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アサシンズ・トランジション ~引き篭りが異世界を渡り歩く事になりました~  作者: ユウキ
第十三章 レオン獣王国の武術大会
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EP.04 妖精族はみんな頭イってました

 朝、目覚めると体をほぐした。五日間ぶっ倒れていたので体が凝り固まっているし。

 今日は世界樹の集落に行くが、確実に戦闘になりそうだな。あのダメ姉妹に間を取り持つよう頼んだけど役に立たなそうだしな。ダメ姉妹だし。

 そんな訳で、ストレッチしておかないとな。


「おはようございます、主上」


 俺の隣で寝ていたファーレが目を覚ます。


「ああ、おはよう」

「おはようございます。もう起きていたのですね」


 続けて岩の蔵の家からキアラが出て来た。


「おはよう、残念姉妖精」

「……朝から最悪な呼び方ですね」


 キアラがげんなりする。


「それより、不遜妹妖精は?」

「それより!? しかも不遜妹? 確かに不遜ですが、良くもまぁ次々に変な呼び方をしますね」


 続けて目を剥く。


「で、ラキアは?」

「もう起きてますよ。ウチより遅かったので準備に手間取っています」

「おはようなのだ、主様」

「あ、煩いのが出て来た」

「朝から酷いではないか、我が主様よ」


 の、割には嬉しそうに体をクネクネしてるじゃんか。マジでキモいなー。でも、本人にはっきりそう言ったら余計キモくなりそうだな。


「じゃあ、まずはキアラ。おはようのチューでもして貰おうか」

「お断りします。幼女趣味の人にするのは気持ち悪くて吐き気しかしません」


 相変わらずの毒舌だな。しかも丁寧語で。


「なら我が……」

「いらん!」

「何故だぁぁ!? せめて最後まで……」

「じゃあ行こうか、キアラ」

「はい」

「だから最後まで……」

「ラキアは来なくて良い」

「だから最後まで……」

「煩い」

「扱いが雑だぁぁ!?」

「朝から煩いですよ、ラキア」


 キアラにまで言われてやんの。


「我も行くぞ」

「来なくて良い」

「何故だぁぁ!?」

「役に立たなそう」

「酷いではないかぁ!?」


 ラキアをぞんざいに扱いつつ集落に向かう。ちなみにファーレは俺の頭に乗っている。


「ん? 此処か」


 歩いて数時間、結界の起点だと感じる場所で足を止める。


「そうです、主上」

「良く分かりましたね」

「流石は我が主様なのだ」

「まあ魔力察知ってスキル持ってるから、なんとなく分かるんだよ」

「通りでウチの魔法を避けられたわけですね」

「あ、それは別のスキル」

「そうなのですか? 多才なのですね、アークは」

「流石は主様だな」

「まぁな」

「では、結界を解きましょう」

「頼む」

「我に任しておけ」

「………」

「何故、我だけ無視するのだぁぁ!?」

「あ、いたの?」


 まあ態とだけど。


「酷いではないかぁ!?」

「良いから、早くしますよ」

「うむ。では、姉上行くのだ」

「えぇ」


 二人がたぶん結界の起点に触れ……いや、見えないけど。結界に起点と思われる空間に触れ一瞬だけ光る。次の瞬間魔力の流れが一気に変わったのが分かった。

 そして何よりも、数秒前は見えなかったのにバカでかい木が(そび)え立っているのが見えた。あれが世界樹か。雲を突き抜け天辺が見えない。

 何よりも距離が全く分からない。数分歩けば到着しそうにも見えるし、何時間も掛かりそうにも見える。余りにも大きいと距離が分からないっての良い例だな。


「あれ何mあるんだ?」

「3700mです」


 俺の疑問にキアラが答える。


「富士山かよっ!?」

「フジ、さん?」

「主様よ、それは誰なのだ?」

「……いや、良い」


 山だよ! 人じゃねぇっちゅーねん。


「アーク、これより警戒をした方が良いです。同族が問答無用で襲い掛かって来ると思われます」


 キアラが真剣な表情で言って来た。


「ああ……ならファーレを頼む。俺の頭にいるより安全だろう」


 そう言って俺は頭にいたファーレをキアラの頭に乗せた。


「間違ってもラキアに渡すなよ?」

「勿論です」

「何故だ!?」

「二度目になるけどファーレ、言ってやれ」

「気持ち悪いです」

「先輩、酷いではないか」

「それが気持ち悪いと言うのだ。貴女に妾を守護して貰いたくない。例え主上に危険と言われても主上の頭にいた方が1000倍マシだ」

「辛辣ですね」


 キアラがクスと笑う。


「桁がパネぇな!」

「皆して……。主様、我は傷付いた」

「知るか」

「今晩は、主様が体で慰めて……」

「キモい! 小さい! キアラのが1000倍良い」


 三拍子だ。


「ぬぅぅぅ!! せめて最後まで……」

「ウチのが良いと言われましても、幼女趣味のアークに体を許す気なんてありませんよ?」

「ぐぬぅぅ!」


 キアラまでラキアをスルーしてるし。


「いらねーよ! つうか幼女趣味ゆうな」

「事実でしょう?」

「事実じゃねぇよ! て言うかそもそも幼女趣味の奴以外、誰がお前に手を出すんだ?」


 妖精族を抱きたいと思う奴はそう言う奴だろ。


「では、言葉を変えましょう。鬼畜なアークに体を許すなんて絶望しかありません」


 こいつは本当に毒舌を吐きまくるなぁ。


「さっきから我を無視するでない」

「あ、居たのか?」

「居たのですか?」

「居るとは思わなかったぞ」

「はぅぅ!」


 ファーレまで言われやんの。って言うか体をブルブルさせるなよ。キモいなー。


「お喋りはそこまでだ。来たぞ」


 物凄い勢いで迫ってる気配がする。


「吾輩が漆黒の槍を喰らえ!」


 槍を突き出して突進して来た。ただ突き出してるだけなので柄を掴み返してやる。

 てか、漆黒の槍? 普通に刃先は銀なんですけど?


「同胞を(たぶら)かした汝を吾輩が深淵に引き摺り込んでやろう」


 これあれか? 中二病か?


「ハルラス、止めてください。ウチは自分の意思で彼に従いました」

「我もだぞ」

「精神を直接攻撃する禁呪によって洗脳か? おのれ~小癪な真似をー!」


 洗脳とか何言ってるんだ? この妖精族は。

 て言うか、男もセーラー服なんだな。ただ下はハーフパンツだ。髪型は後頭部と頭頂部の間で縛ってちょいちょんまげチックで黄色。土属性が得意なのか?


「いつまで掴んでおる? 離せ侵入者め! 吾輩の封印されし右腕をリミットブレイクされたいのか?」


 やっぱ中二病だ。リミットブレイクって何だよ? しかも右腕には確り包帯が巻かれているし。


「なぁ、キアラ。一つ言って良いか?」

「……予想付くので言われたくありません」

「妖精族って頭イッちゃってる奴しかいないのかぁぁぁ!!??」

「だから言わないでください!! それにウチはまともです」


 キアラが顔をしかめる。


「毒吐き妖精が何言ってるの!?」

「ほんと次から次へと変な言い方をしますね」

「いつまで、そっちで話してる? 口ではなく手を離せ! 今、上手い事言……」

「うるせーよ!」


 そう言って槍を離してやった。

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