表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/561

EP.16 俺は俺らしく俺で良かったのでした

 筋肉バカ……もとい、空手家アルフォード=フィックスという名のエドワードの双子の弟。

 プレイアブルキャラの一人で闘気技を自由に扱える唯一のキャラ。

 魔法を封じる場所、魔法が効かない相手でも関係無くゴリ押しできる強キャラ。

 エドと同じ髪の色でモヒカン。ダサい。これさえなければ人気上位なキャラなのに。

 ちなみに闘気技は他にも使えるキャラはいたけどアル程自由には扱えない。この暗殺者(ダーク)もそうだ。

 このキャラなの難点は素手なので、リーチが狭い事。プレイヤーに技術を求める。尤もガッシュ程でもないらしいけど。PSさえあれば第二位の強さだとか噂されている。

 ってわけで恒例の最終エピソードのステータスをドドンっ!!!! 



 名前:アルフォード=フィックス

 年齢:二十七歳

 レベル:100

 クラス:空手家

 称号:二代目闘神

 HP:10000

 MP:0

 力:4000

 魔力:0

 体力:2500

 俊敏:1000

 スキル:拳使いvMAX、気配察知Lv2

 エクストラスキル:麻痺耐性、痛覚鈍化

 ユニークスキル:闘気解放、大力無双(ごうりき)

 装備:闘神の手袋×2 (攻撃力1000、俊敏200)

    闘神の衣 (防御力1500、攻撃力200)

    闘神の靴 (防御力500、俊敏300)

 セット装備効果:闘神 (攻撃力300、防御力400、俊敏500)



 ユニークスキルに大力無双って大層な名前のがあるがただの剛力。ほんの数秒間だけ力が倍になるとか。リーチが短い素手で数秒間だけとか使えねーとか、ネット上で叩かれていた。

 まあそんなのなくても闘気解放がある時点で反則なんだけど。


 そんなアルが小声で話してる。暗殺者キャラの俺には丸聞こえだぜ。


「……おい、兄貴」

「ん? どうした?」

「あいつ……アークってんだろ?」

「……ああ」

「でも今、ロクームがダークって……」

「似てるからだろ?」

「ああ。なるほど」


 筋肉バカで良かった。こいつの前ではアークでいられる。だけど、こいつやたら感が良い時があるんだよな。知恵のアルと呼ばれてたっけな。

 でも、いつかは暗殺者ロールプレイをしないで良い日が来ないかな……。


 現在筋肉バカの案内でフィックス城北にある洞窟の怪しい模様の扉に向かっている。道中二股クソ野郎と筋肉バカが先導し、エドが俺に話し掛けて来た。


「城でのアレどうしたんだ? アーク」

「アレ?」

「ロクームに突っ掛かってただろ?」

「……あの時も言ったけど気が立っててな」

「何か考えて事していたのではないか?」


 流石は一国の王。見抜かれていた。


「……ああ」

「私で良ければ聞かせてくれないか?」

「お前の言ってた言葉だよ」

「私の?」

「……生きながら得た命だ。何か意味があったんじゃないか? って奴だ」


 正確には異世界転移したからには意味があったんじゃないか。俺の思考は最近そればかりだ。

 それと俺は、アークとして生きていけないかだな。なまじ皆、ダークを知っているせいで、それが難しいんだよな。

 ダークじゃないとわかって幻滅されるのは怖い。引き籠りのコミュ症の俺がまともに接する事ができるかわからない。

 また二股クソ野郎に対してみたいに素が出てしまうかもしれない。それでもアークとしてと生きられないかと考えてしまう。


「なるほど。それでついロクームに当たってしまったと?」

「……ああ」

「それってお前の素が出たのではないのか?」

「………」


 えっ!? 見抜かれていた。

 俺は黙り込んでしまう。


「そのだんまりも素か? 昔のダークなら否定なり肯定なりの言葉が出てきたと思うがな」

「………」


 クッソ。やり辛い。暗殺者ロールプレイをしなくてはと思ってるのに、俺が口を開く前に、先にエドが口が再び開く。


「でも、それで良いんじゃないか? 私は久々にそんなお前が見れて良かったぞ」

「はっ!?」


 あ、また。素が。


「お前はさ、暗殺者として生きて来た。何故そうなったのか知らないし、察しはつくけど、詳しく聞くつもりはない。だが、今は暗殺者をやってるわけではないのだろ? 本来のお前らしくしても良いのでは?」


