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EP.05 また日本食を味わえませんでした

ブクマありがとうございます

「ダーク、ついたぞついたぞ」


 俺はガッシュの案内の元、サバンナの南にある、『Jの道』に到着していた。


「ダーク、じゃあな。げんきでなげんきでな」

「……ああ」


 正直道中疲れた。中身が違うと野生の感で気付くのではないかと。


 俺はガッシュと別れた後、『Jの道』を南下した。すると二軒の家が見えてくる。

 ここはルティナの家? もう日が暮れていたので、泊めてもらおうかと足を止めた。


 ダメだ。正直会うわけには行かない。エドやムサシに正体がバレたのもまずい。中身が違うのだから。

 ましてや、ルティナは生まれから言って勘が良さそうだ。ルティナは設定上精霊とのハーフ。

 正直最初このキャラをプレイキャラにしようとしたくらい良い設定だと思った。

 だがネカマだよ? ネカマ。まずいと思って選ばなかったけど。まあ、それ以前にダークに惹かれるものがあったのだけど。


 ルティナの家をスルーした事で、完全に夜を迎えてしまう。その時に丁度町を見かけた。

 ニュータウン『パラリア』という大きなな町だ。もう町と言うより街だな。

 ゲーム時代こんな町はなかったからゲーマーとしては目が輝いてしまう。が、散策は明日だな。

 とりあえず宿を取る事にした。


 次の日、買い出しを兼ねて散策した。それにゲーマーの俺に取っては初めての町は楽しいしな。

 正直店の物に色々目が行ってしまう。それに俺はエドと行った洞窟と、ガッシュを連れって行った報酬が宿代以外手付かずだ。

 やっとまともな武器が買えるぜ。真っ先に買ったの無銘の小刀だ。無銘故に安い。性能は安いだけあり、低いだろうが重要なのは、小刀と言う事だ。

 ダークは、小太刀を好むが、俺は小刀を好む。

 他には投擲用の武器だな。これで手作り手裏剣なんて使わないで済むぜ。


 多少道に迷いながらも、昼頃には粗方買い揃えたその時、目の前から見覚えのある、女が子供を数人連れて歩いて来た。

 げっ! 家を避けたのに結局会うのかよ。

 黄緑色の髪を赤いリボンでポニーテールにしてる。赤いリボンが黄緑の髪に栄えて良く似合う。

 瞳は奇麗なブルームーンストーンで精霊とのハーフだという事を思わせる人間味を感じさせないものだ。そうルティナだ。

 その容姿から人気も高くキャラにしてる人も多かった。


挿絵(By みてみん)


 それに強いんだよな。いつものようにうろ覚えの最終エピソードのステータスをドンっ!



 名前:ルティナ=プランフォート

 年齢:二十一歳

 レベル:100

 クラス:魔法剣士

 称号:半精霊

 HP:8000

 MP:4000

 力:1800

 魔力:3200

 体力:800

 俊敏:1800

 スキル:剣使いv7、短剣使いLv5

 エクストラスキル:全魔法、麻痺耐性

 ユニークスキル:半精霊化、究極魔法(オリジン)

 装備:精霊剣アニムス (攻撃力3500、MP600、魔力400、防御力300)

    精霊の羽衣 (防御力1000、魔力300、俊敏200)

    精霊の靴 (防御力300、魔力200)

 セット装備効果:精霊 (MP400、魔力500)



 全キャラ中、三人しかいない全魔法を習得する一人で、且つユニークスキルで最強の魔法である究極魔法(オリジン)を持つ。

 半精霊化は、徐々にMPを消費するがHPMP以外が二倍になると言う破格性能を持っている。またこの状態でないと究極魔法(オリジン)は、使えない。

 MPが徐々に減るのに魔法を使えば即、枯渇してしまうのが弱点だな。

 ただ、剣も使えると言う点や魔力は全キャラ中三位と言うのもプラスな点だ。

 ネカマにならなかったら、サブキャラで使いたいと思ったかもな。


 そんな彼女に気付かれないように俯いてすれ違う。


「……久しぶりね。ダーク」

「……人違いだ」


 すれ違った瞬間速攻バレた。ガッシュより速かったぞ。最速だ。しかも会話もしていないし、顔も見られていなのに。

 まあこの暗殺者は顔を覆い隠す仮面や覆面を被っていたから顔を見られても問題はないが。素顔を知ってるのはロマンじじぃくらいだろう。

 しかも咄嗟に返答してしまった。もうこれアウトだろ。正直ガッシュ以上に危険。中身が違うとバレてしまう


「そんな邪見にしないでよ。相変わらずなんだから」


 そりゃするよ。わざわざ家を避けたのに……。

 思わず『お前もな』と返したが、彼女の顔が一瞬陰る。ん? 何かあったのかな?

