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アサシンズ・トランジション ~引き篭りが異世界を渡り歩く事になりました~  作者: ユウキ
第十章 月光の世界へ (第二部 開始)
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EP.14 ギルマスが登場しました

 さて冒険者ギルドではランクがあるとアメリアに聞かされた。やはりテンプレ通りだ。

 ランクは、Hから始まりG、F、E、D、C、B、A、Sの9ランク。

 Gは採集系が主なものでFから討伐系が増え、Dから護衛などが増えて来る。


「……と、そのようになって、おおりますぅ」


 まだ俺を見て震えているよ。チビってない? 大丈夫?

 さて今の説明でHがなかったが、Hは冒険者ギルドに登録したは良いが、実力不足と判断された者で、お金を貰うどころかお金を払い冒険者の心得や戦闘を学ばされるのだとか。

 そして登録した最初はHからなのかGからのか判断される。その方法は……、


「……こちらの水晶は魔力を測る魔道具となっております。これで実力を見極めております」


 ほ~便利な魔道具があるのだな。先程の職業を決める水晶は真ん丸の球体だったが、こっちは八角球だ。

 ただ……、


「戦士系はどうするのよ? 魔力がないからHランク決定じゃない?」


 同じ疑問を沙耶も持ったようで、アメリアに質問していた。


「いえ、魔力で身体強化を行うものなので、全く魔力ないと言う事はございません」


 魔力で身体強化……ね。この世界は闘気の概念は一般的ではないのか。


「それでは、誰が最初にこの水晶に触れられますか?」


 うーん。さっきから俺には視線を合わせないようにしているな。俺が視界に入るとめっちゃ震えるし。

 べ、別に寂しくてそんな事言ってるんじゃないんだよ!? って誰得だよ?


「じゃあわたしからー」


 そう言って水晶に触れたのはエーコだ。


 ゴゴゴゴゴ……!


 水晶を中心に地響きが起きる。


「えっ!?」

「なんなのさぁ?」

「なによ!?」


 いや、最初にエーコってのがまずいでしょう。上限がどこまで測れるのか知らんけど弩級魔術師って職業に出たんだからパスさせてやれよ。

 ピキっ! と水晶にヒビが入る音がしてからの変化は劇的だ。エーコもまずいと思い手を離すが、それでも水晶に亀裂が走り……、


 ガガガガガガ……!


 水晶が台にも亀裂が走り地面に回り、更に壁まで亀裂が走り天井まで届く。


「ひぃぃぃ!」


 アメリアが震えてへたり込む。

 あ……漏らした。

 う~ん、俺そう言う系は好まないからな~。服が破けたとかならガン見なんだけどな。


「なんじゃい!? 今のものすげ~音は!?」


 そこに顔を表したのは背の低いオッサンだ。

 髪の色は茶色でボサボサ。髭は白く口ひげ顎髭が長く胸のあたりまで伸ばし三つ編みにしている。

 この人、ドワーフかな?


「あ! ギルドマスター……魔力を測定したら……」


 ギルドマスターかい! てか、冒険者ギルドにやって来る→即厄介事→ギルドマスター登場。

 これって、マジでテンプレありがとうございますって感じだな。

 そのギルマスだか亀裂が走った壁を見て、大体の事情を察しは~と大きな溜息を付いた。


「全員ワシの部屋に来い」


 って訳でギルマスの部屋にドナドナと連行。来て早々簡便だな。


「話の前にお前達の資料をまとめたい。待って来てくれ」


 そう言ってアメリアには資料まとめと着替えるように命じる。まあ漏らしたしね。他の職員にはお茶を用意させていた。

 俺以外の三人はやっちゃったーと言う雰囲気を醸し出しお茶をズズ~とすする。俺? テンプレだし平然としていた。

 十分くらいすると俺達の資料をまとめたアメリアが戻って来てそれをギルマスに渡す。


「ふむ……弩級魔術師に巫」


 やっぱそこ注目するよね。

 は~~とギルマスが大きな溜息を付くとアメリアの方を見る。


「このギルドじゃこんな事なかったから、経験ないのも仕方ねぇ。だがよ、こんなのが職業に出ていたらとんでもねぇ魔力があるって分かるじゃろ」

「……仰る通りで」


 ちなみにこのギルマスのステータスは鑑定で確認していた。その内容は、こんな感じだ。

 はい、ドンっ!



