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アサシンズ・トランジション ~引き篭りが異世界を渡り歩く事になりました~  作者: ユウキ
第十一章 ウルールカ女王国の第一王女
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EP.12 Cランクに昇格しました

 財宝しまいを終いにし……って煩いわっ!!

 収納魔法(ストレージ)に全部入れて宿屋に帰って来た。


「なんかアークげっそりしない?」

「気のせいだ」


 沙耶にそう返しておく。


「ナターシャお姉ちゃん、なんかツヤツヤになってるねー」

「えっ!? そ、そんな事ないさぁ」


 じゃあエーコから目を逸らすなよ。


「「「「「あ~」」」」」


 ほら、皆して察しちゃったよ。どうするんだよ? この空気。


「……ぅん」


 おっと此処でサフィが目覚めてくれた。ふ~空気が変わるぜ。


「サフィ、大丈夫さぁ?」

「あれ? 私……」

「覚えているかい? 突然倒れたのさぁ」

「……リセア」

「えっ!?」


 ん? 何だ? リセアって人の名前か?


「今、突然リセアって名前だけ思い出しました。リセアって分かりますか?」

「残念ながら」


 ナターシャが残念そうにかぶり振る。他の面々も当然分からない。もしかしてあのメイド服の女か?


「それで倒れたの覚えているかい?」


 再び同じ問いを繰り返す。


「えぇ。魔獣達を見た瞬間、凄く怖くなったのは覚えています」


 やはり集団暴走(スタンピード)がトラウマになっているな。もしあのモトム ヨウジョとか言う奴が犯人なら連れて来なくて正解だったかも?

