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アサシンズ・トランジション ~引き篭りが異世界を渡り歩く事になりました~  作者: ユウキ
第十一章 ウルールカ女王国の第一王女
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EP.17 セイラを勧誘しました

 サフィーネの話を聞いた後、冒険者ギルドに向かい依頼達成報告と仲介料を払った。ついでに職業を決める間で、新たな職業が追加していないか確認を行った。

 そしたら、なんと俺に空間師と空忍が追加されていたのだ。空忍ってあれか? 子丑寅の干支忍か? なら俺は酉忍がええな。

 まあともかく空間師も混ざった忍者だと察せられるので空忍に変更した。

 その後、沙耶達と合流し宿屋に戻ると再度サフィーネに記憶が戻っていると話し、何があったか再び語って貰った。


「田中 一とか名乗ってるがヨウジョ モトムが本名だな。字は知らないけど」


 と、最後に俺が締める。


「陽汝 基無だな。特徴とも一致するし間違いないだろう。あのロリコン野郎は、そんな事していたのか」


 基無とやらに吐き気がしているのか辟易とした感じで吐き捨てるケン。


「……ロリ、コン……野郎?」

「ああ、シズシズは知らないのか。僕も噂程度しか知らないのだけど、幼女を(かどか)わし、乱暴しているなんて事を繰り返しているらしい」


 小首を傾げる静に眼也が答える。だいぶマイルドに言ってる気がするな。正確には乱暴ではなく犯しているんだから。


「しかもあいつに取って、十五歳以上はババァなんだってよ」


 ケンがそう言うと女性陣が全員渋面をしだす。


「称号にロリコン、幼女狩りにオマケに殺人鬼まであった。クズだな」

「ところでアーク。先程から気になったのだけど何故あいつを知っているのだ?」

「会ったから」


 ケンに問われ簡素に答えた。


「それなら、どうして連れて来てくださらなかったのですか!?」


 サフィーネが憤慨するように言う。サフィーネが基無の事を語る時に節々に怒りがあるのが伝わって来た。この国に来る道中とかも気持ち悪かったと散々愚痴にするように記憶を失う前を語っていた。


