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アサシンズ・トランジション ~引き篭りが異世界を渡り歩く事になりました~  作者: ユウキ
第十一章 ウルールカ女王国の第一王女
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EP.11 財宝を取りに行きました

 宿屋のナターシャが取った部屋に行くとサフィがベッドで寝ていた。


「サフィの様子は?」

「まだ眠ったままさぁ」

「そうか」


 余程集団暴走(スタンピード)がトラウマになってるのかね。


「全員戻って来たし、ナターシャ。二人で出掛けるぞ」

「何処に行くんだい?」


 俺はニヤリと笑う。


「財宝発掘だよ」


 そんな訳で再び村を出ようとした。が、まだ盗賊達を捕まえてるので、そのまま出ると何か言われそうだな。

 この村も周りを外壁が囲んでおり、北と南しか通り抜けられない。北は関所、南は王都方面だからだろうな。


「ちょっと失礼」

「えっ!?」


 ナターシャをお姫様抱っこするとナターシャが目を丸くした。そしてそのまま外壁の西側を飛び越える。


「きゃあああ……」

「大丈夫か?」


 空中で叫んでいたので、着地した際に声を掛けた。


「ビックリしたさぁ」

「それは悪かったな。でも可愛い悲鳴だったぞ」

「久々だねぇ。あたいを可愛いとか言うの」

「そうか?」


 うん、そうだな。基本的にエーコにしか可愛いって言わないしな。ナターシャは、なんかハズイし。あ、こないだは沙耶を可愛いとかつい言ってしまったけど。


「それにアークと二人っきりなるのも」

「二人っきりだからって変な事考えるなよ?」

「……アークと一緒にするんじゃないさぁ」


 いいや。絶対性欲はナターシャのが強い。俺がヘトヘトになってるのにお構い無しだし。


「失礼な事考えてないかい?」

「ソ、ソンコトナイヨー」


 相変わらずエスパーめ!


「それより行くぞ」

「このままかい? あたいはアークに抱っこして貰えて嬉しいけどさぁ」

「そっちのが早い」


 って訳でダッシュ。闘気を足に集中させながら走り、更に風魔法で背中を押し更に速く走る。


「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁ………………っ!!」


 ナターシャには速過ぎたか。叫びまくってるし顔がめっちゃ引き攣ってるな。だが手加減するつもりはない。財宝を取ってさっさと帰りたい。


「はい、到ちゃーーく」


 うん、半日歩くとこを十分足らずで踏破してやったぜ。


「アァァクゥゥっ!!」


 何かナターシャさんが怖いです。地獄が這い出るような叫びだ。

 ペッシーンと、またビンタ喰らいました。


「怖かったさぁ」


 それこっちの台詞。マジで鬼面してたぞ。


「また失礼な事考えてないかい?」

「ソ、ソンコトナイヨー」

「で、財宝とやらは何処だい?」


 俺は気配を探りながらゆっくり歩く。そして途中で止まり指を差す。


「あそこ」

「ってアレ盗賊よねぇ?」

「いや、財宝の番人」

「盗賊よねぇ?」

「いや、財宝の番人」

「盗賊よねぇ?」

「いや、財宝の番人」

「盗賊よねぇ?」

「いや、財宝の番人」

「……盗賊よねぇ?」

「いや、財宝の番人」

「……もう何でも良いさぁ」


 よし! 勝ったぜ!

