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アサシンズ・トランジション ~引き篭りが異世界を渡り歩く事になりました~  作者: ユウキ
第十一章 ウルールカ女王国の第一王女
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EP.13 美人の耳打ちは堪りませんでした

 二日後、ギルドに行くと買い戻しの人がいたので、受付嬢の案内で応接室に向かった。


「此方、この辺りの領主様でデリダルク侯爵様です」


 今日は貴族か。しかも護衛が二人いるな。


「こないだ盗賊に襲われてね。大半の物は、どうでも良いのだが、我が家の紋章が入った短剣だけは、どうしても取り戻したくてね。女王陛下より賜った物なのだよ」


 貴族の割には物腰柔らかに語り、護衛の人が紋章を見せて来る。ナターシャは、その紋章の短剣を取り出す。


「失礼致します」


 そう言って受付嬢が短剣を受け取る。今回は短剣一本だしその場で鑑定をしていた。

 と言うかこの受付嬢って鑑定持ち? もしくは博識なのか?


「……一千万ギルになります」


 そっと耳打ちしてくれる。どうでも良いが、この受付嬢は綺麗だし、こんな綺麗な女の人に耳打ちされるの堪らんな~。


「……アーク? 変な事考えてないかい?」

「ソ、ソンコトナイヨー」


 エスパーナターシャめ!


「それで予算はおいくらでしょうか?」


 貴族だし敬語を使っておくか。


「君の言い値で構わない」

「はい!? えっと……失礼ながら、もし俺が一億ギルと言ったらどうするのですか?」


 相場の十倍です。


「……払おう」


 顔引き攣ってるよ? でも払うって言ったし、二日前のアクトークより好感度うなぎ上りだな。


「では、五百万ギルで如何でしょうか?」


 二日前と同じ金額です。


「……本当にそれで良いのか? それの相場は一千万はくだらない。今なら変更できるぞ」


 更にうなぎ上りだ。


「では、変更させて頂きます。四百万ギルで」

「下がってるではないか!? 君、面白いな」

「いえいえ。侯爵様が誠実な方なので大金ではなくても良いかな、と。しかし、あまりにも安いと侯爵様を侮辱してるように取られかねないので、この金額にしました」


 四百万でも十分大金だけど。


「はっははは……では、四百万ギルだな?」


 デリダルク侯爵が朗らかに笑う。


「はい」

「それと私の事は是非ともバリストンと呼んでくれたまえ」

「では、失礼して。バリストン様」


 バリストン=デリダルクと言うのね。鑑定してないし知らなかった。と言うか貴族に鑑定してバレたら面倒だ。


「それとこれを渡しておこう。困った事があれば私のとこへ来るが良い」

「ありがとうございます」


 手紙を受け取った。紹介状かな? 

 また適当なクエストをこなし次の日、買い戻ししたいと言う人がやって来た。


「此方、シャラさんになります」


 今日はただの村人かな? みずぼらしい平民の服を着ている。


「亡くなった母の形見の指輪を探しております。お持ちですか?」


 そう言って指輪の詳細の形を言って来る。

 って言うか、こう言う話は弱いんだよな。俺もエーコの母、つまりダークの嫁グランティーヌの形見の指輪を持っている。

 ダークとグランティーヌが結婚した時にペアリングを購入し、自分の分をそのまま嵌めていたので、俺がダークの体を乗っ取った際にそのままその指輪を持っていた。

 その後、その指輪をエーコが持つ形見であるグランティーヌの指輪と交換した。なので、今は俺の首にチェーンでぶら下げている。

 ちなみに過去に飛び歴史改変をしたので、交換した事実が消えグランティーヌの形見の指輪が二つ存在するというおかしな事になってしまったが。

 まあともかく、そう言う経緯があるので、こう言う話には弱い。

 いつも通りナターシャが指輪を収納魔法(ストレージ)から取り出す。

 それを受付嬢が受け取り鑑定。


「……十万ギルです」


 そっと耳打ちしてくれる。美人の耳打ち堪らん。


「……アーク、変な事考えてないかい?」

「ソ、ソンコトナイヨー」

「それでいくらで買い戻させて頂けるのでしょうか? 申し訳ないのですが三十万ギルが限界なのですが……」


 一応鑑定………………うん、変なとこはないな。


「はい、どうぞ。次は大事にしてくださいね」


 そう言って俺とナターシャは立ち上がった。


「あの……お金は?」

「え? 無料(ただ)で渡したらいけないって決まりでもあるの?」


 と、受付嬢に聞く。


「ございません」

「……だそうです」

「あ、ありがとうございます」


 シャラがこれでもかって程、頭を下げる。

 さて、今日のクエストは何があるかな?


「ナターシャ、ナターシャとエーコと沙耶の三人は、あと一回で昇格だっけ?」

「そうさぁ」


 実は昇格まで、この村に滞在すると決めていた。買い戻しはそれまでだな。

 そうしてクエストボードのとこに向かった。其処ではエーコ達が待っており……、


「これ良くなーい?」


 そう言ってクエストが書かれた紙を渡される。

 ふむ。『サイールの町まで商隊の護衛、本日昼出発』

 サイールの町とは、南にある王都メルーシの中継に利用者が多い町だ。俺達も昇格したら其処を目指すつもりだった。

 これ受ければ、サイールの町に行けて且つ昇格の一石二鳥だな。


「良いね。じゃあ受付に出して来る。それと皆一応職業が追加されてないか見てみようか」

「分かったさぁ」

「分かったー」

「分かったよ」

「了解だ」

「……わか、りまし、た」

「分かった」

「わかりました」


 全員で受付に向かった。ちなみに最後に返事したのサフィだ。もう俺達のパーティメンバーだしな。


「このクエストを受けたい。それとこれを受けるからには買い戻しは今日までだ」

「わかりました。そう受理させて頂きます」

「それと職業を決める間を利用させてくれ」


 そう言って受付嬢の案内で職業を決める間にやって来た。

 ケン達から順番に職業を見て行く。追加されているのがあり、ケンは大剣士になり、静は大魔術師になり、眼也は神薬師になった。


「アーク、何か追加されてるさぁ」

「ナターシャ、でかした!」


 よっしゃーーっ!! 遂に来たか。これが来るんじゃないかって予想してたんだよな。テンプレ通りなら最高の職業だよ。その名も時空師――――。

 まあ一番の目的である収納魔法は習得出来たのだけど。それでも、時空魔法となれば戦闘でかなり有利になる。弓を使うナターシャなら尚更。胡春って良い例もあるしな。

 ちなみに俺とエーコと沙耶の追加が無かった。

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