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アサシンズ・トランジション ~引き篭りが異世界を渡り歩く事になりました~  作者: ユウキ
第一章 ファースト・ファンタジー・オンライン
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EP.02 GAME OVER

 《キャラ設定、暗殺者にしてストーリーモード・スタート》


 名前:???

 年齢:五歳

 レベル:1

 クラス:無し

 称号:迷子

 HP:10

 MP:0

 力:5

 魔力:0

 体力:3

 俊敏:2

 スキル:無し

 装備:布の服(防御力2)



 暗い暗い森の中。僕は一人でいた。

 不気味な声が木霊する。それは地獄に誘い込むの冥府の案内人のように……。

 実際には風が通り抜ける時の葉を擦り合わせる音だけど、今の僕にはそれが恐ろしかった。

 何故こうなったのだろう……。

 親に連れられ遊びに来た森。夕方までかくれんぼをしていた。しかし夕方から、探してに来てくれない。


 《やべぇ。鳥肌が立ってきた。

 まぁ実際に鳥肌が立ってるわけじゃないが、そう感じるリアル差だ。

 FFOパナいな。リアル過ぎる。

 匂い、肌触り、音、全てが森にいるのだと感じさせるぜ》


 夜の静寂が支配する中で、たまに聞こえる動物の遠吠え。それが聞こえる毎に体がビクっとなる。

 その日は眠れなかった。

 次の日には前日の昼から何も食べていなかったせいでお腹が空いた。

 仕方無いのでその辺のキノコを食べた。お腹が痛くなった。


 《実際にお腹が少し痺れているのを感じる。

 説明書に書いてあったな。痛みを通常の1/10に抑えているが、病気の人はプレイを控えましょうと》


 次第に木の実を食べれば平気と気付く。だけど動物達に追われる事もある。

 怖い。

 怖い。

 怖い。

 怖い。

 怖い。

 怖い。

 怖い。

 怖い。

 不眠不休が続く。五歳の僕には厳しい環境だ。

 何故誰も来てくれない? お父さんは? お母さんは?

 何度も転んで怪我をした。 毎日生傷が絶えない。


 《開始早々壮絶だな。

 しかもフルダイブ型ゲームのせいで初っ端から痛みを伴うゲームとか新鮮だ》


 動物が怖い。毎日逃げ続けた。五歳の僕が立ち向かって勝てるとは思えない。

 それでも不眠不休が続き、注意力が散漫になり、遂には正面から出くわしてしまった。

 僕は覚悟を決め、木の棒を拾い立ち向かう。


 《初の戦闘キターーーーーー! お相手はキツネっぽい動物だな》


 最初に左腕をカブリと噛まれ、続けて右足、左足、左脇腹と続く……。

 痛い。

 痛い。

 痛い。

 痛い。

 痛い。

 痛い。

 痛い。

 最後に頭を食われてしまった。


                 GAME OVER



               ▽▲▽▲▽▲▽▲▽


 おーい!

 初の戦闘で、いきなりゲームオーバーってバランスどうなっているの?