 ちなみに洞窟の前で番人をしてるのが四人。中に一人いる。


「じゃあ始末する?」

「あたいがかい?」

「俺でも良いけど?」

「じゃああたいがするさぁ。エレメント・ランスっ!」


 エレメント・ランスを二射し、それが倍に分裂し、そのまま番人に刺さる。

 お優しい事で。殺していないし。


「アークがやると殺しそうだし。『アサシンズ』の実質のリーダーだしねぇ」

「いや、簡単には殺さないよ」


 不評被害だ。てか、ナターシャが悪戯な笑みを浮かべているし。実質って何だよ? リーダー登録したのナターシャでしょうが。

 そんな訳で番人に近付く。肩を射抜かれただけなので、意識はある。しかし……、


「<下位大地魔法(ストーン)>、<下位大地魔法(ストーン)>、<下位大地魔法(ストーン)>、<下位大地魔法(ストーン)>」


 ナターシャが、下位大地魔法(ストーン)を四連発して岩を番人の頭にぶち当てて気絶させた。

 これがエーコなら上位大地魔法(アースクエイク)一発使って、上手く魔力コントロールし、四人を拘束しそうだな。


「財宝の番人は無力化したし、中に入ろうか。中にもう一人いるようだけど」


 そうして中に入って行った。


「何だ? 何かあったのか?」


 中にいる奴が声を掛けて来た。

 げっそりやせ細っていて目の下に隈ができている。髪は天然パーマのボサボサ頭の不気味な奴だな。


「ん? 誰だ?」

「村に盗賊が来てな。アジトの場所を聞いてやって来た。お前は盗賊の頭か?」

「いや、違う。盗賊に利用された」


 一瞬目を泳がせたな。怪しい。怪し過ぎる。しかし、不気味だが日本人っぽいし盗賊の頭には思えない。怪しいからって捕まえるのもどうかと思うしな。

 日本人は、英雄候補として大事にされているっぽいし。


「利用?」

「ああ、僕は魔獣誘導のスキルを持っている。それを此処のボスに知られてな」


 そう言って肩を竦める。

 確かに最後に気絶させた盗賊はボスの命で魔獣を操作してると言っていたな。つまりボスの命でコイツが脅されて魔獣を誘導したのか?

 一応鑑定するか。



 名前:モトム=ヨウジョ

 年齢:16歳

 レベル:10

 職業:軽業師

 HP:800

 MP:50

 力:80

 魔力:60

 体力:120

 俊敏:100

 スキル:ナイフ術Lv3、魔獣誘導Lv4、危険察知Lv5

 称号:転移者、ロリコン、幼女狩り、殺人鬼

 装備:鋼のナイフ (攻撃力200、俊敏50)

    盗賊の服 (防御力80、俊敏40)

    盗賊のズボン (防御力40、俊敏20)

    盗賊の靴 (俊敏30)



 思いっきり盗賊じゃねぇか。しかも何だよロリコンだの幼女狩りだの。しかも殺人鬼まであるし。

 転移者で殺人鬼って、こっちの世界に来てから、殺しまくったのか日本で殺しまくってたのか、それによって対応が変わるな。もし日本で殺しまくっていれば、こっちで罪を問えない。逆にこっちで殺しまくっていると発覚すれば捕まえられるからな。

 つうか名前ひどっ!!


「メハラハクラ国から、この国の国境を越えた場所で集団暴走(スンタピート)が起きていたんだが、それもお前か?」

「いや、それは知らない。ずっと僕は此処に囚われていたから」

「……の割には俺達が現れた時、態度でかかったな」

「ああ、それか。僕が言われた通りに魔獣を誘導すれば、この盗賊団の中で、それなりの地位に断定的に置いてくれたから」


 ペラペラと口が回る。全部嘘だろ。だが、辻褄が合ってるようにも思える。

 転移者を捕まえるのは、問題になりそうだし、確定的な証拠がなければ捕まえられない。


「ちなみに俺はアーク。こっちはナターシャ。お前は?」

「僕? 僕は田中 一。これでも英雄なんだ」


 英雄候補だろ? しかも偽名かよ。まああんな名前じゃ偽名にしたくなるかもな。

 あ~~もうマジで悩む。どうするべきだ?


「あの……」

「何だ?」

「盗賊が村に来たって事は倒したの?」

「ああ」

「そうか! 良かったー。これで僕は解放されたんだね」


 めっちゃ喜んでるがフリ(・・)をしてるようにしか思えない。

 よし! 決めた。


「俺は鑑定が使える。この意味分かるな?」

「えっ!?」


 あ、固まった。しかも汗ダラダラ。はいダウトー!!


