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EP.10 二股クソ野郎と出会ってしまいました

 俺は、ラフラカ城の跡地に作られた一軒の家を訪ねて来ていた。それにしてもムサシが町が復興したとか言ってたのに一軒しかないな。ま、一軒しかないのはわかりやすくて助かるがな。

 だが、何か嫌な予感しかしないんだよな~。


 軽くノックするが返事が無い。


「な~んだ、留守か」


 ついボヤいてしまう。


「しょうがねぇ。待つか」


 ムサシがトレジャーハンターだから必ず家にいるとは限らないが、老人と三人暮らしで、その老人は大概家にいると言っていた。

 だから、きっと老人は少しの間、留守にしてるだけだろう。俺は玄関を背に座り込む。


 待つ事一時間


「……んだよ」


 やって来たのは魔物達だ。


「まあ暇つぶしには調度良いや。遊んでやる」


 小刀二刀流で迎え撃つ。

 即座に四匹の魔物を斬り裂いた。やっぱ狩りは良いね。楽しくなってきたぜ。顔がニヤけてしまう。


 だが、直ぐに終わってしまう。気付くと押し寄せた魔物を全て片付けていた。

 ん? 此方を見ている視線が……。


「………………………………」


 思わず固まってしまった。騙したなムサシ。ロクリスってこいつらかよ。

 ロク(・・)ームとエリス(・・)でロクリス。安直過ぎるだろ。

 というか気付けよ、俺も。最悪だ~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!

 エリスは良いよ。綺麗だしさ。だけどもう一人だよ。この二股クソ野郎には、会いたくもないし話したくもねぇ。は~帰りたい。帰る家なんてないんですけど。


挿絵(By みてみん)


「やるでガンスな、お前」


 二股クソ野郎が声を掛けて来た。よしよし気付かれていないな。良かった。

 それにしても……、


「ムサシの奴、わざと接触させたな」


 聞こえないように小声で呟く。


「当然だろロクーム。何故なら、この者はダークだぞ」

「えっ!?」

「ちっ!」


 エリスにはバレたし。つい舌打ちしてしまう。


 彼女はエリス=シャール。プレイアブルキャラの一人だ。

 聖騎士で剣の腕が良く、魔力が四番目に優秀な設定だったな。

 見惚れる程、綺麗な紫の髪が艶やかで背中までストレートに流している。髪を束ねているわけでもないのに戦闘中に乱れる事なく邪魔にならない不思議なキャラ。

 人間での最初の魔導の披見者で、剣術も英才教育で育っただったかな。気品も良く、かなりの美人でプレイキャラにする人も多い。人気度上位だ。

 ちなみにうろ覚えだが、最終エピソードでのエリスのステータスがこれだ。



 名前:エリス=シャール

 年齢:二十三歳

 レベル:100

 クラス:聖騎士

 称号:女帝

 HP:11000

 MP:2800

 力:2300

 魔力:2100

 体力:850

 俊敏:1400

 スキル:剣使いLvMAX、闘気Lv6

 エクストラスキル:全魔法、二刀流、痛覚鈍化、麻痺耐性

 ユニークスキル:女帝騎士

 装備:聖剣ライトオブソード (攻撃力4000、魔力400、防御力400)

    名将の剣インバリットクイーン (攻撃力4500、防御力800)

    魔導の軍帽 (防御700、魔力100)

    魔導の軍服 (防御力1500)

    魔導の軍靴 (防御力300、俊敏200)

 セット装備効果:軍服 (攻撃力1500、魔力800)