 と言ってもコミュ症の俺が相談になんて乗れないが。


「うん、そうなの。だから、少しお話したいから、貴方たちは少し公園で遊んで来てくれる?」

「はーい、ママ」

「これお昼のお金ね」


 てか、話を勝手に進めてるよ。今のうちに逃げるか? この暗殺者の設定ならそうするだろう。

 だけど、さっきの暗い顔を見てしまったら、戸惑ってしまう。そうしてるうちに昼メシを一緒にする事になった。

 失敗したかな? あまり深入りするべきじゃなかったかも?


 ルティナに案内されて来た店は日本食があるよ。食べたい。エド城では王に緊張して味なんて覚えていなかったし。

 だが、此処は暗殺者ロールプレイだ。暗殺者の設定上の好みは、固茹で卵。

 それを注文しよう。その後なんのとりとめの話をしていた。


「ふふふ……ねぇ? ところで一年も療養していて、力とか無くさなかったの?」


 しかし、突如彼女の雰囲気が変わる。顔が陰る。ルティナの悩みはこれに関係してるのか?


「私はあの後…ラフラカとの決戦の後、力がなくなったの。たぶん精霊に力が消えたせいで。子供達を守ってあげなきゃならないのに……」


 やっぱりそうか。だけど戦えないって……。

 ルティナの設定は魔法と剣が使える魔法剣士なんだけどな。


「……だったら何故此処に暮らさない?」


 それで解決。良かった。コミュ症の俺でも打開策が直ぐ言える内容で。


「子供達がね……私と出会った場所だからって……私嬉しく……」


 げっ! まだ続くの? どうしよう? 半端な事しか言えないよ。


「だが、あそこにいては……」

「わかってるわ! だから迷ってるの! もし、魔物に襲われた時、守って上げられないわ。でもっ!!」


 ルティナが怒鳴った。ごめん。俺じゃ大した事言えなかったね。

 暗殺者ロールプレイなら此処で打ち切るべきなんだよな。でも、聞いてしまったらほっとけないよな。

 俺はかつてダチを裏切り、それが原因で周りが信じられなくなり引き籠りなった。だから、もう裏切るような事はしたくない。

 少なからずルティナは、俺に何かを期待してくれているから、こうやって話しているんだ。だから、その期待をできる事なら裏切りたくない。


「……お前は精霊の力だけで戦っていたのか? 確かに精霊の力も使っていたが、それ以前にお前は魔法剣士として剣を取って戦った筈だ」


 そうそう。剣も使えたよね。これで纏まるかな?


「うん。でも怖いの」

「はっ!?」


 マジで、『はっ!?』だよ。お前普通の人間じゃないんだぞ。


「精霊の力が消え、急に力が抜け……剣を持つと、いつか子供達を傷付けるんではないかと、魔物を倒す以前にあれは凶器だから……」

「……話にならん」


 やべぇ。声に出してしまった。ごめんね。俺じゃ話にならないよな。

 もっと俺が経験豊富なら良いアドバイスもできるのにな。気まずい。どうしよう?何も言えない。

 俺は淡々と食事をするしかなかった。


 そうだ。投擲用の武器も買ったんだ。何もできないけどこれくらいはして上げよう。

 コトっとそれをテーブルに置いた。


「……これをやる。投擲用に買ったが、今のお前には必要だろう」

「……だからダメなの」


 だよねー。だけど、此処で俺がめげたら、彼女が可哀想だ。

 さて、暗殺者ロールプレイしながら上手く伝えられるかな。


「……確かに刃は人を傷付け、相手を斬るものだが、それは使い方次第だ。誤ればお前のガギを斬るだろう。だが、逆に守る事もできる筈だ。それはお前が一番わかってる事ではないのか?」

「えっ!?」

「護身刀だ! ……そう思え」


 俺は踵を返し店の出入口に向かった。


「……でも、ダメ!」


 それでもルティナには、守らないといけない子供達がいるんだろ?


