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EP.26 最終決戦の狼煙

《●×☆▽☆★彡??》


 パルサはユキに呼び掛けるが、ユキには何言ってるのか分からなく首を傾げてしまう。するとモニターは消えて、パルサ本人が転移魔法で現れた。


「ルッマー!?」


 突然目の前に現れた事に驚いたのは、勿論あるのだが猫耳に尻尾があり、普通の人間には見えなかった事に焦りを感じた。

 もしかしたら自分と同じ魔物かもしれないと警戒したからだ。意思疎通が出来ればまだ良かったが、先程モニターから喋っている時に全く通じなかった。


「☆★×●〇〇!!」

「何を言ってるのか分からないルマ」


 分からないけど、ただ敵意はないとユキは感じた。


「×××○○」


 右手を差し出して来る。握手を求めてると直ぐに気付きユキは、軽く握った。


「<翻訳魔法(トランス)>」


 パルサは翻訳魔法を使った。相手に触れていないと発動しないのは不便だが、相手と意思疎通が出来るようになると言うのは便利な魔法である。


「言葉分かるかしら? 今、翻訳魔法をかけたサ」

「分かるマ」

「まず聞きたいのだけど……」

「何? ルマ」

「何で雪だるま? 着ぐるみ?」


 パルサは、目をキラキラ輝かせながら訪ねた。尻尾も物凄い勢いでブンブン動く。ユキの姿に興味津々なのが丸分かりだ。


「違うルマ。ユキは魔物の雪だるまルマ」

「魔物? その割には意思疎通が出来るかしら」

「ユキ達雪だるま一族は突然変異ダルマ。君も魔物ルマ? 獣耳とか尻尾があるマ」

「あたしは動物の特徴を持った人族サ。種族的には亜人もしくは獣人に分類されるかしら」


 亜人と聞き慣れない言葉にユキは首を傾げた。


「それより、その体に触って良いかしら?」

「……良いルマ」


 引き気味に許可を出す。


「雪だるまなのに毛皮なのね」


 そう、ユキの体は見た目は雪だるまだが毛皮なのだ。


「えい!」

「ルマっ!?」


 突然抱き着かれた。


「ふわ~~フカフカで気持ち良いサ。おっとこんな事してる場合ではないかしら」


 直ぐに我に帰りルマから離れた。


「色々聞きたい事もあるだろうけど、今は時間がないかしら。タケルもしくはアルフォードと言う人物に心当たりは?」

「タケルは知らないルマ。アルフォードは知ってるマ。と言うより、アルフォード……アルを迎えに来たルマー」


 ユキがアークに頼まれたもう一つの事はアルフォードを迎えに来る事。

 突然どこか分からない構造物の中に来てしまったけど話が早くて助かった。と、思うユキ。


「やっぱりかしら。今は詳しく話してる時間がないかしら。端的に言うとアルにはあたしの手伝いをして貰ってるサ。ただ苦戦してるかしら。君も手伝ってくれないかしら?」

「分かったルマ」


 基本的には人間達の情勢には関わらない。しかし、アルの事を聞く必要もあるので、ここは従っておこうと判断した。

 何故ならアークの話が本当ならアルの力が必要になるからである。


「じゃあ転移するサ……転移魔法(ラーク)


 ルマの手を掴むとパルサは転移魔法を唱えてパルサが取っている宿の部屋に転移して来た。

 ユキは見慣れるテーブルやベッド等の調度品が気になったが、それよりも……、


「アルっ!?」


 アルに目が行く。ダイブ中なので抜け殻にようになっているので、意識が感じられなくユキは不安を覚えた。


「ああ。アルの意識を他のとこに飛ばしてるサ」

「平気なのかルマ?」

「君にも行って貰いたいサ。君も行けば早く帰って来れるサ」

「分かったルマ」


 ユキは、頷いた。アルを早く連れ帰るには、それが最善と判断したからだ。


「ああ、そうだ。あたしはパルサ…サ。君は?」

「ユキだルマー」

「ユキね。あ、そこに座って。アルの意識の居場所とか、此処の事とか色々聞きたいだろうけどアルを助けるの先かしら。興味があるなら後で説明するサ」


 パルサは椅子を指差すと、続けて中空にキーボードとモニターを出し、忙しなく指を走らせる。そのモニターには、色々なものが目まぐるし映る中、戦っているアルの姿を認めユキは目を丸くする。

