薄紫小葡萄(パープルジュエル)酒の納品代行
「うわぁー北の方面ってこうなってたんだ。私初めてだからなんかワクワクするよ。」
「うん私もトゥリーヤと同じで北の方面は初めてだよ。」
馬車の外の景色を乗り出して観ているトゥリーヤに対して私も同じように頷く。
「私はキシリシュタイン王国で育ったから元来た道を戻ってるってだけだから特にワクワクすると言った感じはないわ。」
「ねームクト、やっぱりキシリシュタイン王国とかって北方面だけに雪とか降るの?」
トゥリーヤがムクトに率直とした疑問をぶつける。
「いえ、キシリシュタイン王国の辺りでは雪は本当にたまにしか降らないわ。」
「たしか年中雪が降ってる場所ってこの大陸よりももっと北の方にある大陸のはずだよ。そうだよねムクト?」
マットと一緒に馬車の運転席に座っているアークがムクトに確認をとる。
「アークの言う通りだわ。残念ながらキシリシュタイン王国からは直接にいけないところにあるけど。」
「へぇーそうなんだ。だけどキシリシュタイン王国でも雪が降るならそれでいいや。」
トゥリーヤはそう言うと目を輝かせて上機嫌である。
「おし!!辺りも暗くなってきたし今日はこの村に泊まるぞ。」
「えっ!!ほんとだいつの間にか辺りが暗くってる。」
「今日は途中で全然モンスターに遭遇しなかったからね。」
「まあ馬車に乗ってるってだけでよっぽど狂暴なモンスター以外は襲ってくる確率が少ないわ。」
思わずトゥリーヤとムクトとの女子3人のおしゃべりに集中してた私は正直自分たちが冒険していると言う事を少し忘れかけていた。
「よし、皆、急いで村に入ろう、マットはもう先に行ってるよ。」
「うん分かったアーク、ありがとう。」
こうして私たちは今日泊まる事になる村の入口へと向かうのだった。
「ようこそ我がカノル村へ、そして私が村の名前にもなっています。村長のカノルです。」
「初めましてカノルさん、俺たち今北にあるキシリシュタイン王国に向けて旅をしているところなんです。そこで暗くなったので今日1日この村に泊めてもらう事は可能でしょうか?」
マットがカノルさんに交渉する。
「ほっほっほ構いませんよ。それにしても皆さん5人とも若いのに北方面を目指すと言う事はかなりの強さを持った冒険者パーティー一行様とお見受けします。」
「いえいえそれほどでもないですよ!!あのカノル村長さん、この村の名産品とかって何ですか?」
「お・おい!!トゥリーヤ、いきなり何訊いてるんだよ!!」
トゥリーヤの発言にマットが表情を変える。
「えっ!!いやーせっかく泊めてもらう村だから、せっかくだし知りたくて。」
「ははは、構いませんよ。カノル村の名産品は薄紫小葡萄を使った葡萄酒です。」
カノル村長はそう言うと1本の葡萄酒が入った瓶を持ってきてくれた。
「なるほどこれがこのカノル村の名産品なんですね。」
「そうです騎士風の青年、これをここから少し北にいったトゥグル街に納めに行って収入を得たりしています。しかし困った事に道中には小鬼が出現しましてな。納品しに行くのは我々村民からしてもかなりリスクが高いのです。」
カノル村長は少し困った顔をした。
「あ・あのカノル村長さんもしよろしかったら・・・・。」
私はカノル村長に思い切って声をかけるのだった。
翌日トゥグル街冒険者ギルド
「はいたしかに薄紫小葡萄酒1本3万パシット×50本合計150万パシットたしかに納品確認したよ。」
「ありがとうございます!!」
私はトゥグル街冒険者ギルドのマスターにお礼を言う。
「私たちが代わりに納品に行きますですと・・・。」
「はい!!その方が安心だと思いますし、納品したお金は伝書鳩でカノル村の方に送ります。その代わりに薄紫小葡萄の種を頂きたいんです。」
「よしこれで薄紫小葡萄の種を緑樹族の郷に伝書鳩で送ろう。」
「ありがとうライリィー!!」
トゥリーヤが私に抱き着いて喜びを露わにした。
「だけどまさか薄紫小葡萄が五大果実五大野菜の1つだったとはね。」
アークが少しびっくりだよと言った感じで答える。
「私もカノル村には寄った事がなかったから知らなかったわ。」
アークに続きムクトも口を開く。
「ま・まあ何はともあれ、よかったんじゃないか?ライリィーの直向きな姿勢とトゥリーヤの突発的な思い付きの成果だからな。」
「マット、ありがとう。」
「へっへっへーどう私の感のよさに御見それした?」
トゥリーヤが少し意地悪気にマットの方をみる。
「う・うるせーお前の事は褒めてねぇーから!!」
マットはそう言うと不機嫌そうに黙り込む。
「まあまあマット機嫌直しなよ。それよりもせっかく冒険者ギルドがある街に来たんだし何か新しい依頼がないか調べてみようよ!!」
「うん・・・まあそれもそうだな。よしそれじゃ受けられそうな依頼がないか探すぞ!!」
こうして私たちはトゥグル街の冒険者ギルドで受けられそうな依頼を調べ始めるのだった。




