本当の騎士(ナイト)とは?
「よしそれじゃアークさん悪いんだが事の顛末を話してくれないか?」
宿屋の一室につくとマットが口を開いた。
「アークさん一体何があったんですか?向こうの騎士のリーダー格は五大種族の1つ防風族の次期王ウィンダ・アロガエと言っていましたよね?」
マットに続き私が気になっていた事を訊ねる。
「はい・・・あの方は紛れもなく五大種族の1つ防風族の次期王にして騎士のウィンダアロガエです。」
「ふーん、その割にはあなたの腹を蹴飛ばしたり、ライリィーに手を出したりとんでもなく下衆の極みみたいな奴だったと私は思ったけどね。」
アークの説明にトゥリーヤが思った事を率直に述べる。
「トゥリーヤさんのおっしゃる事は無理もありません。しかしウィンダ・アロガエは騎士としての腕はかなりの者で私のようにごく一般の騎士見習いや他の一般の騎士からしたら到底頭の上がらない実力の持ち主です。」
トゥリーヤの言う事に頷きながらもアークはそう言って力なく肩を落とした。
「そのウィンダ・アロガエと同じく私も五大種族の1つ緑樹族の王の娘な理由なんだけど・・・それに免じて向こうもあの場を去ったじゃない。」
「そ・その件については本当にありがとうございました。もしあの場にあなたが出て来てくれなかったら私はもっと大変な事になっていたでしょう・・・ですが・・・。」
「・・・・?ですがって一体どう言う事?」
アークのはっきりしない口調にトゥリーヤが疑問符を浮かべる。
「皆さんも知っているとは思いますが防風族は五大種族の中でも武芸に一番秀でた種族です。こんな事をいったら矛盾になるかもしれませんが私たち騎士見習いや一般の騎士たちからしたら防風族の次期王で騎士であるウィンダ・アロガエはとてつもない絶対主義の存在なんです。」
「ちょっと待って下さい。アークさんあなたは理由はどうあれ腹を思いっきり蹴られたんですよ。それなのにウィンダ・アロガエを絶対主義の存在って言うんですか?それは何だか間違ってる気がします!!」
アークの発言に私は何か悲しいものを感じて叫んだ。
「ライリィーの言うように私も納得出来ない本来騎士は弱気者を守るべき存在なのにあのウィンダ・アロガエはあなたを庇おうとして立ちふさがったライリィーに対しても手を出そうとした何でそんな奴に絶対主義の存在だなんて言える何て私にも理解出来ない。」
私に続けてトゥリーヤも怒りの声を挙げた。
「ライリィーさん、トゥリーヤさん、2人とも本当にありがとうございます。でも元はと言えば騎士見習いの分際でウィンダ・アロガエに意見しようとした私に非があるんです。だから私から今日の事は謝罪しようと思います。」
「アークさん、ちょっと待ってくれよ!!俺は遅れてきたからよく分からない部分もあるけど、俺もライリィーやトゥリーヤと同意見だよ!!あんたが謝罪する理由なんて絶対にないって!!」
話を黙って聞いていたマットもおかしいよと言った感じで声を張り上げた。
「すいませんそれじゃ僕はこれで・・・・こんな騎士見習いの私を庇ってくださってどうもありがとうございました・・・では・・・。」
アークはそう言うと立ち上がりその場を去ろうとしたその時だった。
パァーーン!!!
誰かのほほをを思いっきり平手で叩く音が響いた。
「・・・・防風族とか・・次期王とか・・・絶対主義の存在とか・・・ほんと腹が立つ・・・です。」
それはムクトがアークのほほを思いっきり平手で叩いた音であった。
「私は物心ついた時には1人だったわ・・・です。そんな中私はキシリシュタイン王国の大道芸団に拾ってもらっていろいろな事を教えてもらったわ・・・です。その中の団長は決して身分が高い貴族出身の騎士ではなかったけど・・・とても暖かくて私の父親代わりのような存在だったわ・・・です。仮に相手が五大種族の次期王で騎士としての腕がいかに優れていようがそんな事に屈する事なんて絶対にないわ・・・です。」
ムクトはそこまで一気に言うと続けてこう叫んだ。
「あなたもあの取り巻き連中もそしてウィンダ・アロガエも騎士を名乗る資格何てねーです。そしてあなたはただの臆病者です!!」
(ここまで感情を露わにしたムクトって私と勝負した時以来・・いやそれ以上かも。)
「・・・・・まさかこんなお若い少女にまで言われるなんて私って本当に・・・・。」
「年齢なんて関係ねーです!!大切なのはどれだけ心の中に1本しっかりとした筋が通った生き方をしているかです。」
ムクトはそう言うとアークの方を物凄く恐い顔で睨みつけた。
「・・・・・それじゃ失礼します。」
ムクトに物凄い顔で睨みつけられながらもアークはゆっくりとその場を後にした。
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
アークがいなくなった部屋に何とも言えない空気が流れる。
「取り乱して悪かったわ・・・です。」
ムクトが一言そう言うと黙り込んでしまった。
「ムクト・・・お前にそんな過去があったのか・・・。」
「正直この話は初耳だったね・・・・。」
マットとトゥリーヤが口々言って黙り込んだ。
(私・・・やっぱりこのままじゃ納得出来ない!!!)
「ねー私アークさんの後追おうと思うんだけど・・・」
私がそう言おうとした時だった。
「おい!!火事だ!!住宅街の方で火事があったって!!」
「!!!!火事?まさか!!!」
私は嫌な予感がして走り出そうとした瞬間・・・
ムクトが物凄い速さで飛び出すのを見た。
「マット!!私たちも行こう!!」
「あー!!何か嫌な予感がする!!」
こうして私たち4人は火事が起こったとみられる住宅街の方へ急ぐのだった。




