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アサシンズ・トランジション ~引き篭りが異世界を渡り歩く事になりました~  作者: ユウキ
第十章 月光の世界へ (第二部 開始)
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EP.13 職業を決めました

 -2216――――月陸歴1515年7月5日



 翌朝、朝食を摂り宿屋を出ると素材換金場の前までやって来た。


「悪いが、エーコがこの木札を持ってお金を貰って来てくれ」

「何でー?」

「見た目が子供だから。どの貨幣がどれくらいの価値が聞いて来てくれ。大人が聞くと怪しまれる」

「分かったー」


 そう言って、エーコはトコトコ小走りで素材換金場に入って行く。それから暫くして出て来た。

 査定額は3.8000だったらしい。ただ宿代の2.2000を引かれる。流石併設されてるだけあっていちいち払わなくても引いた金額をくれるのは楽で良いね。

 で、合計1.6000で中銀貨一枚と小銀貨六枚渡された。うん、かなり心許ない。このまま行けば野宿になりそうだな。

 ちなみに……、


 小銅貨=1ギル

 中銅貨=10ギル

 大銅貨=100ギル

 小銀貨=1.000ギル

 中銀貨=10.000ギル

 大銀貨=100.000ギル

 小金貨=1.000.000ギル

 中金貨=10.000.000ギル

 大金貨=100.000.000ギル

 白金貨=1.000.000.000ギル


 となってるらしい。エーコが確り聞いてくれた。

 次に並びにある冒険者ギルドに向かう。扉は、西部劇に出て来そうなスイングする両開きのものだ。なんかラノベでありそうなテンプレ仕様だな。

 俺はそれを押し中に入った。酒場と併設されたこれまたテンプレのギルドだ。にしても獣人がいるな。この世界は亜人がいるのだな。そして、受付に向かう。


「冒険者ギルドにようこそ。本日どのようなご用件で?」


 受付をしている女性ににこやかに声を掛けられた。

 年は十代後半くらいだろう。見た目は緑髪のポニーテールで背中辺りまであり、青色の瞳している。


「冒険者になりたいのですが?」

「かしこまりました。こちらを記入してください」


 そう言って用紙を渡せれる。名前、年齢、職業、種族の四項目だ。


「三人とも……」

「なんだい?」

「何ー?」

「何よ?」


 俺は声を潜ませ話し掛けた。


「家名は書くな」

「「「はっ?」」」


 三人は目を丸くする。もしテンプレ通りなら、家名を書くと面倒な事になる。


「もし聞かれたら書けば良い」

「分かったさぁ」

「分かったよー」

「分かったよ」


 三人は何も聞かず納得してくれたようだ。そしてそのまま用紙に記入した。ちなみに全員職業は無職と記入した。ステータスで無職となっていたからだ。


「アークさんにナターシャさんにエーコさんにサヤさんですね。申し遅れました。わたくし当ギルドで受付をしておりますアメリアと申します。どうそ宜しくお願い致します」


 アメリアと名乗った受付嬢が深々と頭を下げる。


「ああ。宜しく」


 代表で俺が答える。


「それでは皆さん、まずは職業を決めましょう。職業によって様々な恩恵を受ける事ができます。例えばスキルを習得したり。では、わたくしに付いて来てください」


 そう言われ俺達はアメリアの後を追う。


「こちらは職業を決める間となっております」


 正八角形の鏡張りの部屋で真ん中に球体状の水晶が置いてあった。大きさは直径40cmくらいだろうか。


「職業を決めたい、もしくは変えたい場合は冒険者ギルドか神殿にて行えます。ただ神殿ではお布施を払わないといけません。それでは真ん中の水晶に触れてください」

「沙耶からどうぞ」

「じゃあお言葉に甘えて」


 勝手な予想だが、沙耶が一番職業が少ないだろう。ステータスも低いし。

 なので先に俺達三人の誰かが先に職を選ぶとなるとアメリアがビックリして腰を抜かしてしまうだろうな。

 いや、精霊に愛される能力を持っている沙耶もそれなり多いだろうが、それでも俺達より少ないので慣らして貰おう。

 そうして沙耶は水晶に触れた。


『炎術師、風術師、土術師、療術師、精霊術師、精霊術師・上、気功士、剣士、格闘家、侍、魔侍、上侍』


 空中にそれぞれの職が書かれた文字が散らばった。思ったより少ないな。十二個しかない。

 にしても何故に侍? 薙刀は侍の武器の分類なのかな?

