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アサシンズ・トランジション ~引き篭りが異世界を渡り歩く事になりました~  作者: ユウキ
第十三章 レオン獣王国の武術大会
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EP.02 残念姉妹妖精でした

 暗い。今は夜か。此処は……森の中?

 ああ、段々意識がはっきりして来た。俺はスターディデュラハンと戦ってたんだよな。意識があると言う事は生きている?


「主上! やっとお目覚めになられましたか」

「ぅお!?」


 ファーレが胸に飛び込んで来た。


「妾は、妾は……心配しておりました」


 泣いてるのか? 鳥のくせに。


「俺はどれくらい寝ていた」

「五日程ですね」


 別の所から声が聞こえる。そちらに視線を向けるとキアラがいた。

 五日も寝ていたのか。修羅が発動したせいだな。鑑定で見たが発動すると、発動時間に応じて意識を失うってあった。

 たった数秒で五日か……いや、死にそうな大怪我していたのもあるか?


「俺は何で生きている?」

「我らが回復魔法を全力ブッパしてやったのだ」


 別の所から声が聞こえる。もう一人、妖精族がいた。

 顔はキアラと瓜二つ。違うのが髪の分け目が逆で3:7。7の左の髪に百合の花飾り。色は青。そして瞳が水色だ。

 服装も似た感じだな。ただ青いラインの入ったセーラー服に青いチェックのスカートと微妙に違うくらいか。それとセーラー服の下に桃色のシャツが見えるので、キアラと同じなら桃色のレオタード……正確にはロンパースなのだろう。

 この幼女が妹のラキアだな。て言うか、異世界人が『全力ブッパ』とか言ったの初めて聞いたな。


「大いに感謝するのだぞ? 我が主様」

「ラキア、感謝するのは貴女です。アークが助けてくれたのですから」


 こいつ今、なんて言った? 我が主様? は? 意味不明。


「主って何だよ?」

「我の命を救ってくれたのだ。主様に仕えてやるぞ」


 『我』とか『仕えてやる』とか……、


「偉そうだな」

「申し訳ございません。妹は頭がアレなので……」


 キアラが申し訳なさそうに顔を伏せる。


「アレとか酷いではないか。姉上」

「事実でしょう?」

「てか、妹も奴隷宣言なのかよ!? 姉妹揃って頭おかしいだろ?」

「妹と一緒にされるのは不服ですね」


 心底嫌そうな顔をした。


挿絵(By みてみん)