「英雄候補を証拠も無しに捕まえるのは、この世界では忌避されているのでは?」

「それはそうですが……」


 サフィーネが苦虫を嚙み潰したような顔をする。


「それに仮に連れて来て、記憶のないサフィーネに会わて、最悪発狂して廃人とかになったら困るし」

「確かに記憶がなかったので、私はどうなっていたか分かりませんね」


 どうやら、渋々だが納めてくれたようだ。


「これで全員に情報共有したかな?」

「そうだな。俺も噂程度にしかあいつの事を知らないし。なんせクラスメイトをババァ扱いで皆、毛嫌いしていたし」


 ケンがそう言う。確かにクラスメイトは十六~十七歳で、あいつからしたらババァだな。静は虐められてたっぽいから、そう言う情報は入って来なかったのだろう。


「じゃあサフィーネ……」

「今まで通りサフィにしたくださると嬉しいです。親しい者しか呼ばない渾名でございますが、皆さんはもう大切な仲間だと思っておりますから」

「…………」


 う~ん。正直王女殿下に大切な仲間とか言われても恐れ多いんだけどな。


「……あの、仲間だと思っているのは私だけなのでしょうか?」


 全員沈黙していたら、サフィが寂しそうに呟く。


「いや、王女殿下に大切な仲間とか言われても恐れ多いのよ。勿論そう言ってくれて嬉しいのよ」


 沙耶も同意見のようだ。それは全員も同じでコクコク頷いている。


「良かったです。嬉しいと言って貰えて。今は王女としてではなく、ただのサフィーネとして接してくれると助かります。今更畏まれても居心地悪いですから……」


 まあ確かにそうかもな。


「じゃあサフィ」

「はい! 何でしょうか?」


 先程と打って変わって空色の双眸が輝く。


「これからどうしたい? 元々俺達は王都を目指していた。ついでにサフィも送り届けようと思っていたとこなんだが、記憶が戻ったなら寄りたいとことか有ったら言ってくれ」

「そうですね……出来れば田中様……いえ、陽汝様をこの手で裁きたいです。時期女王として威厳を示さないと、お母様に会わせる顔がございません」

「って言われても、あいつ何処にいるか分からんからな」

「はい。ですので、出来る事ならそうしたいです」

「分かった。奴の情報が手に入ったら、とっ捕まえに行く。大義名分があれば英雄候補でも捕まえられるからな」


 そう言って俺は肩を竦める。あの時は大義名分がなくてマジで悩んだからな。


「ありがとうございます。それと此処に住む領主様にお会いしておきたいです。現状をお伝えし早馬を王宮に出して貰いたいのです」

「分かった。明日でも面会を申し込むよ」

「宜しくお願いします」


 優雅に頭を下げるサフィーネ。

 次の日、午前中セイラの家を訪ねた。沙耶達は昨日、セイラの家にお邪魔し、日本談義に花を咲かせ、メシも御馳走になったのだとか。

 日本食に近いメニューで、味も驚く程、美味しかったとか。是非とも俺もご相伴に預かりたいな。なんせ、この世界に来て日本食を食べていないのだから……。


「セイラ! いるか?」

「は~い」


 玄関からセイラが出て来た。


「あ、アーク。来てくれたんだ~?」

「今日は全員で来たが迷惑じゃなかったか?」

「全然大丈夫だよ~。ただ家が狭いから窮屈かも知れないね~」

「それくらい気にしない。それよりも……」


 セイラの黄緑の双眸をジーっと見詰める。


「……何かな?」


 不安そうにそう口にする。


「メシが美味かったと沙耶達から聞いた。是非ご相伴に預かりたい」

「は~~。そんな事か~。良いよ~。今からお昼御飯作るから~」


 大きく溜息を付くと俺の申し入れを受け入れてくれた。

 人数が多いので、結構な時間が掛かったが、昼食を用意してくれた。

 メニューはグラタンに焼き魚に味噌汁……なんじゃこのメニューは!?

 まあ米が滅多に手に入らないとか。なのでお腹に確り溜まるようにグラタンを出したようだ。

 てか米、存在してるのか? まあ転移者や転生者がいるのだから当然か。いつか食べたいものだな。

 そして味の方は……、


「うめぇ~~。何だこれ? 店に出せるよ」


 沙耶達が舌鼓を打ったのが頷ける美味さだ。


「ありがと~。前世で料理が趣味みたいなものだったから~。あ~あ、彼氏にも食べさせたかったな~」


 あら、付き合い立てで食べさせていなかったのか。


「こんなもん食わされたら完全に胃袋掴まれ、セイラから離れなくなってただろうな」

「其処まで言われると照れるな~」


 頬を染めながら頭を掻くセイラ。


「なぁちなみに昨日みたいな事、たまにあるのか?」

「うんまぁ。栽培のスキルを持ってるから、それでお金を稼いでるのだけど、花を咲かせてくれとか無茶な依頼がたまにあるんだよね~。普段やってるのは成長のちょっとした手助けをしてるだけなのに~」


 つまり肥料の上位互換的な事をしてるのね。てか、それよりも……、


「あれ? 十四だよな? 働けないだろ?」

「名義は両親なんだ~。両親を通して仕事をしてる感じだね~。だから稼ぎの3割は両親に渡してるよ~」

「うん? その両親は? 見ないけど?」

「転生者だからね~。どうも今の両親を両親と思えなくて家を出たんだ~」

「なるほどな」


 確かに転生者だとそう思ってしまうのだろう……。


「だったら提案なんだが、暫く俺達と旅をしないか?」

「えっ!?」


 セイラが目を丸くする。


「幸い俺達は金が有り余っている。だから、セイラにもっと合う仕事を用意出来るかもしれない。昨日みたいな事にならないような仕事をな」

「それは嬉しいけど……」

「何か問題があるのか? 無理にとは言わないぞ」

「いや、旅とかしてみたと思うよ~。でも、迷惑じゃないかな? 私、魔獣とか倒せないと思うよ~」

「迷惑だと思っていたら誘わない。それに俺達と旅をしてる間、メシを用意してくれると助かる。こんな大所帯なのに作るのは基本、ナターシャとエーコなんだよ。手伝ってくれると二人も助かると思うぞ」

「そうだねぇ。これだけ美味しいものを作れるのだし、いてくれると助かるさぁ」

「そうだねー。人数がどんどん増えてー、困っていたんだー」


 ナターシャとエーコも同意してくれた。


「分かったよ~。これから宜しくね~」

「「「「「「「「宜しく(な)(さぁ)(ー)(ね)」」」」」」」」


 お! 全員でシンクロした。シンクロ率高いぞ。暴走しないか?


「じゃあ数日で旅発つと思うから準備しててくれ、基本的にこの家にいてくれれば、その時が来たら声を掛ける」

「分かったよ~」

「ああ、それと<(ファミリア)>。これを出掛ける時は身に付けてくれ。お守りだ」

「お守り? ありがと~」


 そんな訳で料理人ゲットだぜ。米は手に入ったら是非米を使った料理も作って貰おう。尤もナターシャとエーコも米を主食とした料理を作れるのだけど。

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