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EP.07 ロクームとガッシュのアホくさい戦い

月日を確認した所、1年程ズレていました

申し訳ございません

たぶん全部修正しきれていませんので、ここで改めて

現在ナターシャがダークを拾った1年と10ヶ月後の10月

アーク27歳(誕生日12月)、ナターシャ26歳(誕生日8月)、エーコ11歳(誕生日1月)

 ロクームは、左中足の攻略をそっちのけで考え込んでいた。

 アークの奴は何者なんだ? 俺様達の事を知り尽くした態度しやがって。

 エドに俺様達の戦闘力を聞いた? それだけじゃ説明つかん。それがまた不快だ。

 あんな大した威力もない下位稲妻魔法(サンダー)を放って良い気になりやがって。

 そんな事ばかり考えていた。しかも魔法は加減したと言われたのに、都合の良い事は頭に入って来ない本当に都合の良い頭をしている。


「ロクーム、どうした? どうした?」

「何でもねぇでガンス!!」


 ガッシュに声を掛けられるが()()()()()余裕はない。と、アークに怒りを覚えているからなのか上から目線。 

 そこで懐で音が鳴る。


「ちっ! もう誰か到着したでガンスか?」


 これで俺様が到着してないとか知られたら、またアークに嫌味を言われる。

 そう思って通信機械を懐から取り出さなかった。とことん自分勝手だ。 


「ロクーム、あぶないあぶない」


 横から魔物の攻撃が来る。

 ちっ! 考え事していたから対応できない。これもアークってクソ野郎のせいだ。と、今度は人のせいにしガッシュに助けて貰う。あまつさえ……、


「余計な事をするなでガンス! あんなの俺様で対応できたでガンスっ!!」

「ロクーム、さっきからようすおかしいおかしい」


 ガッシュに八つ当たりしてしまう。

 ロクームの手綱を上手くエリスが引いていたのかもしれない。いや、正確にはエリスといる事で腐って行ったとも言える。

 一人でトレジャーハンターをやっていた頃は、何かあれば全て自分の責任になる。それ故に自らを鍛え律していた。

 また、女好きであるが故に自分を磨きモテるように心掛けていた。結果、何人もの女と遊んでた事もあった。

 それがどうだ。エリスと結ばれてからトレジャーハンターのチームを組み、全ての責任はロクームではなくなった。

 例えば迷宮とかで、本来仕掛け等を解きつつ周囲に気を配り、邪魔するガーディアン的なのを相手しなくてはならない。それがエリスが戦闘を受け持ち責任の所在が分散した。これが怠ける原因となる。

 それでも何かミスや間違いがあればエリスが直ぐに修正してくれた。これにより自分で考え、自分の行動に責任を持つと言う人として当たり前の事が薄弱になって行った。

 極め付けは、エリスを女として扱えているうちは良いが、妊娠期間中とか相手に出来ず町娘等に手を出す始末。


 人は立場や環境で成長する。それは逆も然り。エリスと結婚したと言う環境が返ってロクームを成長させるどころか甘えが出て来るにようにしてしまった。

 もし、エリスが戦闘が出来ず今まで通り一人でトレジャーハンターをしていればどうだろ? きっと家族が増え、旦那であり父親と言う立場から、更に頑張ったかもしれない。

 いや、父親と言う立場はダメか。ロクームに取って一番都合が良いのは、相性もしくはどちらかの遺伝子に問題があり、子供が出来なければ余計な女に手を出す事はなかったかもしれない。

 更に言えばロクームがトレジャーハントを行う場所から一番近くの町村にエリスと一緒に行けば完璧だったかもしれない。他の女に手を出す余地がないのだから。そうすれば良き夫になれた可能性がある。

 せめての救いはある程度は、エリスが手綱を握れている事だが、それでもロクームに取って成長を阻害させる立場や環境に違いない。これが別の者だったらきっと成長したに違いなのだが。