 名前:【聖魔鍛冶(ダイモーン)】ガリラウス

 年齢:五十五歳

 レベル:140

 種族:エルダードワーフ

 職業:上槌戦士

 HP:16000

 MP:440

 力:3500

 魔力:350

 体力:2700

 俊敏:900

 スキル:槌術LvMAX、闘気Lv3、強化魔法Lv5、聖魔鍛冶LvMAX、痛覚無効、鑑定

 称号:マスタースミス、ギルドマスター、ゴブリンスレイヤー、オーガスレイヤー、魔族スレイヤー、ドラゴンキラー、デーモンキラー、英雄、元Sランク冒険者



 つえ~。普通に強いわ~。ロクームなんて目じゃないな。にしてもやっぱ闘気って一般的じゃないのかな? レベル3しかないし。

 そして、種族がエルダードワーフ。ゲームとかじゃドワーフの王族的な立場だったな。つまりレアなドワーフ。

 他にも気になるのが称号の魔族スレイヤー。この世界は魔族もいるのか。

 更に元Sランクとか気になるけど、一番の問題は鑑定持ちだ。まずそうな、よ・か・ん。


「まあ良い。お前は下がって仕事に戻っていろ」

「……はい」


 意気消沈と言う感じでアメリアが出て行った。あ、勿論股は濡れてないよ? ちゃんと着替えたようだ。

 と言う事でギルマスと俺達の五人が部屋に残された。


「さて、ワシはガリラウス。この冒険者ギルドのギルドマスターだ」

「アーク」

「ナターシャさぁ」

「エーコだよー」

「沙耶です」


 名乗られたのだから名乗り返そう。今、俺達の資料――恐らく最初に記入した内容と出てきた職業一覧だろう――を持ってるので名乗る必要はないだろうけど、一応ね。


「一応能力見てみたい。鑑定して良いか?」

「許可取る必要あるのか?」


 へえ~と感心しながら言ってみる。


「当然じゃろ。個人情報だからな」

「まぁ迷惑かけちまったようだし、構わないさぁ」


 ナターシャが気軽に許可を出す。ちょっと止めて欲しかった。俺には見られたくないものがいくつもあるしな。


「なら……<鑑定>」


 言う必要なくない? 俺は念じたら見れたし。


「……とんでもないな」


 ガリラウスが、感心を通り越して呆れた口調で呟く。


「まず、エーコ」


 資料を見てからエーコを見る。名前の確認してるんだね。


「なーに?」

「こんな魔力が高いのはビックリじゃ。だが驚くべきとこは、こんなに魔力があるのにレベルが見合っていない」


 レベル9だもんね。


「そうかなー?」


 ステータスの概念に馴染みのないエーコが首を傾げる。


「ああ、それにこんなちっこいから尚更じゃ。それでも経験値を得ずにステータスを上げるのも可能じゃが、英雄の称号を付く説明にならん」


 英雄の称号を付けるには、それなりの条件があるのかな?


「だが、冒険者ギルドは経歴は気にしない。強い者が入って来るのは有難いからな」

「良かったー」

「それとこれはナターシャとサヤにも言える事なのじゃが、あんたら貴族か」

「「「へっ?」」」


 三人は首を傾げる。あ~鑑定したから、バレたのか。家名がある事に


「家名があるじぇねか」

「貴族だとまずい?」


 俺が問う。


「まずいって事はねぇよ。ただよ、これから鑑定は、なるべく拒否した方が良いかもな。お忍なのか廃嫡されたのか知らんが、知られたくなかったから、最初に記入しなかったんじゃろ?」


 貴族と思われるのが面倒だから、記入しなかったんだけどな。

 言われてる当の本人達は意味が分からず目をパチクリさせている。


「次にナターシャとサヤじゃが、ステータスが半端にしか見えない。鑑定遮断か?」

「そうなのかい?」

「そんなスキル持ってないですよ」

「そして、アークは完全に見えない」


 え? 何で?