 まだ時期早々に思える。リセアって人物の名前を思い出したなら、徐々に色々思い出すだろう。

 会せるのは、ほとんど思い出した頃が良いかもな。まあ奴がまた余計な事をしなければ捕まえる事はしないのだけど。


「そうかい。ゆっくりと良いから全て思い出すと良いね」


 ナターシャが安堵の息を吐く。もしかしたらリセアって名前が出た事で良い傾向にあると思ったのかもな。


「もう夜も遅いし宿屋の食事処は使えないな。ナターシャ、何か作ってくれ」

「分かったさぁ」


 まあ遅くなったのは君のせいだけどね。一、二回で十分だろ。ヤり過ぎなんだよ。

 ちなみに食事は全員済ましたらしい。交代でサフィの面倒を見ながら宿屋の食事処で。

 そんな訳で、俺とナターシャとサフィだけで食事を摂り、直ぐに寝た。

 今日は疲れた。めっちゃ疲れた。集団暴走(スタンピード)が? 盗賊が? 財宝取りが? 全て違うね。ナターシャに襲われたせいだ。

 次の日、冒険者ギルドに向かった。


「やぁ。来ましたね」


 ギルマスが直々に迎えてくれる。魔獣やら盗賊やらで忙しくてギルマスであるハリウスも狩り出されている状態だとか。


「こちら魔獣討伐の恩賞、素材料金、盗賊討伐の恩賞です」


 そう言って小金貨一枚と大銀貨五枚渡された。日本円で百五十万もか。だが、きっと昨日の財宝のが高い気がする。


「もし欲しい素材はあれば言ってください。優先でお渡しします」


 気前良いな。


「それより昨日盗賊のアジトを潰して来た。盗賊四人を縛っておいたから連行するなら誰か行かせた方が良い」

「えっ!? 手際が良いですね。ちなみに盗賊が貯め込んでいた宝をどうしました?」

「当然全部貰って来た」


 冒険者になった時に聞かせれた規約によれば盗賊の宝は、討伐した者のらしいしな。


「では、良ければ暫くこの村に滞在して頂けませんか?」

「え? 何で?」

「盗賊の宝の元の持ち主が買い戻したがるかもしれませんから。勿論強制はしません」

「そう言う事か。まあ別に残るのは問題ないな。ただ買い戻すって金額は勝手にこっちで決めて良いのか?」

「えぇ。盗賊の宝を手に入れたのは貴方なので自由に設定して頂いても構いません。一応相場はどのくらいか伝えますので、それを参考にしてください」

「分かった」

「ああ、それと昨日捕まえた盗賊達が口を割りませんでした。騙されたから言いたくないとか。何かしましたか?」


 じーっと俺を見て来るハリウス。


「あれかな? アジト教えてくれたら、逃げしてやると言ったけど、結局気絶させた事かな?」

「なるほど。そう言う事ですか。ああ、それからギルドカードを出して頂けますか? 今回の一件依頼と言う形にします。実績扱いで昇格もしくは昇格に近付きます」


 そう言われたので全員ギルドカードを出した。俺とナターシャとエーコと沙耶はDランクの赤いカードを。ケン、静、眼也はFランクの黒いカードをだ。

 それをおそらく魔道具(アーティファクト)のモニターにかざす。それで今までの実績が見れたり、昇格等をさせカードの色を変えるのだろうな。


「ケンさん、シズカさん、ガンヤさんは昇格でEランクの灰色のカードになります」


 そう言ってケン達三人のカードが返される。


「ナターシャさん、エーコさん、サヤさんは、実績扱いで昇格に近くになりました」


 そう言ってナターシャ達三人のカードが返される。


「アークさんは、一人で盗賊二十人を生かして無力化したので、ポイントが通常より多いです。よって昇格になります。流石ですね、こんな短期間で」


 そう言ってCランクの青色のカードを返された。俺だけCかよ。まあパーティだとBランク扱いになり、Bランクのクエストが受けられるのはおいしいけど。


「それとこの娘を冒険者登録してください。ついでに俺達のパーティに登録を」

「かしこまりました」


 サフィにも登録して貰った。念の為だ。ちなみにだが、問題なくHランクではなくGランクスタートだ。

 その後、適当なクエストをこなし次の日、再びギルドを訪れた。


「あ! アークさん、買い戻したいという方がお越しです」

「俺とナターシャはそっちに行くから、皆はクエストでも見ててくれ。なんなら受けても良いから」


 俺は仲間達にそう声を掛け、受付嬢の案内でギルドの応接室に使ってる部屋に向かった。


「此方、商人のアクトークさんです」

「こんにちは。貴方が商品を取り返したのですね。ありがとうございます」


 すっげー胡散臭い笑みだな。とりあえず鑑定だ。

 うん、称号に悪徳商人ってある。名前のまんまだな。この世界は名前に引っ張られる性質でもあるのか?


「それで、どの商品を盗られたんだ?」

「袋に大量の宝石が入ってものです」


 手で袋の大きさを示す。直径3、40cmくらいの袋ね。

 それを聞きナターシャが収納魔法(ストレージ)から宝石が入った袋を取り出す。


「これかい?」

「おお! それです。ありがとうございます」

「失礼致します」


 そう言って受付嬢の人が、袋を持ち何処かへ行ってしまった。鑑定でもするのかな?

 暫くして戻って来た。


「確認しました」


 そう言って袋をナターシャに返し、俺にそっと耳打ちする。


「……百二十万ギルです」


 ふむ。それが相場ね。


「では、返して頂けますか?」


 そう言ってアクトークが手を伸ばす。


「は?」

「ですから、それは私のです。返してください」


 おい、交渉すらしないで無料(ただ)で返せってか? 舐めとんのかーい。


「これの所有権は今は、俺にある。返す道理はない」

「ちっ!」


 今、舌打ちしたね? マジで舐めてるのか?


「じゃあ十万ギルだ」


 態度いきなり悪くなったなー。


「五百万ギルで」

「はぁぁ!? そんなする訳ないでしょう?」


 泡を食ったように叫びだすアクトーク。


「これ、今は、俺の、OK?」


 腹立つしカタコトで相手してやる。


「冒険者風情が……なら二十万ギルだ」

「五百万ギル」

「なら三十万ギル」

「五百万ギル」

「ええ~い! それなら百万だ」

「五百万ギル」

「ふざけてるのか!?」


 アクトークが立ち上がり叫び出す。


「落ち着いてください。所有権はアークさんにあります」

「冒険者風情なら百万で十分な金だろうが?」

「これ、今は、俺の、OK?」


 相場以下じゃねぇか。ふザケルな! 電撃飛ぶよ? ってそれガッ〇ュじゃねぇか。あ、立体軌道のガッシュじゃないよ?


「ふん! だったらもう良い」


 交渉を打ち切ったのか。なら……、


「あ、ナターシャ。これ適当な店で五十万ギル辺りで売っておいてくれ」

「ぷっ! 分かったさぁ」


 ナターシャは吹き出しクスリと笑いながら答える。


「なん……だと?」

「あ! 交渉はもう終わったんでしょう? はいさようならさようなら」


 と、手を振る。どっかの映画評論家みたいな感じになった。


「……いきなり吹っ掛けましたね。それも終わった後に相場より安い値段で売る相談とは……」


 受付嬢がドン引きしてるよ。


「悪徳商人に、まともに交渉する道理はある?」

「確かにありませんね」


 受付嬢もクスリと笑い納得してくれた。

 その後、適当なクエストをこなした。

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