 それと気になるのが精霊術師・上や上侍の『上』ってなんやねん。上位って意味か?


「人種で精霊術師とは珍しいですね。よほど精霊に愛されているのでしょう」

「そう?」

「はい。制霊術師になれるのはエルフがほとんどですから」


 この世界はエルフがいるのか。エルフを知らないナターシャとエーコは当然首を傾げているが何も聞かない。

 恐らく此処で、あれこれ聞くのは怪しまれると思っているのだろう。

 冒険者になる為の用紙の種族の項目でも首を傾げていたし。更にギルドの酒場にいた獣人をチラチラ見ていた。二人に取っては珍しいだろうからな。


「もしかしてご先祖様にエルフでもいらしたのですか?」

「いいえ」

「そうですか。そうでしたなら、とても素晴らしい才覚をお持ちで」

「ところで精霊術師にならないと精霊と契約出来ない?」

「いいえ。ただ精霊術師のが親和性が高いので契約し易いですね」

「そう。それで職を決めたよ。どうすれば良い?」

「では、それに触れてください」


 そう言われた沙耶は、空中にある、とある文字に触れた。


「では、サヤさんはこれから魔侍となります」


 魔侍を選んだようだ。字的に魔法も使える侍ってとこだろうか……?


「じゃあ次はあたいが触れてみるさぁ」


 沙耶に続けて今度はナターシャが水晶に触れた。


『炎魔術師、灼熱魔術師、風魔術師、突風魔術師、土魔術師、大地魔術師、氷魔術師、氷結魔術師、雷魔術師、稲妻魔術師、癒魔術師、治癒魔術師、軽業師、剣士、槍士、狩人、弓兵、弓騎士、魔弓士、薬師、薬師・上、霊薬師、空間師』


「わぁ~沢山ですね~」


 アメリアが目を丸くし職業の文字が散らばった中空を見渡す。つうか薬師・上って何だよ? 薬師の上位互換って事かね。


「ところで何で空間師とかって出て来たんだ?」


 薬師よりも更に気になる事がボソっと口から出てしまった。


「ナターシャさんは弓使いとして、とても優秀な才覚をお持ちのようです。弓使いはある程度空間を把握出来ないと難しい職業です。恐らくナターシャさんは弓を使ううちにいつの間にか空間把握を身に付けたのだと思います」


 アメリアが丁寧に説明してくれる。なるほどね。だからナターシャのスキルに空間把握があった訳だ。


「なるほどね」

「じゃああたいこれにしようかね」


 そう言って霊薬師に振れようとした。が、俺はその手を咄嗟に掴んで止める。


「どうしたんだい?」

「空間師してくれると有難い」


 今まで培ったゲーム知識を元に感だが空間師が一番パーティにおいて助かる筈。あの件もあるし。そもそも薬師の職業を選ばなくても薬の調合は出来るのだし。


「あーアレね。確かにこれなら覚えられそうねぇ」


 どうやらナターシャも察したようだ。

 そして、中空に浮かんでる空間師の文字に触れた。これでナターシャの職業は空間師だ。


「じゃあ次はー、わたしねー」


 そう言って次に水晶に触れたのはエーコだ。なんかとんでもないのが飛び出そうな予感。


『炎魔術師、灼熱魔術師、紅蓮魔術師、風魔術師、突風魔術師、暴風魔術師、土魔術師、大地魔術師、岩石魔術師、水魔術師、水流魔術師、激流魔術師、氷魔術師、氷結魔術師、凍結魔術師、雷魔術師、稲妻魔術師、雷撃魔術師、癒魔術師、治癒魔術師、生命魔術師、巫、空魔術師、中空魔術師、天空魔術師、大魔術師、超級魔術師、弩級魔術師、鈍器師、薬師』


