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アサシンズ・トランジション ~引き篭りが異世界を渡り歩く事になりました~  作者: ユウキ
第十三章 レオン獣王国の武術大会
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EP.14 久々に伝心が来ました

 -1805――――月陸歴1516年5月16日



 エアルリアが右から来たのでバックステップで躱す。すると今度はラーニャが後ろから槌を振り下ろして来たので左手で受け止めた。


「吾輩の真なる……」

「<風魔手裏剣>」


 煩いのを黙らせる。


「アーク殿、覚悟!」

「言ってる暇があったら攻撃しろ」

「がは!」


 精霊族Aに掌打で撃沈。

 正面からエアルリアが来る右の短剣を振り下ろして来たので半身を反らす。続けて左の短剣を突いて来たので一歩下がる。


「喰らい尽……」

「<風魔手裏剣>」


 煩いのを黙らせる。


「おわっと!」


 足元が少し浮く。ラーニャの地形操作か。少し隙が出来てしまう。そこを突いて……、


「水剣!」


 エアルリアの左短剣を突いて来ていたので、その刀身をそのまま伸ばす。奇策としては使えると言ったしな。

 しかし俺は右手に闘気を集め短剣の腹を触り横に反らす。続けて左手で右に投擲。右からクーリンディアの矢が飛んで来ていたからだ。

 タイミングは良かった。しかも右手で攻撃を反らしたので、右から攻撃されるのは厄介と言うのもある。しかし残念。左手が空いている。そのまま矢を弾く。

 第二射、第三射が来るがもう自由に動けるので普通に躱す。次に精霊族Bが後ろから斬り掛かって来るが、一瞬で更にそいつの後ろに回りながら短剣を抜き柄で首を殴打。


「黙示録に記載されし……」

「<風魔手裏剣>」


 煩いのを黙らせる。


「はっ!!」


 今度は精霊族C、Dの左右同時攻撃。空を飛びやり過ごす。が、ラーニャが大地に大きな岩の杭を発生させ俺のとこまで伸ばして来る。


「だぁぁぁっ!!」


 その杭を真っ二つに短剣で斬り左右に別れた岩を弾き精霊族C、Dを撃沈させる。それと同時に後ろから矢が飛んで来た。また良いタイミングだ。しかし、まだ甘い。

 自分の周りに突風を発生させ矢を弾く。


「吾輩の聖なる……」

「<風魔手裏剣>」


 煩いのを黙らせる。

 そんな感じで精霊族E、F、G……Hは無視して、I、J、K、Lを蹴散らして行く。そして、最後に残ったエアルリア、ラーニャ、クーリンディアを倒した。


「吾輩をラストバトルにするとは……。くくく……分かるぞ! ふーはっははは! 吾輩を恐れているのだ……」

「はい終了ーーー!!」


 煩いのは無視して終了の宣言をする。


「流石主様よ。相変わらず数がいても話にならぬな。褒めてやるぞ」

「やはりアークは、鬼畜の極みですね」

「主上、お疲れ様です」


 空を飛んでいた二人と一羽が労ってくれる。いや、二人は労ってるのか? 一人は完全に毒舌だし。


「エアルリア、コンパクトに攻めるようになったのは良いな。クーリンディアは小細工が上手くなった」

「お褒め頂き感謝致しますわ」

「小細工と言われ微妙なとこだが、私に必要な事でもあるしな。稽古感謝する」

「ラーニャは……」

「何ヨ?」


 むっと口をへの字にして来る。


「小技とかして来て良いは良いんだけどさ。やはりどうしても闘気のレベルを上げるの先だと思ってしまうんだよな」

「そればかりダネ。まぁアークを見ていれば必要な事だとは分かるんだけどネ」


 この集落に来てもう一ヶ月。大分周りと打ち解けて来た。もう俺に敵意を向けて来る奴はいない。

 たまにこうして、訓練してるのが良いのかもしれない。とは言え、まだまだ弱い奴をまとめてであるが。

 強い奴はマジで強い。そんなのが混ざっていたら、俺も本気になり、他の連中を殺しかねない。まあそう言う相手とは一対一(サシ)でやってるんだけど。

 何度やっても勝てない奴もいる。流石は精霊族と言うべきが、歳を重ねているだけはある。

 それともう一つ分かった事は、此処にいる連中は独学だ。教える者がいない。強者の戦いを見て真似する事はあっても、教わる事はほとんどないのだ。それ故に能力を活かしきれていなかったと言う訳だ。