 唯一名前だけじゃわからないユニークスキルを持ってたんだよな。まあそれを言ったらルティナも意味はなんとなくわかるが、効果が全然わからないんだけど。

 で、女帝騎士だが一定時間全能力1.5倍とか言う破格の能力アップだった気がする。全能力って事はHPMPもだ。

 まあ自分のキャラじゃなかったし、ほんとうろ覚えなんだけど。


 もう一人はロクーム。これもプレイアブルキャラの一人。

 どっかの冒険家気取りのコソ泥だ。と言うか、俺こいつ嫌いだわ。

 大陸を()に掛ける冒険家なんて設定だが、やってる事は、二()を掛けてるだけだ。

 ルティナとエリスを口説いて、エリスが簡単に落ちたからエリスとくっついたとしか思えない。

 だと言うのにプレイアブルキャラの中で、一番最初に紹介されているからって言う理由でとりあえずで選ぶ人が多く人気度が高い。いや、正確には使用者(・・・)が多いだな。

 戦闘なんて魔物からアイテムを盗むくらいしか使えない。一応素早く、短剣二刀流が得意だが、ダークの下位互換にしか思えない。

 もうコイツは良いや。これ以上語りたくない。って言うか前に語った気がする。ほんとマジいらね。

 まあとりあえずうろ覚えのゴミカスの最終エピソードのステータスを。



 名前:ロクーム=コード

 年齢:二十八歳

 レベル:100

 クラス:トレジャーハンター

 称号:大陸一の冒険家

 HP:7500

 MP:450

 力:800

 魔力:250

 体力:800

 俊敏:2300

 スキル:隠密LvMAX、ナイフ使いLvMAX、短剣使いLvMAX、投擲Lv7、鍵開けLvMAX、ワナ解除LvMAX、闘気Lv2、

 エクストラスキル:二刀流、毒耐性、下位火炎魔法、下位突風魔法、下位氷結魔法、下位回復魔法

 ユニークスキル:攻撃強奪(ぶんどり)針金留金(ワイヤーフック)

 装備:ユピテルダガー×2 (攻撃力4500、俊敏300)

    瞬足の衣 (防御力500、俊敏400)

    瞬足の手甲 (防御30、俊敏200)

    瞬足の靴 (防御力80、俊敏500)

 セット装備効果:瞬足 (俊敏1000)



 この大陸の名を冠した武器が最強武器だったのもムカつくんだよな~。


「それで、ダークが何で此処にいるでガンスか?」


 二股クソ野郎が何か言ってるな。

 つーん。態とそっぽ向く。どうせなら美人であるエリスと話したい。


「ああ。ムサシに聞いて来たんだな?」


 とエリス。

 ん? 何でわかった? エスパーかよ!?

 まあ良いや。エリスだったら普通に話したい。だが、忘れたらいけない。暗殺者ロールプレイだ。


「……ああ。実は……」


 俺は、此処に来た経緯を語った。


「丁度良かったでガンス。一つ頼まれろでガンス?」


 黙れよ。二股が移るから話し掛けて来るな。


「……何だ?」


 仕方無い。応えておくか。エリスに睨まれたくないしな。そうエリスにはな。


「実は……」


 ちっ! 何だよそれ。聞いて損したわ。自慢かよ。ふザケルな~~~~っ!!! マジで電撃飛ばしたいわ~~。

 俺だってまだなのに余計にこいつムカつくな。エリスも何でこんなのと……。

 こんな美人だったら一日中プレイしちゃいそうだぜ。あ~あ、良いな~~~。何でこんな二股クソ野郎なんかに股を開くかな~~。俺に開けような~~~。

 いかん! 私情を出すな。暗殺者ロールプレイ、暗殺者ロールプレイだ。


「……それで、俺にお前のパートナーをしろと?」


 って思いつつ私情が少し出てしまった。それ(・・)に全く触れず話を進めてしまった。最初におめでとうでも言うべきだったか? いや、こんな野郎に言いたくない。エリスもこんな野郎を選んだ時点で祝いたくない。

 まあダークの設定的にたぶんスルーするだろう。うん。そう思っておこう。


「そんな感じでガンス。ユキから手紙が来ていてな。あいつの住むエルドリアの炭鉱に怪しい模様の扉が現れたから、調べて欲しいそうでガンス。エリスには残れって言ったんだけど、久々にユキと会いたいって聞かないでガンス」

「悪かったな」


 拗ねたエリスも可愛いな~。


「……それで怪しい模様ってのが気になるでガンス。思い過ごしなら良いでガ……」

「断るっ!」


 間髪入れず答えてしまった。やばい、つい私情が入ってしまった。


「……ん? ダークお前変わったでガンスか?」


 やばっ! まずい。私情は挟むな。暗殺者ロールプレイだ。


「……いや、俺もこの一年で色々あったんだ」

「そうか……ところで来てくれないんでガンスか?」

「……ああ」

「で、情勢を知りたいって言ってたでガンスな?」

「……それが?」

「手伝ってくれたら教えてやるでガンス」

「……ちっ!」


 こいつ……。だから、こいつ嫌いなんだよ。ズル賢過ぎだ。思わず舌打ちしてしまう。


「じゃあ来るって事で決まりで良いでガンスか?」


 つーん。再びそっぽ向いてやる。こんな野郎と話したくねぇ。


「来てくれるのか。悪いなダーク」


 と、エリスが微笑む。いや、行くとは言ってませんが? でも、こんな顔見せられたら行かないなんて言えない。綺麗過ぎるだろ。つい、その笑顔に見惚れてしまう。


「……エルドリアだけだからな」


 なんでロクームの女なんだよ? ちくしょう。

 あー俺も女欲しいな。ナターシャちゃん……。

 あのままお別れしたのは失敗だったかな? いや彼女がプリズンである以上、正しい選択だった筈だ。

 でも、せめて食い散らか……って、それじゃあ二股クソ野郎と一緒じゃねぇか!!

 絶対俺は、コイツのようにはならないぞ!!

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