 言外にアークスらしくと言ってるのだろうけど、残念ながら今の俺はアークだ。

 だが、そうだな。今の俺は暗殺者ではない。その身体を奪った簒奪者に過ぎない。

 だけど……、


「そうすると皆、俺から離れて行く」


 あ、つい本音が出てしまった。エドが相手だと気が緩む。

 でも、引き籠りのコミュ症な上に簒奪者なんかの傍にいたいと思う奴は、いないだろ。

 エドは鳩が豆鉄砲を食ったよう顔してる。それも一瞬の事で、やがて口を開く。


「なあ……俺達の関係って何だ?」

「……仲間」


 たぶんダークにとってそうだった筈。


「そうだな。それともう一つ聞きたいが、本音が出たついでだ。お前ロクームが嫌いか?」

「……ああ」


 悩んだが正直に答えた。


「じゃあ、その嫌いなロクームが目の前で死にそうになってたとする。少し手を出せば助けられる。アークは助けるか?」

「……それは助けるな」

「だろ? それが仲間ってもんだ」


 何を得意顔で言ってるんだ? と言うか何が言いたいんだコイツは?

 目覚めが悪くなるからそれは助けるだろ。と言うか二股クソ野郎じゃなくても赤の他人でも助けるよ。

 いや、嫌いなロクームでも助けるかって問いだったな。

 嫌いだから見捨てるではなく仲間だから嫌いでも助けるものだと言いたかったわけか?


「仲良しこ良しのお友達をやりたいなら。今のままで良いかもしれない」

「………」

「だけどこれだけは忘れなるな。例えば素のお前がどんなのでも私は仲間としてピンチの時は見捨てない。だから、私は、お前はお前らしくお前で良いと思うぞ」

「……ああ」


 エドすまないな。俺は俺らしく俺で良いのか。まだ怖いけど、少しスッキリしたぜ。

 そうして怪しい扉の中に入りラフカラと同じ魔導研究所に突入した。

 途中アルフォードをアルと呼んだり、初対面で闘気技を使えと言ったり、アークのフリをしてるのにミスったぜ。ダークとバレていない相手だったなのに。

 筋肉バカで良かったぜ。って言ってしまうと、アルは頭悪いみたいだが、そうじゃないんだよな。アルは物事を深く考えないだけで、頭の回転は良いんだよな。

 だが、そうなるとバレていないのは筋肉バカとマジ天使のエーコちゃんか。ラゴスはハンターが懐いたせいできっとバレたな。これでアークとして貫くのは難しくなったぜ。トホホ……。


 そんな事を考えていたらアイアンオーガの背後を取り小刀を首に突き付けていたぜ。

 流石俺のキャラつえー。考え事しながらでも確り体は反応するんだからな。

 とりあえず質問。


「ここで何をしている?」

「魔物ニ魔導ノ力ヲ与エテイル」


 あ、やっぱり。


「誰がやらせている?」

「ダームエル様ダ」

「なん…だ…と?」


 ダームエル? まさか生きていたのか?


「どうした兄貴にアーク?」


 アルが問い掛けて来た。


「……何でも無い」


 と、言っておこう。何でも無くない。

 たぶんこれだな異世界転移した本当の理由は。ダークは過去と決着を付けないといけなかった。

 だけどダークの心は死んだ。だから、俺が異世界に呼ばれたんだ。何故、俺だったかは知らないけど。

 だけど、もし俺の仮説が正しいなら聞かないとな。


「……そのダームエルはどこにいる?」

「シルカ! 排除! 排除!」


 そうなるか。

 で、精霊の力をどっから持って来たって問いは……。


「過去カラモッテキタ」


 やはり、俺の仮説は正しいのかもしれない。ダークは過去に決着を付けないといけない。決着を付けるにはどうにかして過去に干渉しないとな。

 そして、それは俺がやらないといけないんだ。と、考え事をしていたら振り払われたてしまった。


「<中位火炎魔法(ギガ・ファイヤー)>」


 この状況じゃ避けられないな。まあダークの肉体なら耐えられるだろ。俺は腕をクロスしてガード体勢を取った。


「クゥ~ン」


 しかし、ハンターが庇った。馬鹿だな。俺は本物のダークじゃないのに……。


「……無茶しやがって。<下位回復魔法(リカバリー)>」


 ん? なんか周りがビックリしてるな。


「……奴等に使えて俺等に使えない道理はない」


 そもそも俺の感覚ではゲーム時代普通に魔法を使っていた。魔法が使えなくなった精霊大戦後はプレイしていないから反射的に使ってしまったんだけど。

 それよりも気になるのが、MPと言うものを感じられない。これはゲームではなくリアルだからだろうか?

 そうして、俺達は城に戻り皆と相談する事になった。が、これはきっと俺の戦いだ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