EP.17 エドに出会ってしまいました
あけましておめでとうございます
俺は港町ニールに到着したが未だ背中に天国のような感覚が残っている。振り返り二つのお山を登山すれば良かったとずっと考えて此処まで来た。
お陰で、絶賛覚醒中だ。さっさと処理したく宿屋にでも入りたいのだが……、
「は~」
と、溜息が出てしまう。所持金がゼロだからだ。MMOやってた時は使い切れない程あったのに、ゼロってそりゃーないよ。
どっかの王様は上手くプレイしないと終盤まで、いや終盤でも金欠だったが、暗殺者である俺のキャラは、ほとんど使い道がなかったから、町丸々買えるじゃないかって程あったのにな~。
ってわけで、まずは仕事を見つけないと。処理も大事だがこれからの生活に必須になる。リアルではニートだったけど、ここではそれじゃ生きていけないしな。
なら酒場に行くっきゃないっしょ。仕事と言えば酒場。酒場に行けば何かしらあったりしたなゲーム時代は。
ゲームやってた時と街並みが同じで良かったな~。酒場も直ぐに見つけられた。
「何か金になる話はないですか?」
おっとつい敬語でバーテンダーに話し掛けてしまう。
ロールプレイロールプレイ。今後どんな人と関わるかわからないからキャラ変えるのは良くない。
「それなら北に浮上した洞窟の魔物退治がある」
「浮上?」
俺は首を傾げてしまう。そんな設定なかったぞ?
バーテンダーは、この大陸の現状を教えてくれた。精霊大戦の後の世界はそんな風になってるのか。
これはいろいろゲーム時代と違うな。金稼ぎつつその辺調べないとな。ゲーマー魂が滾るぜ。
「……わかった。で、いくらだ?」
とまぁ調べる前に魔物討伐だな。切り替えないと。
うん。今度は暗殺者ロールプレイが出来てるぞ。
「60000Gだ」
「準備金として先に10000Gくれ」
何するにも金。育ててまくった強靭な肉体でも何があるかわからないからな。
それにナターシャちゃんから貰った武器では扱い辛い。いや別にナターシャちゃんがくれた武器が悪いのではなく長さの問題だ。
短剣とナイフの二刀流じゃ間合いにズレが生じる。
まぁそれでも港町ニールまで出くわした魔物程度なら問題ないが、数が多いとを倒すのに時間かかる。ましてや、話を聞く限りその洞窟は、魔物の発生源らしいしな。
「ん?……それ持ってトンズラするんじゃないのか?」
胡乱げな双眸を向けて来るバーテンダー。
ですよねー。そうですね。そうなりますよね。俺も逆の立場なら怪しむよな。
だが、俺をどっかの冒険家と一緒にしないでくれよ。ってわけで俺は厨房に手を伸ばし包丁を掴む。
「お、おい」
バーテンダーの顔が青冷めてえていく。え? 別にこれで脅すんじゃないよ。
俺はそれを振り返りもせず無造作に後方に投げた。
ザクという音の後、ブスという音が酒場に響く。
ふ~……実は内心冷や汗だらけだ。上手くいって良かった。
包丁は俺の後ろのテーブルの上にあった南瓜っぽい食べ物に刺さり、そのまま勢いが死なず、飛んで行き壁に刺さった。
投擲LvMAXで百発百中の暗殺者でも、それを動かすのは俺だから当たらなければどうしようと思ってしまっていたので良かった。
「次はその魔物がこうなる」
うわ~。今の台詞、超恰好良かったな。自分で言っておいて。ロールプレイするとたまに中二病かよと自分に突っ込んでしまう。
まぁそんなわけで前金を貰った。そんじゃまぁまずは武器屋だな。
たまにナターシャちゃんからお使いを頼まれ港町ニールで買い物とついでに物色してて気付いたが、ゴールドというお金の単位は円の等倍だ。
つまり今、俺は10000G持ってる訳だが、日本円に換算すると諭吉さん1枚だな。
尤も生活水準が違うから、目安でしかないけど。
さてまずは短剣だな。ナターシャちゃんがくれたのと同じくらいの長さ、刃渡り30cmくらいのを見繕う。
値段は4000G、文化の違いから差異はあれど日本円で4000円。短剣とは言え刃渡り30cmの刃物が4000円って安いよな。
まぁそれも日本では、武器なんか扱っていない、というか銃刀法違反になるしな。これは文化レベルの差だ。
だからこそあくまで目安で完全には当てにならない。
続けて一振り1000Gのナイフを4本。これで8000G使ったわけだ。
残りの金で必要になりそうなのをいろんなお店で買い込んで行く。って言うかデパートとかないのかよ。探すのがめんどーだっつーの!