 おかしいだろ。

 しかも、頭食われるまでずっと痛いのが続くとか悲惨だわ。いくら痛みが1/10に抑えられていても流石にきつかった。

 仕方ない。自由モードで、パーティを募って狩りでもするか。MMORPGの醍醐味でもあるしな。


 最大四人パーティでの狩り。

 募集してるとこに行き、俺以外の三人が既にいた。

 一人は黄色が強めの金髪でフサフサな髪で横に飛び出ている髪型……ドラ〇もんのス〇夫君みたいだな。目は金。

 プレイアブルキャラの概要を一通り読んでるの知っている。

 一国の王子で名前はエドワード=フィックスだ。俺もこのキャラにしようか少し悩んだんだよな。


「初めまして。俺はラーユだ。宜しく」


 と、挨拶をくれる。

 ラーユというのはプレイヤーネームだな。


 次の一人は雪だるまだ。確か突然変異の魔物で人語を解するとか。名前はユキだったな。

 体は雪ではなく白い毛皮なので溶ける事はない……もうそれって何て言う雪だるま?ってツッコミたいわ。


「私はサユリね。よろしく~」


 声的に女の子か。珍しいな女の子なんて……って、それは偏見か。


 そして最後の一人は黄緑色の髪で赤いリボンでポニーテールにしてる女キャラ。名前はルティナ=プランフォード

 瞳は人間味を感じさせない透き通るような綺麗なブルー。

 それもその筈、このキャラはFFO特有の設定にある精霊と人間のハーフ。

 実は俺は、このキャラにしようかとも悩んだ。魔法の使い手らしいし。

 だがネカマだ。ネカマになるのは俺のプライドが許さなかった。


「ワイは、ラクルドだ。宜しゅうなぁ」


 野太い声だった……。

 どうやらこの人はプライドがないようだ。ネカマ全開。

 さて、俺も挨拶しないとな。


「………………」


 視線が俺に集まる。だが、ここ一年半誰とも話してなかったので咄嗟に言葉が出て来なかった。


「……俺はオサム。宜しく」


 なんとか絞り出す。ちなみに本名をそのままプレイヤーネームにしている。


「おおー! キャラに寄せて喋っているんだね。拘るねー」


 と、ラーユが言い出す。別に寄せていないんだけどな。


「では、狩りに行きましょう」


 そうサユリが促し俺達は狩場に向かった。


 前衛は木の棒の俺と、ユキをプレイキャラにしているサユリ。武器は長い棒に石を括り付けた石器槍。

 後衛はエドワードをプレイキャラにしているラーユ。武器はボウガン。それとルティナをプレイキャラにしているラグルド。武器は無手だな……魔導士だし。

 って言うか、俺が一番貧弱じゃね?

 何で木の棒なんですかね? これが伝説のヒノキの棒ならともかくさ。

 魔物のユキのが自作っぽいけど良い武器じゃん。

 ついでに俺だけ小さい。五歳だし。説明書に書いてあったな。ゲーム開始年代はキャラによって違うと……。

 暗殺者が一番古い年代からスタートするらしい。

 まぁそんなわけで狩り開始。相手は豚や猪などの動物。


 ブスっとまずラーユのボウガンの矢が刺さる……俺に(・・)。2のダメージ。


「いたっ!」

「すみません」


 ラーユが後ろで謝っている。まぁ皆初心者だし慣れてないし、仕方ないよね。俺は軽く後ろに手を振って再び構える。


「「はっ!」」


 サユリと同時に豚に斬り掛かる……いや武器からして殴り(・・)掛かる。

 ダメージを半分持って行ってくれたかな。


「炎よ我が手に……」


 後ろから詠唱が聞こえる。ラグルドの魔法だな。俺は咄嗟に下がる。ボォ! 5のダメージ。


「<下位火炎魔法(ファイヤー)>……あっ!」

「あつっ!」


 あっ! じゃねぇよ。あちぃよ。

 何故下がったのに俺に当ててるんだよ? 態とだろ? 態とだよな?

 まったく慣れてないのはわかるが、もっと周りを良く見ろよ。つかもう瀕死だよ。

 そんなわけで、ほとんど味方にダメージを食らわされてばかりだったが一時間程で狩り尽くし、狩る敵がいなくなってしまった。

 今は、新たなに沸くリポップ待ちってわけだな。


「結構上がったでぇ」


 ん? ラグルドがほくほく顔で、なんか言ってるぞ。

 結構上がった? どこが?


「だな」

「そうね」


 ラーユもサユリも同意している。マジか。


「ちなみにどんだけ上がったや? ワイはレベル5からレベル10やで」


 んんん???

 なんじゃそれ?


「俺は3から9だな」

「私は4から20かな」


 4から20?

 何で1人そんな事になってるんだ? いくらなんでも上がり過ぎじゃないのかな?


「20かいなぁ? そんな上がるもんなんけ?」


 ラグルドも目を丸くし驚いてる。


「じゃあオサムさんは?」


 ラーユに水を向けられる。

 このメンツには、めっちゃ話したくねぇな。


「……レベル1からレベル2」


 そうなんだよ。そうなんですよ。一時間で1レベルしか上がってないんだよ。酷くね?


