EP.04 転移者達を救出しました
東の森を突き進むと多数の気配を感知した。この気配は人間だな? 何でこんな大軍勢? 俺達を追い掛けて来た? それにしては進行方向にいるのは気になる。
「三人共、急いで着いて来てくれ。気になる事がある」
俺は三人の答えを聞かず走り出した。勿論三人が追い付けるスピードだ。
そして見えて来たのは二人の男と一人の少女の三人と戦う大軍勢……百人はいそうだな。二人の男は、前に出て少女を守るように戦っている。
だが、もうボロボロだ。傷だらけで良く奮戦している。
「<炎刃魔法>……<炎刃魔法>……何で!? 何で、こん…な時に……」
いくら唱えても魔法が発動せず、泣きそうな声音で言う少女。恐らくもうMPがないのだろう。
そして、戦ってる百人の軍勢は恐らく正規兵。同じ防具を見に纏っている。この国の騎士か何かだろう。
メンサボの町で、腐敗してると感じた。よって助けるのはどっちかなんて明白だ。
「<風魔手裏剣>」
五枚刃の手裏剣を十個作る。
この風魔法は本当に効率良い。例えば下位火炎魔法を使うとMP最大50は使う。勿論手加減すれば減らせるし、通常の魔力ではMP30くらいだろう。
しかし、この風魔手裏剣はMP50で十個作り出せる。しかも魔力を多めに込めればMPをそれ以上に使うが投げた時に風による回転力が上がり、斬り咲く範囲も増える。
そして何よりこの魔法の素晴らしいとこは闘気を籠められるとこだ。今まで魔法と闘気の併用は出来なかったが、それが出来るのだ。
更に俺はスピード主体の戦いだが、重量となる投擲用武器があるとその分、スピードが落ちる。が、風魔手裏剣があれば投擲用武器が必要なくなる。
「はっ!」
十個の風魔手裏剣を投擲した。何人もの正規兵を貫く。しかも闘気が籠められているので、貫通し後ろにいる正規兵も巻き込む。
「うっ!」
人の死を見慣れていない沙耶には刺激が強かったのか口元を抑える。だが、今はそっちに構ってる余裕はない。
「三人共下がれ!」
三人は一瞬何が起きたのかわからなくてポカーンとしていたが、俺の声で我に帰り下がり出す。
「エーコ、地形変動とか知ったこったー。上位で薙ぎ払え!」
もうこんな国、地形がどうなろうが知らねぇ。
「わかったー。<上位水流魔法>」
水の上位魔法により、横から大きな川と言うか波が出現し、正規兵達を一気に押し流す。
エーコも一応手加減しているだろう。森の木にぶつかり当たり所が悪ければ死ぬが、流されただけなら死にはしない。
この魔法を全力で行使すれば流されるどころか波が強く上下の感覚が分からなくなり、溺れ死ぬだろう。
「大丈夫かい? 中級回復魔法」
ナターシャが回復魔法で三人を回復してやる。
「ああ、助かった。ありがとう。俺は剣だ」
はい恒例の鑑定っと。
名前:ケン=ミツルギ
年齢:16歳
レベル:22
種族:人族
職業:剣士
HP:1500
MP:100
力:200
魔力:50
体力:150
俊敏:80
スキル:剣聖術Lv4
称号:転移者
装備:鋼の剣 (攻撃力500、防御100)
普通の服 (防御力10)
普通のズボン (防御力20)
普通の靴 (防御力10、俊敏5)
剣聖術? また凄そうなスキルだな。
内容は剣術の上位版で、更に洗練された剣技が可能になり邪を払う。
なかなかだな。
「僕は眼也。助けてくれてありがとう」
名前:ガンヤ=モクヤ
年齢:16歳
レベル:20
種族:人族
職業:槍士
HP:2000
MP:200
力:150
魔力:150
体力:250
俊敏:50
スキル:槍術Lv3、神薬調合Lv1
称号:転移者、真眼
装備:鋼の槍 (攻撃力600)
普通の服 (防御力10)
ただのズボン (防御力20)
ただの靴 (防御力10、俊敏5)
神薬調合は、ナターシャの持つ霊薬調合の上位版か。レアなのものを持っているな。
それに称号が二つあるぞ。真眼は、物の本質が見え、視力・動体視力が上がり、しかも鑑定も出来るのか。にしても神薬に真眼とかギャグかよ。
「……あの……ありがと……う、ござ、います。し、静と……言い、ます」
やけにオドオドしている。てか、紅赤色の髪とか珍しいな。転移者じゃなくこの世界の者か?
