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アサシンズ・トランジション ~引き篭りが異世界を渡り歩く事になりました~  作者: ユウキ
第十三章 レオン獣王国の武術大会
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EP.23 スカルが奮戦しました

 そして第二回戦第一試合が始まった。


『…………』


 始まったのだが……、


『五分以内に来られませんとニゲータ選手の失格負けとなりますよ?』


 相手の選手が来ないのだ。ニゲータだけに逃げた? はい、つまらないですね。

 まあこうなるのは計算していたけど、こんな上手く行くとは思わなかった。

 そう狙ったんだよね。それがパフォーマンスの意味も含めたミルキー〇ーズの代名詞クレーターパンチだ。

 あれだけの破壊力にビビって不戦勝になるようにと。

 なんせ準決勝まで今日中にやるので、体力は温存しておきたいしな。


『それでは、アーク選手の不戦勝です』


 狙ったけど。こうなったら良いなー程度にしか考えていなかったから、こうも簡単に行くとビックリだわ。しかも……、


「何なんだ? てめぇは!!」

「ふざけやがって!!」

「金返せよ!!!」


 半泣きになってる奴がいる。

 いや~~賭博の方もあんな脅しで勝つような真似をすれば倍率が上がるだろうとは思ったけど、オッズが400倍に跳ね上がるとはね。

 第一回戦より紙屑が飛んで来る。賭博の引換券だろう。俺が勝った事でゴミとなった。

 いや~~みんな俺に負けて欲しいんだろうな。だから更に挑発で手を振りながら武舞台か去って行く。

 予選で隠れていて、第一回戦でビビらせて、第二回戦では不戦勝っと。これは第三回戦のオッズが愉快な事になってるだろうな。黒い笑みが出てしまう。


「悪い顔してさぁ。狙ってたのかい?」


 観客席に行くと開口一番にナターシャにそう問われた。


「そうなったら良いなー程度に思ってのクレーターパンチだったんだけどね」

「流石アーク。悪どい事を考えさせたら天下一で……ひゃあん!」


 とりあえず失礼な事を言ってるので羽根を触って黙らせよう。


「なぁ主様よ、流石にあれは退屈だ。しかも賭博より問題が観客席のお金を取られるのに試合が見れない事じゃないかのか?」

「ラキアがまとな事を言っておるな」

「先輩まで酷いではないか」

「だから、貴女に先輩と言われたくありません。気持ち悪いと言っておろう」


 確かにラキアがまともな事を言ってる。しかもそれに突っ込んだの珍しくファーレだ。

 その後観戦したが、第二回戦・第二試合~第三試合は、つまらん。獣化してのゴリ押ししか出来んのか?

 そして本命の第四試合が来た。


『それでは第二回戦・第四試合行って見ましょう。まずは第一回戦で圧倒的な強さを見せたスカル選手、どうぞ入場してください』


 転移者のスカルだ。この試合で、あの未知の力の正体が分かれば良いが。いや、それ以前に勝てるかどうか。なんせ相手は……、


『続けて我等がレオン獣王国の四天王デメック様だーーっ!! 入場お願いします』


 そう四天王の一人だ。


『スカル選手が、どこまでデメック様に喰らい付けるかが注目ですね。それでは試合開始!!』


 そして、Aブロック一番の注目の一戦が始まった。このどちらかが俺の最大の障害になるだろう。

 最初はお互い様子見。動かない。動かない。動かない。5分くらい睨み合ったままだった。


「ふむ。では、私から行かせて貰いましょう」

「お手柔らかに頼むぜ。俺様じゃ勝てる気しないからな」

「ご謙遜を」


 デメックが双剣で斬り掛かる。第一回戦で見せた時より速い。それでも圧倒的って感じではないな。

 恐らくデメックはスピード主体の戦闘ではないのだろう。


「ふっ! はっ!」

「ちぃぃ!」


 デメックの双剣をスカルの腕で弾く。双拳で相手をする……って、つまらんわ!

 にしても、素手で弾くとかやるな。出来ない事はない。闘気を腕に集中させれば良いのだから。

 ただ、腕に集めた分、他に回せなくなる。例えば隙を突かれ脇を斬られた時にそこに闘気を集められなくてダメージが大きくなる。

 なので、気の重点移動と呼ばれる闘気を集めたい場所に瞬時に集める技法、またそれを使うには索敵気法(さくてきほう)と呼ばれる、どこを攻撃して来るか瞬時に見極める技法が必要だ。

 両方アルが得意とするとこだが、気の重点移動はともかく索敵気法(さくてきほう)は、俺には出来ない。

 なので、拳だけで応戦なんて格下以外怖くて出来ない。


 それをスカルがやっていると言う事は、気の重点移動も索敵気法も両方出来ると言う事か?

 実際拳で捌けなかった双剣が脇腹や足等様々な場所に攻撃するが、服弾けても無傷だ。

 傷を受けても闘気で止血してるのではなく最初から傷がない。アルと同じ事が出来る奴がいるとはな。

 それにうらやましいぜ。索敵気法は、俺が何度も練習してるが、未だにヒントすら掴めない。


「やはり、貴方は獣王様と同じ力をお持ちですか」

「はん! 俺のなんて素人に毛が生えた程度だ」

「でしょうね。獣王様ならとっくに私の双剣が粉々になっているでしょう」

「ちっ! でたらめだぜ」


 スカルが舌打ちする。

 双剣が粉々? いくら闘気レベルが高くても余程の格下ではないと粉々にはできない。折る事はできるだろうが。

 つまり、デメックはスカルの持つ未知の力を正体を知ってるって事だ。

 闘気と似て非なるもの……一体何だ? 今のところは闘気と同じ事をしてるように見えるが……。第一回戦で見せた不思議な攻撃はしていない。


「そろそろ小手調べは終いにしましょう。<雪月水華>」


 第一回戦で見せた雪が舞う攻撃だ。それを拳で受けるスカル。


「ちぃぃ!」


 多少凍傷しているが防ぎ切った。やはりスカルは相当強いな。


「雪月水華まで防ぎますか。ならば……」


 デメックが後方に飛ぶ。獣化か? 隙が出来るから距離を取ったってとこだろう。


「<我がブルーブラットの血脈に眠りし力よ、目覚めるなさい!>」


 予想に反して獣化ではなかった。デメックが一瞬だけピッカーンっと光ると水になった。そう文字通り『水』になったのだ。


『おっとー! これは四天王の中に眠る血脈を呼び覚ましたー!!! 同じ四天王の相手以外で、これをするのは久々の事です。それだけスカル選手が強いのでしょう!!』


 四天王の特有の力なのか? それも四天王の通しにしか、しない程の強さを秘めている? 水が?

 いや、違うな。水だからこそか。不定形になったせいで、まともな物理攻撃が効かないと言う事か。

 さーて、面白くなって来たな。スカルはどう対処する? あの未知の力の片鱗を見せてくれれば良いが……。

 もしスカルが勝った場合に備えて、あの力がどんなものか把握しておきたいな。

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