「三人とも職に気功士があった。これのお陰じゃろ。ワシの鑑定を闘気で弾かれた。滅多にいないぞ」


 へ~闘気って鑑定を防げるのか。なら闘気レベルが高い俺は完全に鑑定を遮断したのも頷ける。でも、お陰で見られたくないものが見られずに済んだな。


「これじゃあランクをどうするか考えないといかんな。少し見えた内容でもナターシャとサヤの実力はそれなりじゃ」

「あ、あの……魔力を測る魔道具とやらは弁償かい?」


 ナターシャが恐る恐る聞いた。

 俺もいきなり弁償と嫌だな~。まだ生活基盤が確りしていないし。


「安心せい。アレはこっちの不手際でもあるしな」

「良かったさぁ」


 ホっと胸を撫で下ろすナターシャ。


「で、アーク。とんでもない職が出て来たな」


 ですよねー。殺し屋とか暗殺者とかマジでヤバい。

 鑑定で見られなかったから、良かったものの見られたら更にヤバかっただろうな。


「冒険者は難しいか?」

「いいや。経歴は気にしないし、当然さっきの家名も含め過去の詮索はご法度にしている」

「それは有難い」

「ただ何かあれば真っ先に疑われるのは覚悟しておく事じゃ」


 つまり殺しをするならアリバイ工作は入念にしろって事だね。分かります。え? 違うって?


「じゃあランクじゃが、ワシの権限でFランクからじゃ」


 二階級特進ですか。俺達死んでない?


「鑑定で確り見えたエーコの実力的にはAランクやBランクでも問題ないのじゃが実績がない。よって流石にEランク以上には出来ない」


 まあ当然だな。って言うかSランクとは言わないのだな。恐らくこのギルマスにエーコは勝てるぞ?

 余程厳しい条件があるのかな?


「話は以上じゃ。受付でギルドカードを受け取るが良い」


 そう言われたの俺達はギルマスの部屋を退出して受付に向かった。


「では四人ともFランクからですね。こちらギルドカードになります」


 そう言ってアメリアが灰色のギルドカードを渡してくれた。ランクで色が変わるらしい。


「それから四人でパーティを組むのですか? 良ければパーティ登録しますか? パーティは四人以上となりますと一番ランクが高い者の一つ上のランクの仕事を受けられます」

「どうする?」


 アメリアに言われたのに三人に水を向ける。


「あたいは良いと思うさぁ」

「わたしもー」

「私も良いよ」

「では、こちらにご記入ください」


 新たな用紙を出される。ふむ……パーティリーダーね。


「リーダーはナターシャね」

「えっ!? なんでさぁ?」

「めんどい」

「は~、わかったさぁ」


 呆れたような眼差しを俺に向けて来る。ごめんよ。めっちゃめんどそうなんだもん。


「それでパーティ名どうするさぁ?」

「あとからでも変更できるか?」

「可能です」


 アメリアに聞くと首肯してくれる。てか、どうやら俺に対しあまりびびらなくなった。有難い。


「なら仮でノーネームにしとくか」

「のぉねぇむってなんだい?」

「名前が無いって意味」

「わかったさぁ。そう記入するさぁ」


 そう言ってナターシャが書き始める。

 書き終わるとギルドの規約など詳しく聞く。早速、アメリアから聞いた仕事が張り出されているクエストボードに向かう。

 このクエストボードに張り出されているものから、気に入った仕事を剥いで受付に持って行くと言うシステムだな。テンプレの冒険者ギルドで分かり易い。

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