「いくらなんでもそれは……」


 ラーユが信じられないと言った面持ちでラグルドとサユリの方を見る。

 2人もうんうん頷いている。

 は~。そう一番思いたいのは俺だよ。


「……ほら」


 仕方ないのでステータスプレートを見せた。

 基本的に他者に見せる事はできないが、プレイヤーの任意で可能となる。

 ちなみに前回のレベルとの比較差も見せられた。



 名前:???

 年齢:五歳

 レベル:2

 クラス:無し

 称号:迷子

 HP:22

 MP:0

 力:11

 魔力:0

 体力:5

 俊敏:6

 スキル:気配察知Lv1

 装備:木の棒(攻撃力3)

    布の服(防御力2)



「ほんまや」

「でも……ステータスの上がりおかしくない? 敏捷が倍になってるよね?」


 ラグルドがそう言いサユリが繋ぐ。

 ステータスの上がりは高いのか。


「私なんて20まで上がったけどステータスは劇的に上がったわけじゃないかなぁ」

「ワイなんてほとんど上がっておらん。魔導士なのに魔力が合計+7やで」

「そうなのか? 俺はそこそこ上がってた」


 ラーユだけは、それなり上がったのか。

 これはキャラ毎にステータスの上がりが違うのかな?


「ちなみにストーリーモードで仲間いるん? ワイはラフラカ帝国の兵士がお付きで2人必ずいるんや」


 ラフラカ帝国というのは、敵組織の名前だったな。

 暗殺者の五歳の時代には、まだ存在していないがラグルドがプレイキャラにしているルティナは、ラフラカ帝国の中からスタートなのか。

 しかもお付きいるとか羨ましいな。


「俺は、自国の兵が2人いるな」


 ラーユがプレイキャラにしているエドワードは王子なので当然兵が付いてるか。

 仲間がいるというのは良いなぁ。序盤では特に救われるしな。


「私は同じ雪だるま一族が3人かなぁ」


 サユリがプレイキャラしている魔物の雪だるまは、同じ突然変異魔物である雪だるまを3人引き連れられるのか。

 ふむふむ。こっちも良いの~。

 やがて視線が俺に集まる。まぁ会話の流れ的に言わないといけないよな。


「ソロで初遭遇のキツネのモンスターにすら勝てず」

「マジかよ」

「そんなのあるんだね~」

「無理ゲーやないかい」


 三者三様に驚く。だよな~。無理ゲー……というかクソゲーだ。

 初回の敵に勝てずレベルも1時間で1しか上がらないとか。キャラ選択ミスったかな。


「ワイなんて味方の兵士に魔法ぶち当てて経験値貰えるイージーモードやでぇ」


 おい……味方に当てて経験値貰えるって、やっぱお前さっき俺に態と下位火炎魔法(ファイヤー)当てただろ?


「お陰でストーリーモードちょっとやっただけでレベル5になったんやが、ステータスが全然上がらへん。この狩りでも10まで行ったけど、やっぱ上がらへん」


 ラグルドがげんなりした顔で言い天を仰ぐ。

 キャラ毎にいろんなバランスが取られているのだな。

 確かこのルティナ=プランフォードという精霊と人間のハーフは序盤は、ラフラカ帝国で操られてるってキャラ概要に書いてあったな。

 つまり、そこから解き放たれないとまともに強くなれないとか?

 じゃあ俺の暗殺者も?

 何かしらの条件を満たさないとレベルがなかなか上がらないのかもな。でも、だからって初回のバトルに勝てない、レベル1上げるのに1時間とかクソゲー過ぎるだろ。


 その後、リポップされ狩りが再開される。

 もうログアウト(落ちる)とかで、他のプレイヤーと入れ替わったりしながら4時間狩りをしていたが、結局レベル3にしかならなかった。

 次はゲームオーバーにならなきゃ良いんだけどな。そう思いながらストーリーモードを再スタートした……。



 名前:???

 年齢:五歳

 レベル:3

 クラス:無し

 称号:迷子

 HP:35

 MP:0

 力:17

 魔力:0

 体力:7

 俊敏:12

 スキル:気配察知Lv2、隠密Lv1、ナイフ使いLv1

 装備:木の棒(攻撃力3)

    布の服(防御力2)

ステータスは目安です

都合により変更するかもしれません

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