「ぶっちゃけ俺はお前が信用出来ない。だから今回だけは見逃す。だが、次に魔獣が不信な行動を取ったら真っ先にお前を疑い捕まえるからな」


 これで良い。次何かあったら何が何でも証拠を見つけてやる。


「信用されていないのは悲しいけど分かった。もう自由の身だし変な事はしないよ。それじゃあ」


 早口にそう言うとそそくさと逃げるように洞窟を出て行った。


「良かったのかい?」

「転移者を証拠も無しに捕まえるのは問題になる。次回何かあれば証拠を何が何でも見つけて捕まえる」

「そうかい」

「じゃあ財宝取って帰るぞ。その為にナターシャの空間魔法の中身を空にして来たんだからな」


 そう、宿屋で荷物を全部出して貰った。


「その前に……」

「ん? どうし……ぅん!?」


 唇を塞がれた。


「はぁはぁ……アークは溜まっていないかい?」


 おい! 欲情していないか? キス一つで息荒いぞ。


「こんな場所で!?」

「アークに抱かれてアークの匂い嗅いでいたらねぇ」

「え!?」


 ドン引きだよ!!


「アークは溜まっていないかい?」

「アークと一緒にするなって言ってなかったか?」

「アークは溜まっていないかい?」

「アークと一緒にするなって言ってなかったか?」

「アークは溜まっていないかい?」

「アークと一緒にするなって言ってなかったか?」

「アークは溜まっていないかい?」

「アークと一緒にするなって言ってなかったか?」

「アークは溜まっていないかい?」

「アークと一緒にするなって言ってなかったか?」

「アークは溜まっていないかい?」

「アークと一緒にするなって言ってなかったか?」

「アークは溜まっていないかい?」

「アークと一緒にするなって言ってなかったか?」

「アークは溜まっていないかい?」

「アークと一緒にするなって言ってなかったか?」

「アークは溜まっていないかい?」

「アークと一緒にするなって言ってなかったか?」

「アークは溜まっていないかい?」

「アークと一緒にするなって言ってなかったか?」

「アークは溜まっていないかい?」

「アークと一緒にするなって言ってなかったか?」

「アークは溜まっていないかい?」

「アークと一緒にするなって言ってなかったか?」

「アークは溜まっていないかい?」

「アークと一緒にするなって言ってなかったか?」

「……一ヶ月以上もシてなかったさぁ。アークは平気なのかい? もうあたいじゃ満足出来ないのかい?」


 はい、また勝った。ハァハァ……長い戦いだったぜ。

 って言うか、そんな余裕なかったでしょうが。

 知らない世界で、知らない世界の理があって。別にナターシャに飽きたとかじゃねぇっつーの。


「は~。洞窟の中だけどベッドもあるし、相手してやるか。盗賊の使用済みってのが気に入らないが」


 ペッシーンっ!!


「痛い! 何でビンタするのさ」


 俺は、はたかれた頬を撫でながらナターシャを睨んでしまう。今の何処が失言していた?


「相手してやる? 丸でその気があるのは、あたいだけみたいじゃない? アークはその気はないのかい? あたいじゃ飽きたのかい? ならもう良いさぁ!!」


 目元のハイライトが消え洞窟から出ようとしだす。

 は~。仕方ないな。そりゃ俺だってシたいけど状況とか場所とか考えちゃうんだよ。

 後ろからナターシャを抱きしめ二つの大きな山を撫でる。


「これ好きなんだよな~。ナターシャのは特別だ」


 これくらいリップサービスしてやるか。


「本当かい!?」


 何、弾んだ声してるんだよ?


「嘘だったり触らないよ」


 その後、たっぷり絞られました。そりゃもう一ヶ月分を取り返すような勢いでした。五回から先は数えるのも馬鹿らしくなったよ。

 ナターシャはいつも段々激しくなって行くんだよな。俺が疲れ切ってるのにお構い無く。

 そうしてやっと財宝を全部ナターシャの収納魔法(ストレージ)にしまい帰還した。

 ああ、番人は財宝の中にあったロープで縛り洞窟に放り投げておいた。明日辺りギルドに報告して引き取りに来て貰おう。

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