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EP.37 愚王はボロ雑巾のようでした

「バケモノが!」


 首筋に小刀を当ててる兵が吐き捨てる。いや、下位なんだけど……。バケモノは酷くね?


 プッシューン!


 とりあえずそのまま肩を斬った。あと少なくても三人いるんだよな。ウエストックスに向かう途中に襲われても面倒だし無力化しておくか? そう言っていたら、残りの三人がやって来た。


「この盾があれば貴様などに」


 ああ、あのデカくて軽い盾ね。二週目で見た。魔法が効かなくて面倒な代物だったな。エーコじゃ苦戦するよな。だが、記憶を取り戻した俺の敵ではない。

 兵達が盾に隠れながらボーガンを放って来た。


「ぐっ!」


 そっちが盾を使うならこっちも盾を使うか。ただし肉の盾(・・・)だけどな。


「貴様ー! 王に盾にするとはー!」


 愚王の両肩と右太ももに計三本矢が刺さった。あーもう煩いな。お前らが先に盾を持ち出したのだろ? 致命傷にならないとこに当たるようにしただけ有難いと思いな。


「だが、自慢の失われし魔法もナイフ投げもできまい」


 魔法は別に自慢できる程でもないんだけどな。


「よっと」


 俺は上に飛んだ。城は天井が高いからこそ可能だった。空中で右手の人差し指と中指に挟んだナイフと小指と薬指に挟んだナイフ。そして、左手に持ったナイフを投げた。


「「ぐはっ!」」


 二人の右肩に刺さる。しかし一人は……、 


 カーン 


 と鈍い音が響く。確り盾を上に向けたか。優秀なのが一人はいたんだな。


「<下位火炎魔法(ファイヤー)>」


 だが今度は足元がお留守だ。下位火炎魔法(ファイヤー)で足元を炙った。


「あっつー!」


 両足がこんがり焼けてうずくまる。


「さて愚王。行くぞ」

「……貴様はどこまでバケモノなのだ?」


 お前まで言うか。


「ほら歩け……って、歩けないか」


 矢が三本刺さっていたんだ。


「ぎゃぁぁぁ……」


 いちいち煩いな。矢を抜いた程度で騒ぐな。


下位回復魔法(リカバリー)


 下位回復魔法(リカバリー)をかけてやった。


「これで歩けるだろ? さっさと歩け!」


 再び襟首を掴み前を歩かさせる。


「おのれ……」


 ボヤいてるが、何も出来ないのは、いくら愚王でも理解したのだろう。消えいるような小さな声だ。


「ほら、さっさと歩け! 愚王が」


 俺は後ろから愚王を蹴り飛ばす。だが、襟首を掴んでいるので吹き飛ぶ事も許されない。首が締まる。


「ヒィヒィ……貴様が速いのだ。休ませろ」


 流石は王座でふんぞり返ってうたた寝してる愚王だな。最前線に出て指揮しながら、戦うエドとは大違い。


「なら俺が運んでやる」

「ぐはっ!」


 襟首を掴んだまま足払いで転ばし、引き摺るうに運ぶ。これで先程より速く移動できそうだな。そうやって引っ張りウエストックス到着。


「余を何だと思っておる? 王だぞ! それを引き摺るなどと……」


 何か憤慨してるな。と言うか、学習しないのかな? こいつは。


「王は王でも愚王だろ? 文句あるなら始末しても良いぞ? そっちのが荷物がなくなる」

「ぬぬぬぬぅ……」


 顔を真っ赤にしてるな。


「それより、この戦争の指揮をしてるのは誰だ?」

「………」


 俺は無言で小刀を愚王の首筋に当てた。


「………………エイプリル将軍だ」


 何だ? その嘘みたいな名前は?


「そのエイプリルって奴はどこにいる?」

「そこまでは知らぬ」

「役立たず!」

「なにおー! 王が何故そこまで知っていないといけないのだ?」


 逆ギレしてるよ。


「少なくてもエドワード国王は最前線で戦ってる。それ故に臣下も信も厚く愚かな兵はいない。お前のとこと大違いだ」

「くっ!」


 さて愚王も黙ったし、どうしようかな? まあとりあえずツートックスに渡るか。

 指揮をウエストックスからする程、愚かではないだろからな。そこまで愚かだったらアルフォンス城を一度潰した方が良いな。


「乗れ!」


 愚王を渡り船にぶん投げた。当然渡り船が大きく揺れる。


「お客さん、そんな乱暴に荷物を投げないでください。船が沈みはす」


 漕ぎ手が巧みに船を操りバランスを取った。やるな。


「に、荷物だと?」

「おや人間でしたか。これは失礼」

「プププ……」


 思わず笑ってしまった。引き摺られボロ雑巾のようになってたし、揺れる船を操っていたから、パっと見では人に見えなかったのだろう。


「悪いな。二倍の金出すから勘弁してくれ」


 そう言って2000G渡す。その際に1000Gは手渡し、もう1000Gは漕ぎ手の懐に入れた。要はチップだな。

 まあ行きは渡り船を奪ったから実質タダ乗りだったし、俺からすれば往復分払っただけだしな。


「更にこれは口止め料」


 そう言って5000Gを懐に入れてやった。お小遣い計6000Gか。資源不足でも一食分ちゃんと食事出来るだけのお金だ。漕ぎ手の者は、ホクホク顔してる。

 にしても一回渡るだけで1000Gって高いよな。一日で30000Gと稼げると考えて、一般的な人の一日の給料は7000~10000G約20000Gは、どこに消えているのか……。どうせこの愚王の懐だろうな。

 ツートックスとウエストックスの境がフィックス領とアルフォンス領だが、共同経営なんて面倒しか起きない事をエドがするとは思えないし、この渡り船の経営はアルフォンスがやってると予想出来る。そんな事を考えていたら船が出発していた。

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