ、別に羨ましくなんてないんだからね! って、誰得だよ?


『それでは、不戦神話(笑)のアーク選手が我等が四天王に、どこまで喰らい付けるか!? では、試合始め!!』


 不戦神話(笑)って何だよ!? 司会の人は公平にやれよ。ひでぇ言い方だな。

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