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EP.41 完成、サンダーファング

 七層は残り四体のガーディアンを倒して終わった。七層だけに七体のガーディアンだった。

 そして八層の梯子が見えた。


「先に下りて」


 アークがそう言い出す。


「構わないけど何でだい?」

「また襲われたら堪ったもんじゃない」


 つまりスカートの中を見た事が、ナターシャがアークを押し倒した原因だと思ってる。確かにそれも一つの要因ではあるのだけど。

 ただ襲われたらって……酷い言い草ねぇ。あたいだって結構我慢してたのに。と、憤慨し……、


 ペッシーン!


「ふん」


 思わず平手打ちしてし、鼻を鳴らして先に下りた。

 ああ、なんかあたいカリカリしてるなぁ。自己嫌悪に陥ってしまう。仕方ないのにアークに酷い事してるなぁ。と、ナターシャも思っていたが、どうしても自分を止められないでいた。



第八層


 下りて正面に直ぐ閉まった扉がある部屋でドーム状。扉の右に球体があり、その側に石碑があった。

 書かれている内容は『電気を流せ』だ。

 ナターシャは、アークにどう言う事か分かる? って聞こうとしたら、アークは球体に触れだした。アークはゲーム知識ですんなり理解した。


「<下位稲妻魔法(サンダー)>」


 球体に向かって下位稲妻魔法(サンダー)を放つ。その電気エネルギーは球体から一気に天井へ延びる。しかし、そこで止まった。


「ふむ……ナターシャは、中位使えるか?」

「使えるさぁ」


 そう言ってアークを真似て球体に触れた。


「<中位稲妻魔法(ギガ・サンダー)>」


 中位稲妻魔法(ギガ・サンダー)を放ち、その電気エネルギーは天井へ一気に伸び、左右に分かれて少し走ったとこで止まってしまう。


「上位は?」

「それは使えないさぁ」

「じゃあどうしたものか……」

「あたいに向かって下位稲妻魔法(サンダー)ーを唱えてくれないかい?」

「はっ!? 何で?」

「良いから。唱えれば分かるさぁ」

「分かったよ……<下位稲妻魔法(サンダー)>」


 アークの放つ下位稲妻魔法(サンダー)を弓で受け止める。ナターシャの弓は魔力で構成された矢を放つだけではない。魔法弓を放つ事ができる。

 ただ魔力制御が難しいので、自分で魔法を唱えて魔法弓を放つ事ができないのが難点ではあった。


「エレメント・サンダーランス」


 雷を帯びた魔力の矢を放つ。


「おーすげー!」


 アークが一人興奮しだす。

 だが結果は、同じく天井に延びた電気エネルギーは左右に分かれて途中で止ってしまう。

 そうなるよねぇ。と、ナターシャは最初から予想はしていた。

 この魔法弓は一段階威力をあげる。

 下位を中位へ、中位を上位へ。ちなみに上位魔法を当てて使用するとは弓が一発しか保たない。上位の場合は、それ以上使わず休ませないと、エレメント・アロー自体が損壊してしまう。

 つまり、アークが放ったのは下位なので、ナターシャがさっき使った中位と変わらない。


「変わらないな」


 アークが呟く。

 ナターシャは、予想はしていたが、試しただけなのだ。魔法弓でも確り電気が流れるかどうかを。魔法弓で可能なら、それは魔法剣でも可能かもしれないと思ったからだ。それ故に……、


「アーク、あたいに下位稲妻魔法(サンダー)を放った後、ダークに使った魔法剣を使ってくれるかい? 同時に放てば、かなりの電気エネルギーが出ると思うさぁ」

「ダークに放ったって、サンダー・スラッシュか?」

「それ改名を要求するさぁ!!」

「はっ!? 何で?」


 アークが間抜けな声をあげ目を白黒させる。


「記憶をなくす前のアークが得意としていた闘気剣はクロス・ファング。勿論元になったのはダークのスラッシュ・ファングさぁ」

「つまりファングにしろって事か……サンダー・ファング?」

「それが良いわ」

「どーでもええわ!!!」


 アークが吐き捨てるように叫ぶ。


「じゃあ下位稲妻魔法(サンダー)を放って」

「はいはい……「<下位稲妻魔法(サンダー)>」」


 アークの放った中位稲妻魔法(ギガ・サンダー)を弓で受け止める。


「アークに合わせて放つさぁ」

「了解……<下位稲妻魔法(サンダー)>」


 アークも自分の剣に――小刀ではない――電気エネルギーを帯電させる。


「<サンダー・ファングっ!>」

「エレメント・サンダーランス」


 どうでも良いとか言いつつ改名してくれた事に内心喜ぶナターシャ。

 で、アーク達の電気エネルギーが球体に炸裂。今までない程の勢いで天井に電気エネルギーが伸び左右に分かれる。

 そのまま勢いを殺さず部屋をぐるりと電気エネルギーが周り、ドーム状なので途中で左右に分かれた電気エネルギーが再び合流した。

 その瞬間ゴゴゴ……と音を鳴らし正面の扉が開く。


「やったさぁ。アーク!」


 ナターシャは歓喜し右手を挙げる。


「ああ」


 そう答えるが手を挙げない。ナターシャの手が虚しく空を切る。


「アーク、あたいの手」

「手がどうした? 片手だけでバンザイか?」

「ハイタッチしてくれないのかい?」


 もう気が効かないわねぇ。内心ボヤく。


「そういう事か」


 パッシーン!


 お互いの手が重なる。


「じゃ九層行くか……ナターシャが先に下りて」

「本当は見たいんじゃない? ほらほら」


 スカートをたくし上げる。


「はしたない。良い歳して何してるんだか」


 視線を反らしそう言う。

 分かってるわよ。でも、アークが側にいるのにあたいを見てくれないのが寂しいんじゃない。あたいだってこんな事した事ないさぁ。と内心思うナターシャ。

 更にそれにしても良い歳してって言われイラっとしていた。確かにアークの中身の10歳上だけど、と。

 あ~あ、あたいもダメねぇ。頭では理解していても心が着いて行かないさぁ。と、今のアークなら仕方ないと分かってはいるのだ。

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