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アサシンズ・トランジション ~引き篭りが異世界を渡り歩く事になりました~  作者: ユウキ
第十三章 レオン獣王国の武術大会
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EP.20 オッズ200倍でした

 本選開始の日、Aブロック会場に行った。

 観客席は一人中銀貨一枚……文化が違うので目安だが日本円で一万円だ。高くね? まあレオン獣王国の大事な収益らしいけど。

 それに審判や受付等の係員の人件費に武舞台が破損すればその代金があるので全額懐に入る訳ではないようだけど。


「仮にブロック決勝まで行けたとして全試合観戦すると四人で大銀貨五枚に中銀貨六枚。俺が三試合出るから、その分を引いて大銀貨五枚に中銀貨三枚の53万ギルか」

「結構掛かるねぇ」


 ナターシャが渋い顔をした。

 まぁ日本円で53万円だもんな。まあでもブロック優勝で小金貨一枚、優勝で中金貨一枚……つまり日本円でそれぞれ100万円と1000万円になるので、勝てれば儲けになるんだけど、勝てる保証なんてないしな。


「問題なかろう。アレを見ろ」


 ラキアが指差す。


「流石アーク、嫌われていますね」

「うるせー」

「ひゃっ!」


 キアラの言葉にイラっと来たので、見えなくしてる羽根を撫でてやった。良い声出しやがる。


「嬌声が凄いぞ。いやらしい奴」

「……煩いです。鬼畜アーク」


 顔を真っ赤にしてボソっと呟かれる。


「一日中撫でまわしてやろうか?」

「どこまで外道なのですか!?」

「そんな事をすれば姉上のアヘ顔が止まらなくなるだろうな」

「貴女はもっと慎みある発言をしなさい」


 でだ、ラキアが指差したとこでは、賭博をやっていた。で、俺はと言うとオッズが200倍。

 はい、キアラの言う通り嫌われています。


「あんな勝ち方するからさぁ」

「勝てば良いんだよ。ルール違反もしていないしな」

「ともかく小銀貨一枚でも賭ければ観戦料は、余裕で手に入るぞ」

「俺が勝てばな」

「主様が一回戦すら勝てないとか有り得ないないだろ」

「まあ確かに一番厄介そうなのとは、ブロック決勝まで当たらないだろうけど」


 Aブロックの十六番目に配置されているのは、予選を免除されたレオン獣王国の四天王の一人とやらだ。

 つまり一番目の俺と真逆に配置されている訳だな。

 名前は、デメック・ブルーブラット。種族は蒼狼族。流石四天王だけはあって、これくらいの情報なら直ぐに手に入った。


「じゃあアークに賭けるかい? 小銀貨一枚なら痛手じゃないさぁ」

「ブロック決勝まで、それで行こう」

「弱気だねぇ」

「いや、ブロック決勝で勝てばどっちにしろ賞金が手に入るし、荒稼ぎする必要もないだろ」

「そうかい?」

「主上なら、ブロック優勝どころか優勝すると妾は思いますが」

「ファーレの期待が重い」

「やはりビビリアークですね……ひゃっ!」


 再び見えなくしているキアラの羽根を撫でる。


「良い声だすね。変態妖精が」

「変態妖精!? みだりに羽根を触る鬼畜アークに言われたくありません」

「なら、次回からナターシャに触って貰おう」

「どこまでも、腐れ外道ですね」

「ラキアは自己主張しないのかい? こう言う時、『我のを触らせてやる』とか言いそうだけどねぇ」


 ナターシャが不思議に思ったのかラキアに尋ねていた。まあ羽根だからな。


「羽根以外なら、主様にどこでも触らせてやるぞ。羽根だけは勘弁なのだ。だが、主様がどうしてもってのなら考えてやらん事はないがな」


 ほら、羽根は嫌がるんだよな~。


「アーク、触るんじゃないよ? 触るのはあたいのだけさぁ」

「どこの話をしてるんだよ!?」

「最近はナターシャのを触りまくってるのだろ? 今日は我のを触っておくれ、主様よ」

「だから、どこの話をしてるんだよ!?」

「羽根以外全てだ」


 知らんわ!


