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第十七話 魔神の仲間?

「――まさかガイサが敗れるとはな……」

 

 指に止まった一匹の蟲を愛でながらソレは一人呟いた。全身を黒い外套で包まれており顔の判別はつかない。


 しかしその口ぶりから魔人ガイサの仲間であることがわかる。


「あの娘も始末出来ず薬も持ち帰られたとなると、作戦を変更せねばならないな。馬鹿な連中だ。大人しく死んでおいたほうがまだ苦しまずに済んだであろうに。そうであろう? お前達?」


 外套を靡かせ振り返った先には赤い目をし唸り声を上げる人間たちがいた。


「ロイズの町も今宵で終演を迎える――」






◇◆◇


 しかしこんなにも高い壁に囲まれているのか――


 ロイズの町にたどりつき遠目でもわかるその規模に圧巻されるガレナ。壁もガレナが住んでいた町よりも相当高い。


「これが都か……」

「そんなこの町でも精々二十万人程度が暮らしてるぐらいなので都と言えるほどではありません」

「そんなに!?」


 フランから話を聞きガレナが非常に驚いた。ガレナの済んでいた町は人口二万人程度が暮らす町だ。実はこれでも国の中では多いほうだがやはりロイズの町と比べると霞んでしまう。 


「フラン様! それにスライ様にサリー様もよくご無事で!」


 壁に囲まれた町だけに出入り口となる門が各所に設置されていた。門の前に馬車が止まりフランも一度馬車から降りたところで門番達が三人に気が付き声を上げた。


「いつもお疲れ様です。実は急いで屋敷に戻る必要があってこのまま抜けてもいいですか?」

「それは勿論ですとも。ただ、そちらのお方は?」

 

 門番の一人が逆に問いかける。その視線はガレナに向けられていた。


「彼はガレナと言ってここまで案内してくれた道先案内人です」

「ほう、道先案内人ですか」

「うむ。しかもただの案内人ではない。我らよりも遙かに強い道先案内人なのだ」

「な、なんと!」


 門番達にマジマジと見られるガレナは若干戸惑い気味だ。


「いや、俺など大した事はしていない。途中襲ってきた化物を倒せたのもスライとサリーの力によるものだ」


 ガレナの答えを聞きスライとサリーが顔を見合わせる。


「――全く謙虚なものですね」

「ハッハッハ。だが決して驕ることのないその精神がまた素晴らしい」


 ガレナとしては本音で喋っているに過ぎないが二人の騎士はガレナを非常に評価していた。


「ガレナも一緒に通っても?」

「そういうことであれば。ようこそガレナ様ロイズの町へ!」


 こうしてガレナは故郷以外の町に初めて足を踏み入れることとなった。しかもそこからはフランと同じ馬車に乗って移動することとなる。


 案内の自分が馬車に乗るなど、と思ったガレナだったがフランにどうしてもと頼まれた上――


「私と一緒の馬車は嫌ですか?」

 

 などと悲しそうな顔で言われた為それ以上拒否は出来なかった形だ。


「こんなにも人が多いものか――」


 ガレナが第一に感じたのは人の数の差だった。通りも随分と賑やかであるし道では沢山の馬車が走っている。


 馬一つとっても角のある馬に引かれている馬車もあれば中には巨大な亀に乗っている人物もいた。


 建物の数も多く三階建て以上の建物も多く見られた。


 街の風景に興味を示すガレナにフランが優しく教えてくれた。そうこうしているうちに内側の壁に馬車が近づく。


「屋敷にはもう一つ壁を越えていく必要があるのですよ」

「何と町の中にもう一つ壁があるのか」


 これにもガレナは驚きだった。ガレナの町では囲む壁は一つだけだったからである。


 そしてもう一つの壁も越え進んだ先は少し落ち着いた雰囲気があった。どうやら貴族や豪商が暮らす区画が多いらしい。


「ところで俺が屋敷までついていっていいものなのか? 案内はもう必要ないと思うが」

「何を言ってるのですか! ガレナが一緒に来るのは当然です! 来るなと言われても連れていきます!」


 フランに断言されガレナは苦笑した。更にいつのまにか逃しませんよとでも言わんばかりに手を握りしめられ思わず顔をそらすガレナである。


「さぁ付きました。お父様に薬を届けないと。そしてハイルも――」


 屋敷のあまりの大きさに圧巻されるガレナであったが、今はフランの抱えてる問題を解決するのが先だなと表情を引き締めるガレナなのだった――

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