EP.12 セイラのギルド登録をしました
商業ギルドにやって来たのは良いが、並ばないとな。一体何時間待たされる事になるやら。
「並んでるの暇だ。セイラ、面白い話をしてよ」
「いきなり無茶振りしないで~!!」
「そう言えば、享年って西暦何年だった?」
「え? えっと……確か2049年だったけど、それが何か~?」
「いや、異世界によって時間の流れが違うからな」
「そうなんだ~」
「実際俺達が前いた世界と時間の進みが違うな。18年のズレがある」
「え? ほんと~」
セイラが目を丸くする
「俺は2040年に異世界転移して、6年異世界で過ごしている」
年代がそのままなら2040年に6年プラスして2046年、セイラの方が2049年に15年プラスして2064年になり、そのズレは18年だ。
「あ、ほんとだ~」
「異世界による差なのか、転移者と転生者の違いなのか分からんがな」
「それって何か問題があるの~?」
「う~ん。例えば時間が滅茶苦茶になったりするかもよ? 例えば次に出会う14歳の転生者が、2020年が享年だったり。次に出会う転移者が2050年から来ていたりとか」
「そうなるとどうなるの~?」
「だから時空が滅茶苦茶になり、世界崩壊とか?」
「うわ! それは嫌だな~」
まああくまで可能性だけど。が、これが世界の異変なら、こっちに転移した俺としては頭に入れておきたいな。
それと沙耶は2044年から来た。もし沙耶とセイラの前世が知り合いだったとして、沙耶が行方不明になった事を知っていれば、少なくて5年は帰れないと言う意味になる。
まあ実際はセイラの前世と沙耶は知り合いではないので、本当のとこは分からないけど。
それと俺と沙耶にズレはない。転移者と転生者の違いか、それとも世界が違うからなのか不明だ。
「あ、そうだセイラ。収納魔道具だけど、数日中に部屋の整理するだろ? その後にでも返してくれれば良いから」
「分かった~」
まあ基本的には、そんなとりとめのない話をしてるうちに順番が回って来た。
「この娘をギルドの仮登録お願いします。あ、十五の誕生日間近なので、自動で本登録になるように」
「分かりました。身分証明書はお持ちですか?」
「は~い」
そう言ってセイラは市民カードを渡す。この国に所属していますって言う証だ。
「それから、この娘が始める店の利益を一割俺に来るように設定してくれ」
「分かりました。ギルドカードはお持ちですか?」
青いカードを渡す。進化はしないよ? ってもうそのネタは良いってか? 細っけー事は良いんだよ!!
ってな訳で、手続きが終わり沙耶を迎いに行く。ちなみにだが草で覗いている限り問題なさそうだった。沙耶は時々斬られていたけど回復魔法使っていたし。
仮に運悪く急所に入り、即死してもエーコの蘇生魔法があるしな。急いでエーコに伝心魔道具連絡し駆け付けて貰う予定だった。
「やあライオス君、お疲れ」
そう言って買って来ておいた果実水を渡す。
「ありがとうございます」
「じゃあ孤児院まで送るよ。ほれ沙耶」
沙耶には果実水をぶん投げる。
「私の扱いが雑よ!!」
そうして孤児院まで送った後は、沙耶がライオス君の事で釈然としないと言った様子で口を開く。
「あの子何者よ?」
「どうして?」
「丸で剣道を経験してるかのような剣捌きだったよ」
「もしかして、転生者~?」
セイラも会話に加わる。
「どうなのよ?」
「どうなのって言われても知らん」
「鑑定しなさいよ」
「弾かれた」
「え?」
「だから、遮断持ち」
「本当に?」
沙耶とセイラが目を丸くする。
「そんな事で嘘言ってどうする?」
「年齢聞いたけど九歳で、それって末恐ろしくない?」
「だから、引き取るんだよ」
「どう言う事よ?」
「後々が怖いから面倒見たいって事だ。あ、これ本人に言うなよ?」
「あんたって、そんなに面倒見良かったっけ?」
「うっさいわ! 胸バッサリ斬られ女が!」
つまりはあの時、死に掛けていたお前を助けただろ? それで面倒見悪いとか言われたくないな。
「思い出すじゃないよっ!!」
「まあ他にも理由があるけど、それは追々」
セイラがいないとこでな。セイラにダークが~とか、説明するの面倒だし。
「それより、沙耶は確り鍛錬になったのか?」
「え? まぁそれなりよ」
「そうか。汗掻いただろ? 一緒に風呂入るか?」
「入らないわよっ!!」
「え? せっかく風呂あるのに入らないの?」
「違うよ!! あんたとは入らないよ!!」
「あ~大丈夫大丈夫。沙耶の体なんて見向きもしないから」
「それはそれで腹立つよ!! アンタのそう言うとこ、ほんと嫌いよっ!!」
さいですか。
「アークが沙耶さんはツンデレだって~、散々言ってたよ~~」
あ、コラ。バラすなよ。
「な訳ないでしょうがっ!!!」