 やっぱりエーコは、とんでもないものが飛び出したな。


「これはまた凄いですね。魔術師の才をここまでお持ちの方はいません」


 ナターシャで慣れたのかだいぶ落ち着いてるな。


「……かかかかか、かむ、カムナギ!?????」


 ……でもなかった。卒倒しそうな勢いで叫び出した。


(かむなぎ)は、数百年に一人しか現れないと言われています」


 めっちゃ興奮気味だな。


「ふーん」


 しかしエーコは、丸で興味無しと言った感じで弩級魔術師を選ぼうとしている。


「エーコ、巫を選んでくれないか?」

「え? でもー、わたし神託とか受けたくないしー」


 それもそうだな。神託とか受けたら面倒かもしれない。だがそれはそれで必要なのだな。

 まあ俺は別の思惑があるのだが……。


「神託があれば世界の異変知れるかもしれないだろ?」

「あ、そうだねー」

「それに気に入らなければ変えれば良いだけだし」

「分かったよー」


 そう言ってエーコは中空に浮かんだ巫の文字に触れた。


「さて、最後は俺か」


 そう呟き水晶に触れた。俺の場合誰かに見られたくないんだけどな……。


『炎魔術師、風魔術師、雷魔術師、氷魔術師、癒魔術師、治癒魔術師、軽業師、剣士、大剣士、魔剣士、侍、上侍、魔侍、気功士、気功士・上、斥候、密偵、盗賊、殺し屋、暗殺者、暗殺者・上、忍、上忍、炎忍、風忍、雷忍、氷忍』


 だから上ってなんだよ上って。やっぱり上位互換の事かね。

 にしても……、


「ひぃぃぃぃぃぃ」


 案の定アメリアが震えているよ。

 そりゃ殺し屋だの暗殺者だの職業出てくればこうなるよな。だから人に見せたくなかったんだけど。


「あの」

「はいぃぃぃ」


 かなり声が上吊ってるよ。


「暗殺者とかやってたの昔の事なんで怖がらないで貰えると有難いです」

「はぃぃぃ」


 いや、まだ震えているよ。


「アークって本当に暗殺者だったのね」


 しみじみと言う感じで沙耶が呟く。


「でも、昔の事だからー」

「だねぇ」

「そもそも、本来の体の持ち主の時よね?」


 あ、そう言えば沙耶はそれ知ってたな。さて、それはともかく俺も職業を選ばないと。


「あの風魔術師と風忍はどちらが風の恩恵を受けられる?」


 震えているアメリアに聞いてみた。


「えっと、おおお同じですね。ただかかか風忍は風の他に忍の恩恵をうう受けられます」


 まだ震えているよ。まあでも聞きたい事も聞けたし、それならこれ一択だな。

 俺は中空に浮かんだ風忍の文字に触れた。


≪アークは風忍の職業になりました≫


 頭の中に直接声が響いたな。さて、ステータス確認っと。



 名前:アーク

 年齢:十九歳

 レベル:9

 職業:風忍

 HP:8000

 MP:620

 力:1078

 魔力:396

 体力:990

 俊敏:3080

 スキル:隠密LvMAX、ナイフ術LvMAX、剣術LvMAX、短剣術LvMAX、小太刀術LvMAX、小刀術LvMAX、格闘術Lv4、投擲LvMAX、鍵開けLv6、ワナ解除Lv6、闘気Lv7、毒耐性、痛覚鈍化、炎魔法Lv3、風魔法Lv2、雷魔法Lv3、氷魔法Lv3、治癒魔法Lv1、気配完知、魔力察知Lv6、危険察知Lv1、鑑定

 称号:コソ泥、襲撃者、殺人鬼、修羅、忍、ゴブリンスレイヤー、オーガスレイヤー、ヒューマンスレイヤー、ドラゴンキラー、デーモンキラー、大英雄、転移者

 装備:闇夜ノ灯(やみよのあかり) (攻撃力6000、俊敏700) 剣圧強化

    光陽ノ影(こうようのえい) (攻撃力4500、防御力800、俊敏300) 障壁展開、陰影切創

    鎖帷子 (防御力200、俊敏100)

    ただのズボン (防御力20)

    ただの靴 (防御力10、俊敏5)

    ティーの指輪 危機発動 (防御魔法(シールド))



 お! ステータスが上がっている。

 実は称号の内容も確認していた。称号『忍』は、職業を忍系にするとステータスが一割上がるというものだ。なので迷う事なく風忍にした。

 尤もアメリアが風の恩恵は風魔術師のが多く得られると言い出したら迷ってしまっただろうけど。

 俺は風忍で沙耶が魔侍なので前衛、エーコは巫でナターシャは空間師なので後衛。きっとバランスの良いパーティの筈だ。

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