「主様が望むなら奴隷でも構わぬぞ。なんなら夜の相手も……」

「いらね! 心底いらね」

「酷いではないか!? せめて最後まで言わせぬか!!」

「ウチもアークに全てを委ねます」

「だから姉妹揃って頭おかしいだろ!?」


 何なんだ? この二人は。


「そもそも、お前は気が変わったって言ってただろ?」

「命まで懸けてくれて、ただ味方となり同族との間を取り持つだけ等できません」

「尻軽女だな! コロコロ変えやがって。なんか平気で裏切りそうだ」

「……そう言われても仕方ありませんが、尻軽は言い過ぎですね。やはりアークは女の敵ですね」


 声に怒気が孕む。てか、沸点低くない? 口調は丁寧なのに……、


「残念過ぎる。姉は残念女だし、妹は頭アレだし、君らおかしいだろ」

「残念とは失礼にも程がありますよ」

「主様は罵りプレイが好きなのか? ならば良いぞ。いくらでも我を罵れ」

「プレイじゃねぇ!!」


 俺は頭を抱えてしまった。

 って言うか、妹は偉そうな口調だが沸点は低くないな。


「ところで残念姉妹。五日も俺の面倒見てくれたのか?」


 なんか光の結界(ライトゾーン)まで、張ってあるし。これなら魔獣の撃退も容易であったであろう。

 この魔法は、範囲内に誰かが入って来ると、術者に分かると言うものだ。


「残念なのは妹だけです」

「そうだぞ。我に感謝するのだぞ、主様」

「野宿してたのか? 残念姉妹。集落には戻らなかったのか?」

「残念なのは……は~。もう良いです」


 溜息を付き諦めるキアラ。


「もう戻る気はないな。主様が集落に用があると姉上から聞いたのだ。なので我も、それには同行するがな」

「その後は?」

「アークに着いて行きます」

「我も同じだ」

「来るなよ」

「アークがそう望むなら……」

「業腹だが致し方無いな」

「<収納魔法(ストレージ)>」


 俺は収納魔法(ストレージ)で岩の家を出す。


「女が野宿ばかりしてるなよ。今日は中で寝ろ」

「女の敵のくせに気を回しますね」

「煩せーよ。残念姉妖精」

「本当に失礼な言い方を次々に言いますね」

「はふ~。もっと罵っておくれ主様」


 変な方向に目覚めたぞ。しかも今、罵ったのは姉の方だし。


「ファーレ、これどう思う」

「気持ち悪いですね」


 激しく同意。


「先輩にも罵られた!?」

「貴女なんかを後輩にしたくありません」


 てか、一応鑑定しておこう。



 名前:ラキア

 年齢:七十九歳

 レベル:73

 種族:妖精族

 職業:激流妖精

 HP:4000

 MP:4800

 力:200

 魔力:4500

 体力:500

 俊敏:2500

 スキル:激流魔法Lv7、凍結魔法Lv2、幻覚魔法Lv6、闇魔法Lv5、治癒魔法Lv8、浮遊

 称号:ゴブリンスレイヤー、オーガスレイヤー

 装備:奔流の腕輪 (魔力1000) 水魔法強化

    神樹のセーラー服 (防御力600、魔力800、俊敏300) 自動修復

    神樹のロンパース (防御力200、俊敏500) 自動修復

    神樹のローファー (防御力100) 自動修復

 セット装備効果:神樹 (防御力200、魔力400、俊敏400) 魔法軽減



 キアラとほとんど一緒じゃねぇか。紅蓮が激流、雷撃が凍結、光が闇に置き換わっただけだ。つか闇ってレアだって書物に書いてあったな。

 あと、腕輪は妖精族特有の武器なのかね? これも炎強化のものが水強化のものに変わっただけだ。流石は双子。でも、七十九年生きて来て、同じ数値ってのも凄いな。


「これ、中凄いですね。明かりにベッドにテーブルと住むのに最低限のものが揃ってますね」


 あと、一応トイレも。

 それから狭いが風呂もだな。水を浄化する魔道具が売ってあったので利用しない手はないので購入した。尤も限度があるので定期的に水を張り直さないといけないが。


「ベッドがお誂え向きに三つあるではないか。今日は三人で楽しむのか? 主様よ」


 何言ってるんだ? 残念妹妖精が。

 てか、姉の方は顔が引き攣ってるじゃん。

 ちなみにだが、本当はもっとベッドを置きたかったが俺の収納魔法(ストレージ)にしまえる大きさ岩の家の許容量的に三つがギリギリだった。

 二つでも良かったのだが、沙耶が意味深な視線を送って来てからな。確かにベッドがあればナターシャとあれこれあるけどさ、最悪一つでも問題ないんだけどな。だから無理矢理三つにした。


「お前らは中で寝ろ。俺は外で寝る」

「何故だ? ベッドが三つあるではないか」

「お前らがいたら、処理できないだろ?」


 態とらしく右手で輪っかを作り上下に振る。当然ながらキアラは引いていた。段々分かって来たな、この二人の反応。


「一人でせんでも我を使わせてやるぞ」


 ほら、妹はこう返して来た。予想してたよ。


「どうせするならお前いらね。キアラと朝まで楽しむ」

「何故だぁ!?」


 キアラはげんなりし、ラキアは絶望的な表情をし出した。


「なんだ? キアラ、結局俺に従うのは嫌なのか?」

「いえ、そう言うのは経験が無くて……」


 顔を赤くし、しどろもどろに言う。こっち方面にイジれるなこいつ。


「じゃあラキアは、バリバリ経験があるのか?」

「我もないぞ。だが、主様が望むなら喜んで相手してやるぞ。感謝しな」


 何でこういちいち偉そうなんだ?


「ラキアは慎みを持ちなさい」

「良いではないか姉上。主様の所望に応えるのが配下と言うものだ」


 そもそも配下にした覚えはない。


「うーん。やっぱキアラが良い。ラキアに見せつけるようにする方が楽しそう」

「……アークが望むなら仕方ありませんね」

「何故だぁ!? 生殺しではないか」


 期待通りの反応だな。キアラは顔を赤くし嫌そうに答えるし、ラキアは絶望的な顔をするし。


「冗談はともかく」

「何処までが冗談だったのですか!?」


 キアラが目を剥く。もうこの反応も予想できたな。と言うか一度した反応だし。


「二人で中で寝な」

「そう言わず、主様の寵愛を」

「いや~~ラキアがあまりにも可愛いから暴走しそうなんだよな」

「それは願ってもない事だ」

「そして、その発散をキアラにしてしまいそうだ」

「何故だぁぁ!? 今、我を可愛いと言ったであろう?」

「ウチも今のは良くわかりませんね」

「こうやってイジると可愛いラキアに、あっち方面に耐性がなくてイジメたくなるキアラだからな」

「主様、酷いのだぁぁ!!」

「やはり女の敵です」


 キアラの声音に怒気が孕む。ほんと沸点低いな。


「姉上は良いではないか。主様の寵愛を受けられるのだから」

「これを寵愛と呼ぶのは疑問ですね。それにそれを受けて喜ぶのはラキアの頭がアレだからです」

「じゃあキアラ的に順番に相手するか、両方同時に相手すれば納得なのか?」

「いえ、どちらも女の敵ですね」

「つまり、自分だけを相手しろと言う傲慢ですね。分かります」

「意味分からないです!! 敵とは言え、アークには従います。もうこの言葉を覆すつもりはありません」

「従う相手を敵と言ってるのはどうなの?」

「うっ! すみません。もう言いません」

「そうかそうか」


 キアラの頭を撫でてやる。


「っ!?」


 頬を染めだした。


「可愛いとこあるじゃん」

「最初からウチを可愛いと言っていた幼女趣味なアークだったと思いますけど?」


 言ってくれるね。もしかしたらキアラは慣れて来ると毒舌ばかり丁寧語で言いまくるキャラなのか? 段々分かった来たと言ったが、まだまだだったな。

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