 そして、行きついた結果がこれだ。いちいち気に入らないとアークに突っ掛かり、ガッシュにまで当たり散らす。


「これもアークのせいでガンスッッ!!!!」


 ロクームはイライラから、アークへの悪態を叫ぶ。

 全く状況を分かっていない子供の癇癪だ。エリスとの結婚がこのような結果になるような者が他にいるのか言いたくなる程の。


「アークがどうした? どうした?」

「何でもかんでも知った風な口を聞きやがってでガンス」

「それとこれはかんけいないとおもうぞおもうぞ」

「煩いでガンス! それよりアークは何なんだでガンス!?」


 正論を言われ余計にイラ付き再びガッシュに怒鳴る。


「……アークはアークだぞアークだぞ」


 実はガッシュは、アークの正体に半分気付いている。ダークだと言う事を。中身が違うと言うとこまで気付いていないが。それでもダークだと知ってるが故に露骨に目を逸らす。

 ロクームは目聡くそれを確認する。

 腐ってもトレジャーハンター。エリスと組んだせいで能力が落ちたとは言え、それでも怪しいものを見付ける目聡さは健在。


「何か知ってるでガンスな?」

「……しらないぞしらないぞ」


 そう言うガッシュは目を合わせようとしない


「知ってるなら話せでガンスっ!」


 胸倉を掴む。とことん状況が分かっていない愚か者だ。


「しっていてもいわないやくそくだぞやくそくだぞ」


 これでは知っていると宣言してるようなものだ。


「ふざけるなでガンス! お前はあいつに顎で使われて納得してるのかでガンス?」

「あご? なんだそれなんだそれ?」


 クソっ! と内心毒づく。言葉を知らないガッシュにも怒りを覚えたロクーム。


「あんなクソ野郎の指示で突入した事にガンスよ!」

「かんがえないで、すむかららくだぞらくだぞ」


 こいつはそう言う奴だったと内心呆れるロクーム。


「お前はそれで良くても俺様は気に入らないでガンス! 知ってる事を教えろでガンスっ!!」

「おしえられないぞおしえられないぞ」

「だったら……」


 ロクームは右手に持った短剣を振るう。それをガッシュがバックステップで避ける。


「なにをする? なにをする?」

「お前が答えないからだ……邪魔だ!」


 左から来た魔物を左手に持った短剣を振るって斬り咲いた。そしてガッシュに突っ込み二振りの短剣を振るう。


「やめろやめろ」


 ガッシュが空中に逃げた。中空を蹴り跳ねてる。お得意の立体軌道だ。闘気で中空に足場を作る離れ技を行う。

 その際に邪魔な魔物をこれもまた闘気で精製した爪で引き裂いて行く。

 ヒューン……ブスっ!とロクームは左手をワイヤーフックに持ち替えそれを天井に刺しガッシュを追う。


「答えるでガンスっ!」


 右の短剣を振るう。


「いえないいえない」


 余裕綽々と言った感じで中空を駆け躱す。

 クソっ! いつも思うが何なんだ? あの動きは……。と、更にロクームはイラ付く。


「だから邪魔でガンスっ!」


 ブスっ! と、空中で襲って来て魔物を突き刺す。

 ガッシュはそのまま地面に降りたので追い掛け短剣を振るう。


「ロクーム、やめろやめろ」


 バックステップで躱す。

 それを追いかけ左手で再びもう一振りの短剣を抜き投げる。

 カーンっ! と、ガッシュが闘気で精製した爪で弾き右に駆ける。

 その際に邪魔な魔物を爪で引き裂く。

 ロクームも右に走り右手の短剣で魔物ごとガッシュを斬る。

 ギーンっ! と、魔物は倒せたがガッシュには爪で防がれてしまう。


「良いから吐けって言ってるでガンスっ!」

「だからいえないいえない」


 再び中空を縦横無尽に駆け始め、しかも次々に魔物を倒して行く。

 腹立つなー。軽々と俺様の攻撃を防ぎ次々に魔物を倒しやがって。と、ロクームは目的も忘れガッシュばかりに目が行ってしまう。

 ロクームは再びワイヤーフックで追い掛ける。その際に次々に短剣を投げた。

 カーンっ! キーンっ! と、それを爪で弾くか、空を駆け避けて躱すかして全て防がれる。


「だから邪魔でガンスーっ!」


 プシュ、プシューンっ! と、無意識に左右から迫った魔物に対し、ワイヤーフックから手を放し短剣二刀流にして同時に斬り咲く。

 いくら怠けるようになっても無意識に体が動けるのは、今まで培ったものがあると言えよう。ただこのゾウの足を攻略しないといけないのにガッシュを追いかけっこしてる時点で最悪ではあるが。


