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EP.09 ルドリスが公開告白をしました

「皆さん、学園祭での集計が出ました」


 教室の教壇に立つウェンディ先生がそう切り出した。


「一学年で一位、全学年で四位。皆さん良く頑張りましたね」


 おお~と皆、喜ぶ。このクラスの売上がそれだけ出たのだ。


「特にアベリオテス君、スーリヤさん、フローラさん、コハルさん、接客大変だったでしょう? お疲れ様です」

「「「ありがとうございます」」」

「おおきに」

「ダーク先生も是非何か言って上げてください」


 そう言って教壇を空けてくれたので、其処に立つ。


「まずは、アベリオテス。求婚のあしらい方が上手かったな」

「ありがとうございます」

「ちょっと思ったんだけ、仮に王妃教育を確りやれば本当に考えたの?」

「はい。国の利となる程、確り出来れば考えますね。ただ平民の方は残念ながら正妃にはなれませんけど」

「これはちょっとスーリヤに失礼かもしれないんだけど」

「何ですの?」


 スーリヤが首を傾げ桃色ツインテールを揺らす。


「仮にスーリヤが王妃になるとしたら、王妃教育いらないの?」

「いえ、国が違いますから、多少学ばないといけません。まぁスーリヤ王女の場合は土台が確りしておりますので、期間は短いでしょうね」

「なるほど。ありがとう。関係無い話をしてくれて」

「いえ」

「ついでだから聞くけどスーリヤ。仮に婿を迎えたとしたら、その婿がカルラ国の王になる可能性があるの?」

「えぇ、ございますよ。わたくしは第一継承権保持者ですからね。尤も女のわたくしでは、嫁ぐ事になるのが関の山でしょうけど」

「それで第一継承権? 第一の意味なくない?」


 俺は首を傾げてしまう。


「確かにそうですわね。形式上そうなってるだけですわ」

「女王にはならないの?」

「前例がないので、余程の事がないとありませんわ」

「そうか。関係無い話をしてしまったけど、学園祭お疲れ様。スーリヤは評判良かったよ」


 集計の中に感想等もあった。


「……ありがとうございます」

「うん? 何か自分なりに納得行かない接客だった?」

「いえ、釈然としないのですわ」

「釈然としない?」

「ちなみにわたくしの評判は何番目ですか?」

「二番目だね」

「やはりですか」


 そう言うと視線をフローラに向ける。


「そうだね。一番はフローラだった。やはり負けたのが悔しい?」

「いえ……勿論それもありますが、付け焼刃で、あのような言葉遣いや気品があったのが釈然としませんでしたわ」

「そっか。まあしょうがないよね。でも、スーリヤの真似をしてたのだから胸張ろう。あまり無い胸を」

「一言余計ですわ! でも、そうですわね」


 実は本物の王女なのだからしょうがない。

 フローラはなんか居心地悪そうにしていた。騙してる訳だしね。


「フローラは………………」

「何ぃ?」

「キャバ嬢みたいだった」

「ぷっ! なんやそれ? 酷くあらへんか」

「あんたサイテーよ!」


 真っ先に胡春が反応し、吹き出している。ツボに入ったらしい。沙耶は少しオコだ。


「キャバ嬢ってぇ?」

「言葉巧みに男を気分良くさせて、金を落とさせる職業。軽いボディタッチがあれば完全にキャバ嬢だった」

「それって遊女じゃないよぉ!」


 フローラが目を剥く。


「遊女って遊郭の?」

「そうだよぉ!」

「あそこ行った事ないから、詳しく知らないけど、それとは違うと思うよ。キャバ嬢は、お触りとかしたら捕まるから」

「本当は行った事あるんでしょうよ」

「沙耶はんゆう通りや。ダーク先生、どエロやしな」

「そこ二人煩いよ! 俺はナターシャを裏切る事はしてないっちゅうねん!」

「本当ですかね? 普段の行いから信用なりませんわ」


 ジトーっとスーリヤに見られる。


「まあともかくボクっ娘は稼ぎ頭だった。良く頑張ったな、モノマネで」

「うん。ありがとう」

「誤魔化した」

「そやね」

「最低ですね」

「わたくしもそう思いますわ」


 沙耶がボソっと呟き胡春、アイナ、スーリヤと続く。


「胡春は残念ながら評価が今一つだった。関西人なんて言葉を知ってるのはSクラスの連中だけだからな」

「そやろな」

「それでも、良く頑張った。認知度が低い中で不快にさせてないだけ十分だ」

「そらおおきに」

「沙耶は……どうでも良いや」