「……甘ったれるな!! お前、あの時何故ファルコンに乗った!? 一度躊躇っただろ? 何故だ? それを思い出せ!!」


 よし! 決まった。 暗殺者ロールプレイで言えたぞ。てか、ちょっと格好付け過ぎたかな?

 俺はそのまま店を出た。あ~あ懐かしの日本食が……また、まともに食えなかった。

 って言うか今、護身刀だとか偉そうに渡した短剣って、一番良い奴じゃなかったか? 失敗した~~~~。あれ、高かったんだよな。

 ついでに食料不足のせいか固茹で卵をいくつか食べただけ3000Gも取られた。文化の違いから差異はあれど日本円で3000円だな。大失費だ!!!



               ▽▲▽▲▽▲▽▲▽



 そんなわけで店を出た俺だが、ルティナが気になり、ルティナを追い掛けて来てしまった。

 って言うかストーカーじゃん!! うわ! 俺とした事が、やっちまったーとか思ってるのだが、今更引き返せない。

 なので、ルティナの家の屋根に立って高みの見物を決め込む。上からルティナの戦いを見ているのだ。


「どうやら、心配する事なかった」


 やればできるじゃん。じゃあな、ルティナ。俺は必要無いようだし裏手から飛び降りた。


「ん?」


 こっちもか? 魔物はルティナの家の裏にも集まっていた。


挿絵(By みてみん)


 ザン! ザザン! プシューンっ!


「ついでだ! 相手してやる」


 と言ってる間に快適な音を響かせ小刀を二刀流にして、魔物を三体斬り裂いていた。

 マジで俺のキャラは速いな~。瞬殺だな。


「雑魚がいくら集まろうが楽勝楽勝」


 とか呟ている間に十体くらい葬っていた。ゴブリンやらオークやらブラックウルフやらイエティやら色々いるが全部確認してる暇があれば葬っている。


「もう終わりか。つまんねぇ」


 それじゃあな、ルティナ! 後は自分でどうにかしな。お前なら楽勝だ。


 再びロクリスとやらに会いに行くかね。二人のチームらしいから二股クソ野郎ではないだろうけど。

 俺、あいつ嫌いなんだよな。プレイアブルキャラの一人なんだけど、紹介の順番が一番最初に来てるって理由で、とりあえず誰でも良いから始めようという奴に選ばれる。結果的に人気がそれなりにあるキャラなんだよな。

 俺は嫌いだけど。はい、大事なとこだよ。テストに出るよ? ってだから何のテストだよ!


 それにあいつ、ダークとの初対面でもウザかったな。

 あれは、確かエド城で子供を巻き込んで殺してしまった事でダームエルが不貞腐れ飲んだくれいたとこをダークが、仕事取って来て無理矢理やらせたんだけっかな……。



               ▽▲▽▲▽▲▽▲▽



「クソったれ! 何なんだよラフラカ帝国って」


 俺はダームエルのヤケ酒に付き合っていた。エド城を襲撃してから数日、ダームエルは飲みっぱなしだ。よっぽどエド城の仕事が気に入らなかったのだろう。

 俺もあれはやり過ぎだと思う。魔導士を俺に始末させ、回復できなくさせてから毒ガスをばら撒くなんて。それでエド城が陥落したと来たものだ。


 ダームエルは、其処から少しでも離れたいという事で態々港町ニールから船に乗ってサールケイという町まで来る始末。だからってラフラカ帝国の近くに来るのはどうなのかなとは思うが。

 せめてウエストックスにすれば良いのに。


挿絵(By みてみん)


 そして、俺はあまりにもダームエルが鬱陶しかったので気分転換をさせようと仕事を取って来ると、とりあえずダームエルを蹴り飛ばした。


「ぐはぁぁぁっ!」


 酒瓶とか一緒にダームエルが吹き飛ぶ。


《えっ!? いきなり何してんの!? 仕事取って来て、蹴るとか意味がわからん》


「っ、たたた。お前さん、いきなり何するんだよ?」

「煩い! いい加減働け!!」

「……気が乗らないな」

「仕事取って来たから、黙って着いて来い」

「お前さんが? 珍しいな」

「今回は生殺与奪がない奴にした。気分転換になるだろ?」

「ほ~どんなのだ?」


 やっと興味を向けたか。関心の眼差しを向けて来た。


「とある貴族から遺跡の発掘を依頼された。其処の祖先が宝を隠したとかで、拳サイズのブルーサファイアを取って来て欲しいと」

「遺跡発掘か……」

「トラップ解除とかでダームエルが必要だ。お前も余計な事考えず、それに没頭できるだろ?」

「そうだな。じゃあ行くか」


 こうして俺達は遺跡に向かった。正直遺跡とかでは俺は、ほとんど役に立たない。ダームエルの十八番だ。


「アークス、俺の後ろを着いて来い」

「ああ」


 ダームエルが次々にトラップを解除して行く。流石だな。


 ヒューン……カーンっ!


