道化師(ピエロ)のジャケットとスクーマさんからのささやかなプレゼント
中年の騎士団長ぽい男性が高らかに声を挙げたかと思うと突如スタット街全域に聞こえるくらいの声で
アナウンスが流れた。
「スタット街のみんな毎度お馴染みのキシリシュタイン王国出張珍品大道芸団がやってきたぜい!!」
アナウンスの声はもの凄くテンションの高い人物の者であった。
「今回も我らキシリシュタイン王国出張珍品大道芸団のショーと同時に冒険者参加型のキシリシュタイン王国出張珍品大道芸団貴重品獲得交渉戦を行うよ。!!」
アナウンスの人物はいかにも周りを煽るようなさらにテンションの高い声で叫んだ。
「うぉーよっしゃー来たぜ貴重品獲得交渉戦!!!」
「今回こそ!!貴重品ゲットだぁー!!」
冒険者たちの間からは物凄い歓声が起こる。
「何かもの凄くテンションの高い人の声が聞こえるねトゥリーヤ。」
マットを一緒に列に連れ戻した私はトゥリーヤにつぶやく。
「うん・・・なんか分からないけどどうやら声の主は性別や年齢が分からないように声を変えてるみたいだよ。」
「えっ!!」
私は驚いて出張珍品大道芸団の方を見た。
「まあいつもの事だけどみんな楽しんでねー。あー知ってると思うけど僕はアナウンス謙道化師のジャケットさ!!それ以外の詳しい事は内緒って事で!!」
ジャケットはそう言うと軽い身のこなしで片手逆立ちを決めるのであった。
「わーいつもの事だけどジャケットすごーい。」
ジャケットに向けてスタット街の人々から大きな歓声が上がる。
「あーりがとーみんなー。僕らがやるサーカスショーのチケット代がキシリシュタイン王国の運営費になるんだ。その代わりに僕らは普段滅多に手に入らない貴重品を条件を付けた交渉戦で提供するよーってこれも毎度の事だから知ってるよね?」
ジャケットはそう言うとさらに愉快そうに笑うのであった。
「おいジャケット・・・もし仮に条件をお前の素顔明かすって条件で交渉戦を行う事は今回も出来るのかよ!!」
1人の冒険者がそう言ってジャケットを挑発しようと試みた。
「うん出来るよ!!だけど1対1では無理だろうけどね!!」
ジャケットのこの言葉に挑発を試みた冒険者は渋い顔をする。
「さあースタット街の皆さんも冒険者さんたちもまずは僕たちのサーカスショーを見てくれたまえよ!!そして明日貴重品交渉戦を行うよ!!」
ジャケットはそう言うと物凄い身のこなしで大衆の視界から姿を眩ませるのであった。
「あのジャケットって言う道化師の人凄いね。」
「うん、ライリィー下手したら並の冒険者よりも格段に実力は高いと思う。」
私の言葉にトゥリーヤが割りと珍しく真面目な感じに答える。
「キシリシュタイン出張珍品大道芸団道化師のジャケット奴の素顔を暴けるような冒険者はこのスタット街の冒険者ギルドにはまずいねーよ。」
2人で列に引き戻してきたマットがそう言うと落ち着いたような感じで答えた。
(たしかにマットの言う通りかもしれない。)
「おいおい3人とも何固い表情してるんだい。とりあえず今日はサーカスショーの方を楽しもうじゃないか道化師のジャケットを筆頭に物凄く面白い物が見られると思うよ。はいこれチケット。」
いつの間に来ていたのだろうスクーマさんがそう言って私たちにサーカスショーのチケットを手渡ししてくれた。
「スクーマさんこれ私たちがお金を払わなくちゃいけないんじゃ!!」
私は慌ててスクーマさんの方を見る。
「なに心配しなくて大丈夫だよライリィーこのチケット代は普段のあんたちの依頼に真剣に取り組む姿勢に対しての私からのプレゼントのような物さ。」
慌てる私にスクーマさんはそう言って笑ってみせた。
「ライリィー、スクーマさんがせっかく好意で私たちのために買ってくれたチケット何だから素直に受け取って良いんじゃない?」
「スクーマのおばばサンキュー!!」
トゥリーヤが私にそう言ってる傍からマットがスクーマさんからチケットを受け取って行った。
「あっこらマットあんたはもう少し慎みと言う物を持ちな・・・って言っても無理なのは知っているんだけどね。」
スクーマさんはそう言うといつものように豪快に笑うのであった。
「スクーマさんありがとうございます。ほらライリィーの分。」
「あ・ありがとうトゥリーヤ。スクーマさんも毎回毎回どうもありがとうございます。」
「何まずは今日のサーカスショーを楽しんでおいで・・・そして明日行われる貴重品獲得交渉戦に向けて3日前から準備していた事を十分発揮しておいで。」
「おーい2人とも早くこいよーサーカスショーが始まっちまうぞ!!」
「はいはい分かりましたよマット君そんなに慌てなくても大丈夫でちゅよー笑」
「あっトゥリーヤてめーふざけんな・・・。」
「ほら、ライリィー行こう。」
マットの声をさらっとかわし、トゥリーヤが私の手を引き走り出した。
「あっちょっと待ってよトゥリーヤ!!スクーマさんほんとに本当にチケットどうもありがとうございました。」
こうして私たち3人はキシリシュタイン王国出張珍品大道芸団のサーカスショーを堪能するのであった。
そして翌日貴重品交渉戦の朝を迎えるのであった。




