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アサシンズ・トランジション ~引き篭りが異世界を渡り歩く事になりました~  作者: ユウキ
第十三章 レオン獣王国の武術大会
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EP.03 イジり甲斐のある姉妖精でした

「姉上ばかり羨ましいぞ」

「じゃあラキアも」


 キアラの頭を撫でると、ラキアがイジけたので仕方なしに頭を撫でてやる。


「ふふん! もっと撫でても良いぞ。主様なら許す」

「キアラのが可愛いな」

「何故だぁ!?」

「キアラ、抱っこしたいから来て」

「え?」


 俺が腕を広げると、目を丸くし段々頬を染めだす。


「……分かりました」


 渋々頷き俺の胸に顔を遠慮がちに寄せて来た。


「ほら~。この反応見たか? 姉のが可愛いだろ?」

「むむむ……確かに今まで見た事ないくらいに姉上が可愛かったのだ」


 ラキアが眉を寄せる。


「そんな事の為に恥ずかしい事させないでください!」


 更に顔を真っ赤にさせてパッと離れる。


「ラキアのように可愛くないって言われるより良いだろ?」

「アークは、やっぱり幼女趣味なんですね。正直引きます」


 やはり毒舌家だ。


「<収納魔法(ストレージ)>」


 テーブルと椅子と、お茶にお茶菓子を出した。


「ちょっと遊び過ぎたな。まあ座れよ」

「主様の収納魔法(ストレージ)は、良い物ばかり入っているな」

「それは同意ですが、いやらしい玩具とかもありそうですね」

「ねぇーよ!」


 失礼な奴だな。毒舌も過ぎればウザいぞ。


「ほれお茶と菓子」

「では、頂きます」

「我も頂くのだ」

「ニンゲンの振る舞った物など、口にしないとか言ってなかったか?」


 俺がニヤリと揶揄うように笑う。


「根に持つのは最低です」

「毒舌ばかり吐くのは最低です」

「ウチの真似をしないで欲しいですね」

「で、お前らマジで俺の奴隷になるのか?」

「アークが望むなら構いません。命懸けで妹を助けてくれたのです。全てを委ねても構いません」

「我もだ」

「毒舌を吐く奴に偉そうな奴は、いらんな」

「……気を付けます」

「主様が望むなら努力してやるのだ」


 どっちもしないとは言わないのだな。絶対これ直さないな。


「そもそも奴隷になんてしないけどな」

「では、ウチらは此処に残ります。ただ、約束通り集落には案内します」

「さっきも言ったが、業腹だが主様に従うぞ」

「いや、何でお前ら極端なの? 奴隷か此処に残るの二択しかねぇじゃんか」

「では、どのようにすれば良いのですか?」

「我は配下でも良いぞ」

「まだ妹のが柔軟だな。残念姉妖精は頭硬いな」

「頭が硬いのは認めますが、残念姉妖精とか不本意な呼び方は、止めて欲しいですね」

「それに配下でも奴隷でもファーレを見習って欲しいな。必要以上の事を喋らない。実に良くできた従魔だ」


 そう言ってファーレを撫でると、気持ち良さそうに目を細めた。


「主上の御心のままに」

「そもそも普通の仲間で良くない? 世界中を周る予定だし、戦力は多いに越した事ないからな」

「アークがそう望むのでしたら。ウチは、妹を見捨てた同族の下には、いたくないので願ってもない事です」

「主様の御心のままに」

「ファーレ、一発かませ!」

「御心のままに」


 そう言って火球を吐き出しラキアにぶつけた。が、無傷だ。良い装備してるし、そもそもファーレでは力不足だな。


「ファーレの真似をするなよ」

「今のはラキアが悪いですね」

「主様よ。すまぬ……そう怒らないでくれ」


 ラキアがしゅんとした。


「で、普通の仲間で良いって言ってるのに主様呼びか?」

「心は配下でいても良いだろ?」

「まあ好きにしな」


 てか、普通逆だろ? 奴隷とかが体は縛れても心までは縛れないって奴。


「同族といたくないロリババァ共を仲間にするのも悪くないか」

「良くそんなに酷い呼び方を次々に思い付きますね」

「はふ~~。もっと罵っておくれ」


 だから変な方向に目覚めるなよ。キモいっちゅーねん。


「ロリババァがダメなら合法ロリ?」

「それは、幼女に手を出したい宣言ですか?」


 そう切り返すか。まあ確かに手を出してもOKなロリって意味だけどさ。


「冗談はこれくらいにして」

「だから、何処までが冗談なのですか!?」


 目を剥く残念姉。もう良いよ、その反応は。


「じゃあ明日、集落に行くから結界解いてくれるか?」

「分かりました」

「構わないぞ」

「それとアーク、これをお返しします」


 そう言ってキアラが渡して来たのは、根本からポッキリ折れた闇夜ノ灯(やみよのあかり)だ。


「もうこれ使えないな。気に入っていたのに」

「貴重なアダマンタイトです。それにまだ術式は生きていますので、何かの役立つかもしれません」

「生きて……いる?」


 俺は首を傾げてしまう。って事はまだ使える? だけど柄と刀身が完全に分かれているのに使いようがないよな。


「えぇ。もしかしたら腕の良い鍛冶師なら修復が可能かもしれません。出来なくてもアダマンタイトなので、再び武器を作るのも可能かと」

「ふ~ん。なら一応持っておくか。<収納魔法(ストレージ)>」


 収納魔法(ストレージ)を唱え、空間が割れ其処に闇夜ノ灯(やみよのあかり)を突っ込む。


「それとスターディデュラハンの鎧と太刀があちらに。討伐したのはアークなのでお持ちください。あぁ、魔石も確りあります」

「分かった」


 キアラが指差す方にスターディデュラハンの鎧と太刀が置いてあった。態々運んだのか。

 まああれだけ硬いんだ。何か良い武具が作れるかもな。それか売れば良い金になるかもしれないし。

 つか重っ! よく運べたな。妖精族は力ないんだろ? いくら硬くても重いなら武具に出来ないな。


「じゃあ今日は寝るか。岩の家を二人で使いな。俺は外で寝る」

「主様も中で寝れば良いだろ? ベッドも三つあるし」

「キアラが喜んで処理してくれるならな」

「……アークが望むのでしたら」


 頬を染め嫌々言われてもな。


「だから、奴隷も配下にもしないって言ってるだろ? 俺が望むかどうかじゃなく、お前が望むかどうかだ」

「…………」


 増々顔を赤くしてる。ほんとこっち方面でイジり甲斐があるな。


「我は望でやるぞ。主様と朝までだって」

「いや、ラキアはいらない」

「何故だぁぁ!?」

「このキアラの顔を見ろよ。顔を赤くして可愛いじゃねぇか。こういう方がそそられるね」

「むむむ……確かに」

「揶揄わないでください。では、お言葉に甘えて中で寝ます!」


 まくし立てるように言い、さっさと中に入ってしまった。

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