 まあ、たまに矢のような鋭いものが飛んでくるが。それを俺が投擲で弾く。他にも魔物が出る。

 なかなか手強い。が、俺の相手にもならない。


「お前さん、俺必要あるか?」


 何か聞いてくるが、落とし穴とか転移とか扉開けとか無理だ。そうして最下層に辿り着き、門番が待ち構えていた。


「ダームエル下がってろ。こいつは今までの魔物と格が違う」



               ▽▲▽▲▽▲▽▲▽



 此処で戦闘モード――プレイヤーが操作する戦闘――だな。巨大なサソリが相手で、人が三人は乗れるくらいデカいな。


 カツンっ!


「ちぃ!」


 鈍い音が響き小太刀が弾かれた。硬い。打撃系じゃないとこれは厳しいな。


 ヒューンっ!


 尻尾が飛んでくる。サソリだけあってあれはやばいだろうな。毒がある筈。まあ、それ以前にデカいから一瞬で上半身と下半身がお別れだな。

 参ったな。これはどうしようかな。

 尻尾は厄介だし、手もハサミになってから、あっさり首と体が切断されるだろうな。

 まずは尻尾だな。


 ヒューンっ!


 また飛んで来た。


 スっ!


 俺はそれを躱し背後に回り小太刀を逆手に持ち……ブスっ! っと、その尻尾の付け根に小太刀をぶっ刺す。いくらデカくても尻尾は細い……それでも大人の太ももの二倍はあるんだけど。

 プシュ~! と、空気が抜ける音がし、変な液体が飛び出て来た。危ないな。あれは浴びたくない。鉄仮面のお陰で直にかからなくて良かったぜ。それでも隙間に入って来た。

 ジュっ! 皮膚を溶かす。咄嗟に目に当たらないようにして正解だったな。毒耐性が欲しいとこだが、ないものは仕方ない。

 ブスっ! と、もう一発。尻尾が取れたぜ。これで一番鬱陶しいのが無くなった。


 まあその後、少しずつダメージを蓄積させて行くと残り三割くらいで戦闘モードが終了した。



               ▽▲▽▲▽▲▽▲▽



 ハサミが邪魔臭いな。


《此処からは、自動戦闘モードで、倒すのね》


「おいダームエル。剣抜いておいてくれ」

「あ、ああ、わかった」


 ジョッキーンっ!


 挟み込むのが早いな。見極めが大変だ。何度か挟み込み攻撃を避け、ハサミを広げた瞬間を見極め……、


 ガツっ! と、小太刀を挟み込ませる。これで片方使えなくなかった。

 ガツっ! と、もう片方も同じように小太刀を挟み込ませて、ハサミを使えなくした。

 これでコイツの攻撃手段は顎だけになったな。口を開けた瞬間、投擲用のナイフを投げ込む。

 だが、ビクともしない、口の中も固いのだな。だったらハサミと同じようにするだけ。


 ガツっ! 口を開けた瞬間に投擲用のナイフを挟み込んだ。


「ダームエル、口に刺し込め! 奥まで入れたら離れろ」

「おお」


 ダームエルが口に剣を刺し込んだ。そして離れる。


 プシュ~。 と、空気の抜ける音と共にサソリの口から血が噴き出る。これも恐らくヤバい。

 離れさせて正解だな。その噴き出た血が収まるのを待った。


「よし! おおおおおぉらぁぁっ!!」


 ブスゥゥっっっっ!!!! と、剣の柄を思いっきり蹴ってやった。

 そして、その反動で後ろに下がる。これで血も浴びない。やがてサソリの動きが止まった。


「やったのか?」

「ああ」


 ダームエルにそう応え、小太刀を回収して奥を目指す。宝箱があり、中にはブルーサファイアがあった。


「やったな、アークス」


 パッシーンっ!


