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アサシンズ・トランジション ~引き篭りが異世界を渡り歩く事になりました~  作者: ユウキ
第一章 ファースト・ファンタジー・オンライン
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EP.18 エドと共に洞窟探索しました

「……エド」

「ん? 何故私の名を?」


 エドが首を傾げ訝しがる。

 やべ。遂、名前を呼んでしまった。

 エドは暗殺者(ダーク)の仲間だったんだよな。中身が違う事がバレるとめんどくさいかも。


「いや……フィックスの王だからな」

「ははは……それは私も有名になったものだな」


 良かった。怪しまれていない。

 それに俺のキャラは顔を覆う鉄仮面か覆面を被っていたからダークだと気付かないだろ。

 当然今はそんなの被っていない。


「それで、君も魔物退治で来たのかい?」

「……ああ」


 再び問われたのでロールプレイで返す。


「じゃあ一緒に行かないかい?」

「……それは俺を雇うという事か?」


 うん。

 暗殺者ならこう言うねたぶん。


「はぁ!?」


 心底呆れらたように素っ頓狂な声がエドから漏れる。


「……別に俺は一人で構わない」


 俺がダーク……しいては中身が違うダークとバレないようにさっさと行こう。


「待って待って。君がそうしたいなら、それで良いから」


 食い付くな。まあそうそうバレないだろうから良いか


「……報酬は2/3俺が貰う」

「いや報酬は全部君に上げるよ」


 流石王様気前良いね。


「それで君の名は? 私はもうご存知の通りエドワードだ」

「……アーク」


 ここはナターシャちゃんに付けて貰った名前でも名乗っておこう。


 そうして俺はエドと共に洞窟を歩きだすが、途中崖になっていた。

 断崖絶壁で底が見えない。


「実はここが降りれなくてね。引き返してたんだ。アークは行けそうかい?」


 あーエドには無理だよね、これ。

 俺は無言で崖に飛んだ。


「お、おい! ……なっ!?」


 エドの驚く声を尻目にシュッ…タンっ! シュッ…タンっ! とリズミカルな音だけが響き渡り俺は降りて行く。


 崖って言っても岩の突起は飛び出てるからな。

 そこを足場にすれば問題無い。この暗殺者の肉体ならね。

 でもそれを操ってるのは俺だから内心、戦々恐々してたというのは内緒だ。

 なんせ岩の突起なんて10cmにも満たないしな。


 やがて底に到達すると、懐から前金で購入したナイフとロープを取り出す。

 次にナイフにロープを括り付け、ナイフを上に向かって投擲した。底が見えない断崖絶壁だったが、降りて来た距離や上の地形から目算で投げた。


 ブスっと上手く刺さった手応えを感じ、ロープをくいくいと引き確り刺さっている事を確認すると……、


「……来い」


 エドがいる上に向かって叫んだ。


「すまない」


 エドの声が聞こえるロープを(つた)って崖の下に降りて来た。

 エドが降りてきったのを確認すると、懐から木を削って作った四ヶ所尖っているものを取り出す。即席の手裏剣だ。


 それを同じく目算で投擲し、上の方のロープを斬り裂く。そしてロープだけが落ちて来て、それを回収した。

 ナイフが一振り無駄になったが、ロープは一本しか購入しなかったので取っておきたい。


 エドも来た事だし、崖下の道を歩き出す。しかし、立ち止まってしまう。


「どうし……っ!?」


 エドが何かを言い掛けて正面を確認すると、驚くかよのように目を見開く。


「行き止まり?」


 エドがそう聞いて来たので「いや」と答え、壁を登り始める。

 さっきの崖と同じように、飛び出た10cmに満たない岩の突起を足場に、シュっ!…タンっ!とリズム良く登って行く。

 脚力のみでだ。流石はダークの肉体だというべきだな。


 どうやら今回は、大した距離はないようだ。現に俺は登り切りと再び懐からロープを出そうとすると下から見えていたのだろう。


「いや、今回は大丈夫だ!!」


 エドの声が下から聞こえ、コートと内側からボーガンを取り出す。

 勿論ただのボーガンではないだろう。フィックスの科学力で機械処理を施した、言わばマシンボーガンだ。

 名称はハイクロスボウだったな。尤もラフラカとの決戦以降新しいのが作られていなければだが。


 ボーガンはリムという名の弓で言う本体にあたる弓幹が折り畳まれており、マウントレールにくっ付いていたが、コートの内側から取り出すとカシャンという小気味良い音と共に展開される。


 それにワイヤーを仕込みの矢を同じくコートの内側から取り出し装填し放つ。


 ヒューン……ブスっ! と音を響かせ、俺の真横にあった岩に刺さる。

 続けてギュイイイインというを音が洞窟に木霊しワイヤーが引き戻され、エドが昇って来た。

 機械処理により、それも可能な特殊なボーガンだけはある。


「フッ…」


 思わず微笑が漏れる。

 実際リアルで目にするとフィックスの技術力は、なかなかのものだと感じる。

 フルダイブ型なのでリアルに近いが、やはり実際のリアルより画質処理が甘く荒いからな。


「……進むぞ」


 とまぁ感慨に耽って場合ではないなと思い、そう声を掛けてまた歩き出す。


「ああ」


 エドも付いて来る。

 しかし俺は立ち止まってしまう。

 流石はダークの肉体というべきか、異様な気配を感じる。気配完知のユニークスキルを持ってるだけあるな。

 原理と良くわからないが、それでもダークの持つスキルをなんとなく使えた。


「どうした?」


 エドが尋ねて来る。


「……飛べっ!」


 それに対し俺は一言言い高くジャンプした。


「はっ!?」


 それに倣うようにエドも飛んだ。

 その刹那!


 ピュンピュンピュンピュンピュンっ!!


 と先程まで俺達が立っていた場所に触手のようなものが数本飛んで来た。

 もし、あの位置から動いていなかったら、この触手の餌食になっていたのは一目瞭然。

 俺達は着地と同時に伸びて来た触手を掴み引っ張った。触手を……いやこれは(つた)というべきか。

 それをたぐり寄せる事により、闇の向こうから何本を蔦を生やしたモンスターが姿を現す。


「こいつはローズバトラー!?……厄介な!」


 とエドは吐き捨てていた。

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