「変態姉妹妖精は無視して、そろそろ行くわ。最初の試合だしな」

「ウチも変態にしないでください。慎みがないのは妹だけです」

「いや、お前のが変態だろ。さっきから凄い声ばかり出して」

「煩いです」


 先程の事を思い出したのだろう。顔が真っ赤だ。


「頑張るさぁ」

「勝利を期待しております。主上」

「主様よ、応援してやるのだ」

「おう」


 こうして俺一人控室に向かった。そして控室で待つ事暫くして……、


「アーク選手、準備を。試合会場の方へ向かってください」

「分かった」


 呼ばれたので、試合会場へ向かった。


『さーて、Aブロック第一試合がもう間もなく開始されます。まずは人族からアーク選手入場です』


「消えろー!!」

「チキン野郎ーー!!」

「腰抜けーーー!!」

「「「「「「「「「「帰れ! 帰れ! 帰れ! 帰れ! 帰れ! 帰れ! 帰れ! 帰れ! 帰れ! 帰れ! 帰れ! 帰れ! 帰れ!」」」」」」」」」」


 また帰れコールかよ。アウェイ感が半端無いな。


『続けて、赤狸族からレンディー選手入場です』


 うどんですか? 赤い狸うど……もとい赤狸族のレンディーとやらが、俺とは反対の入場口から現れる。うん、見た目は狸だね。


「そのチキン野郎を倒せ」

「どうせ臆病風を吹かせるだけだ! やってしまえ!!」


 やっぱアウェイ感が半端無い。


『それでは第一試合……始めっ!!』


 開始と同時に空高く舞い上がった。そして一気に落下!!


「プリティー・シューティングスターっ!!」


 か、ら、の~~っ!!


「クレーターパンチっ!!」


 ミル〇ーローズの代名詞クレーターパンチを放った。


 ドゴォォォォォォォォォォォオオオンンンンっっ!!


 ただ単に上空から一気に落下し、武舞台のど真ん中を殴っただけなんだけど。ただ闘気を籠めそのまま殴ってもクレーターにはならない。そこまでの力は俺には無い。

 なので、上空から落下の勢いもプラスさせて、クレーターにしたのだ。

 そうクレーターだ。もう武舞台は無い。武舞台があったとこが、そっくりそのままクレーターになってしまった。

 ちなみにレンディーとやらは、吹き飛ばされ震えている。あ、漏らしてるし。開始早々武舞台がなくなちゃったし、めっちゃビビったのだろう。


『これは……なんと! な・ん・と第一試合開始早々武舞台がなくなりました!!! 前例がありません。今年は武舞台が破壊されるまでが最速です。さ・い・そ・く!!!』


 司会の人、ノリ良いな。


『しかも、欠片も残らないとか前代未聞! ぜ・ん・だ・い・み・も・ん!!! と、私が実況してる間に10秒経ちました! よって勝者はアーク選手』


 あ、しょっぱい勝ち方だな。場外負けにしたのか。


「クソ! やってられるか!!」

「金返せ!!」

「隠れるか脅すしかできないのか!?」

「このビビり野郎!!」


 どっちにしろ罵倒されるんだな。観客席の連中煩いさいし、紙屑を投げられる。賭博の引換券だな。俺が勝った時点で、ただの紙屑だしなぁ。


「「「「「「「「「「帰れ! 帰れ! 帰れ! 帰れ! 帰れ! 帰れ! 帰れ! 帰れ! 帰れ! 帰れ! 帰れ! 帰れ! 帰れ!」」」」」」」」」」


 はいはい。終わったし帰るよ。第二回戦で戻って来るけど。

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