EP.07 精霊族に舐められました
精霊を呼び出したり、霊人一体してる間に鑑定で四人のステータスを確認していた。
それがこれだ。はいドドーンっ!! って、地の精霊グノームの登場の台詞と被ってしまった。
名前:ハルラス
年齢:百二十七歳
レベル:90
種族:妖精族
職業:ファランクス
HP:5300
MP:1200
力:2400
魔力:800
体力:600
俊敏:3300
スキル:槍術LvMAX、闘気Lv3、大地魔法Lv6、幻覚魔法Lv4、強化魔法Lv4、精霊魔法、浮遊
称号:ゴブリンスレイヤー、オーガスレイヤー
契約精霊:木の精霊ドライヤード
名前:クーリンディア
年齢:十歳
レベル:32
種族:ダークエルフ族
職業:狩人
HP:3700
MP:1800
力:480
魔力:450
体力:350
俊敏:700
スキル:弓術Lv5、隠密Lv7、炎魔法Lv7、精霊魔法
称号:百中
契約精霊:火の精霊バルカン
名前:ラーニャ
年齢:九歳
レベル:30
種族:エルダーダワーフ族
職業:槌戦士
HP:5500
MP:900
力:700
魔力:200
体力:500
俊敏:200
スキル:槌術Lv4、闘気Lv1、土魔法Lv8、精霊魔法、痛覚鈍化
称号:地形
契約精霊:地の精霊グノーム
名前:エアルリア
年齢:八歳
レベル:27
種族:ハイエルフ族
職業:精霊術師
HP:3200
MP:2600→2860 (魔術により)
力:250
魔力:800→880 (魔術により)
体力:250
俊敏:900
スキル:短剣術Lv4、水流魔法Lv3、氷魔法Lv2、風魔法Lv2、光魔法Lv1、治療魔法Lv2、精霊魔法
称号:魔術
契約精霊:水の精霊ウィンディーネ
完全に俺を舐めてますね~。それとも霊人一体があれば人間如き撃退できるとか驕ってるのか?
ハルラスだけだろ。まともに強いの。中二病だけど。
いや、若い者に実戦経験を積ませるとか言ってたし舐めてるな。十歳以下の相手するとか子供を虐めてるみたいで嫌だな~。
それにハルラスだけ127歳とか結構年齢行ってるし。もしかして残念姉妹の次に若い妖精族なのか?
それからハルラスは、強化魔法ってのがあるな。魔法を覚えると、それがどんな魔法に限らず身体強化も覚えられる。と、ウルールカ女王国の王城の書庫にあった本に書いてあった。
その身体強化を反復で使い続けると強化魔法を覚えるとか。そしてこれのレベルを上げると身体強化の効果が上がったり、他に体力強化、魔力強化とか個別の強化魔法も覚えられるらしい。つまり自分だけに使用出来るバフ。
身体強化の上位のものも覚えられるようだけど、闘気のレベルを上げているので、俺には関係ないな。仮に強化魔法の方が効果が上でも、それを使いながら魔法剣とか使ったら即MP枯渇しそうだし。
さて、何にしても殺さないように手加減とかめんどいなこれ。他にも二十人くらいるし、援護に回すみたいな事言っていたが、強者の気配もあるんだよな。だから余計にめんどい。
「焼き尽くせ!」
先に動いたのはクーリンディアだ。霊人一体により、炎の矢を連射して来た。まあ霊人一体しないと炎の矢を飛ばせない時点でアレなんだよな。
「よっと!」
全て斬り咲いてやる。闘気を流せば魔法だって斬れるしな。
「なん……だと!?」
クーリンディアが目を剥きつつも下がって行く。まあ遠くからの攻撃が十八番のようだし、それは正解だな。隠密レベルも高位だし。いや、不正解か。自分と相手との能力差が分かっていない。
ちなみにコイツの称号である百中は、同格以下なら絶対当てると言うものだ。よって避けようとと思えば簡単に避けられる。
事実、最初にあいつが遠くから弓を放って来てた時、全部避けていたし。その時点で格が違うのは明白。それに気付かないとか宝の持ち腐れだ。
「行きますわ!」
続けてエアルリアが前に突っ込んで来た。短剣を二刀流に手数で攻める気だな。俺が炎の矢の対処に精一杯になってると勘違いしているのだろう。
だが、それは悪手だ。エアルリアは魔法戦を遠距離からした方が良いだろうに。
俺は炎の矢を避けつつ短剣を受ける。
「水剣!」
「おわっと!」
今のは焦った。水の力で刀身が伸びるだもんな。短剣と言うより長剣の二刀流になった。いや、長剣どころか槍くらい長い。
残念過ぎる。こんな長くして素早く動けないだろ。ハルラスの除いた三人の中で一番俊敏が高いのにそれを活かしていない。奇をてらった攻撃でしかない。
「はっ!!」
続けてラーニャだ。上に飛び上がり槌を振り下ろして来る。それに合わせてエアルリアが下がる。まあ連携は及第点か。
だが、そんな大振り当たらないな。
ゴゴゴ……っ!!