ただ残念なのは、短髪ってとこだな。伸ばせば顔も悪くないしモテそうなのに……。
「お風呂好き?」
パッシーンっ!
「くだらない事を言ってるんじゃないよ!」
沙耶に頭をはたかれ鋭いツッコミを受けた。
「……はい、お風、呂は……好き、です」
「貴女も律儀に答えなくて良いよ。今のボケよ」
剣と眼也がクスクス笑い出す。
「ドラ〇もんネタですね」
剣がそう呟く。
まあそれはともかくとりあえず鑑定っと。
名前:しずか=むむい
年齢:16歳
レベル:10
種族:人族
職業:魔術師
HP:700
MP:150
力:50
魔力:200
体力:50
俊敏:50
スキル:炎魔法Lv1、水魔法Lv1
称号:魔導、転移者
装備:普通の服 (防御力10)
プリーツスカート (防御力15)
普通の靴 (防御力10、俊敏5)
だいぶ弱いな。他の二人に守って貰ってばかりいたのだろうな。オドオドしていて自分に自信がないせいか?
こっちの世界の者かと思ったが転移者か。紅赤色の髪は染めてるのか?
で、称号に魔導ね。内容は……………………………………は? へ? ほ~~~~~~。
驚いた後に、関心したが……、
「なんじゃこりゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!」
結局驚きのが強かった。だってさ。ヤバイってこの称号。単体ではゴミだが、使いこなせるようになったらチート級だろう。
「え? え? え?」
静とやらが怯え剣の後ろに隠れた。俺が静の方を向いて叫んだからな。怖がらせたのだろう。
「あの何か?」
剣とやらがめっちゃ睨んで来た。こいつ目付き悪っ! 視線だけで人を殺せるだろ?
「あ、悪い。脅かすつもりはなかったんだ」
「……それで、静が何か?」
怖い。眉の吊り上がりを緩めないで睨みっぱなしだしよー。
「最初に言っておく。俺は鑑定持ちだ。どうせ眼也とやらには見抜かれているだろうけど」
「そうなのか?」
剣が眼也に水を向ける。
「いや、残念ながらエーコって娘しか見抜けなかった。サヤって娘とナターシャさんって方は、穴あきチーズのように所々しか。……そして、この方は何も見えない」
あ~~真眼でも闘気で弾いたか。
「あ~~じゃあまず名乗るか。俺はアーク。鑑定遮断に近いものを持ってるせいで俺のは見れなかったんだ。ナターシャと沙耶は、そのスキルのレベルが低いから穴あきチーズのようになっていたんだな」
「そうでしたか」
「敬語はいらない。普通で良いよ。で、まあもう名前は知ってると思うけど、一応……」
そう言ってナターシャの方を向く。
「ナターシャさぁ」
「エーコだよー」
「沙耶よ」
と、順番に名乗る。
「それじゃあ話を戻すけど、俺の鑑定で静って娘がとんでもない称号を持っている事に気付いた」
「え? どんな、内容の……ものか、わか、ったの、です?」
「ちなみに眼也、エーコは完全に見えたんだよな? 正直どうだった?」
「女の子にこんな言い方どうかと思うが、化物だった。俺達なんかとは次元が違う。魔法系統が凄まじい」
「そう、エーコは俺達の中で一番魔法の才がある」
「わたしの話題を出すの恥ずかしいよー」
エーコが照れてなんか言ってるが無視だ。
「そのエーコに静の魔導を持たしたら、世界が滅ぶんじゃないかと思われる内容だった」
「「「「「「えっ」」」」」」
全員目を丸くしだす。
そして静は逸る気持ちを抑えられないかのように剣の後ろから出て来て、俺に方に詰め寄って来た。
「そ、それで……魔、導って……な、何なんです、か!?」
まあ自分の称号だし詳しく知りたいよな。でもな……顔近いよ静さんや