「もうやめるロクームロクーム」

「うるせーでガンス」


 再び追従し短剣を振るう。しかし、簡単に躱される。そこで懐でまた音が鳴り出した。

『クソが! 今は忙しいでガンス。通信機械なんかに構ってられるかでガンスっ!!』と内心思い舌打ち一つしまたもや無視し。投げた短剣を拾いつつ再びガッシュに投げた。


 キーンっ! キーンっ! カーンっ!


「ロクーム、もうやめろやめろ」


 やはり爪で弾かれる。


「お前が素直に話したらな……っでガンス!」


 プッシューンっ! と、そう言いながら左から来た魔物を斬り咲く。

 そうやってガッシュを追いかけ続けて二時間は経っただろうか……。


「はぁはぁ……」


 ロクームは完全にばてて座り込んでしまう。


「ロクーム、あぶないあぶない」


 ガッシュはまだまだ動けるようで座り込んだロクームにを守るように魔物を倒して行く。

『チックショー!アークに舐められ、ガッシュには軽くあしらわれて自分が情けなくなるでガンス』と、これがエリスと一緒になり怠けたツケなのだが、本人は丸で分かっていない。


「いい加減答えろーでガンスっ!」


 それでも意地になって同じ事を言い続ける。


「だからダークとはいえないいえない」

「なん……だと?」

「あっ!」


 失敗したと言わんばかりにガッシュが自分の口を塞ぐ。遂にアークに口止めされてた事を言ってしまった。


「ダークだと? あんな性格だったか?」

「おれしらないしらない。これいじょういえないいえない」


 ガッシュの様子を察するに事実とロクームは感じる。そこで漸くロクームも少し冷静になり……、


「それにしても全部片付いたでガンスな」


 と呟いてしまう。


「だなだな」


 ここに入った時、かなりの魔物がいたが全滅していた。


「……いつの間に?」

「おれをおいかけながらロクームがたおしていたたおしていた」


 ロクームには、そんな記憶はないので目をパチクリさせる。

 ロクームは、ガッシュを追い掛けるのに必死だった。ガッシュは余裕綽々でロクームはの相手をしながら魔物を倒していたと言う記憶はあるので尚更だ。


「ところで上に向かう階段を見たでガンスか?」


 上に行かないと話にならない。


「みてないみてない」


 自分の相手しながら魔物倒しつつそれを確認までしていたのかよ。腹立つなー。と、ロクームは、悪態を付く。


「どうやって登るでガンス?」

「こうやってこうやって」


 ガッシュは中空を蹴り上がって行く。


「ふざけるなでガンス! 俺様にはそんな真似できねぇでガンス」


 マジでこいつも何なんだよ? と、またイラっと来るロクーム。それでも……、


「は~」


 溜息を溢し辺りを見回す。アークの正体を知りある程度は冷静になったのだ。

 そして天井に刺さりっぱなしのワイヤーフックが目に入る。いつの間にか手放していた。


「ガッシュ、あれ取って来てくれでガンス」

「わかったわかった」


 場所的に届かない。仕方ないのでガッシュに頼んだ。

 そうしてワイヤーフックが手元に戻り、それを使い上に登る事にした……。


 此処の罠は、上り階段がない事。また端の壁をロッククライミングしても途中でネズミ返しになっており、登るのは困難。

 その上、エドワード達のとこ程でもなないが、魔物の数が多い。まぁそれを無しにしてもネズミ返しがある壁面を登れる者、空飛べる者等、攻略出来る者が限定されていた。

 しかし、今回はワイヤーフックを自在に操るロクームと、立体軌道で中空を駆けるガッシュだったので、本来(・・)なら、難易度は大した事はないと言えよう

 アークの采配がきっちりハマったと言える。惜しむは不毛で馬鹿らしいな争いをした事だろう……。

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