こいつの持つ称号、地形は地形変動を起こすものだ。よって、槌を地面に打ち付けて地割れを起こし槌の一撃を避けた俺を吞み込もうとする。
だが、鑑定で事前に知っていた俺は分身魔法を囮に地割れの範囲外に行った。
「おろ?」
木の根が俺の足に絡み付く。ハルラスの右手から伸びた木の根が俺を捕らえたのだ。やっぱりこいつが一番優秀だな。中二病だけど。
「血の精霊を御したところで、吾輩の鬼の精霊の餌食になるが良い。いざ深淵に! これが新たな伝説の……」
「良くやりましたわ、ハルラスさん。後はわたくしが」
血やら鬼やら、ニュアンス違くない? これだから中二病は疲れる。しかも木の根で俺が完全に捕まったと思ったのかエアルリアが突っ込んで来るし。だからお前は魔法で援護しておけよ。アホ過ぎる。だが、中二病台詞を遮ったのはナイス!
にしても、今のところ炎、水、地は魔法や闘気でどうにかできそうな技しか使っていないな。いや、それしかまだできないのか?
それに比べ木の精霊は、魔法や闘気じゃ出来ない事をするようだな。
「<下位火炎魔法>」
下位火炎魔法を唱え、俺の短剣と小刀に炎を纏わせる。
次に遠くから飛んで来たクーリンディアの炎の矢を斬り咲き、そのまま木の根を焼き斬る。自由になった状態でエアルリアと肉薄する。
「なんですの!? 今の魔法は」
目を剥きつつ水で刀身が長くなった短剣で斬り掛かって来る。が、全て蒸発させてやる。
「別の世界の魔法」
「有り得ませんわ」
「またそれか」
律儀に答えてやったのに、こいつ頭硬過ぎだ。
さて、こいつらはもう満足しただろ。そろそろ終わらせるか。
「まず、お前。半端過ぎる」
「なにを?」
「色々手を伸ばし過ぎて一つ一つがお話にならないんだよ」
そう言いながら後ろに回り小刀の峰で首チョンで気絶。そのまま一瞬でラーニャのとこに移動。
「なっ!? 速い」
「お前はせっかく若いうちに闘気を手にしてるのに精霊なんかに頼るなよ」
「なにを?」
「もっと闘気を扱えるようになってから精霊を使えば、色んな事出来る……」
喋ってる最中に槌を振り下ろそうとして来た。俺は小刀も短剣も鞘にしまい左手の人差し指だけで槌を止める。
「なっ!?」
「例えばこんな風に簡単に攻撃を止められるんだよ」
そして、腹に右手で掌打を入れ気絶させる。続けてクーリンディアだな。隠密は優秀だったが慣れてしまえばどうって事はない。即座に目の前に行った。
「お前は、姿を現した時点で詰んでるだよ。味方がいるなら囮にして完全にもう一度姿消せよ。何弓撃ちながら下がってるんだ?」
「煩い!」
「あっそ」
短剣を抜き柄で首を殴打し気絶させる。さて残り一人だな。中二病患者が最後に残った。いや、一気に三人片付けたせいで、本当の強者が重い腰を上げるかもな。