 それでいて今まで人間を舐めていた。徒党を組めば勝てない相手ではないと思っており、年配の者達は若い者達に技を伝授していなかった。


「ふー。今日も良い汗を掻いたな」

「なら、家でお風呂を沸かしましょう」

「我も一緒に入ってや……」

「いらん!」

「何故だ!?」

「入るならキアラが良い」

「気持ち悪いですよ、アーク」


 ラキアは目を剥き、キアラはドン引きし出す。お馴染みの光景になって来た気がする。前はキアラは顔を赤くしていたのに今じゃ普通に毒舌を返して来るようになった。


「たまには入ろうぜ、キアラ」

「我が……」

「だからラキアはいらない」

「何故だ!?」

「キアラのが可愛いから」

「むむむ……」


 ぶっちゃけ見た目は、赤いか青いかしか違いはないんだけど。


「で、どうなんだ? キアラ」

「目を潰しても良いのでしたら入りましょうか」

「つまり、目隠しすればOKって事?」

「……まぁ、それでも良いでしょう」


 げんなりして、かなり嫌々そう言う。


「目が見えないと困るからキアラに抱き着いて入るな」

「貴方、気配完知あるでしょう!?」


 ニヤリと悪い笑みで返すと目を剥くキアラ。


「姉上はいつも誘われて良いのだ」

「ウチは最悪ですけどね。こんな腐れ外道に誘われるなんて」


 うわ! 『腐れ』まで追加された。


「じゃあせめて今日は一緒に寝るか」

「何が『せめて』なのですか?」

「寝るくらい構わないだろ?」

「それならまぁ……って、騙されませんからね!? 寝るだけと言いながら、いやらしい事をするに決まっています。鬼畜ロリコンなんですから」

「添い寝なら我が……」

「それは結構!」

「せめて最後まで……」

「さて、冗談はここまでにして」

「どこまでが冗談だったのですか!?」


 はい、もうテンプレですね。

 と、そこで久々に伝心魔道具(スマートシーバー)が鳴る。誰からだろう?


「もしもし?」

『アークかい? 久しぶりだねぇ』


 ナターシャか。


「いや、まだ一ヶ月くらいしか経ってないから」

『あたいがいなくて寂しくなかったかい?』

「そうだねー。下半身が寂しかったねー」

『……矯正一発覚悟しとくんだねぇ? その後なら、仕方ないから相手してあげるさぁ』

「寂しかったねぇ……って言えば満足?」

『矯正百発ッッ!!』

「ごめんなさい」


 めっちゃドスの効いた声だった。


「で、どうした?」

『近々レオン獣王国で武術大会が開催されるんだけど、アークは参加する気ないかい?』

「その心は?」

『アークに久々に会いたい』

「下半身が寂しいのですね。分かります」

『アークと一緒にしないで欲しいねぇ』

「じゃあ全く持って寂しくない?」

『……寂しい』


 ボソっと呟く。そもそもナターシャが寂しくない筈がないんだよ。アークさんはお見通しです。


「で、その大会やらは出場する意味あるのか?」

『優勝すれば獣王とも戦うみたいでさぁ。つまり、優勝すれば王の覚えが良いんじゃないかい?』

「なるほど。国とのコネは必要だしな。分かった。一週間くらいしたらポロック村に行くから合流しようか」

『分かったさぁ』

「ちなみにいつ?」

『五月の下旬に受付終了で、六月頭から予選開始さぁ』


 今は、五月中旬だから結構ギリギリだな。


「分かった」

『それじゃ一週間後に』


 伝心が切れた。

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