 ハイタッチをした。


「で、これでいくらなんだ?」

「50000Gだな」

「結構な額だな。殺しも盗みもしないでそんな稼いだ事ないだろ?」

「だな」

「だが、それは俺が頂いた」


 何処からか声が聞こえた。そして気付くと手にあったブルーサファイアが無くなっていた。

 速い! 俺も一瞬の事で反応できなかった。


「こいつは世界一の冒険家である、このロクーム様が頂いたぜ」


 世界一? アホか。


 黒髪ツンツン頭で深縁の瞳。ガウンチョパンツに裸ベストの男が立っていた。歳は俺より五歳くらい上だろうか?


《センス悪っ! ダークの言う通り世界一とかアホか。てかコイツはプレイアブルキャラの一人だな。とりあえず鑑定っと!》



 名前:ロクーム=コード

 年齢:十六歳

 レベル:40

 クラス:トレジャーハンター

 称号:コソ泥

 HP:2500

 MP:70

 力:260

 魔力:20

 体力:180

 俊敏:820

 スキル:隠密Lv7、ナイフ使いLvMAX、短剣使いLvMAX、投擲Lv4、鍵開けLv7、ワナ解除Lv7

 エクストラスキル:二刀流

 ユニークスキル:攻撃強奪(ぶんどり)針金留金(ワイヤーフック)

 装備:鋼の短剣 (攻撃力250、俊敏30)×2

    鎖帷子(防御力40)

    鋼の手甲(防御力20)

    盗賊の靴 (俊敏30)

   


《ダークの下位互換じゃねぇか。弱っ!》


「ちぃ!」


 俺は小太刀を振るう。


「おっと」


 それを楽々躱す。速いな。俺と同等に近いかもな。

 俺はもう一振り小太刀を構え二刀流にして斬りかかった。さっきより速くだ。

 ギーンっ! と、甲高い音を響かせ、二振りの小太刀はロクームとやらの短剣二刀流に防がれた。

 やるな。


《どうでも良いがロクームでの戦闘は自動戦闘なのか》


 キンキンカーンっ! と、打ち合いが始まる。

 奴は速い。故に回り込んで、速さで翻弄とか効かないだろう。なので真っ向勝負だな。


 キンキンカーンっ!


 俺が上段から振ろうが右から振ろうが全て防がれた。だがムサシ程でもないな。

 ロクームが攻勢に出る事はないだろう。そう考えていたら短剣を投げて来た。


「ちぃ!」


 カーンっ! と、それを弾く。その隙にロクームは後ろに下がる。

 間合いを詰めようとしたら、もう一振りの短剣も投げて来た。


 カーンっ! と、また弾く。何のつもりだ?

 獲物がなくなったぞ。


 ヒューン……ブスっ!


 そう思ったら、俺が短剣を弾いてる隙に天井にワイヤーフックを刺し込んでいやがった。


「あばよー」


《このキャラは、かなり腹立つな》


 そのままワイヤーを引き戻し上へ逃げる。更にその反動で前方へ大きく飛ぶ。あいつの速さでは追い付くのは困難だな。クソっ!


「逃げられたな」

「今回も無収入か」


 隣で見ていたダームエルが肩を落とす。だが、そうでもないんだな。


「これを見ろ」


 俺はブルーサファイアを取り出して、ふっと笑う。


「あれ? さっき盗まれていただろ?」

「偽物をな」

「はっ!?」


 ダームエルが間の抜けた声を出す。


「お前が教えたのだぞ? 仕事の前にできる限りの準備をするものだと」

「はい? って事はつまり偽物をあらかじめ用意し、すり替えたのか?」

「ああ」

「お前さんも姑息になったな」

「誰かさんの教育の賜物だな」

「ははは……」

「フフフ……」


《あのムカつくキャラへの溜飲が下がったぜ。ナイスだなダーク》


 二人でひとしきり笑う。


「少しは吹っ切れたか?」


 それが目的の仕事だった。


「ああ心配かけたな」

「なら、また仕事を持って来てくれ」

「ラフラカ帝国の仕事は、もう受けないがな」

「それでも良い」

「とは言うものの実は、仕事の話は来てるんだよな」

「………」


 少しカチンと来て、ダームエルを蹴り飛ばした。


《そりゃ蹴りたくなるわな》

挿絵には家が複数ありますが、実際は2つしかないんですよね(;^_^A

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