一人通り買い物を済ませると日が暮れていた。所持金残り20G、諭吉さんがあっという間だったな。
その後、公園に行き買った物の一つである木材を手に取り、ナイフで削って行く。
「めんどくせ~」
そう思うが金がないのだから手作りしかない。諭吉さんがもう1枚あれば作らずに買えたのにな。
やがて作業を終え、洞窟に向かう準備が整った。
しかしもう夜だ。昼頃港町ニールに到着したのにな。ほぼ無一文で野宿か。悲し過ぎる。
俺は買った物の1つである携帯食を口にし、公園のベンチで横になった。
「うっ! さむっ!」
四月とは言えまだ寒い。体を震わしながら暖かい上着をくれたナターシャちゃんに感謝をしながら眠りについた。
次の日洞窟に向かうと思わぬ者と出会う……。
「……エド」
プレイ可能な1人、金髪金目の王子のキャラ。途中から王様に戴冠する、エドワード=フィックス。
最初はドラ〇もんのス●夫君ヘヤーで、手で掻き揚げフサ~とかやってるナルシストだったのに王様になった途端オールバックにしだす謎キャラだ。
特徴的なのは前開きにした青を基調としたロングコート。あれかなりの高性能なんだよな。
耐火、耐冷、耐爆、耐斬、耐突、耐打という強い防御力を誇る。
弱点は雷系で、普通にダメージが通る事とクソ重いというとこだ。
また前開きにしているのは、中に武器を隠し持っており、いつでも取り出せるようにだ。
このキャラの特性は圧倒的までの扱える武器の豊富差だ。触った武器は全てLv1を習得し反復で使い続けると当然レベルが上がる。しかもMAXになると他のキャラより上手く扱える、ユニークスキル武器支配を持ってる事だ。
また重機使いをレベルMAXにするとユニークスキル重機自在になるのだが、重機と言う武器の時点で最初から、ユニークスキルで良いだろとツッコミたくなる。
難点なのは国政をしないといけないという事だな。まあそういうのを好む人もいるがMMORPGなのに国政とか面倒だとか言う人が大半だった。
しかし、これを確りやらないと終盤になっても金がなく、王様なのに貧乏とか悲しいオチになってしまう。
ついでにフィックスの機械開発は湯水のように金を使うのに、序盤は大した物が手に入らず、だと言うのに確り振り分けておかないと終盤に強力な武器が手に入らない事態になってしまう。
更に武器をいろいろ扱えるのに複数装備できない事もある。
例えば現在背中に大型チェンソーを背負っているが、この状態では槍を背負えず装備できない。
まあ普通武器を持ちっぱなしで冒険なんてするRPGはファミリーコン時代だしな。
なので、機械開発して終盤に完成する短槍を手に入れないといけない。それなら今のように腰の後ろに装備できるからな。尚、あの短槍は武器使用時に3倍の長さまで伸びる特徴がある。
そんなわけで終盤は無数の武器を扱い、それも他のキャラより上手く扱い、圧倒的な防御力、国政次第では、誰よりも金持ちという優れたキャラになるのだが、序盤は制約だらけで嫌煙されている。
うろ覚えだが、最終エピソードでのエドを鑑定した時のステータスは以下の感じだ。まあ自分のキャラじゃないのでうろ覚えってのはご愛嬌だな。
名前:エドワード=フィックス
年齢:二十七歳
レベル:100
クラス:マルチウエポン
称号:英雄王
HP:12000
MP:250
力:1500
魔力:150
体力:2000
俊敏:1200
スキル:ナイフ使いLv6、短剣使いLv3、剣使いLv7、小太刀使いLv2、小刀使いLv2、刀使いLv2、弓使いLv9、槍使いLvMAX、鈍器使いLv2、闘気Lv3
エクストラスキル:下位火炎魔法、下位稲妻魔法、下位氷結魔法、毒耐性
ユニークスキル:武器支配、重機自在
装備:グングニル (攻撃力6500、防御力200)
ロイヤルコート (防御力2000、俊敏-200)耐火、耐冷、耐爆、耐斬、耐突、耐打
ロイヤルクローズ (防御力700)
ロイヤルシューズ (防御力400、俊敏50)
方眼鏡 (防御力20、命中補正、遠透視)
対魔物用大型チェンソー (背面のみ防御力2500、俊敏-300)
セット装備効果:ロイヤル (攻撃力500、防御力1000→ロイヤルカリバー装備時攻撃力700、防御力1500、俊敏200)
予備武器:ロイヤルカリバー (攻撃力4000)
ハイクロスボウ (攻撃力3000)
対魔物用大型チェンソー (攻撃力2000→対魔物攻撃力9000、防御力2500、俊敏-300)
今年も宜しくお願いします