表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
130/563

EP.24 ヒーローは遅れてやって来る

最近体調がすぐれません(>_<)

たまにお休みするかもしれません(昨日も休んでしまいましたし)

そうなってしまいましたら、申し訳ございません

「はぁはぁ…………おりゃー!!」


 息切れをしつつもアルフォードは、敵の機械アバターに回し蹴りを入れる。

 アルフォードは、疲弊しきっていた。あれから二時間は戦っている。それだけに千と言う数は大きいのだ。まぁアルフォードがダイブする前に政府側で多少は減らしているが、焼き石に水と言うべきだろう。

 元々アルフォードは、慣れないネットと言う戦場で戦い続けていたので、疲労が溜まっていた。そこに今回の千の大軍による大規模攻撃だ。


 もしリアルなら、そこまで疲労しなかったかもしれない。リアルなら奥の手と言うべきか闘気の扱いの奥義と言うべき闘気解放を使えたかもしれない。

 闘気解放は、爆発的に闘気を高める技で一時期的に大幅に魔法攻撃以外の全能力が上がると言ったものだ。ネット内でも使えない事もないだろうが、疲弊してるところに使ってしまうと下手すると意識を失ってしまう。闘気とは使い過ぎれば意識も刈り取られる諸刃の剣なのだから。

 だからこそ、疲弊が少ない……と言うより、慣れたリアルでの戦闘だったらどれ程、アルフォードの負担が減っただろうか。

 リアル側なら……まぁ言っても詮無きなのだが。


「ちっ! しまった」


 アルフォードが舌打ちする。敵アバターを数体に抜かれてしまった。


「アルフォード殿、問題ありません」


 と、アルフォードの後ろには政府側の精鋭アバターが控えている。

 これがせめての救いだろう。今までは抜かれると家が崩壊と言う事態になってしまうので、何が何でも抑えなければいけなかった。

 しかし、今回はその心配はない。パルサが政府側と交渉しアルフォードが前で処理。打ち漏らした相手だけを処理して貰う事になった。

 まぁアルフォードが敵ではないと分からせる為に態と政府側の精鋭アバターが半分くらいやられるまで放置していたのだが……。

 そして、このままでは政府の中枢を狙われる。ヤバいと思ってるところを突如アルフォードが現れて助けた形を作った。ヒーローは遅れてやって来ると言わんばかりに。

 それでパルサの交渉がスムーズに行き、今のスタイルで戦う事になった。それでも二時間は厳しい。アルフォードの動きが悪くなる一方だ。


「アル、下がるマーっ!!」

「ユキっ!?」


 後方よりユキの叫び声が聞こえた。

 何で此処にユキが? と言わんばかりに目を丸くしながら、アルフォードは言われた通り下がる。

 共に戦った仲間なので、何をするのか分かり、驚きながらも瞬時に下がる判断が出来た。


「吹雪けルマーッッ!!」


 ユキの吹雪攻撃で一掃。

 ちなみにユキとは突然変異の魔物で雪だるま一族である。何が突然変異かと言えば人間と友好的にしていた。中でもユキは人間と交渉する為に人間の言葉を覚えた雪だるま一族のリーダーと言うべき存在だ。

 元々魔物は動物だったので、当然雪だるまも最初は動物だった。しかしそのルーツは本人達すら覚えていない。

 そのユキがアルフォードのピンチにやって来たのだ。本当のヒーローはユキだった。

 ………………雪だるまがヒーローと言うのもしまらないが。

 ともかくユキが得意とする吹雪攻撃がネット内でも確り使え敵アバター達を凍らせた。ネット内でも確り吹雪攻撃が使えたのは、ユキを確りネット内で構成出来たパルサの手腕と言えよう。


「おおおお……!」


 アルは駆け出す。ユキが吹雪攻撃を放った瞬間、索敵気法(さくてきほう)により、凍結から逃れられる敵アバターが瞬時に分かったのだ。そいつに向かって走る。


「はっ!」


 拳が顔面に炸裂し、最後の一体を葬った。疲弊しているが、破壊力は健在だ。


《お疲れ様サ。直ぐに戻って来て。ユキはこっちで勝手に回収するかしら》

「了解……ダイブアウト」


 アルフォードとユキの視界が暗転。パルサが取っている宿の部屋に戻って来た。ユキは来て早々の戦いなので何が何やら分からないでいた。

 アルフォードとしても、ユキが来て助かったと言えば助かったが何故ユキがいるのか気になって仕方なかった。故に問い掛ける。


「何でユキがいんだ?」

「アークに頼まれたルマー」 



               ▽▲▽▲▽▲▽▲▽



 時はこの大規模攻撃より、数日遡る。

 その日、ユキ達雪だるま一族が暮らすエルドリアの炭鉱で爆発事故が起きた。精霊大戦のせいで資源は枯渇寸前で炭鉱には、もうほとんど鉱石は残っていない。それでも人々は掘り返し資源を求める。

 基本的にはユキ達は人間と関わらない。関わりたくない訳でなく関わらない。棲み分けと言う奴だ。あくまで雪だるま一族は、魔物なのだから。

 それでも困っていたら助けるくらいの事はする。よって、この爆発事故が起きた事で人間達の救出が必要だと判断した。


「A班~C班は爆発箇所の調査するマー。D班~F班は炭鉱の出入口を確認するマー。出入口が塞がれたら不味いルマ。塞がってるようなら一体は報告を。それと開通させるマー」


 ユキは同胞達に指示を出した。こう言う事態も想定しており、班分けも事前に済んでいた。そうして続々と情報が集まる。


「A班はBルートの人間を、B班はユキとEルートの人間を救出に行くユキ。C班は救護場所を確保し動物を狩り人間達に食事と毛皮を用意するユキ」


 集まった情報から判断し、新たな指示を出す。どうやら出入口も塞がっておりD~F班に開通に取り掛かってるらしい。ユキが向かったEルートでは五人程瓦礫に埋まっていた。

 ちなみにBルートやらEルートは、雪だるま一族が炭鉱での道を便宜上呼んでいるだけで、人間達と共通認識ではない。


「みんな掘り返すルマー。君はユキと一緒に来てルマ」

「ルマルマルマ」


 了解と同胞の一体は、ユキと共に瓦礫を移動させて行く。


「雪だるま一族か。助かった」


 最初に救出した人間がそう言った。

 ユキは人間に討伐されない為に必死に言葉を覚え、交渉を行い今では棲み分けが出来ている。また時々普通に話し掛けて来る人間もいるので、ユキは友好的に接していた。


「怪我ないルマ?」

「片足を折ったようだ」

「そっちの二体は、この人間を救護場所に運んで応急処置をするマー」

「「ルマルマー」」

「次はそっちの瓦礫をどかすルマ」


 そうして次々に瓦礫をどかして行く。中にはもう死んでる人間もいた。


「助かったよ」


 それでも助かった人間もいるのがせめてもの救いだ。


「比較的軽傷だね? 案内させるから救護場所に行くルマ」

「ああ、分かった」


 ちなみに救護場所と言ってるが、急遽作った急ごしらえのものだ。


「ここは終わったルマ。次はDルートに向かうルマー」

「ルマルマー」


 次の爆発現場に向かい救出活動を繰り返す。何故同時にあっちこっちで同時に爆発が起きたのか不明だ。ユキは気になり途中から一部の同胞に調べさせているが原因が分からないでいた。

 こうして数日人間達の救出、救護に奔走するユキ達であった……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