#13 八木という名の悪夢
八木カンナを道端で助けてから、まだ半月余り。
たったこれだけの短い期間関わっただけで、俺の私生活は粉々に破壊された。
昼休憩や放課後の度に付き纏われ、八木カンナの幼馴染の杉浦にはぶん殴られてケガして、中学から付き合ってた彼女にはフラれた。
そして一番納得出来ないのが、俺がこれだけ甚大な被害を被っていると言うのに、当の八木カンナ本人はピンピンしてやがる。
むしろ、以前よりご機嫌でいつもニコニコ楽しそうだ。
『八木さん。いや、八木。 君は一度お祓いとか行った方のがいいんじゃないかと思うんだけど、八木はどう思う?』
「え?お祓い? っていいますか、呼び捨てするなら苗字じゃなくて、名前でって言ったじゃないですか!」
『八木うるさい。八木のその意見は却下だ』
「エェー、なんか納得出来ないなぁ」
クソうぜー
コイツに納得出来ないとか、一番言われたくないんだけど!
「あ! そうだ! 栗山くんに聞かないとって思ってたんですけど」
『ん?』
「あの!栗山くん、顔が試合後のボクサーみたいになってたじゃないですか? 彼女さん、凄く心配させちゃったんじゃないんですか? 彼女さんにもきっと迷惑かけちゃってますよね? 一度お詫びした方がいいですか?」
『いや、もうその必要はない』
こいつ、彼女にフラれたこと知らないとは言え、遠慮なくエグってくるな・・・
「え?もう? え?もうってどういうことです?」
普段はバカなのに、なんでこういうトコだけ鋭いんだよ!
『いや、気にするな。 大したことじゃないから』
「っていいますか、最近の栗山くん、わたしの扱いが凄く雑になってません? 以前はもっと紳士的だったのに!」ぶーぶー
もうヤダ
この子一度殴ってもいいかしら?
すっごいウザいんですけど
『泣きたくなってきた・・・』
「え?え?え? 急にどうしたんですか? 泣きたいなら胸かしましょうか? わたしの胸、柔らかくてきっと気持ちいいいですよ?」
『いや、遠慮しとく・・・』
「えー、それなにげに酷くないですか~? ちょっとキズ付きましたよ!わたし」
おっぱいくらいでガタガタうるせー!
こっちは顔面ボコボコで彼女にもフラれて、心も体もキズだらけだぞ!
『というか、八木。君こそ以前はもっと礼儀正しくて、おじょーさまぽく無かったか? そんなに砕けてなかっただろ?』
「バレました? 実はほんのちょっとだけネコ被ってました☆」テヘペロ
多分他の連中なら、いまの八木見てキュンキュンしたりするのだろう。
バカだけどコイツは美少女だ。
しかし、俺は殺意しか湧かないんだけど
いつまで続くんだ、この八木地獄は・・・