 先程意識を飛ばしてるとパルサは、言っていたのは、この事なのかと得心が行くまでは至らなかったが、大人しく椅子に座った。

 何が何だか分からないが、それが最善だと判断したからだ。

 ユキが椅子に腰を掛けるとパルサが立ち上がり、ユキの後ろに回る。


「動かないで……頸椎はここかしら? 魔物だから頸椎はないのかしら?」


 ぶつぶつ言いながら首にネットと脳を繋ぐ装置を取り付ける。

 ちなみにだが、ユキには首が無いので当然頸椎は無い。それでも装置が脳と繋がれば問題はないのだが。


「少しチクっとするサ。これがないとアルのとこにいけないから我慢して欲しいかしら」

「ルマっ!?」


 チクと言うよりグサって感じがしてユキは目を剥く。その後、頭の中で何かが蠢く不快な感覚に顔を歪ませる。装置が脳と繋がったからだ。


「じゃあアルのとこへ飛ばすサ」


 そう言うとパルサは、またキーボードに指を走らせる。


「ダイブコネクト」



               ▽▲▽▲▽▲▽▲▽



 そうして時が現在に戻る。


「少し休むと良いサ。魔物はお茶平気かしら?」


 戻ってきたアルフォードとユキをパルサが出迎えてくれて、アルフォードの前にお茶を置く。


「問題ないルマ。ただ甘いのは苦手ルマ」


 アルフォードの前に置いたお茶から甘い匂いがしたので、ユキはそう答えた。


「分かったサ」


 そう言ってユキ用のお茶を用意してくれる。


「レモンティー……果実で風味をつけたお茶サ」

「ありがとうルマ」


 お礼を言って一口含む。ほのかに酸っぱくて美味しいと、ユキは感じた。


「美味しいルマ」

「それは良かったかしら」


 パルサも自分のお茶を用意し椅子に座った。それを待ってたようにアルフォードが声を掛ける。


「直ぐ行かなくて良いのか? 攻め込むのだろ?」

「相手は警戒してるサ」


 その答えるとパルサは中空にキーボードを出現させると指を走らせる。そしてモニターをアルフォードとユキに見えるように向ける。


「これを見るサ」


 モニターの中では、敵機械アバターが無数にいた。


「これは?」

「奴らに本拠地かしら。恐らくユキの登場で厳重体勢を取っているのサ」

「どう言う事だ?」

「アルだけなら疲弊してるから、あの作戦後に即攻めて来るとは思っていなかったかしら。でも、ユキと言う新たな脅威が現れたサ。それで、もしかしたら攻めて来るかもと警戒してるのサ。奴らも馬鹿じゃないかしら。今までの行動から慎重な連中と言うのが分かるサ」

「ユキは手伝わない方が良かったのじゃないルマ?」


 何の話をしてるのか全然分からなかったが、ただ自分のせいで不利になっているのではないかとユキは思い訊ねた。


「それは違うかしら。ユキのお蔭で今は(・・)厳重体勢になったのサ。つまりその間、アルは少しでも休めるかしら」

「なるほどな……今はって事は、いずれ緊張の糸が切れてくるって事だな? そして、その時が攻め時ってわけだ?」

「そうサ。何時間も厳重体勢をする筈はないかしら。あ、今日はもう来ないだろうと思わせた時がチャンスかしら」

「分かったぜ。じゃあ遠慮なく少し休ませて貰う。攻め込む時が来たら起こしてくれ」


 そう言ってアルフォードは椅子に座ったまま眠ってしまう。


「……一瞬で寝てしまったルマ」

「アルには無理をして貰ってからサ。ネット……いや、あの戦場では、通常より疲弊するサ。でもこれが最後かしら」


 やっとこれでと感慨深い思いで、大きく息を吐き出すがユキに当然理解出来なかった。


「今の状況とかこの世界の事とか説明するかしら。尤も色々把握するには時間が足りないかしら」


 まだ全てが終わっていないと、気持ちを切り替えたパルサがユキに提案する。そうして説明するが攻め込む時が直ぐに来たので、全てを聞けなかった。

 それでもアークが言っていた事と話が繋がり、今回戦ってる奴らを野放しにしておくと今、自分達の世界で起きてる事が解決しても繰り返される。だから、協力しないわけにはいかないと言うのはユキにも理解出来た。

 そして次の一戦で全て終わり、アークに言われた通りアルを連れて帰れるのそのままユキも手伝う事にした。


「さあこれで最後かしら」


 二時間程が過ぎアルフォードを起こしたパルサが言う。


「応っ!」

「分かったルマ」

「まずこれを見るサ」


 モニターに先程、敵機械アバターがいた場所が映っている。


「これはさっきの場所か? 人数減ったな。気が緩んだだな」

「そうサ……それとここを見て」

「これは……キーボードとモニター? でもパルサが使ってるのより遥かにデカいな」


 パルサのモニターは縦30cm、横50cmだが、此処にあるのは縦2m、横1mくらいのが三つ並んでいた。


「此処にあるのは研究の為の演算をしたりデータを沢山蓄積できるようにスペックが高い為に大きいのサ」

「なるほどな」


 アルは暫くこの世界にいただけはあり、理解したがユキには半分くらしか理解出来なかった。まぁそれでもこの二時間で出来る限りの事を説明してくれたので半分も理解出来たと言えよう。


「これを破壊して欲しいかしら。このデータはこの世界取っても、君達の世界に取っても害悪にしかならないかしら。次元転移装置の基礎がある可能性があるサ」

「了解だ」

「分かったルマ」

「ただ……これ物理と雷には弱いけど……」


 言葉を濁しユキを見た。


「吹雪は効かないルマ?」

「そうサ。なので、破壊はアルが担当かしら」

「分かったぜ」

「分かったルマ」

「アル、ここまでありがとうサ。ユキも途中からだけどありがとうかしら」

「がははははは……まだはえーだろ?」


 パルサが頭を下げた。アルフォードは、豪快に笑い飛ばすが、ユキはアークに頼まれて来ただけだからお礼言われても困ると感じてしまう。


「そうね。終わったらユキを存分にモフらせて貰って、改めてお礼を言うかしら」

「何でそうなるルマ?」


 それでは自分の体を触ったお礼になってしまう。そう感じたユキの顔をが引き攣る。


「あははははは……じゃあアル、ユキ、宜しくサ」

「応っ! ダイブコネクト」

「ユキはあたしが飛ばすかしら。ダイブコネクト」


 アルは自分でネット内にダイブした。が、ユキはまだ完全に把握していないのでパルサにダイブさせて貰う。そしてネット世界に降り立つ。


「<オォォォラバスタァァァっ!!>」


 開幕は先制と言わんばかりアルフォードが闘気技をパルサに言われたモニターなどに向かって放つ。


 ドッゴォォォォンっ!!


 一発でぶっ壊れ、白煙が舞い上がる。それが最終決戦の狼煙となった……。

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