「何でよ!?」


 沙耶が目を剥く。


「さっき俺をボロクソ言っておいて、何か言って貰えるって期待してるのか? そりゃまた自意識過剰な事で」

「嫌味が酷いよ。そんな気に障る事だった?」

「いや、沙耶にならOKかなって思っただけ」

「OKって思うアンタの頭おかしいんじゃないのよっ!?」

「はいはい。頑張った頑張った」

「おざなりじゃないのよ」

「ルドリスとアンナは、お好み焼きと言う未知の物体を良く作った」

「「ありがとうございます」」

「未知ゆうなや!」


 胡春からツッコミが飛んで来る。


「馴染みがないんだからしょうがないじゃん。感想も賛否両論だったぞ」

「そやったのか」


 ズーンとなんか沈んでるな。


「ああ、そうだ。アンナ、王族に憧れていたよな」

「いきなりなんです? そうですね。素敵ですね」

「さっき出た王妃教育とやらを受ければ? 憧れの王族生活が出来るかも?」

「いえ、体験してみたいなとは思いますが、なりたい訳ではありませんので」

「そうなの? なら尚更俺の知り合いの闘気の使い手に会ってみると良いかもね」

「何故です」


 アンナが小首を傾げる。


「だって、アイツ王弟殿下だから」

「えっ!?」


 アンナが目を丸くする。いや、フローラ以外全員だな。


「頼めば、体験させてくれるかも。いや、王が女に甘いから、即了承してくれそうだな」

「ダーク先生、王弟殿下を気軽に『アイツ』とか仰ってましたけど、深い親交でもされているのですか?」


 スーリヤに問われる。


「王も王弟も共に戦場を駆けた仲ではあるな。ちなみに王は俺が知る限りユピテル大陸最強の槍使いだし、王だけあり指揮能力も高い。会う機会があれば学ぶと良いよ」

「まぁ、それは是非お会いしたいですわ」

「まあ会ったら会ったらで疲れるだろうけど」

「何故ですの?」

「アイツ、女と見れば、幼女から老婆まで口説くから」

「なんやそれ!? 範囲広いにも程があるやろ」


 真っ先に反応したは胡春だ。まあ確かに範囲が広いわな


「丸でダーク先生みたいよ」

「煩いよ! ド貧乳」

「ド貧乳とか言わないでよ!」

「だったら失礼な事を言うな! 俺は生まれてこの方、口説いた事がないビビりだぞ」

「それ自分で言いますか?」


 ルドリスが顔を引き攣らせながら言われる。

 あ、でもウェンディ先生は別かもな。出席簿でのツッコミがおもろくてたまに口説くような事をしてるかも。


「行く気なくなりました」


 アンナがげんなりと呟く。まあ口説かれるのがトラウマになってるからな。


「あ、大丈夫。アイツたぶん本気で落とそうとしてないから。それに女を第一優先させてる節があるから、アンナが本気で嫌がれば口説かないと思うよ?」

「そうなんですか?」

「それにアンナに紹介したいのは王弟の方だし、そっちの方は、女に興味ないような感じだな」

「その国、大丈夫なんですか?」


 スーリヤがなんか引いてるな。


「さあ? 王は美丈夫だし、民や部下達からの信頼も厚いし、ユピテル大陸を引っ張って行けるだけの技術力があるし、まさに大陸の中心って感じだから問題ないんじゃない?」

「それだけ優れていても世継ぎの問題がありますね」


 アベリオテスがもっともな意見を言う。


「まあそれこそ、胡春に『いらん世話やっ!』とか怒鳴られそうな事をする気はないから、詳しく世継ぎがどうするのか聞いてないけど考えているんじゃない?」

「そこでウチを出すなや」

「と、まあ脱線しまくりだったけど、学園祭お疲れ様」


 そう締め、授業を消化して行き放課後となる。


「本日はここまでです。皆さん、今やったとこはテストに出ますの確りに復習しておいてください」


 ウェンディ先生が締めの言葉を放つ。

 皆、頷くと思い思いに帰りの準備を始めて出した。そんな中、ルドリスが立ち上がる。なんか表情が硬いな。緊張でもしてるのか? だが何に?


「ふ、フローラさん!」

「ルドリス様、何ぃ?」

「その……私は貴女が好きです。どうか付き合ってください」


 ルドリスが顔を真っ赤にさせながらそう言った。

 えっ!? 公開告白ですか。皆、ビックリしてるじゃん。スーリヤとアンナなんかポっと顔を赤くしてるし。

 沙耶と胡春は苦笑いだな。王女相手に告ったってのを分かっているからだろう。

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